「障害程度区分」及び「指定自立支援医療機関の指定基準等」に関するご意見募集(パブリックコメント)に対して寄せられた御意見について


平成18年1月24日
厚生労働省社会・援護局
障害保健福祉部

 標記について、平成17年12月7日から平成17年12月20日までホームページを通じてご意見を募集したところ、のべ89通の御意見をいただきました。
 お寄せいただいた主な御意見とそれらに対する当省の考え方について、以下のとおり取りまとめましたのでご報告いたします。なお、取りまとめの都合上、いただいた御意見のうち同内容のものは適宜集約して掲載しております。
 なお、パブリックコメントの対象となる案件についてのご意見に対する考え方のみを公表させていただいておりますのでご了承下さい。
 今回御意見をお寄せいただきました方々のご協力に厚く御礼申し上げます。


「障害程度区分」関係

(御意見1)
 障害程度区分は、3障害別に設けるべき。また、視覚障害者、知的障害者等の障害特性を把握できるようなものとするべき。
(答)
 障害者自立支援法においては、3障害共通に、支援の必要度に応じて公平にサービス利用が図られるよう、統一的なアセスメントや障害程度区分を導入することとしました。
 障害程度区分の認定調査項目の設定に当たっては、介護保険の要介護認定調査の79項目に加え、より障害特性を反映するよう、
(1) 交通手段の利用、買い物、掃除や調理などに日常生活に関する項目
(2) 多動やこだわりなど行動に関する項目
(3) 話がまとまらない、働きかけに応じず動かないでいるなど精神に関する項目
など27項目を追加し、試行事業を行いました。
 試行事業では、約96%が要支援以上と判定され、おおむね障害の特性を把握できる内容とであったと判断されましたが、その後の分析や有識者の方々からのヒアリングを踏まえ、さらに基準の明確化を図ったところであり、より適切な障害程度区分に関する基準になっていると考えております。

(御意見2)
 障害程度区分は介護保険と同じものでなく、障害者用の判断基準を作って欲しい。
(答)
 平成16年度の厚生労働科学研究において、介護保険の要介護認定基準は、「介護給付」に相当するサービスの必要度を測定する上では、障害者においても有効と考えられました。
 さらに、障害程度区分の認定調査項目の設定に当たっては、障害者の特性をよりきめ細かく把握できるよう介護保険の要介護認定調査の79項目に加え、27項目を追加して評価を行うこととしております。 

(御意見3)
 精神障害者は精神症状に波があるが、状態の変化を把握できるものとすべき。
(答)
 状態が変化することにより日常生活に支障があるかどうかを把握する観点から、必要に応じ、調査時の状況のみから判断するのではなく、過去1年間程度の期間の生活状況の変動も踏まえて判断することとしており、その趣旨を認定調査のためのマニュアルにおいて示すこととしています。
  また、特記事項、医師意見書においてもこうした情報が記載されるので、これらによっても状態の把握が行われることとなります。

(御意見4)
 不服申立できるシステムを確立すべき。
(答)
 市町村が行った障害程度区分の認定等について不服がある場合には、都道府県に対して不服審査を行うことができることとし、申請された障害者が不利益を被らないよう配慮を行っています。

(御意見5)
 106項目の認定調査について、コミュニケーションが困難な知的障害者等を調査する際には支援者等の同席を認めるべき。
(答)
 認定調査について、知的障害などのためにコミュニケーションがうまく図れないなど、直接本人から必要な情報を得ることが困難な場合は、必要に応じ、本人の生活状況や心身の状況等を把握している介護者等に同席を依頼し、状況を聴くことがあると考えています。

(御意見6)
 二次判定を行う市町村審査会には精神障害者の状態を適切に把握できる精神科医や精神保健福祉士等を入れるべき。
(答)
 審査会の委員については、3障害について判定を行うことから、各障害に関しバランスのとれた構成とする必要があると考えています。精神障害に関する有識者として、精神科医や精神保健福祉士等を含めどのような方 を選任するかについては、専門職種の確保可能性を含め各地域の実情に応じて、市町村において適切に判断されるもの考えています。

(御意見7)
 ICFの視点を取り入れるべきではないか。また、社会的なハンディがあるかないかという視点から障害程度区分を設定すべきではないか。
(答)
 障害程度区分は、支給決定手続きの透明化、平準化を図る観点から、今回の改革において導入することとされたものであり、障害福祉サービスの必要度について、障害者の心身の状況に基づいて全国一律の基準に基づいて客観的に判定されるものです。
 なお、サービスの支給決定に当たっては、障害程度区分、だけでなく、介護を行う者の状況、サービスの利用に関する意向の具体的内容、地域生活の状況、就労の状況、日中活動の状況、居住の状況、などを総合的に勘案して決定することとしています。


「指定自立支援医療機関の指定基準等」関係

I 指定自立支援医療機関の指定基準に関する事項
 1 精神通院医療に係る指定自立支援医療機関の指定基準
 (御意見8)
 当該医療機関にてんかん医療に関して3年以上の実務経験を有する医師が勤務していることを指定基準に追加してください。
 (答
 障害者自立支援法における精神通院医療の対象となる疾病は従来と同じであり、てんかんの治療も含まれることから、指定自立支援医療機関の指定基準として定めている「精神医療に関して3年以上の実務経験を有する医師」には、ご指摘の「てんかん医療に関して3年以上の実務経験を有する医師」も含まれます。


II 指定自立支援医療機関療養担当規程

 (御意見9)
 「指定自立支援医療機関は、受診者の診療を求められたときは、その受給者証が有効であることを確かめた後でなければ診療をしてはならないこと。」とあるが、この規定は医師は診療を拒否してはならないとされている医師法第19条に反するのではないか。また、緊急な場合は診療してもらえるようにしてほしい。
 (答
 当該規定は、自立支援医療費を支給する条件として、診療に当たって医師が受給者証を確認すべきことを定めたものであり、ご指摘のような医師法上の医師の義務を免除するものではありません。

 (御意見10)
 「指定自立支援医療機関は、受給者証に記載された医療の具体的方針を変更しようとするときは、あらかじめ当該受給者証を交付した市町村等と協議し、その承認を受けなければならないこと。」とあるが、この規定は医療を受ける患者の決定権を奪うものであり、適切な医療が受けられなくなるのではないか。また、医療機関の変更を市町村との承認後でなければできないとなると、緊急の場合に医療を受けられなくなるのではないか。
 (答
 当該規定は、現行の更生医療及び育成医療を対象としており、支給認定に当たっては、現行制度と同様、手術等の医療の具体的方針を受給者証に記載することとしていることから、その内容に変更が生じる場合には、医療機関に対して市町村に承認を受けることを求めるものであり、これらに係る医療機関が患者の治療方針を一方的に変更することを定めるものではありません。なお、現行制度においても、同様の取扱いをしており、自立支援医療制度においてもこれを引き継ぐものです。

 (御意見11)
 「指定自立支援医療機関は受診者が正当な理由なくして、診療に関する指導に従わない場合には、速やかに、意見を付して受給者証を交付した市町村に通知しなければならないこと。」とあるが、この規定は患者の医療を受ける権利を一方的に奪うものであり、安心して医療を受けられなくなるのではないか。
 (答
 医師による診療に関する指導は、これにより、受診者が適正な診療を受け、速やかに疾病等の治癒の目的を達成するために行われるものであり、ひいては、適正な自立支援医療費の支給にも資することとなります。したがって、診療に関する指示に従わないことにより、治癒を遅らせるようなことはこの趣旨に反することから、当該規定を置いています。なお、同様の趣旨の規定は一般の医療保険制度に関する健康保険法や国民健康保険法にも置かれており、これに倣うものです。

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