パブリック・コメント  厚生労働省ホームページ

事業主が講ずべき措置に関する指針案について(回答)

平成14年1月24日
厚生労働省

概要  育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一部を改正する法律(平成13年法律第118号)の施行に伴い、事業主が講ずべき措置に関してその適切かつ有効な実施を図るための指針となるべき事項を定めるものである。
(別添 事業主が講ずべき措置に関する指針案参照)

御意見等の内容 件数 御意見等に対する考え方
○ 第二の三関係
・ 不利益な取扱いとして、「勤続年数に加算しないこと」を加えること。 1件  専ら休業期間は働かなかったものとして取り扱うことは、不利益取扱いに該当しないと考えています。
・ 不利益な取扱いとして、「雇用契約の変更を行うこと」を加えること。 1件  今回のパブリック・コメントにおいて示した指針案第2の3(3)イから明らかなように、指針案第2の2(2)ロの「退職の強要等」の「等」に御指摘の点が含まれているものですが、その旨を明らかにするため、当該部分を「退職又は正社員をパートタイム労働者等の非正規社員とするような労働契約内容の変更の強要を行うこと」に修正します。
・ 不利益な取扱いとして、「人事考課に対して不利益な取扱いをしてはならない。」を加えること。
・ 不利益な取扱いとして、「昇任、昇格の対象から除外すること」を加えること。
・ 不利益な取扱いとして、「昇給停止」を加えること。
4件  不利益取扱いに該当する行為には様々なものが考えられるため、指針においてそれらを網羅的に列挙することは困難と考えています。
 特に、昇任、昇格、昇給等は労働者に対する人事考課を前提とするものですが、人事考課については、事業所ごとに非常に多種多様な取扱いを行っている実態がありますから、不利益取扱いであるか否かの判断に当たっての具体的な考え方を示すことは、現段階では困難であると考えています。
・ 不利益な取扱いとして、「賃金・賞与などの考課査定の要件に入れること」を加えること。 1件  賃金や賞与等の算定に当たって専ら休業期間を働かなかったものとして取り扱うことは、不利益取扱いに該当しませんので、「賃金・賞与などの考課査定の要件に入れること」を一律に不利益取扱いとすることはできないと考えています。
・ 二人目を妊娠した場合に降格されたり、退職勧奨を受けたり、身分変更を迫られる等の厳しい対応をされる場合が見受けられることから、二人目の出産以降について、不利益取扱いの禁止を強調すべき。 1件   一人目の出産の場合も、二人目の出産の場合も、労働者が育児休業の申出又は取得をする際に事業主が不利益取扱いをしてはならないことについては全く同様であり、特に何番目の子どもかによって取扱いに差異を設ける必要はないと考えています。
・ 「もっぱら休業期間を働かなかったものとして取り扱うことについては不利益な取り扱いには該当しない」旨削除する。 1件  指針案第2の3(3)は、事業主が不利益取扱いに該当するか否かの判断に当たって勘案すべき事項を示すものであり、混乱を防ぐ趣旨から御指摘の部分も記述する必要があると考えています。
・ 昇給や退職金等の取扱い上、休業中は原則勤務したものとして取扱い、少なくとも「1/2は勤務したものとみなす」旨を盛り込むこと。 1件  「休業中は原則勤務したものとして取り扱うこと」や「1/2は勤務したものとみなす」ことを一律に事業主に求めることは困難であると考えていますが、いずれにせよ、指針案第2の3(3)は不利益取扱いの判断基準を示す部分であり、御指摘のようなことを盛り込むことは適当でないと考えています。
・ 言葉の暴力等により自己都合退職に追い込むことも退職の強要に該当するよう盛り込むこと。 1件  指針案第2の3(3)イにおいて、勧奨退職について、労働者の同意を得ていたとしても、これが労働者の真意に基づくものでないと認められる場合には退職の強要に当たる旨明記していることから、御指摘の趣旨は新たに盛り込まずとも十分読みとることができると考えています。
○ 第二の四関係
・ 「あらかじめ制度が導入され、規則が設けられるべきものであることに留意すること。」を「あらかじめ制度を導入し、規則を設け、当該事業所の労働者に明示する。」に変更すること。 1件  今回のパブリック・コメントにおいて示した指針案の表現で、事業主に就業規則の整備等必要な措置を講ずることは十分求められると考えており、表現の変更の必要はないと考えています。
・ 時間外労働の制限の制度についての不利益事例として、第二の三(2)を準用すること。 1件  時間外労働の制限を理由とする不利益取扱いについては、申出に係る全期間について休業する育児休業等とは質的に異なる面もあり、一律に指針で準用する旨を規定することは困難と考えています。
○ 第二の五関係
・ 「あらかじめ制度が導入され、規則が設けられるべきものであることに留意すること。」を「あらかじめ制度を導入し、規則を設け、当該事業所の労働者に明示する。」に変更すること。 1件  今回のパブリック・コメントにおいて示した指針案の表現で、事業主に就業規則の整備等必要な措置を講ずることは十分求められると考えており、表現の変更の必要はないと考えています。
・ 深夜業の制限の制度についての不利益事例として、第二の三(2)を準用すること。 1件  深夜業の制限を理由とする不利益取扱いについては、申出に係る全期間について休業する育児休業等とは質的に異なる面もあり、一律に指針で準用する旨を規定することは困難と考えています。
○ 第二の七関係
・ 原職復帰等について、「育児休業・・原則として原職又は原職相当職に復帰させること」とすること。 1件  育児休業等を取得した後の配置については、職場の状況等により休業期間中に休業取得者の後任を配置しなければならない場合があることや、人事ローテーションの一環として復帰後にその者を異動させる場合がある等の人事異動慣行等を踏まえると、御指摘のように一律に枠をはめることは困難であると考えています。
・ 「必要により代替要員を配置すること」を加えること。 1件  育児休業取得者が休業した後の要員管理をどうするかについては、事業所ごとに非常に多種多様な取扱いが行われているので、「必要により代替要員を配置すること」を事業主が講ずべき措置として記述するのは適当でないと考えます。
○ 第二の九関係
・ 措置の種類は労働者が選択できるようにすることが望ましい旨盛り込むこと。 2件  勤務時間の短縮等の措置は、事業所の業種、業態によってその対応可能性が様々であることから、各事業所等の実情に応じて適切な措置を事業主が選択できる仕組みとしています。したがって、どのような措置を導入すべきかは、まずは労使で十分に話し合っていただくことが肝要と考えています。
・ 勤務時間の短縮等の措置についての不利益事例として、第二の三(2)を準用すること。 1件  勤務時間の短縮等の措置を理由とする不利益取扱いについては、申出に係る全期間について休業する育児休業等とは質的に異なる面もあり、一律に指針で準用する旨を規定することは困難と考えています。
・ 育児休業に準ずる措置の解釈を明確にすべき。 1件  厚生労働省としては、育児・介護休業法第23条第1項の「育児休業の制度に準ずる措置」とは、育児休業とは対象となる子の年齢が異なるものであり、同法第5条から第10条までの規定に基づく育児休業の制度と全く同じである必要はないが、本人の申出に基づくものであること及び男女が対象となることなど、考え方は共通すべきものであり、その旨を明らかにし、周知していきます。
○ 第二の十関係
・ 措置の種類は労働者が選択できるようにすることが望ましい旨盛り込むこと。 1件  勤務時間の短縮等の措置は、事業所の業種、業態によってその対応可能性が様々であることから、各事業所等の実情に応じて適切な措置を事業主が選択できる仕組みとしています。したがって、どのような措置を導入すべきかは、まずは労使で十分に話し合っていただくことが肝要と考えています。
・ 事業所において労働者に対する措置の周知に努めるといった内容が必要。 1件  各事業所において講じられている措置は労働者に周知されるべきものであり、既に労働基準法第106条により、使用者は就業規則等について労働者に周知させなければならないとされています。
○ 第二の十一関係
・ 事業所において労働者に対する措置の周知に努めるといった内容が必要。 1件  各事業所において講じられている措置は労働者に周知されるべきものであり、既に労働基準法第106条により、使用者は就業規則等について労働者に周知させなければならないとされています。
○ 第二の十二関係
・ 「5日」の根拠を明示すべき。 1件  「育児・介護を行う労働者の生活と就業の実態等に関する調査」(平成12年、労働省委託調査)によれば、女性労働者が子どもの看護のために休んだ日数は5日以下が65.6%となっており、指針案第2の12は、そうした実態をもとにして、各事業所において適切な休暇日数を決定する際の参考とするための現状を示したものです。
・ 導入に当たって回数や日数の制限を盛り込まないように個人の事情を配慮することを盛り込むこと。 1件  子の看護のための休暇の具体的内容については、労使で十分話し合った上で決められるべきものと考えており、御指摘のような記述をすることは適当でないと考えています。
・ 「労働者が年間に子どもの病気のために必要とする休暇は年次有給休暇のほかに5日までのものが多いことを勘案し」に変更すること。 1件  「育児・介護を行う労働者の生活と就業の実態等に関する調査」(平成12年、労働省委託調査)によれば、女性労働者が子どもの看護のために休んだ日数は5日以下が65.6%となっており、指針案第2の12は、そうした実態をもとにして、各事業所において適切な休暇日数を決定する際の参考とするための現状を示したものです。
 子の看護のための休暇の措置について、法定の年次有給休暇以外の休暇制度を設けることが求められることは、指針で記述するまでもなく、育児・介護休業法第25条により明らかであると考えています。
・ 助成金を活用して積極的に措置を講ずることが望ましい旨盛り込むこと。 1件  助成金の活用は、事業主が子の看護のための休暇制度を導入するに当たっての手段であり、事業主が講ずべき措置として位置付けるのは適当でないと考えています。なお、平成14年度においては、子の看護休暇制度の導入を奨励するための助成措置を新たに創設する予定です。
・ 翌年度の有休付与日数に影響を与えないよう配慮するよう努める旨盛り込むこと。 1件  労働基準法第39条第7項の規定により、年次有給休暇の出勤要件の算定に当たり、育児休業、介護休業等については出勤したものとみなすことが求められますが、それ以外の休暇等については特に法律上の規定はないため、子の看護休暇を取得した日数の取扱いについても、他の休暇制度を利用した場合との均衡も考慮しながら、労使で十分話し合った上で決められるべきものと考えています。
○ 第二の十三関係
・ 転勤配慮に関して、育児や介護を行う労働者に対する優遇措置をもっと具体的に明らかにしてほしい。 1件  育児・介護休業法第26条において求められるのは、あくまでも事業主の「配慮」であり、配慮をした上での具体的な措置までが求められるものではありません。
 なお、指針案第2の13において列挙した配慮の内容は例示であり、それ以外にも様々な内容の配慮があると考えています。
・ 「あり得ること」を「ある」という表現にし、指針に掲げる事項を十分に把握し、子の養育又は介護の状況に配慮しなければならない旨を盛り込むこと。 1件  指針案第2の13を「・・・内容としては、例えば、当該労働者の・・・等があること」に修正します。
 なお、育児・介護休業法第26条の規定により、事業主には、労働者の配置の変更で就業の場所の変更を伴うものの対象となる労働者について子の養育又は家族の介護を行うことが困難とならないよう意を用いることが求められることはいうまでもありません。
・ 通勤時間も配慮すべき点とすること。 1件  通勤時間を配慮することも配慮の内容の一つではあると考えていますが、配慮の内容には様々なものが考えられるため、指針においてそれらを網羅的に列挙することは困難と考えていますので、御指摘の点については盛り込まなかったところです。
○ その他
・ 子が出産した後の1〜2か月については、配偶者が家にいても一緒に子育てができるよう、男性に育児休業を義務付けること。 1件  育児休業を取得するかしないかは、労働者個人の選択にゆだねられるべきものですが、配偶者が常態として子を養育することができる労働者については育児休業をすることができないとの労使協定が締結されている場合であっても、男性労働者は、配偶者の産後8週間は必ず育児休業を取得することができることとなっていますので、厚生労働省としてもこれを広くPRしていくこととしています。
・ 事業主が育児休業取得を認めた場合、当該労働者について雇止めすることができないよう規制すべき。 1件  育児・介護休業法上、一定の要件に該当した労働者については当然に育児休業を取得することができるものであり、それを理由に解雇その他不利益取扱いをすることは、育児・介護休業法第10条に違反するものと考えています。

(注)同一の方から複数の御意見が提出された場合には、それぞれを1件として計上しています。


担当課室:厚生労働省雇用均等・児童家庭局職業家庭両立課
       (03−5253−1111 内線7856)

御意見等お寄せいただき、ありがとうございました。


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