平成14年3月28日
厚生労働省医政局総務課
医療機関による広告の規制緩和について、平成14年2月20日から3月20日までインターネットのホームページ等を通じて御意見を募集したところ、82通の御意見を頂きました。
お寄せ頂いた御意見とそれらに対する当省の考え方につきまして以下の通りご報告いたします。とりまとめの都合上、頂いた御意見は、適宜集約しております。
なお、パブリックコメントの対象ではない事項に関する御意見も寄せられましたが、パブリックコメントの対象となる事項に限って考え方を示させて頂いております。
頂いた御意見と当省の考え方 |
1)専門医の認定を受けた医師・歯科医師がいる旨について
<御意見>
○ 専門医が非常勤である場合には、その旨を明記すべき。 |
<回答>
専門医に係る広告については、常時診療に従事する医師又は歯科医師に限って広告できることとしています。
<御意見>
○ 専門医資格を広告できるようにするべき。 |
<回答>
今回の改正では、一定の外形基準を満たした団体が認定する専門医を広告可能としています。
<御意見>
○ 専門医を認定する団体の会員の8割以上が医師・歯科医師でなければならないとの要件は外すべき。
○ 改正案を以下のように修正すべき。
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<回答>
専門医の認定基準を設定するためには、医師・歯科医師の専門的知見が不可欠であるため、当該団体の会員のうち8割以上が医師または歯科医師であるとの基準は妥当であると考えております。
<御意見>
○ 米国のFACPなど、世界に通用する肩書きを広告できるようにするべき。 |
<回答>
専門医資格については、今回、新たに広告可能とするものであるため、当面、資格認定団体に係る外形基準の審査の観点から、我が国の専門医資格のうち一定のものを認めることとしました。
<御意見>
○ 改正案を以下のように改めるべき。
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<回答>
団体の永続性と安定性を担保するため、法人格を取得することが必要と考えました。
<御意見>
○ 医師の臨床経験を広告できるようにするべき。 |
<回答>
医師が勤務した医療機関に関しては、医師の略歴として従前より広告可能とされています。
<御意見>
○ 専門医を広告できることとすると、専門医の多い大病院に患者が集中してしまう可能性があると考えるが、これを抑制する方策はあるのか。 |
<回答>
診療所の医師又は歯科医師であっても専門医資格を取得し、その専門性を患者に対して広告することが可能であるので、特にご指摘のような対策を講じることは考えていません。
<御意見>
○ 専門医の認定をする団体の基準が不透明ではないか。
○ 専門性を評価する客観的尺度に欠けるなど、現在の専門医・認定医制度は杜撰な規約の上になっており、専門医を広告することについては反対。 |
<回答>
透明性を確保する観点から、専門医認定団体に係る客観的な基準を告示し、その基準を満たすものとして厚生労働大臣に届出を行った団体のみを専門医認定団体とすることとしています。
<御意見>
○ 同じ専門医でも、無試験で資格を取得した者と、正規の試験を受験し、資格を取得した者とがいるが、これらを区別できるようにするべき。 |
<回答>
専門医認定団体に係る客観的な基準を満たした団体が認めた専門医については、同様の取扱とします。
<御意見>
○ 各学会の専門医認定基準を第3者的に審査する機関を設置すべき。 |
<回答>
専門医認定団体の届出を受理するに当たっては、医学医術に関する専門団体の意見を聞くこととしております。
<御意見>
○ リウマチ登録医、病理専門医についても広告できるようにするべき。 |
<回答>
ご指摘の専門医資格を認定する団体が告示に定める要件を満たせば、広告可能となります。
<御意見>
○ 専門医だけでなく、認定医の名称で広告することは可能か。 |
<回答>
医師の専門性に関する資格であって一定の要件を満たすものであれば、「専門医」「認定医」等個別の名称を問いません。
<御意見>
○ 麻酔科専門医の広告は禁止し、当面、麻酔件数と手術件数を広告するにとどめるべき。 |
<回答>
専門医については、専門医認定団体に係る客観的な基準を満たした団体からの認定を受ければ、広告可能となります。
2)医療の内容に関する情報について
<御意見>
○ 手術件数、平均在院日数等を広告する際には、広告の内容がいつのものか明記させるべき。 |
<回答>
手術件数、平均在院日数等を広告する際には、必ず当該広告事項に係る期間を併記しなければならないこととしております。
<御意見>
○ 症例検討会を開催している旨、医療安全のための院内管理体制が整備されている旨の安全管理のための委員会開催、職員研修の実施については、開催の頻度と、1回あたりの時間を併せて表示するべき。 |
<回答>
症例検討会の開催頻度等に関しては、各医療機関にお問い合わせ下さい。
<御意見>
○ 医療機関が得意分野とする臓器名等を医療機関名称に組み入れても支障はないのか。 |
<回答>
病院等の名称に治療方法、身体の部位等であって法第70条第1項及び第2項(標榜できる診療科名)による診療科名以外の診療科名と紛らわしい名称を用いることについては、法第70条の規定の趣旨に反することから認められません。
<御意見>
○ 取り扱っている症例を具体的に広告可能として欲しい。 |
<回答>
今回の改正では、診療報酬点数表において認められた治療方法、手術件数について広告可能としています。
<御意見>
○ 手術件数の広告はやめるべき。 |
<回答>
手術件数の多寡は、医療機関の機能について、患者が医療機関を選択する際の指標になると考えます。
<御意見>
○ 広告と情報提供を混同すべきでないとの観点から、以下の項目を広告可能とすることは問題ではないか。
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<回答>
患者による医療機関の選択に資するよう、情報提供を進めていくことは重要であり、客観的で検証可能な情報は、可能な限り広告可能とすることが望ましいと考えています。
<御意見>
○ 治療方法については、診療報酬点数表において認められている名称に限り可能としているが、「糖尿病治療を行っている」などの広告を行うことは可能なのか。 |
<回答>
診療報酬点数表において認められている治療方法に限って広告可能となります。したがって、ここに認められていない「糖尿病治療を行っている旨」については、広告できません。
<御意見>
○ 治療成績についても広告可能とすべき。 |
<回答>
治療成績を評価する客観的に比較可能な指標等の環境整備がなされていないことから、現時点では広告可能とすることは妥当でないと考えております。
3)医療機関の構造設備・人員配置に関する情報について
<御意見>
○ 臨床薬剤師の項目を広告可能として欲しい。 |
<回答>
薬剤師の員数については広告可能となっています。
<御意見>
○ 看護職員の休日・時間帯別ごとの配置について広告可能とすべき。 |
<回答>
今回の改正で広告可能となります。
<御意見>
○ 看護職員数、免許別構成人数について広告可能とすべき |
<回答>
看護職員数、免許別構成員数に関しては、既に広告可能事項となっています。
<御意見>
○ 各病棟の病床数について広告可能とすべき。 |
<回答>
各病棟の病床数については、広告として扱うのではなく、むしろ、院内掲示や広報によって患者に情報提供されれば足りるものと考えます。
4)医療機関の体制整備に関する情報について
<御意見>
○ 電子カルテを導入している旨については、患者の個人情報の保護のためにとっている措置を併せて表示することとされたい。 |
<回答>
個人情報の保護のためにとっている措置については、広告として扱うのではなく、むしろ、院内掲示や広報、医療機関が患者に説明すること等によって情報提供されれば足りるものと考えます。
<御意見>
○ 患者相談窓口を設置している旨に関連して、以下の項目を追加するべき。
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<回答>
ご指摘のような事項については、広告として扱うのではなく、むしろ、院内掲示や広報によって患者に情報提供されれば足りるものと考えます。
<御意見>
○ 医療安全のための院内管理体制が整備されている旨を広告できるものの中に、院内感染対策の実施を入れるべき。 |
<回答>
院内感染対策については、当然全ての医療機関が取り組むべきものであることから、広告可能とする事項ではないと考えます。
5)医療機関に対する評価について
<御意見>
○ (財)日本医療機能評価機構は厚生労働省の外郭団体であり、信用できる結果が出るのか疑問。 |
<回答>
(財)日本医療機能評価機構は民法第34条に基づく民間の法人であり、また、医療機能評価事業は客観的な審査基準及び手続に基づいて病院を認定する制度であることから、客観的に検証可能なものとして広告を認めることが可能と考えております。
6)医療機関の運営に関する情報について
<御意見>
○ ISOの取得が医療技術やサービスの向上につながるのか疑問。 |
<回答>
「ISO9000s」については、本来医療の質や機能を評価したものではありませんが、サービス、品質管理に関する客観的な審査基準及び手続に基づいて認定する制度であり、広告を禁止する理由はないものと考えます。
7)その他
<御意見>
○ 麻酔科専門医の有無は必ず掲載することにするべき。
○ 医療機関を選ぶ時の判断基準になるものを誰もが容易に入手できるように、医師、理事長の略歴、従事者の充足状況などについては、広告しなければならない事項とするべき。
○ 診療時間内と診療時間外における実従事者数を表示することを義務づけるべき。 |
<回答>
今回の改正案は、医療機関が広告できる事項として何を拡大すべきかを検討しているものです。広告というのは医療機関が広く宣伝したい事項を掲載する性格のものであり、一定の事項の掲載を義務づけるのは困難です。
<御意見>
○ 原則的には広告してはいけない事項を定める方式にするべきではないか。 |
<回答>
広告禁止項目をネガティブリスト化した場合は、特定の禁止事項以外は自由に広告できることになるため、現状に鑑みると、効果が明確でない特殊療法や民間療法が広告されること等が想定され、患者保護に重大な支障を生じるおそれが強いと考えられます。このため、当面は、ポジティブリストの積極的拡充により対応したいと考えております。
<御意見>
○ 今回の緩和内容を超えて広範な情報公開、広告を可能とするべき。 |
<回答>
今後とも、医療を取り巻く環境の変化等を踏まえ、患者保護を図りつつ、必要に応じて広告可能事項の拡大に関して検討してまいりたいと考えております。
<御意見>
○ FAX番号、病院のマークにつき、広告可能とすべき。 |
<回答>
FAX、病院のマークについては既に広告可能です。
<御意見>
○ 「基本健康診査協力医療機関」を広告可能とすべき。 |
<回答>
「基本健康診査協力機関」については、全国的な制度ではないため、今回の改正では対象としていません。
<御意見>
○ メールアドレスは広告できるのか。 |
<回答>
メールアドレスについては、今回の改正で広告可能となります。
<御意見>
○ 外来やその他での相談機能や関連機関との連携について広告可能とするべき。 |
<回答>
患者相談窓口について、今回、広告可能としています。また、関連機関との連携については、紹介することができる他の医療機関、介護施設等が既に広告可能とされています。
<御意見>
○ 申請により国土交通大臣が指定する「指定航空身体検査医」である旨を広告可能とすべき。 |
<回答>
「指定航空身体検査医」である旨に関しては、一般国民に対して広告する事項ではなく、特定の対象者に対する情報提供については、個別の制度において対応すれば足るものであり、今回の広告可能事項とはしておりません。
<御意見>
○ 看護実習を受け入れている旨を広告可能とすべき。 |
<回答>
看護実習は法的に位置づけられた客観的な制度ではないことから、広告事項にはなじまないと考えます。
<御意見>
○ 専門看護師・認定看護師が配置されている旨を広告可能とすべき。 |
<回答>
学術団体として法人格を備えた資格認定団体が認定する専門医について今回広告可能としたことを踏まえ、今後、御意見いただいた点のあり方について検討していきたいと考えております。
<御意見>
○ ホームページアドレスを緩和の対象とするならば、ホームページ上での広告も広告規制の対象とするべき。 |
<回答>
ホームページは通常は患者自らが情報を得るためにアクセスするものであり、一般的には医療法上の広告としては扱われませんが、その内容が不特定多数の患者を誘引する目的を持っているもの等については広告に該当するものと考えられ、現行でも、広告規制の対象となっております。
<御意見>
○ 東洋医学科、漢方科の診療科名を広告できるようにすべき。
○ 全身に係る臨床領域(内分泌・代謝科、血液科等)の診療科を広告対象とすべき。
○ 病理科を広告可能とすべき。
○ 診療科目についても追加の検討をお願いしたい。 |
<回答>
医師の専門性については、客観的な基準に基づく団体が認めた専門医について今回広告できるようにしており、上記御意見についてはこれにより対応できるものと考えております。
<御意見>
○ 看護体制について、受持、担当制、チーム制を広告可能とするべき |
<回答>
ご指摘のような事項については、広告として扱うのではなく、むしろ、院内掲示や広報によって患者に情報提供されれば足りるものと考えます。
<御意見>
○ 医療機関の部門の組織機能について広告可能とするべき。 |
<回答>
ご指摘のような事項については、広告として扱うのではなく、むしろ、院内掲示や広報によって患者に情報提供されれば足りるものと考えます。
<御意見>
○ 広告内容を届出等させ行政が広告内容を把握する必要があるのではないか。 |
<回答>
広告規制の範囲内で、客観的で検証可能なものについては自由に広告することができるものであり、全ての広告内容を届出等させる必要はないと考えます。