パブリック・コメント  厚生労働省ホームページ

確定給付企業年金法施行規則案等に寄せられた意見について

平成14年3月5日
厚生労働省年金局
企業年金国民年金基金課

 確定給付企業年金法施行規則案及び厚生年金基金規則等の一部を改正する省令案について、平成13年12月25日から平成14年1月7日までインターネットのホームページ等を通じて御意見を募集したところ、8通の御意見をいただきました。
 お寄せいただいた御意見とそれらに対する当省の考え方につきまして以下のとおり御報告致します。とりまとめの都合上、頂いた御意見は、適宜集約しております。
 なお、パブリックコメントの対象でない事項に関する御質問等も寄せられましたが、パブリックコメントの対象となる事項に限って考え方を示させていただいております。

いただいた御意見と当省の考え方

(1)厚生年金基金からの移行について

 厚生年金基金から移行した場合についても、規約型・基金型の併存が可能であることを明確にすべき。

 厚生年金基金から確定給付企業年金法への移行に係る規定は今回は措置せず、移行に係る規定の施行日(確定給付企業年金法の公布から2年6月以内で政令で定める日)の決定にあわせて措置することとしています。

(2)提出書類の簡素化について

 実施事業所の数が多数の場合、書類の量も膨大なものとなるため、提出書類の簡素化を図るべき。提出する書類の内容が各事業所で同一のもの、例えば、資産管理運用契約や労働協約等を事業所ごとに提出する必要性はなく、主たる事業所のみで足りると考えられる。

 申請に当たって必要とされる添付書類は必要最少限のものとしましたが、労働協約等を事業所ごとに別個に締結している場合にあっては、基本的には各事業所ごとに必要となる資料を提出していただくことになると考えます。

(3)給付減額の手続きについて

 給付減額の手続きについて、加入者の3分の2以上の同意を各実施事業所ごとに得ることが必要とされているが、総合型の企業年金(実施事業所が2以上)の場合は実態にあわないので、「代議員会の同意」で給付減額ができることとされたい。

 受給権保護の観点から、給付の減額には特に慎重な手続が必要であると考えており、現行の厚生年金基金における取扱いと同様のものとしたものです。

(4)再評価率について

 給付の額の再評価等に用いる率としては、「定率」と「国債の利回り」のみが規定されているが、もう少し選択肢を広げるべき。「一定格付け以上の債券の利回り」、「物価上昇率」、「賃金上昇率」も加えるべき。

 給付の額の再評価等に用いる率としては、様々な経済状況において比較的安定したものが望ましいことから「国債の利回り」を用いることができることとしました。また、「国債の利回り」と「定率」を組み合わせることが可能であり、これにより様々な給付設計が可能になると考えます。

(5)加入者等の責めに帰すべき重大な理由について

 加入者又は加入者であった者の責めに帰すべき重大な理由として、「行政官庁に届出を行った就業規則に規定された懲戒解雇事由に該当すること」を加えるべき。

 第31条各号の事由は、一般的な事業所における懲戒解雇に相当するような従業員の責めに帰すべき事由を想定して規定したものです。

(6)老齢給付金の5年経過前の一時金請求手続きについて

 年金として支給する老齢給付金の支給を開始して5年を経過する前に一時金を請求する場合について、第30条各号に掲げる特別な事情があることを証する書類の提出を不要とすべき。適格退職年金においては、こうした書類を提出する必要はなく、また、個人のプライバシーの侵害にもつながりかねない。

 老齢給付金が年金として支給される場合には、基本的には5年間以上支給されるのが原則です。5年が経過する前に一時金の支給を請求する場合は、あくまで例外的な措置であり、適正な運営を担保するためにも、特別な事情があることを証明する書類を事業主等が確認する必要があると考えます。なお、適格退職年金の事例については、支給開始時点で年金か一時金かを選択する場合の取扱いであり、当該選択について確定給付企業年金では、特に必要な添付書類を求めておりません。

(7)掛金の加入者負担の同意について

(1) 加入者が掛金負担する場合の同意については、包括的な労使合意や代議員会の議決などにより、取得することが可能となるよう認めるべき。
(2) 加入者が掛金負担する場合の同意については、掛金負担の増額を含めて包括的な同意とすべき。基礎率の変更により掛金の増額が起こるたびに同意を取ることは、手続面の負荷が大きい。

(1) 企業年金は事業主が掛金を拠出することを基本とする制度であり、加入者負担の掛金については、その税制上の取扱い等も踏まえて、掛金を負担をすることについて加入者一人一人の同意を得る必要があると考えます。

(2) (1)のような趣旨なので、規約を変更して加入者が負担する掛金の額が増加するときは、やはり同意が必要であり、基礎率の変更により掛金が増額した場合であって、その増額分を加入者が負担するための規約変更を行う場合にあっても加入者の同意を得ることが必要であると考えます。

(8)特別掛金の一括償却について

 過去勤務債務の償却に関する選択肢を拡大するため、規則第46条第1項1号について、一括償却も認めるべき。

 過去勤務債務の一括償却については、企業の利益操作を防止するという税制上の観点から認められておりません。過去勤務債務については、最短でも3年で償却するように掛金を算定することとなります。

(9)事業主及び基金の理事の禁止行為について

 施行規則案第86条および第87条において、事業主および基金の理事は、「自己若しくは自己と利害関係のある者が信託会社、生命保険会社、農業協同組合連合会又は投資顧問業者(等)から通常の条件に比し有利な条件による貸付けその他これに類する利益を受けること」が禁止されているが、信託会社あるいは生命保険会社等と異なり、原則として専業規制が課されている投資顧問業者の場合、どのような取引(あるいは行為)が「積立金の管理および運用の適正を害するものとして厚生労働省令で定める行為」(確定給付企業年金法第69条第2項第2号および同第70条第2項第2号)に該当することとなるのか、具体的に例示すべき。

 御指摘の禁止行為については、確定給付企業年金法施行規則において、事業主が特別の利益の提供を受けて契約を締結することを規定することとしたところです。
 なお、特別な利益の提供とは、一般の人や一般の場合と比較して有利な条件で与えられる利益又は一般の人には与えられない特恵的若しくは独占的利益の提供をいい、例えば、金銭の提供、有利な条件による物品等の譲渡、貸付その他信用の供与又は役務の提供等が該当すると考えられます。

(10)業務概況の周知について

 周知事項は、できるだけ簡素なものとするべき。なお、一号に規定する給付設計の内容は、労使合意により既に規約に定められているものであり、毎年変更されるものではないことから、周知事項とする必要性はないと考えられる。

 業務概況の周知に当たっては一般の加入員も理解できる簡潔で分かりやすい内容にすることが適当であると考えます。また、給付の種類ごとの標準的な給付の額及び給付の設計については、加入者が自らに支給される給付の内容を確認するための重要な事項であることから、少なくとも1年に一回周知する必要があると考えます。

 周知方法について、「基金事務所への掲示又は備付け」を加え、周知事項によっては、この方法でよいこととするべき。

 周知が確実に行われることが必要であり、単に事務所に備え付けるだけでは、これに該当しないのではないかと考えます。


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