医務技監からのメッセージ

厚生労働省医務技監 鈴木康裕

よりよい保健医療の未来を目指して

皆さんは、日々、医学の勉強あるいは診療に邁進されていることと思いますが、将来に明るい見通しを持てていますでしょうか。臨床医の方であれば、診療のなかで制度の矛盾を感じたり、それに対する改善案をお考えの方もいらっしゃるかもしれません。
厚生労働省では、医療をよりよくするため、また国民の皆さんにできる限り健康を維持していただくため、長期的視点に立って様々施策を講じており、医系技官はその一翼を担っています。

来る2025年に向けて

2025年には団塊の世代の多くが75歳を迎えます。それ以後、医療・介護の需要は逼迫していきます。このニーズの変化に対応するため、医療・介護の提供体制を着実に構築することが我々の喫緊の課題です。病床機能の分化と連携の促進、在宅医療の進むべき方向性の決定、医療と介護の切れ目ない連携の方策など取り組むべき課題は、枚挙に暇がありません。これらの課題に対して、医療分野・介護分野のビッグデータをフル活用しながら、限られた医療資源等を最大限に活用できる将来のあるべき提供体制を構築することが大きなミッションです。

臨床現場にイノベーションを

昨今のゲノム関連技術や情報通信技術、人工知能等の技術革新には目覚ましいものがあります。特に、ディープラーニングの開発を端緒とした人工知能の開発は第4次産業革命と評されることもあります。こうした先端技術を、迅速かつ安全、安定的に診療現場に届け、国民の健康に役立つ仕組みを作ることも医系技官の重要な役割の一つです。このためには基礎医学の素養、企業の経済動向、医学以外の分野への鋭敏な感性等も求められます。

世界の保健・医療をリード

わが国には、新興・再興感染症の封じ込めや、高い評価を誇る保健医療システムの国際展開などで世界の保健医療を牽引する役割が期待されています。諸外国政府との政策対話やルールメイキング等の国際保健外交の場においても、医学知識、政策立案能力、そして国際感覚を備えた医系技官の存在感が増しています。実際、その活躍や研鑽の場は、欧米のトップクラスの大学院留学、ニューヨークの国連日本政府代表部などの在外公館、WHOや米国CDCなど多岐にわたります。昨年、「グローバルヘルス人材戦略センター」も設置し、より一層、戦略的に国際保健人材を養成し、海外派遣していきます。

こうした変革の時代の中で、国民誰もが安心して暮らせる社会を築いていくためには、豊かな人間性、難しい課題にも粘り強く取り組む力、優れたバランス感覚を備えた若い力が必要です。保健医療の仕組みは「あるもの」ではなく、「つくるもの」です。厚生労働省では意欲にあふれる仲間と刺激的でダイナミックな仕事が待っています。少しでも関心があれば、扉を叩いて下さい。必ずや未来が開けます。是非、仲間となって一緒に仕事をしましょう。

医務技監とは

保健医療分野の重要施策を一元的に推進するために統括的役割として、事務次官級の医務技監が創設されました。ヒトゲノム解析や人工知能等をはじめとして、近年の保健医療分野における技術の進歩は著しく、また、その課題は多岐にわたっており、関係部局が連携して迅速に対応していくためのリーダーシップを執り、また、エボラ出血熱の流行等の公衆衛生危機や、高齢化対策等の重要性が高まっている国際保健分野において日本が貢献するための中心的役割を担っています。