パブリック・コメント  厚生労働省ホームページ

「残留動物用医薬品の安全性評価方法に関するガイドライン案」
に対して寄せられたご意見等について

平成14年9月
厚生労働省医薬局
食品保健部基準課

 残留動物用医薬品の安全性評価方法に関するガイドライン案について、平成14年3月26日から4月22日まで、ホームページ等を通じてご意見を募集したところ、のべ30件のご意見、ご要望をいただき、ありがとうございました。
 お寄せいただいたご意見等とそれらに対する事務局の考え方について次のとおりとりまとめました。
 お寄せいただきましたご意見等につきましては、とりまとめの便宜上、案件ごとに適宜集約させていただいております。
 今回、ご意見をお寄せいただきました方々のご協力に厚く御礼申し上げます。

1.動物実験について

(意見1)
 動物を用いて安全性(というより、毒性)を確かめる試験に反対です。動物を用いなければ安全がよく分からないような物質を作ることを見直すべきである。

(意見2)
 動物用の医薬品の為に、動物実験を用いるというのは、矛盾がある。外国では、動物実験はしないというのが主流になっているのではないか。

(意見3)
 動物実験に断固反対です
動物実験が少しでも減るように改善され、不幸な動物を減らすべきである。

(意見4)
 あらゆる動物実験に反対である。それは倫理的に間違っているからである。動物を使った実験や試験は完全に撤廃するべきである。

(意見5)
 動物にも大切な命がある。人間と同じである。人間は動物に癒され救われている。そんな動物を実験材料にすべきではない。

(意見6)
 人間用の医薬品のために人間が実験に使われる事は無いのに何故動物は使用されるのか。むやみに罪の無い生き物に死んでほしくない。

(意見7)
 動物実験という恐ろしいことは、今後一切行うべきではない。代替法も有るというのに、無意味なことにばかり大切なお金を使うべきではない。

(意見8)
 もし代替法がある試験であるなら、必ずそちらを選択するよう定めて欲しい。

(意見9)
 動物に頼らず実験する方法を一刻も早く実施するべきである。

(意見10)
 安全性評価を動物実験で確認する方法から、動物を使わない方法に変えるべきである。少なくとも、動物をつかわない方法に国家予算を投入し、そういう国民の声に答えるよう努力し、またそういう意志をもった研究者、研究機関、企業の後押しをするべく、広く助成金などを提供するべきである。

(意見11)
 現在では動物実験に替えて、PCを使った医薬品の開発が行われている。動物用の医薬品ついても、動物実験をせず、上記のような方法での開発をするべきである。

 医薬品の安全性試験における動物の使用は、薬物の生体内反応を調査する上で大変重要な情報を提供するものです。実験動物の取扱いは種々の法律や、試験機関でのガイドライン等で規制されており、長期毒性試験と発がん性試験を統合し使用動物数を減らすなど、必要最小限の動物を用いて可能な限り苦痛を与えないよう試験を行うこととしています。
 また、現在では、単純な生命体あるいは分離された細胞等を用いた種々の代替法が開発されており、試験に用いる動物の数が減らされつつあります。しかし、動物で起きている細胞、組織及び器官の間の複雑な相互作用は、現在のところ代替法のみでは完全には解明できません。そのため代替法と同様に、動物を用いた検討が現時点ではなお必要であると考えております。

(関連法等)

・動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年10月1日 法律第105号)
・実験動物の飼養及び保管等に関する基準(昭和55年3月27日 総理府告示第6号)


2.動物実験のヒトへの外挿等について

(意見12)
 人間は生活の上で様々な食物・薬・合成化学物質を摂取したり、接触しているのだから、特定の物質のみの安全性評価では人間にとっては参考にならないのではないか。

(意見13)
 一定の条件下(室温、湿度など)で育てられている動物に実験して得られたデータを、様々な環境に暮らしている人間に当てはめること自体に無理ではないか。

 ヒトと種々の動物の間には薬物に対する反応に種差がありますが、類似点も存在します。動物実験からヒトにおける薬物の反応性に関する全ての情報を得ることはできませんが、ヒトでの反応を推測する上で有益な情報を提供するものであると考えております。

(意見14)
 毒物や薬品に対する耐性は動物種によって違うのだから動物実験による安全性を信頼するのはむしろ危険ではないか。

 動物実験の結果をそのままヒトに適用するのは確かに危険ですが、種差を考慮した安全係数を用いてADI設定を行う等、安全性の確保に努めております。


3.試験方法について

(意見15)
 試験への一般的アプローチについて
 動物薬は目的の動物に投与されて、動物中で残留する動物薬濃度が問題であり、いろいろの組織、筋肉、目、脳等に残留したデータがある場合、基礎試験は必要ないのではないか。この項目は動物薬承認基準でおこなわれる項目ではないか。

 本一般的アプローチは、動物薬が食品中に含まれた場合のヒトへの安全性評価のために必要な毒性試験が何であるかを明確にしたものであり、対象動物に対する安全性評価のためのものではありません。

(意見16)
 食べ物の安全性について検討するには、まず、動物薬が動物のいろいろの組織、筋肉、目、脳等に残留したデータを集め、それを公表する必要があるのではないか。

 対象動物での組織残留性の試験は、以前から承認審査の段階で要求されています。また、食品中の残留基準値を設定するために必要な代謝や体内分布に関するデータは審議会資料として公開されています。

(意見17)
 人腸内細菌群に対する作用、および薬理作用試験は人間に近い動物を用いて試験するべきである。

 抗生物質などの微生物学的リスク評価法については、現在、ヒトの腸内細菌を無菌ラットに移植した試験などを含む安全性評価ガイドラインが検討されています。

(意見18)
 特殊試験に、人における中枢神経かく乱性、生殖系かく乱性を入れるべきではないか。

 薬物により予想される副作用に応じて、動物を用いた神経毒性試験、生殖毒性試験を行い、ヒトへの安全性を検討しております。

(意見19)
 一次投与での残留動物用医薬品の安全性評価方法に限定した条件であるのであれば、安全性評価方法であれば困難なテーマであり、人の医薬品に用いるブケイ剤(賦形剤)の安全性の基準が参考になるのではないか。
 人の医薬品に用いるブケイ剤は人のあらゆる組織、細胞に作用しない基準であるからです。

 薬物が生体に与える影響について評価するための検討なので、賦形剤ではなく有効成分を用いて検討する必要があると考えています。

(意見20)
 食品中の残留動物用医薬品の安全性評価であるから、料理の条件での試験が必要でないか。

 当該医薬品成分が、料理の条件により分解・減衰する可能性はありますが、新たに生成したり増加したりすることは考えにくいことから、食品の残留に関する安全性評価としては現在のところご指摘の試験に関する検討は行われておりません。

(意見21)
 もし、今後代謝、排出が速い動物用医薬品が開発されるでしょう、そうすると一次投与後の排出動物用医薬品の二次動物中の残留は検討を考えなくてよいのか。このケースで代謝の速い場合と排出の速い場合では試験方法が異なると考えます。排出の速い場合では二次動物中の残留物の安全性評価方法が必要でしょう。別の面から水棲植物への吸収は相当な検討が必要ではないか。

 一次投与後の排出動物用医薬品の二次動物中の残留については、二次動物の消化管における結合型残留物のバイオアベイラビリティについても考慮されており、これは、既にWHOで国際ガイドラインとして公表されております。また、水棲動物に与える影響等、環境毒性については別途検討されるべき課題であると考えております。

(意見22)
 なぜ、動物用医薬品の安全性評価と残留動物用医薬品の安全性評価が必要か。良く理解されない。その点を説明が必要と考える。二重ガイドライン化は予防する必要がある。

(意見23)
 今回述べられている基礎試験系も動物用医薬品の承認時に審査すべきではないか。

 動物用医薬品の安全性評価は動物に対するものであり、それを食するヒトへの影響は十分には考慮されていません。そのため残留動物用医薬品の安全性評価による詳細な検討が必要となります。なお、現在は新動物薬の承認と、残留基準値の作成が別途行われていますが、今後は統一していく方向で検討しております。

(意見24)
 人の食物中における残留動物用医薬品の安全性評価方法の検討が行われるべきであり、アレルギー反応試験【モルモット等】、二年間の毒性安全性試験とテラトロジーの2-3世代の試験が必要である。

 VICHのガイドラインでは、そのような方向で安全性評価を行っています。

(意見25)
 人の食物中における残留動物用医薬品の安全性評価方法の検討には信頼をなくしたNOAEL とADIの値の信頼性回復の考え方が必要である。

 JECFAにおいてもNOAEL(NOEL)やADIを用いた評価が行われており、これらの情報は必要不可欠であると考えています。


4.その他

(意見26)
 害のない医薬品などあり得ないのだから、動物実験で安全性(=危険性)を定める以前に医薬品自体の使用を減らすべきではないか。

 動物の疾病の予防や治療は疾病蔓延の防止等のためにも重要であり、さらに食品の安定供給の観点からも、動物用医薬品は必要であると考えております。

(意見27)
 難しすぎて理解できない。広く国民から意見を集めようとするのならば、私みたいな者もいるという事を考慮し、もうちょっと万人にわかるような書き方をするべきである。

(意見28)
 広く国民等から意見・情報を募集いたしますということで是非コメントをしたいと詳しい内容を読みましたが全く内容がわかりません。
 難しい言葉ばかりで日常聞きなれない内容で、これで国民から意見を求めるということは矛盾しているのではないか?コメントを求める前にもっと一般国民がよんで理解できる内容に改定するべきである。

(意見29)
 資料を見ても私達には分りにくすぎる。もっともっと色んな意見や提案のある人も居ると思うのに、これでは何をどう言ったらいいのかさえ分らない。

 これらの試験ガイドラインは、専門家が試験を実施する際に参考とするガイドラインであり、科学的に正確を期するためには専門用語を使用することが不可避な面があります。可能な限り分かりやすい表現にしたいと思いますが、このような状況についてもご理解いただけますようお願いいたします。

(意見30)
 ペットフードに関しても、日本はフードの内容物に対する規制がほとんど無い。外国で出来ている事なのだから、日本だって出来て当然である。

 今回検討している試験は、ヒトの食用に供する動物に使用する医薬品の残留に関する安全性試験であり、ペットフードに関しては検討しておりません。


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