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平成17年2月24日
関係省庁了解

今期における花粉症に関する政府の取組み


1 取組みの趣旨

   花粉症は今や国民の5〜6人に1人が罹患するとも言われ、国民的な広がりを見せており、政府として関係省庁が一丸となって積極的に取組む必要のある疾病である。
 更に、今期は観測史上1,2位を争う量の花粉の飛散が予測されていることから、これまで以上に的確かつ効果的に施策を実施する必要があるため、次に記載する事項について、政府として、総合的かつ一体的な花粉症対策を実施する。


2 花粉症対策の具体的施策

1)花粉及び花粉症の実態把握

 (1) 花粉生産量の予測(農林水産省)
 雄花の着花状況判定による花粉生産量予測手法を全国的に適用できる手法として確立・普及する。
 花粉生産量の多い森林の要因調査を実施する。

 (2) 気象の予測等(気象庁)
 アメダス(地域気象観測システム)等により風や気温等、気象の観測を行う。
 数値予報による気象の予測データの提供を行う。
 気象の予測精度の向上を図る。

 (3) 花粉飛散量予測及び観測(環境省)
 スギ・ヒノキの花粉の総飛散量の予測を花粉飛散開始前に情報を提供する。
 スギ・ヒノキの花粉の飛散状況を花粉観測システム(愛称:はなこさん)によりリアルタイムで情報を提供する。

2)花粉症の原因究明

 (1) 病態解明(文部科学省・厚生労働省)
 競争的資金制度において大学等における花粉症の病態解明の研究を推進する。
 理化学研究所免疫・アレルギー科学総合研究センターにおいては、免役システムの基礎的・総合的な研究を実施し、花粉症等のアレルギー疾患の原因究明と治療法の開発を目指している。
 平成4年度からアレルギー疾患について臨床研究事業を推進している。(厚生労働科学研究費補助金免疫アレルギー疾患予防・治療研究事業)

 (2) 花粉症と一般環境との関係解明(環境省)
 花粉症と大気汚染等の一般環境との関係を解明する。

 (3) 研究拠点の整備(文部科学省・厚生労働省)
 理化学研究所において、平成13年7月に免疫・アレルギー科学総合研究センターが発足し、平成16年4月には横浜研究所内のセンター棟が開所し、研究者が集結して本格的に活動を開始した。
 平成12年10月に国立相模原病院(現独立行政法人国立病院機構相模原病院)に臨床研究センターを開設し、アレルギー疾患に関する臨床研究を進めている。

3)花粉症の対応策

 (1) 予防・治療法の開発・普及(文部科学省・厚生労働省)
 理化学研究所免疫・アレルギー科学総合研究センターと国立病院機構相模原病院は、基礎研究成果の臨床への応用を推進するため、研究協力に関する協定を取り交わしており、アレルギーワクチン開発等の共同研究を進めている。
 平成4年度からアレルギー疾患について臨床研究事業を推進している。(厚生労働科学研究費補助金免疫アレルギー疾患予防・治療研究事業)

 (2) 花粉の少ない品種等の開発・普及(農林水産省)
 花粉の少ないスギ品種や花粉の無いスギ品種の開発・普及や、花粉に含まれるアレルゲン量の少ないスギ品種の開発へ取組んでいる。

 (3) 雄花の量が多い木の抜き伐り、間伐の推進(農林水産省)
 都市周辺において、雄花の量の多いスギの木を抜き伐りする技術を確立するための事業を実施する。
 雄花の量が多いスギ林分における重点的な間伐を実施する。

 (4) 花粉症に対する適切な医療の確保(厚生労働省)
 診療ガイドライン等の周知徹底を図る。
 治療上疑義が生じる専門事項については医療機関向け専門相談窓口を開設する等して、適切な医療の確保に努めている。
 医薬品の確保についても、都道府県等に協力をお願いした。

 (5) 花粉及び花粉症に関する情報の提供(厚生労働省・農林水産省・環境省)
 スギ花粉症に関する関係省庁担当者連絡会議における情報交換を踏まえ、厚生労働省・林野庁・環境省の花粉症関係サイトを相互にリンクし、引き続き関係省庁が連携して花粉症に関する情報提供の充実に努めることとしている。
 相談窓口の設置について、都道府県等に協力をお願いするとともに、各都道府県等の保健師等職員を対象に、花粉症対策に係る必要な知識を習得させ、地域における相談体制の確立のため、相談員養成研修会を実施している。


3 その他

1)花粉症対策研究の総合的な推進(内閣府・関係省庁)

 関係省庁における花粉症対策研究の総合的な推進に資するため、総合科学技術会議のもとで、科学的観点からの検討を進め、その総合調整の下、花粉症対策研究の推進を図る。


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