パブリック・コメント  厚生労働省ホームページ

「疫学研究に関する倫理指針(案)」に対する意見募集の結果概要


○募集期間:平成14年2月8日〜3月7日
○お寄せいただいた意見:55件(のべ172件)


照会先 厚生労働省大臣官房厚生科学課
(代表)03−5253−1111
(直通)03−3595−2171
中垣(内線 3803)原口(内線 3804



 「対応項目」欄、「意見概要」欄及び「意見への考え方」欄における指針の項目の番号については、パブリック・コメントを実施した際の指針案の項目番号によっており、実際に策定されたものとは番号ずれが生じていますので、ご留意下さい。

番号 提出者・番号 対応項目 意見概要 意見への考え方案
(○は指針案の修文に係るもの)
 
大学1−1 全般的意見  インフォームド・コンセントの方法等を4種類に区分したこと、及びこの方法等の8類型の研究に対する当てはめ方については、概ね妥当。 ーーー  
1−2  インフォームド・コンセントの方法等の研究類型に対する当てはめ方については、あくまで原則とすべきであり、細則により一律の条件を課したことは、整合性を欠く。  倫理審査委員会が例外を認めるに当たり、制約を設けるべきでないとのご意見と考えますが、例外を認めるべき場合においても、一定の考え方を示す必要があると考えています。  
大学2 全般的意見  適切な医療提供のためには、プライバシーを守りながら、研究に協力を得ることが必要。疫学研究にこれ以上の規制をかけないようお願いする。 ーーー  
大学3−1 全般的意見  本指針は、熟慮され、極めて適切。 ーーー  
3−2 6、9、10  疫学研究では、対象母集団の性質を損ねることなく研究結果に反映することが重要であり、例えば、有病率等の記述疫学研究では、対象者の選択的脱落を認めることは、研究を無価値なものとする。
 このため、指針案の6細則(3)の「実際上、当該疫学研究を実施し得ないこと」を「当該疫学研究の価値を著しく損ねること」に変更すべきである。
 また、指針案9及び10の「研究対象者となることを拒否できるものとすること」という条件については、研究の性格上、拒否を認めれば研究が無価値となる場合は、倫理審査委員会の判断で拒否を認めない途を開くべきである
 指針案6細則(3)については、ご意見を踏まえ、次のように改めます。
 (3) 当該方法によらなければ、実際上当該疫学研究を実施できず、又は当該疫学研究の価値を著しく損ねること。
 指針案9及び10については、別に匿名化して資料を提供する途が開かれており、例示された有病率の記述疫学においては、支障は生じないと考えられますが、10については、指針案6との均衡に配慮して修文します。
地方公共団体
1−1
3(1)(3)、4(4)  研究の実施は研究者の自由であり、所属する研究機関の長の許可が必要であると国が定めることは、学問の自由に抵触する。  研究機関に所属する職員は、当該機関の業務として研究に従事するものであり、たとえば事故が発生した場合には、当該機関が責任を負います。したがって、学問の自由の下でも、個々の研究者が責任を負うだけでなく、研究機関としても責任を持って実施するため、研究機関の長の許可を得ることが適当であると考えられます。
 なお、例えば民間研究機関に所属する研究者等が、休日に、職務として行うのでなく個人的に研究を行う場合についてまで、機関の長の許可を求めているものではありません。
 
地方公共団体
1−2
5(3)(1)  研究期間が1年を超える場合に研究実施報告書を提出しなければならないのは煩雑であり、3年程度として欲しい。  ご意見を踏まえ、指針案5(3)(1)中「研究期間が1年を超える」を「研究期間が数年にわたる」に改めるとともに、次の細則を追加します。
 <細則>
 研究実施報告書の提出時期については、研究計画書に記載して倫理審査委員会が承認する。この時期については、例えば3年ごとを一つの目安とすべきである。

(注) 細則の研究実施報告書の提出時期については、「国の研究開発評価に関する大綱的指針」(平成13年11月28日内閣総理大臣決定)において、研究開発課題の中間評価が例えば3年程度を一つの目安として定期的に実施する ものとされていることを参考とした。

大学4  この規定を遵守しつつ、新薬や医療用具の臨床テストを行うには、商業ベースとなっていなければ困難。  指針案の「2 本指針の適用範囲」のとおり、本指針案は、ご意見のような臨床テストには適用されません。  
地方公共団体2 参考資料への意見  参考資料に関して、実施主体が、任意に資料提供を行う機関の行為を代行することや、実施主体が意見聴取を行う組織に付議することは、適当でない。  指針案の12(1)細則2のとおり、本指針案は、がん登録事業には適用されませんが、この参考資料では、がん登録事業に指針案の全部又は一部を準用する場合の基本的考え方を整理しています。
 そして、準用に当たっては、(1)資料提供を行う全ての機関に倫理審査委員会の設置・付議を求めることは現実的でないこと、(2)実施主体が地方公共団体であり、計画の意見聴取に当たる組織も公的組織であること などにより、実施主体から、実施主体が意見を聴取する組織に付議するものとしています。
 
大学5ー1 全般的意見  大綱に関して賛成。 ーーー  
大学5−2 5(3)(1)  追跡調査の場合は長期間を要し、実施報告が負担となるため、報告の期間を長くして欲しい。 (4の意見の2問目と同じ。)  
大学6−1 全般的意見  基本的に適当な内容であり、あいまいとなっていたインフォームド・コンセントについて一定の指針が盛り込まれたことは重要。 ーーー  
大学6−2  「予防及び治療を目的とする研究」を対象としつつ、「医学的介入を伴う介入研究」を対象としないのは矛盾しないか。また、EBMの根拠を提供する「臨床疫学研究」にも適用しないのか。  本指針案では、法的規制が講じられている治験を適用対象から除くとともに、研究であると同時に診療でもある臨床研究については、そのあり方について別途の検討が必要と考えられるため、適用対象から除外しています。  
大学6−3 5(3)(1)  研究の実施について、所属機関の長の許可を必要としているが、学問の自由との関係をどう考えるのか。 (4の意見の1問目と同じ。)  
大学6−4 全般的意見  倫理審査委員会が標準的な尺度を持って審査できるよう、事例集などを示して欲しい。 ーーー  
大学7−1 全般的意見  基本的に賛成。
 厳しい規制だが、許容範囲内である。
 これ以上厳しいと、疫学研究の遂行が困難になり、若い研究者の疫学離れも引き起こしかねない。
ーーー  
大学7−2 5(3)(1)  研究途中の報告については、5年ごと又は3年ごと程度とするのが適当。 (4の意見の2問目と同じ。)  
10 国立研究所1 全般的意見  レセプトの情報を研究その他に有効に活用していくため、レセプトの活用について細則を設けるべきである。 ーーー  
11 大学8  研究対象者本人からインフォームド・コンセントを受けることが困難な場合の基準、及び代諾者の基準をさらに明確にすべきである。  研究対象者本人からインフォームド・コンセントを受けることが困難な場合について、基本的な事例は示していますが、全ての事例を示すことはできず、解釈に委ねざるを得ないと考えています。  
12 団体1ー1 10  他の機関等に資料を提供する場合の措置について、次の点を踏まえ修正されたい。

(1) この規定は、研究に利用するための提供に限定されず、資料の提供について幅広く規定しているようにもみえる。
 また、研究に利用する場合には、研究者等の説明に基づき、提供者が提供の適否を判断する必要があり、提供者側に既定の条件がある場合、指針案6の精神に反しない限り、これが尊重されるべきであるが、こうしたことが明らかでない。
(2) 資料の提供を受けて行われる疫学研究には、いくつかの類型があり、類型によって提供者側や提供を受ける側の対応を変える必要があり、一概に規定できないので、提供者側において研究対象者の同意を 得ることを原則とし、これが困難な場合は、指針案6に準じ、倫理審査委員会が判断するものとする。
(3) 資料の提供については、必ず倫理審査委員会の判を経るべきである。
 したがって、匿名化して提供する場合についても、提供側の倫理審査委員会が提供に当たっての条件を審査すべきである。ただし、多施設共同調査の場合、研究代表者が一括て適切な倫理審査委員会に審査を 付託できるものとする。
 このようにできないとしても、少なくとも、研究計画書に明示して研究機関の倫理審査委員会の承認を得るべきである。
(4) 長期にわたるコホート研究における提供資料は、既存資料に該当しないが、その提供手続きを明らか にする
(5) 全数調査を要する場合は、匿名化した情報を提供できるようにする。
(6) 「既存資料の提供のみを行う者」及び「第三者」の意味を明確にする。

 

 

(1)、(2) ご意見を踏まえ、指針案6との均衡にも配慮して修文します。
(3) 疫学研究では、数多くの機関から既存資料の提供を受ける必要のある研究もあるため、匿名化して当該資料を提供する場合までは、倫理審査委員会に付議し審査を受ける必要はないこととしています。ご意見を踏まえ、研究計画書に資料の提供に関する事項の記述を求めることとします。
 また、本項では、資料を提供する立場からの判断のために倫理審査委員会への付議を求めていますので、原則的に提供する機関の倫理審査委員会に付議する必要がありますが、この場合にも、倫理審査委員会の設置が困難であれば、他の機関の倫理審査委員会に付議できる旨を明記します。
(4) 既存資料の定義を改め、収集の時点においては研究に用いることを目的とせずに収集した資料についても、既存試料と同じ扱いをするものとします。
(5) 指針案の10(1)の規定により、匿名化した情報であれば、提供できます。
(6) 「既存資料の提供のみを行う者」については、記述を改め、「第三者」についても、「所属機関外の者」に改めます。

 

 




 

 

 

 

 

 


 

 

団体1−2 前文、1  個人情報保護法案の適用除外規定との関係を明確にするため、指針の前文及び1(目的)に、公衆衛生の向上の文言を追加すべきである。  用語に関わるご意見については、告示制定に際して検討させていただきます。  
団体1−3 全般的意見  6ただし書及び細則に定められたインフォームド・コンセントの緩和等の取扱は、疫学研究を実施するために欠くことのできない事項である。 ーーー  
団体1−4 参考資料への賛成意見  がん登録事業について、現状では、個別にインフォームド・コンセントを取得することは困難である。
 また、関連する医療施設が多数に上るため、倫理審査委員会での審査は、一括して実施することが適当。
ーーー  
13 大学9−1 全般的意見  疫学研究に関する倫理指針を定めることにより、医学的個人情報の適正な利活用を進めることは基本的に賛成。
 適切なガイドラインと研究者らの良識により、個人情報の保護と研究の自由、研究成果の公益利用が可能となる思われる。
ーーー  
大学9−2 全般的意見  研究方法の選択肢の制約につながる倫理指針の策定だけでなく、例えば米国のResDACのような行政統計データの研究利用を促進する体制の整備が不可欠である。 ーーー  
14 団体2ー1 全般的意見  指針案6及びその細則(1)〜(4)は、がん登録事業により利用可能な精度のがん統計を得る上で必須のものであり、支持する。 ーーー  
団体2−2 全般的意見  我が国でのがん登録の基盤整備のため、法制化の現実的な方策に向け努力願う。 ーーー  
15 大学10−1 5(3)(1)  短くても3年以上の期間を要する疫学調査研究について、1年ごとに研究実績報告を求めることは、現実的でない。 (4の意見の2問目と同じ。)  
大学10−2 6、12(1)  がん登録や脳卒中登録に本指針を適用することは難しい。生体資料採取を伴う疫学研究と、アンケート調査や、あるいは発病、死亡等の出来事の報告のみを求める調査については、分離して検討すべき。  ご指摘の事情があることから、本指針案6では、疫学研究を8つの類型に分けてインフォームド・コンセントを受ける手続等の原則を規定しており、人体から採取された資料を用いない場合については、概ね手続き等を軽減しています。
 また、がん登録や脳卒中登録については、指針案12(1)細則2のとおり、本指針案は適用されません。
 
16 大学11−1 全般的意見  倫理指針案については、基本的に賛成である。 ーーー  
大学11−2 5(3)(1)  疫学研究では資料収集に2〜3年を費やすことも稀でなく、目的とする結果を把握するまで10年単位で追跡を行い、その間、ほとんど「待ち」の状態の場合もある。このため、観察的な疫学研究の報告は、5年程度の期間を置くことが適当。 (4の意見の2問目と同じ。)  
17 大学12  指針の目的において、疫学研究の重要性、学問の自由、人間の尊重、人権の尊重などの要因のバランスをとるため、憲法で定められている公共の福祉という言葉を入れた方がよい。  用語に関わるご意見については、告示制定に際して検討させていただきます。  
18 大学13−1 全般的意見  大筋で合意する。 ーーー  
大学13−2  代諾者によるインフォームド・コンセントが認められる場合として、大集団を対象とする観察研究等で、個々の対象者本人からインフォームド・コンセントを受ける必要がある場合を追加すべきである。  本指針案では、観察研究であって人体から採取された資料を用いるものについては、個々の研究対象者からインフォームド・コンセントを受けることを原則としています。
 こうした研究においては、資料採取のために個々の研究対象者に接することとなりますので、基本的に、個々にインフォームド・コンセントを受けることが可能であると考えられます。
 また、研究の方法、内容等によりこれによることができない場合は、指針案6ただし書により、他の適切な方法を選択する途が開かれています。
 
大学13−3 12(1)  細則2の「産業医又は学校医がその業務の範囲内で」について、業務の範囲を明確にするため、「産業医又は学校医が、法令に基づくその業務の範囲内で」と改めるべきである。  ご指摘の通り修文します。
19 団体3−1 前文、1  前文の「研究対象者の尊厳」を「研究対象者の人間(又は個人)」としての尊厳とすべき。
 また、1の「人間の尊厳」についても表現を統一すべき
 ご意見を踏まえ、「個人の尊厳」を用いることとします。
団体3−2   (その他用語に関する意見)  その他用語に関するご意見については、告示制定に際し検討させていただきます。  
団体3−3 5(1)(1)  倫理審査委員会の意見については、公開すべき議事要旨で明確にされることから、事務が繁雑とならないよう、文書によらないことを認めるべきである。  倫理審査委員会の意見は、これを尊重して研究の実施等について許可又は不許可を決定する立場にある研究機関の長に正確に伝えられる必要があることから、様式や手続きは問いませんが、文書で示される必要があると考えます。  
団体3−4 5(1)(2)  単一のテーマのために倫理審査委員会が置かれる場合や、健常者や地域を対象とした疫学研究の場合は、一般の立場を代表する者より、研究対象者の立場を代表する者を含むべきである。  倫理審査委員会は、一般にはさまざまな疫学研究の審査を担当するものと考えられるため、構成員として一般の立場を代表する者の参加を求めています。  
団体3−5 10  指針案6と同様に、既存資料の提供のみを行う者が同意を受ける手続きを規定すべきである。  ご意見を踏まえ、記録の作成を要する旨を記載します。
団体3−6 6(1)(2)
イ、
6(2)(2)
 情報公開の手段、方法等について明らかにすべきである。  第5回専門委員会の参考資料6において、インフォームド・コンセント等の具体的方法について具体的に示したところです。  
団体3−7 9(1)  個人情報だけでなく、研究資料そのものについても、混交等が起こらないように管理しなければならないと規定べきである。  研究対象者の権利の保護の観点から、特に個人情報について、漏泄、混交等が起こらないように管理しなければならないと規定しています。
 これ以外の研究資料についても、混交等が起こらないように管理すべきですが、これは、研究内容を事後的に明らかにすることが目的ですので、研究者が自主的に対応すべき事柄であると考えます。
 
団体3−8 9(2)(1)、10(1)  単なる匿名化の場合、研究者が対照表等を用いて個人を特定する可能性があるので、連結不可能匿名化と改めるべきではないか。  これらの規定では、資料は研究者等が研究に利用する前に匿名化することを求めているため、研究者が対照表等を用いて個人を特定することはありません。
 なお、連結不可能匿名化とは、資料提供者においても個人を特定できない場合を指します。
 
団体3−9 9(2)、10(2)  倫理審査委員会の承認を得ることとされている事項が、いずれも客観的事実であり、倫理審査委員会に付議する必要性に乏しい。むしろ、研究対象者に不利益を与えないこと等を審議すべきではないか。  研究対象者に不利益を与えないと考えられる要件を定めた上で、その該当性を倫理審査委員会が確認することとしたものです。  
団体3−10 10  匿名化されていることについて倫理審査委員会の承認を要しないこととされているが、9(2)と記述を統一すべきである。  指針案9(2)は、研究者等の責務であり、研究責任者が研究計画書について倫理審査委員会の審査を受けるので、研究計画書に、研究開始前に人体から採取された資料を研究に用いる旨を記載して審査を受ければ良く、特に負担とはなりません。
 これに対し 既存資料の提供のみを行う者は、研究計画書について倫理審査委員会の審査を受けないことから、過大な負担を課すこととならないよう、匿名化して提供する旨を倫理審査委員会に付議し審査を受ける必要はないこととしました。
 
団体3−11 10  既存資料の提供を行う機関には、倫理審査委員会の設置及び付議を義務づけるべきである。  研究機関でない機関が資料を提供する場合について、倫理審査委員会の設置を義務づけることは困難ですが、倫理審査委員会への付議については、指針案4(2)や5(2)(3)などにより、できる限り容易に行うことができるよう配慮しています。  
団体3−12 10  疫学研究のために資料を提供する場合だけでなく、疫学研究の研究責任者が疫学研究以外の研究のために資料を提供する場合についても規定することとし、その要件を定めるべきである。  本指針案は、疫学研究の適正な実施を目的とするものであるため、疫学研究のために資料を提供する場合だけを規定することとします。  
団体3−13 10  本指針案では、研究計画が策定された後に資料を収集し提供する者で研究者等に該当しないものについて規定していないのではないか。  既存資料の定義を改め、本項を適用することとします。
20 団体4ー1  細則の表中「カルテ」を「診療録」に、「カロリー摂取量」を「エネルギー摂取量」に、それぞれ改めることが適当。  ご意見の通り改めます。
団体4ー2 3(1)(3)  研究の実施に当たり機関長の許可を要することとすることについては、私的機関では研究の自由が阻害されるおそれがあるため、再検討願う。 (2の意見の1問目と同じ。)  
団体4ー3 10  他の機関に資料提供を依頼する場合に関して、指針案6に準じて研究機関の倫理審査委員会で研究計画の承認を得た疫学研究については、既存資料は提供できることとすべきである。  ご意見を踏まえ、指針案6との均衡に配慮して修文します。
 なお、(以下、12の意見の1問目(3)と同じ。)
団体4ー4 全般的意見  指針の施行に当たっては、現状の大学・施設・関連学会の倫理審査委員会で対応可能か、確認願いたい。 ーーー  
21 大学14−1 全般的意見  日本全体にわたる研究もあり、研究機関内に設置される倫理審査委員会の審査には限界もあるので、複数の共同究機関や学会等の倫理審査委員会の積極的活用を推奨すべきである。
 また、倫理審査委員会の負担が大きいため、委員への報酬(財源確保)、委員の資質の向上、委員会のレベルのチェックなどを検討願う。
ーーー  
大学14−2  最小限の危険を超える危険や広報、情報公開の方法について、具体的な例示を望む。  最小限度の危険について、指針案6細則(1)中「最小限の危険」の次に「(日常生活や日常的な医学的検査で被る身体的、心理的、社会的危害の可能性の限度を超えない危険をいう。ただし、社会的に許容されない種類の危険は含まない。)」を加えます。
 また、第5回専門委員会の参考資料6において、インフォームド・コンセント等の具体的方法について具体的に示しています。
大学14−3 5(3)(1)  研究期間が1年を超える場合の研究実施報告について、3〜5年に1度、又は倫理審査委員会の審査の際に研究に応じて定めることとすべきである。 (4の意見の2問目と同じ。)  
大学14−3 10  10の例外規定は、概ね6よりも厳格であるが、6に準じて改めるとともに、資料提供依頼機関の倫理審査委員会の審査で足りるものとすべきである。 (20の意見の3問目と同じ。)  
22 大学15−1 全般的意見  これ以上厳しい規制がかかると、疫学研究の実施が事実上困難になり、支障を来す可能性が大きい。
 厳しい規制だが、許容範囲内である。
ーーー  
大学15−2 5(3)(1)  研究期間が1年を超える場合に研究実施報告書を提出しなければならないのは煩雑であり、3〜5年に1回程度として欲しい。 (4の意見の2問目と同じ。)  
23 大学16 2、12(1)  本指針が、地域における保健事業によって得られるデータの集計、分析、評価等を妨げるものであってはならず、保健事業を目的とする限り、疫学的手法を用いても、対象外であることを、より明確に示すべき。  本指針案では、ご意見の点を明確にするため、細則の表により具体例を示しています。  
24 地方公共団体3 5(3)(1)  調査研究の報告について、たとえば3年に1回程度の報告が妥当である。 (4の意見の2問目と同じ。)  
25 大学17 4(4)  原因は不明であるものの食中毒、感染症、環境汚染などで急激に患者の数が増加し早急な対応が必要な場合、本指針では身動きがとれない。  指針案4(4)細則において、ご意見の場合における対応について規定しています。
 また、法律の規定に基づいて行われる調査については、指針案2(1)により、本指針は適用されません。
 
26 大学18    「最小限の危険」「研究対象者の不利益」「インフォームド・コンセント」の用語や、6(1)(1)イ並びに(2)ア及びイについて、記述を明確にするため訂正すべきである。  最小限の危険について、指針案6細則(1)中「最小限の危険」の次に「(日常生活や日常的な医学的検査で被る身体的、心理的、社会的危害の可能性の限度を超えない危険をいう。ただし、社会的に許容されない種類の危険は含まない。)」を加えます。
 また、インフォームド・コンセントについては、指針案12(13)に規定しています。
 その他、用語に関わるご意見については、告示制定に際して検討させていただきます。
27 地方公共団体4  医療と公衆衛生は、一体となって国民に奉仕するものであり、Evidence based health policy を医療に反映していくため、臨床医学と狭義の疫学・公衆衛生とが、これまで以上に緊密に連携を持つべきである。
 疫学研究の指針が他の医学研究の指針と別に作成されることの有用性及び必要性が十分理解できない。
(8の意見の2問目と同じ。)  
   適用範囲が、次のような場合について明確でない。
(1) 1例の症例報告や2例以上の症例報告は、研究に該当するのか。
(2) 医療、医学研究、臨床研究、臨床疫学研究、疫学研究などの概念、範囲、関係が十分に明らかでない。
(3) 医療機関内で治療方法を検討することは対象外のようだが、疾病の成因や治療への反応性を検討する場合はどうか。
(4) 多施設が協力して疾病の治療方法を検討するために多施設の情報を収集・集計する場合はどうか。
 本指針案は、前文で示したとおり、基本的な原則を示すに止めており、倫理審査委員会がこの原則を踏まえつつ、個々の研究内容に応じて適切に判断するものとして策定しております。
 適用範囲については、細則に表で事例を示すなど、できる限り明らかにするよう配慮しておりますので、これらに基づき適切に判断いただきたいと考えます。
 ご質問の事項に即して言えば、
(1)及び(3)については、細則の表の(診療と研究)の右欄の2つ目の・に該当し、指針の対象外、
(4)については、保健事業や、診療の一環として行われるものではないと思われますので、指針の対象と考えられます。
 
28 大学19 全般的意見  法医学教室では、司法解剖に際し鑑定事項の検査のため、資料を採取し、検査後も保管する。
 これを法医学の研究に使用することがある。この場合、生前に本人の意思を確認することはできず、家族との接触も、鑑定に支障を生じたり圧力を受ける等の問題がないよう、避けることが妥当とも考えられる。
 法医解剖に対応する内容が検討されれば幸いである。
 法医学の分野における医学研究については、必ずしも本指針の適用対象とはならないと考えられますが、疫学研究に該当するケースにおいては、指針案9のただし書が適用され、匿名化するか、又は情報を公開するとともに研究対象者となることを拒否できるものとして実施されることが適当と考えます。
 なお、本指針の適用がない研究に関しても、本指針を一つの参考としていただければ幸いです。
 
29 国立試験研究機関
2ー1
9、10  9及び10の例外規定にいては、6と同じ要件とすべきである。  既存の人体由来資料の利用については、これらが貴重な研究資料であることや、別途新たに人体から採取することの適否との均衡に配慮し、指針案9では、指針案6と異なる要件を定めています。
 指針案10については、ご意見を踏まえ、指針案6との均衡に配慮して修文します。
国立試験研究機関
2ー2
10  資料提供のみを行う機関においては、次の理由から、倫理審査委員会の承認を必ずしも要しないものとすべきである。
(1) 倫理審査委員会を設置しない小規模の機関から資料提供を受けられなくなるおそれがある。
(2) 少数の倫理審査委員会が承認しないため、情報の悉皆性が失われ、研究遂行が阻害されるおそれがある。
(3) 共同研究機関でない協力機関について、倫理審査委員会の承認を要件とする必要性はないのではないか。
 既存資料の提供のみを行う機関は、共同研究機関ではありませんが、資料の管理に責任を負う機関として、問題のある研究に資料を提供することのないよう、独自に資料提供に係る研究の適否を判断する必要があると考えられます。
 このため、資料提供についても、匿名化されていないものは倫理審査委員会に付議することを要件としています。なお、この場合において、倫理審査委員会の設置が困難であれば、他の機関の倫理審査委員会に付議できる旨を明記します。
国立試験研究機関
2ー3
5(1)(2)  疫学研究を科学的観点から審査するためには、医学・医療の専門家では不十分であり、疫学の専門家が倫理審査委員に含まれることを必須要件とすべきである。  当該規定については、疫学研究の審査を担当する全ての倫理審査委員会に遵守を求める要件であるため、最小限の内容を定めており、各研究機関において適切に選任いただきたいと考えます。
 なお、指針案5(2)(1)のとおり、必要に応じて委員以外の者が出席することも認められます。
 
30 大学20−1  対象者の身体の状態や周囲の環境等に関する各種情報を扱うのは医学研究で普通に見られることであり、医学研究の中で疫学研究のみを対象とした指針が策定される理由が理解できない。まず臨床研究から倫理面を考えるべきである。 (8の意見の2問目と同じ。)  
大学20−2 12(13)  インフォームド・コンセントに関して、研究対象者が理解したことを確認することは至難の業でほぼ不可能といっても過言ではない。
 本指針では、定義通り研究対象者が理解した上でのインフォームド・コンセントを求めているのか、あるいは説明してサインをもらえばよいと考えているのか。
 本指針では、インフォームド・コンセントの定義のとおり、研究対象者が理解した上で自由意思により同意することを必要としています。
 もとより、インフォームド・コンセントを受けるための説明に当たっては、必ずしも個別に面接する必要はなく、説明会を開催したり、十分な内容の説明文書を作成しこれを郵送することにより行うことも考えられますが、例えば、研究対象者が理解できていない様子が伺われたり、その旨の申し出があった場合は、理解が得られるようさらに説明を行う必要があります。
 
大学20−3  インフォームド・コンセントが定義されている以上、インフォームド・コンセントに厳しいものや緩いものはないので、「適切なインフォームド・コンセント」という表現はおかしい。インフォームド・コンセントを要するか要しないか、どちらかである。  ご意見のか所は、インフォームド・コンセントや、情報公開の上で研究対象者となることを拒否できるものとすることなどについて、適切な方法を選択することができることを定めています。  
大学20−4 9(2)  同意を受けることができない場合の措置が規定されているが、同意を受けるためのどこまでの努力が必要とされているのか。  個人情報保護法案第21条第3項第3号におけるものと同程度と考えており、本人の行方が分からない場合や、同意を得ようとすることが合理性を欠く程度に負担が大きい場合に、同意を得ることが困難とされるものと考えられます。  
大学20−5 15  現在継続中の研究は、この指針の対象となるのか。  指針案15の細則に示したとおり、対象となりません。  
大学20−6 12(1)  細則1に、健康に関する情報を縦覧し知見を得る行為は、本指針でいう科学研究に該当しないとあるが、その知見を学会等で発表すると該当するのか。  本指針案では、主に今後の診療に反映させるために知見を得る行為について、診療の一環と整理し科学研究に該当しないとしたものです。そこで、知見が得られた後、学会等で発表するのであれば、そのための準備や発表する行為は科学研究に該当すると考えられますが、その際に改めて疫学研究に該当する行為を行うのでなければ、本指針は適用されないこととなります。  
大学20−7 6(1)(2)  細則1で、集計に当たっての母集団に加えることができるとは、どういう意味か。  個人情報は収集できないが、集計に当たり、研究対象となることを拒否した者の人数を総数に加えたり、拒否した者の割合を算出することができるということです。  
31 大学21 9、10  法医学の分野で行われる死因究明と関わる部分での疫学研究(研究開始前に人体から採取された血液や尿などの資料を用いる研究も少なくない。)について、匿名データ化して利用することとなれば、突然死に関わる研究などが大きく制限される。
 死因と関わりない研究については、同意を得る必要があると考える。
 ご意見の疫学研究については、研究開始前に人体から採取された血液や尿などの資料を用いるのであれば指針案9の規定により、また他の機関から資料の提供を受けて行うので指針案あれば10の規定により、
(1)遺族から同意を得るか、
(2)資料を匿名化するか、
(3)研究の実施について情報を公開し、遺族が拒否できるものとする(ただし、積極的に遺族に情報提供することまでは、求めていません。)
ものとしています。
 社会的に有意義な研究であり、資料の性格上遺族から同意を得ることが困難であるとしても、人体から採取された資料を用いる研究であれば、匿名化するか、又は研究の実施について情報を公開し、遺族が拒否を申し出た場合にはこれを受け入れる必要があると考えております。
 なお、法律に基づく司法解剖、行政解剖等には、もとより本指針の適用はありません。
 
32 大学22 12(2)  「健康に影響を与えると考えられる作為又は不作為」
→「健康に影響を与えると考えられる要因に関する作為又は不作為」と改めるべきである。
 ご意見の通り改めます。
33 地方公共団体5 2(2)  連結不可能匿名化された人体由来試料を用いる研究には本指針を適用すべきであるが、指針案2(2)の「データ」に人体由来試料が含まれるかどうか明確でないので、明記すべきである。  本指針案12(4)に示したとおり、本指針案では、研究資料を「人の体の一部」及び「人の健康に関する情報」に区分しており、指針案2(2)で適用除外とした研究には、人の体の一部を資料として用いる研究は含みません。
 なお、用語の統一のため、指針案2(2)の「データ」を「情報」に改める等修正します。
   細則の表に関し、ある疾病の治療方法を検討する目的で、多施設が共同して収集した診療に係る情報を取りまとめて集計結果を報告する場合、本指針は適用されるのか。
 また、がん検診の精度管理事業として、地域がん登録の資料と照合して、偽陰性者数を把握し、検診の特異度を評価するとともに、偽陰性者の検診結果などを見直して、偽陰性となった原因を把握し、精度向上に努める作業は、保健事業として本指針の適用外となるのか。
 がん検診の精度管理事業は、保健事業の一環として行われる限り、本指針は適用されません。
 また、多施設共同研究については、法律の規定に基づく調査や、保健事業として行われるものでない限り、本指針が適用され、指針案10の規定に基づいて行われる必要があります。
 
   細則の表の「連結不可能匿名化されているデータ」の項で「患者調査と国民栄養調査」とあるが、これが集計値のみを指すのであれば、例として適切でない。  本項では、連結不可能匿名化されたデータのみを用いる疫学研究の典型例として、公的調査の集計結果を組み合わせて行う疫学研究を例示しています。  
  4(3)  科学的、倫理的に適正な研究の実施には、管理・指導する組織的体制が不可欠であり、研究機関に所属しない研究者については、一層厳しい倫理的手続きが必要であるので、細則は削除すべきである。  本指針案は、研究機関に所属しない研究者についても適用され、インフォームドコンセントなどについて、研究機関に所属する研究者と同様の対応を求めています。ただし、研究機関に所属しないことにより、適用することができない事項については、適用を除外しています。  
   細則について、次の事項を加えるべきである。
(6) その資料を用いることなくしては行い得ない研究 等であること。
(7) 不適切な利用、開示、漏洩から情報を保護する十分な対策がなされていること。
(8) 当該研究等の目的上個人識別情報を保持する合理的理由がなくなった場合には、できるだけ早い時期 に入手した資料を匿名かつ連結不可能なものにすること。
(9) その資料を別の目的で利用しないこと及び第三者に提供しないことを誓約すること。
 細則の項目については、疫学研究全体に求められる事項ではないか、指針案の他の項目との関係などを検討し、案の通りとしています。
 また、(8)に関しては、疫学研究のために収集された資料は、他の研究のためにも貴重な資料となり得るという一面があり、一概に連結不可能匿名化すべきであるとは言えないと考えています。
 
  6(2)(2)  アで「研究計画立案時以後に収集した収集した資料を用いる観察研究」について規定しているが、当該資料が研究以外の目的で収集され、提供される場合については、指針案10に準じて取り扱うこととし、別項を設けるべきである。  既存資料の定義を改め、指針案10を適用することとします。
  10  個人情報保護の観点からは、(2)について、疫学研究の実施だけでなく資料を提供することについても情報提供すること等が必要である。ただし、これは資料提供者に過大な負担を課し、資料提供を阻害する可能性が高い。
 また、匿名化された資料の提供についても、提供機関の長が把握し管理すべきである。
 したがって、研究以外の目的で収集された資料の提供は、所属機関の長の判断により行うものとすべきである。
 ご意見の趣旨を踏まえ、指針案10について、指針案6との均衡に配慮して修文します。
 なお、(2)について、資料を提供することについても情報公開するものとします。
34 (匿名希望) 12(6)  研究において、データを連結することは重要である。
 連結不可能匿名化という語は、個人識別不可能な形での連結を含めて、データの連結を否定的に捉える風潮を生むおそれがあり、用語が適当でない。
 連結不可能匿名化という用語は、「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」においても用いており、整合をとるため、本指針では、この用語を用いることとします。  
35 医療機関1    役割を果たさない、又は科学的妥当性を欠く結果が医学の発展や国民の健康の保持増進に害をなした研究もこれまでに多くなされ、現在も行われている。
 前文に、こうした問題について記述するなど、修文すべきである。(修文意見多数)
 本倫理指針については、国民の健康の保持増進を図る上での疫学研究の重要性やと学問の自由を踏まえて、人権の尊重等の倫理的観点及び科学的観点から、策定します。
 また、疫学研究に多様な形態があることに配慮して、基本的な原則を示すに止めており、本指針に基づき研究者等が主体的に判断し対応されることが必要と考えます。
 
36 大学23−1 全般的意見  ガイドライン案作成の意義には、賛同します。 ーーー  
大学23−2  厚生労働省と文部科学省の合同指針という性格であれば、両省の研究費に係る疫学研究や、所管機関が実施する研究を対象とすることが妥当であり、あらゆる疫学研究について遵守されるべきであるとは言えないのではないか。  この指針は、指針案2の冒頭に規定するとおり、全ての「人の疾病の成因及び病態の解明、予防及び治療の方法の確立を目的とする疫学研究」を対象としており、これは両省が所管する範囲にあると考えられます。  
37 国立機関1  指針の策定は、あくまで学会主導で行われることが望ましく、行政機関が科学研究の手法・方法にまで何らかの束力を及ぼそうとする行為は、本来の行政機関の行為を逸脱しており、不適切である。行政が補助金を出す研究に限定することが望ましい。  本指針については、個人情報保護の動向等を踏まえ、学会関係者とも緊密に連携しながら検討してきたものです。
 また、本指針の策定に当たっては、本指針が対象とする疫学研究の実施に関わる全ての関係者に従っていただくことを前提に検討していますが、特に、
(1) 厚生労働省や文部科学省の所管する研究機関においては、遵守を求めるとともに、
(2) 両省の研究助成に係る研究については、助成の要件とする予定です。
 
   倫理審査委員会の審査について、不服審査の規定を設けるべきである。  各倫理審査委員会等の判断で、必要に応じ、指針案5(2)(2)に規定する運営に関する規則の一つとして策定いただきたいと考えます。  
  5(3)(1)  小規模の疫学研究であも3年くらいを要することは多く、毎年の報告は、研究者にとっても、倫理審査委員会にとっても煩雑であるため、3〜5年を超える研究について、研究実施報告書の提出を義務付けることとすべきである。 (4の意見の2問目と同じ。)  
38 大学24−1 全般的意見  これ以上厳しい規定を設けると、必要な研究が実施されにくくなり、社会や個人に不利益が生じてくる可能性が大きくなると感じる。
 全体として、個人情報保護の重要性と疫学研究の公益性のバランスを取った妥当な指針と思う。
ーーー  
大学24−2 全般的意見  質の高い倫理審査を実施するため、倫理審査委員が踏まえるべき事項を研修・学習できるプログラムの検討が必要。 ーーー  
大学24−3 6(1)(2)、
(2)(2)
 情報についても資料とされているので、疾病名、検査結果などを含む全ての資料が「人体から採取された資料」となるのではないか。
 こうした点を明確にされることを願う。
 ご指摘を踏まえ、用語を改めます。
大学24−4  「最小限の危険」や「資料の採取に侵襲性を有する」について、例示をお願いしたい。  最小限の危険について、指針案6細則(1)中「最小限の危険」の次に「(日常生活や日常的な医学的検査で被る身体的、心理的、社会的危害の可能性の限度を超えない危険をいう。ただし、社会的に許容されない種類の危険は含まない。)」を加えます。
 また、採血については、明らかに侵襲性を有すると考えられますので、指針案6(1)(1)アについて、次のように改めます。
 ア 資料の採取が侵襲性を有する場合(採血の場合など。以下同じ。)
39 団体5ー1  本法人では、医薬品の安全性をモニターするため、ある薬剤を処方された患者群と比較対照の薬剤を処方された者群を対比するコホート研究を実施しており、その状況から推量すると、収集するデータが匿名化されている場合には、インフォームド・コンセントを受ける手続きが緩和できることが必要である。  本指針においては、必要があれば、指針案6ただし書において、インフォームド・コンセントを受ける手続きを緩和することができる途を開いています。
 なお、ご指摘の研究については、指針案2(3)の「投薬等の医療行為を伴う介入研究」であれば、本指針の適用はありません。また、投薬後、患者と直接接することなく研究するものであれば、指針案6(2)(2)に該当すると思われます。
 
40 地方公共団体6 4(2)  保健所等の小規模な機関では、倫理審査委員会の設置は難しい。本指針案のように共同研究機関、公益法人、学会等に設置された倫理審査委員会に審査を依頼することも一案であるが、実施には研究機関全職員のコンセンサスが必要であり、このことに関して規定されることを望む。  倫理審査委員会の設置が困難な場合に、研究機関の全職員の同意により実施される方法を提案されているものと考えます。 しかし、倫理審査委員会については、多角的な視点から審査を行うため、一般の立場を代表する者や外部委員を含めて構成されるもの(指針案5(1)(2))ですので、研究機関に属する職員の同意を代替措置と呼ぶことは難しいと考えます。  
41 団体6 参考資料への意見  がん登録事業を進める上では、届出精度の向上が最も重要であり、本指針案のインフォームド・コンセント等の原則をそのまま適用すると、届出精度が大きく落ちるため、参考資料通りの配慮を願う。 ーーー  
42 大学25−1 5(3)(1)  疫学研究には10年以上の長期にわたり続けられるものが多く、毎年の報告は現実的でない。 (4の意見の2問目と同じ。)  
大学25−2 参考資料への意見  参考資料ががん登録事業に限定された理由は何か。成人病管理のため行われている他の登録事業についても、対象とすべきである。  いわゆるがん登録事業については、本指針は適用されませんが、検討過程で特にがん登録事業と本指針との関係が議論となったことから、実施主体の判断で本指針の一部を準用する場合の取扱を整理したものです。
 保健事業として実施される他の登録事業についても、本指針の全部又は一部を準用することが考えられますが、実施主体において、事業実態に即し適切に判断いただきたいと考えます。
 
43 大学26  細則の表に関し、保健事業は市町村の条例等に基づくものが多い。法令等に基づく保健事業の法令等に条例等は含まれるか。  条例や規則に基づくものは、含まれると解されます。  
44 団体7ー1 前文  疫学研究の評価に関する記述について、すべての研究が「欠くことができない」「個人のプライバシーに配慮しながら行われてきた」とするのであれば、かえって支持を得られないのではないか。  前文では、個別具体的な疫学研究を評価して記述しているのではなく、疫学研究の領域に関して一般的に記述しています。原案についても、全ての研究を個々に評価した上での記述であると受け取られることはないと考えます。  
団体7ー2 5(1)(2)  倫理審査委員会は、社会に対する説明責任を果たすための貴重な場である。
 そこで、委員の構成要件として、人文・社会科学の専門家および外部委員の比率を1/2又は1/3と、また、議決要件として、これらの委員の過半数の賛成を要すると定めるべきである。
 本指針は、前文に示したとおり、疫学研究に極めて多様な形態があることに配慮して、基本的な原則を示すにとどめており、本指針に基づき研究者等が主体的に判断し対応されることが必要と考えます。
 倫理審査委員会の構成や運営の詳細については、倫理審査委員会にゆだねつつ、さらにその議事要旨を公開することにより、説明責任や、運営の適正を図ることとしています。
 
団体7ー3 5(2)(3)  事前に包括的に他の倫理審査委員会に付議できる旨を定められるとするのは、倫理審査委員会の形骸化・有名無実化を招くおそれがあり適切でない。  倫理審査委員会については、研究機関に設置するだけでなく、学会が倫理審査委員会を設置した場合にこれを積極的に活用することも一つの方法と考えられ、こうした規定は必要と考えます。  
団体7ー4  原則として必要とするとの記述が多いが、例外がどういう場合であるか不明確。
 また、研究対象者となることを拒否できるものとする場合に、どのような実効的な手段を講じるか記載すべきである。
 本指針は、前文に示したとおり、疫学研究に極めて多様な形態があることに配慮して、基本的な原則を示すにとどめており、本指針に基づき研究者等が主体的に判断し対応されることが必要と考えます。
 なお、原則と異なる方法によることを認める要件については、細則を設けており、インフォームド・コンセント等の具体的方法については、第5回専門委員会の参考資料6において示したところです。
 
団体7ー5 6(1)(1)
イ 等
 説明の内容及び同意に関する記録については、抽象的な記録では足りず、研究対象者ごとの具体的な記録である必要がある。  記録は、必ずしも研究対象者ごとである必要はないと考えますが、具体的に記述される必要があるため、「説明の内容及び同意に関する記録」を「説明の内容及び受けた同意に関する記録」と改めます。
団体7ー6 12(1)  細則2で、がん登録事業等が指針の対象でないとしているが、そこで得られたデータを利用する研究との区別を明確にすべきである。  指針案2の細則の表の保健事業の項に、がん登録事業に係る記述を追加して明確にします。
団体7ー7 参考資料への意見  一部の地方公共団体で実施されているに過ぎないがん登録事業が計測する罹患数・率や患者の生存率について、「がんの実態把握や対策に必須」とするのは、言い過ぎではないか。  例えば、がん患者の生存率については、治療成果を示す極めて重要なデータですが、これは地方公共団体で実施されているがん登録事業からしか得られません。このように、がん登録事業は、がん対策に必須の情報を提供しています。  
45 大学27−1 指針案への賛成意見  指針案は全体として妥当であると考えます。 ーーー  
大学27−2 全般的意見  細則部分も非常に重要であるので、公的に位置づけ、ホームページ等で公表してほしい。 ーーー  
大学27−3 全般的意見  新たな細則を定める際には、委員会での慎重な議論やパブリックコメントをお願いする。
 採血が侵襲性を有するかどうかなど、細則に示さない事項について、倫理審査委員会の判断に委ねるのであれば、その判断を尊重してほしい。五月雨式に細則や公式の解釈が示されると、既に異なる判断を行った倫理審査委員会で混乱が生じる。
 細則を定めない事項については、倫理審査委員会に合理的に判断いただきたいと考えております。また、回答して欲しいとの照会が寄せられたときは、説明責任を有する行政として、慎重に回答してまいります。
 なお、採血については、明らかに侵襲性を有すると考えられますので、指針案6(1)(1)アについて、次のように改めます。
ア 資料の採取が侵襲性を有する場合(採血の場合など。以下同じ。)
大学27−4 全般的意見  指針公示から施行期日までの期間を十分にとっていただきたい。 ーーー  
大学27−5 全般的意見  委員会での審査、インフォームドコンセント、個人情報保護などの経費や、個人情報保護のための高価な機材を複数の研究費から支出できる経理処理方法等を検討願う ーーー  
46 大学28−1 全般的意見  全般的にまとまっており、国が定める指針としては適当といえる。    
大学28−2 4(2)  研究機関に所属していない者が研究する場合を含め倫理審査委員会に審査を依頼できない場合は、研究ごとに構成員を選定して倫理的協議の実施を義務づけることが適当。  本指針案では、研究機関に所属しない研究者が倫理審査委員会に審査を依頼できない場合の取り扱いまでは定めていませんが、指針案3(1)(2)において、科学的合理性及び倫理的妥当性が認められない疫学研究を実施してはならないこととし、指針案3(4)において、疫学研究の成果を社会に公表しなければならないこととしています。  
大学28−3 5(3)(1)  疫学研究には、複数年にわたるものが少なくなく、観察研究では10年以上にわたるものもあるため、研究実施報告書を提出すべき研究は、1年でなく3年以上のものとしてはどうか。 (4の意見の2問目と同じ。)  
47 大学29ー1 全般的意見  全般的に表現があいまいで、解釈にかなり幅があるように感じる。注釈を加えてほしい。  本指針案は、前文に示したとおり、疫学研究に極めて多様な形態があることに配慮して、基本的な原則を示すにとどめており、できるだけ細則を加えていますが、本指針に基づき研究者等や倫理審査委員会が主体的に判断し対応されることが必要と考えます。  
大学29−2  細則(4)について、インフォームド・コンセントを受ける手続きを緩和する等の場合に講じるべき措置として、情報の保存・保護の方法を周知することを加えるべきではないか。 情報の保存・保護については、インフォームド・コンセントの緩和等を行う場合に限らず、適切に行われる必要があることから、指針案8及び9(1)に規定しています。  
48 個人1 前文  研究について社会のコンセンサスを得るため、具体的に何をするのかをわかりやすく記述すべき。  前文については、一般に、制定の由来や趣旨、理念、基本原則などを示すために設けられ、本指針でも、同様の事項を規定しています。指針に規定される措置については、指針の本則をご覧ください。  
  4(3)  倫理審査委員会の意見を聴くとあるが、これに従うこととする必要があるのではないか。  (4)において、倫理審査委員会が不承認の意見を述べた疫学研究については、その実施を許可してはならないことととしています。  
  5(1)(2)  外部委員の範囲があいまいであり、普通の市民を入れることとすべきである。  倫理審査委員会に設置される機関に所属していない委員は外部委員とみるのが一般的です。また、外部委員を含むことのほか、一般の立場を代表する者が選任されることを要件としています。  
   細則(2)で、16歳以上の者には説明することとなっているが、15歳以下の者にも説明すべきである。  15歳以下の未成年の場合においても、本人にわかりやすい言葉で十分な説明を行うこととし、16歳以上の場合には、さらに本人からのインフォームド・コンセントも必要としています。  
  6(1)(1)
 文書により同意を得る場合にも、管理について細則を設けるとともに、本人に控えを交付すべきである。  文書により説明及び同意が行われる場合においては、研究者等が当該文書を保管し、同意の有無や範囲が問題となった際にはこれを示す責任がありますので、これ以上の規定は不要と考えます。  
  14  5年という時期については、変えられないとの理由となってしまわないよう、削除した方がよい。  見直しまでの期間の目安を定めることは、指針に従う研究者等にとっても意味があると考えます。また、「必要に応じ、又は施行後5年を目途として」としており、5年に限定してはいません。  
49 大学30ー1 全般的意見  疫学研究の意義や重要性について、一般市民に理解してもらえるような記述を盛り込んでほしい。  前文に、疫学研究の意義について記述したところです。  
大学30−2 全般的意見  疫学研究の実施に当たり、手続きの煩雑さなどで研究に支障を来さないよう配慮してほしい。  前文に示したとおり、疫学研究に極めて多様な形態があることに配慮して、基本的な原則を示すにとどめ、研究者等や倫理審査委員会が主体的に判断し対応されることを求めるものとしています。  
50 個人2 5(1)(2)  倫理審査委員会に大幅な裁量権を与えているので、倫理審査委員会の透明性を高めて指針の実効性を確保するため、外部委員の比率に言及するべきである。  倫理審査委員会の透明性を確保するため、外部委員を含むことや、議事概要の公表を定めています。疫学研究が、大小さまざまな研究機関で実施されることを考えると、外部委員の比率を定めることは難しいと考えています。  
   個人情報保護法案第20条第3項第3号では、公衆衛生向上のため特に必要であり、本人からの同意取得が困難な場合に、本人の同意を得ずに個人情報の目的外使用等を認めているが、本項では、研究対象者の一部だけがインフォームド・コンセントを受けることができない場合にも、究対象者全体についてインフォームド・コンセントを受
る手続きを免除できるように読めるので、不適当である。
 ご意見を踏まえ、ただし書中「インフォームド・コンセントを受ける手続を緩和し」を「必要な範囲で、インフォームド・コンセントを受ける手続を緩和し」に改めます。
 なお、個人情報保護法案は未成立の段階ですが、本指針の適用範囲については、同法案第55条第1項第2号の規定の適用等により、同法案第5章は概ね適用されないものと考えられます。
  9、10 拒否できるものとする場合の手続きについて、具体的な規定を設ける必要があるのではないか。  研究の実施について情報の公開を行うとともに、研究対象者となることを拒否するとの申し出があった場合には、研究対象者としないことが必要ですが、情報公開、申し出の方法などについて、一律に方法を示すことは難しいと考えています。  
  10  本項は、意味が不明確ではないか。  「資料採取時又は資料提供時」を「資料提供時まで」に、「第三者」を「所属機関外の者」に改めます。
  12(1)  法律に直接位置づけられていないがん登録事業を、保健事業と同列に扱ってよいのか、疑問である。  本指針が適用されない保健事業について、適切に定義することが困難であったため、がん登録事業等については、具体的に例示することとしました。  
51 大学31 5(3)(1)  疫学研究においては、1年を大幅に超える研究は通例であり、1年を超えた時点での研究の実施報告が役割を果せるか疑問であるので、5年を超える場合に変更して欲しい。 (4の意見の2問目と同じ。)  
52 大学32ー1 前文  疫学研究では、精神的健康状態も取り扱うので、2つ目の○の「身体の状態」を「心身の状態」とすべきである。  ご意見の通り修文します。
大学32−2 3(1)(3)  研究対象者に対して最小限の危険を超える危険を含まない研究についても、実施に当たり研究機関の長の許可、さらには、例え迅速審査が行われるとしても、倫理審査委員会の承認が必要であるなら、研究の実施が遅れ、学問の自由を侵害しかねない。
 人体から採取された資料を用いない観察研究については、3(2)及び(3)を守る旨の資料を添付して研究機関の長に届け出れば、研究を実施できることとして欲しい。
 ご指摘の問題については、仮に届出制を設けたとしても、届出内容を速やかに確認する体制が必要となることを考えると、むしろ、最小限の危険を超える危険を含まない疫学研究の迅速審査を担当する委員を複数指名するなど、研究の実施に影響を及ぼさない体制を整備することが必要と考えます。
 なお、研究機関に所属する研究者等が職務として行うのでなく、個人的に研究を行う場合についてまで、機関の長の許可を求めているものではありません。
 
大学32−3 4(4)  研究の実施が作為的に妨げられることのないよう、倫理審査委員会が研究計画を承認した場合には、研究機関の長は、直ちに研究の実施を許可しなければならないこととしてほしい。  研究機関の長については、例えば研究機関の運営上の理由から、研究の実施を許可しないことを認めざるを得ないと考えられます。  
大学32−4 5(3)(1)、(4)  研究機関の途中に提出する研究実施報告書と、終了後に提出する研究結果の概要の違いを明らかにするため、内容、提出時期等を明らかにして欲しい。  研究実施報告書の提出時期については、明らかになるよう修文します。
 それぞれの内容については、提出する時点までの研究の進捗状況や得られた知見が明らかにされていれば足りると考えられます。
53 団体8ー1 全般的意見  個人情報保護法制や被験者保護体制がない状態での指針の実効性等について、疑問がある。本指針は、規制緩和推進3ヵ年計画の「情報の適正な利活用を可能にする仕組み」の一部であり、これを支える大枠の検討方針が示されていないことは、十分な対応ではない。 ーーー  
団体8ー2 全般的意見  社会の認知を得られるよう、一般市民を対象とした教育活動の重要性を本指針に盛り込む必要性を感じる。
 また、本指針が、専門家の組織である本委員会でも理解が困難な形でまとまっているのは、疫学に対する一般社会の理解と協力を得る努力を怠っていると理解されても仕方がない。
ーーー  
団体8ー3 全般的意見  早急に臨床研究指針が検討される必要がある。 (8の意見の2問目と同じ。)  
団体8ー4 全般的意見  「疫学研究に極めて多様な形態があることに配慮し」とあるが、幅広い適用除外の結果、どれだけが対象となっているか疑問である。 ーーー  
団体8ー5 2等  「原則とする」と「原則として必要とする」の混用、定義のない「データ」や「最小限の危険」という語の使用など、用語の精査が必要。  用語に関わるご意見については、告示制定に際して検討させていただきます。  
団体8ー6 4(2)等  複数の共同研究機関が共同で設置する倫理審査委員会については、疫学研究以外でも重要な機能を担う可能性があるので、独立した指針を設けて欲しい。  他の医学研究分野での指針策定が進んだ段階で、必要に応じ整合がとれるよう検討したいと考えます。  
団体8ー7 5(1)(3)  倫理審査委員会の委員については、正当な理由と責任があると考えられるときには、守秘義務よりむしろ社会への公表を義務づける必要があるのではないか。  委員は、研究対象者の権利保護等のため必要があれば、倫理審査委員会の一員として、委員会が研究計画を承認せず、あるいは研究の変更又は中止を指示するよう活動すべきであると考えます
 ご意見のように、個々の委員の判断で守秘義務が免じられると規定することは、プライバシー保護や知的財産権の保護等の観点から、問題が大きいと考えます。
 
団体8ー8  多施設共同研究において、各施設の倫理審査委員会の判断が一致しない場合に調整に当たる公的審査機構がなければ、共同研究が実施できなくなる。この点は、本指針の中核と考えられるので、検討して欲しい。  各施設の倫理審査委員会は、各施設としての判断を担うものであるから、その判断の不一致は、施設の判断の不一致であり、施設間で適宜調整されたり、共同研究の相手を再検討すべきものであって、公的機関が調整する理由はないと考えます。
 なお、各施設とも、是非共同で実施すべきであると判断しており、倫理審査委員会の判断の食い違いによる遅延を避けたいのであれば、共同で倫理審査委員会を設置することが適当と思われます。
 
団体8ー9  インフォームド・コンセントの緩和又は免除を行った場合、倫理審査委員会は事後評価を行うべきである。  倫理審査委員会の機能向上のため、その判断で取り組んでいただきたいと考えます。  
団体8ー10  細則(5)の「社会的に重要性が高い」について、基準がなければ、審査は困難である。  倫理審査委員会で適切に判断願います。  
団体8ー11 6(1)(1)等  イの侵襲性を有しない場合には、検査用に採取された資料の2次利用が含まれると考えられるが、2次利用、すなわち目的外使用であるイが、アより手続きが軽減される理由が示されるべきである。  侵襲性がある資料採取の場合については、既存資料の利用や髪の毛など侵襲性を有しない資料採取の場合以上に厳重な手続きが必要であると判断したものです。  
団体8ー12  同一の内容が再度記載されているので、必ずしも介入研究と観察研究とに区分する必要はないのではないか。  疫学研究が介入研究と観察研究とに大別されることから、まずはこの2つに大別して規定しています。  
団体8ー13  情報公開については、対象者に周知できる方法で公開されることが担保されないので、研究対象者への周知と規定すべきである。  第5回専門委員会の参考資料6において、インフォームド・コンセント等の具体的方法について具体的に示したところです。  
団体8ー14  人体から採取された資料には、疾病名等も含まれると考えられるが、これらを用いない研究は何を想定しているのか。
 また、これが疾病名等の情報を用いる研究であるなら、人体由来試料より情報を低い倫理的配慮で扱える根拠を示して欲しい。
 人体から採取されたものについては、「試料」とするなど、用語を整理します。
 研究に人体由来試料を使用する場合は、資料の一部を費消することとなるため、健康に関する情報等を用いる場合より重い手続きを課しています。
団体8ー15 6(2)(2)  既存資料の場合の方が軽い取扱となっている理由を示して欲しい。  研究計画書の立案時以後に収集した資料を用いる場合については、新たに研究対象者に係る情報の収集が行われることから、情報公開に加え、拒否できるものとすることを求めています。  
団体8ー16 9(2)、10  匿名化でなく連結不可能匿名化とすべきである。  既存の人体由来試料の利用や、資料を研究機関に提供する場合については、研究者等において個人を特定できないようにすれば十分であると考えます。  
団体8ー17 題名  疫学研究の一部のみを対象にする本指針について、疫学研究に関する倫理指針という題名を付することは、適当でない。 (8の意見の2問目)  
団体8ー18 12(1)  細則で、「科学研究でない」とあるが、本指針との関係であるから、疫学研究でないとすべきである。  ご指摘の通り修文します。
団体8ー19 12(7)  個人情報の定義について、3省共同指針のとおりとするのでなく、個人識別情報、病歴・生活習慣等情報、資料の解析結果の情報等に分類して定義する必要がある。  本指針において詳細に定義する必要はないと考えられ、他の指針との整合をとるため、3省共同指針とおりの定義とします。
団体8ー20 2(3) 「医療行為」は「治療行為」とするのが適当。  臨床試験など、疾病の治療に必ずしも限られないため、「医療行為」とします。  
54 大学33−1 5(1)(2)等  3省共同指針と比べてかなりゆるい規定であるが、一致させる必要はないか。
 特に、倫理審査委員会について、次の事項を規定すべきである。
・両性による構成、
・審議・採決の際の人文・社会科学又は一般の立場の委員の出席
 3省共同指針は、遺伝子解析研究を対象としたため、倫理審査委員会の審議・採決の際の出席委員の構成をはじめ、特に厳格な指針としており、本指針について必ずしもこれと一致させる必要はないと考えます。
 倫理審査委員会の両性による構成については、細則を追加します。
大学33−2 4(2)(3) 共同研究機関が共同設置する倫理審査委員会について、地域・研究機関の違いから研究対象者の利益・不利益が異ならないよう、また、審査の質の確保のため、具体的な審査の仕組みを提言して欲しい。
 また、アドホックな組織と考えられるので、それに伴う規定も明記する方がよい。
 審査の具体的な仕組みについては、倫理審査委員会の判断に委ねたいと考えます。
 また、疫学研究が極めて長期にわたる場合もあるため、必ずしもアドホックな組織と考える必要はないと考えます。
 
大学33−3 4(3)(1)  研究実施報告書を1年に1回提出することは、研究によっては早すぎる。 (4の意見の2問目と同じ。)  
大学33−4  最小限の危険について、判断を倫理審査委員会に委ねることは適当でなく、法律上被験者保護が明示されている国と同様で良いかも疑問。定義又は内容を示して欲しい。  最小限の危険について、指針案6細則(1)中「最小限の危険」の次に「(日常生活や日常的な医学的検査で被る身体的、心理的、社会的危害の可能性の限度を超えない危険をいう。ただし、社会的に許容されない種類の危険は含まない。)」を加えます。
大学33−5  細則(4)の広報、社会への周知、事後説明について、具体的方法を例示して欲しい。
 また、研究費でこうした経費を十分に認めるとともに、倫理審査委員会についても情報を公開するだけでなく周知に努めることとし、予算が確保されるよう明記して欲しい。
 広報、社会への周知、事後説明については、方法を限らず、可能な方法を講じていただきたいと考えます。
 なお、こうした経費の研究費による確保については、研究者等に遵守を求める指針の性格上、記述できません。
 
大学33−6 10  同意を得ずに資料を提供する場合の要件については、6細則の要件を満たす必要があるのではないか。  指針案10については、指針案6との整合性を念頭に、修文します。
大学33−7 5(1)(2)  倫理審査委員の教育の機会について、特に外部委員や非疫学研究者が疫学研究の基礎知識を学ぶための教育予算を倫理審査委員会が計上できるよう、明記して欲しい。  倫理審査委員会に係る経費の確保は必要な事柄ですが、倫理指針に規定する事項とは考えません。  
大学33−8 参考資料への意見  自治体の個人情報保護の審議会等で審査すべきものは、がん登録事業に限らない。
 また、今後、登録事業やこれを利用した研究が増えると考えられるが、同意を取得せずに実施せざるを得ないなら、実施や個人情報保護の努力を研究者や自治体任せにすることはあまりに負担が大きい。位置づけや支援について、国が積極的に考えて欲しい。
ーーー  
55 大学34ー1 全般的意見  臨床研究と疫学研究は区別しにくいので、広くヒトを対象とした医学研究を対象とすべき。 (8の意見の2問目)  
大学34−2 全般的意見  本指針は、研究実施を阻害する細かい規定が多い。 ーーー  
大学34−3 5(3)(1)  ほとんどの疫学研究は1年を超えるので、「1年を超える場合には」を削除して欲しい。 (4の意見の2問目と同じ。)  
大学34−4  細則(4)について、「適切に場合には」の用語は曖昧であり、まとめて「資料の収集方法と内容について情報公開を行う」として欲しい。  インフォームド・コンセントを受ける手続等について例外的取扱を認める場合の代替措置であるため、次のような内容を詳細に規定しています。
・集団を対象とし、人体由来資料の採取を行わないため研究者などが研究対象者に接する機会がなく、個別の同意取得が困難である介入研究においても、可能な限り、研究対象者が含まれる集団に対して広報を行うべきである。
・事前説明が困難な事情があったとしても、できるだけ早い時期に事後的説明を実施するべきである。
・長期にわたり継続的に資料が収集・利用される場合には、積極的に広報を行い社会に周知されるようにすべきである。
 
大学34−5 9、10  研究対象者に接触して拒否する機会を提供することはできないので、拒否できるものとするとの要件は意味がなく、削除すべきである。  これらの場合については、原則としては同意を取得すべきであり、これができないとしても、少なくとも、研究に関し情報公開するとともに、拒否するとの申し出があった場合は、それを受け入れる必要があると考えています。  
大学34−6  6のただし書を適用し、(2)を削除すべきである。  既存の人体由来資料の利用については、これらが貴重な研究資料であることや、別途新たに人体から採取することの適否との均衡に配慮し、指針案9では、指針案6と異なる要件を定めています。  
大学34−7 10  匿名化された資料では、後ろ向きのコホート研究は実施できないので、倫理審査委員会の承認を得て、当該資料を利用できるようにすべきである。
 6のただし書を適用すれば、10ただし書は不要。
 資料の機関外への提供については、情報公開及び研究対象者となることを拒否できるものとすることを条件に、倫理審査委員会の承認を得て、途を開いてます。
 なお、指針案10については、指針案6との整合にも配慮して、修文します。
大学34−8 12(4)等  「試料」と「資料」を区別すべきである。
 また、「最小限の危険」を定義すべきである。
 ご意見を踏まえ、修文します。
大学34−9 12(14)  研究計画書立案時までのがん登録のデータや死亡診断書は、既存資料に含まれるのか、明確でない。 ご意見を踏まえ、資料の定義を修文します。


パブリック・コメント  厚生労働省ホームページ