国の政策と方向性

自殺対策について

自殺対策の概要

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総合的な自殺対策

自殺の多くは多様かつ複合的な要因及び背景を有しており、様々な要因が連鎖する中で起きています。
警察庁における自殺統計では、原因・動機別の自殺の現状について、「健康問題」「経済・生活問題」
「家庭問題」「勤務問題」「男女問題」「学校問題」「その他」「不詳」で計上しており、原因・動機を最大3つまで計上することで、より詳細な原因・動機を公表しています。
また、精神疾患に至るまでには様々な要因が積み重なっていることも多く、単に精神保健的観点からのみならず、保健、医療、福祉、教育、労働その他の関連施策との有機的な連携を図った、総合的な自殺対策が必要です。

うつ病対策

以前に行われた調査では、自殺既遂者で精神科入院歴のない精神疾患者のうち、うつ病等の気分障害を患っていた人の割合が大きく、近年においても、精神疾患者で自殺をした人のうち、うつ病等の気分障害を患っていた人の割合は大きいことが明らかになっています。

自殺既遂者における精神疾患の存在【図を拡大する】
自殺既遂者における精神疾患の存在

うつ病患者の医療機関への受診率が低いことから、うつ病の方々が早期に気づき、専門的な医療機関にかかることができるよう、うつ病に関する一般への普及啓発や、地域の保健医療体制、職場のメンタルヘルス対策等によるうつ病の早期発見をすすめています。また、うつ病患者の治療、支援についても様々な施策を講じています。

アルコール健康問題対策

うつ状態に陥った際に不眠や抑うつ気分の解消のためにアルコールを使用することは、うつ状態の悪化につながる行為として極めて有害です。
そのため、自殺対策の観点からアルコールの有害使用についての対策を積極的に実施する必要があります。
うつ病等の気分障害とともに、自殺既遂者で精神科入院歴のない精神疾患者のうち、アルコール依存症等が含まれる物質関連障害を患っていた人の割合は大きいことが明らかになっています。
また、自殺既遂者に対する調査からは、とくに中高年男性の自殺者において、死の直前に飲酒量が増加していたり、飲酒した状態で自殺企図に至っていたり等、自殺に際してのアルコールの有害使用が少なからず認められることがわかっています。
飲酒が不眠や抑うつ気分の解消のために有用だという誤解を解消し、アルコールとうつ・自殺との関連について広く知ってもらうため、とくに中高年男性をターゲットとしたリーフレット「のめば、のまれる」を作成し、普及啓発活動を実施しています。
アルコール依存症や薬物依存症の回復に有効と考えられている自助団体の活動の支援や、関係機関による依存症対策にかかわる地域連携体制の構築と効果的な依存症対策の開発・実施を目的として、「地域依存症対策推進モデル事業」など、地域における依存症対策の推進を図っています。

自殺未遂者対策

自殺未遂者は、実際に自殺企図を行っているという点で最も自殺のリスクの高い者と考える必要があり、十分なケアが必要です。
救命救急センターに搬送された自殺未遂者に対して精神医学的評価に基づくケース・マネージメントを実施し、その有効性を検証する研究を実施しました。
「自殺未遂者・自殺者親族等のケアに関する検討会」を開催し、自殺未遂者が再企図しないために必要な支援等について、有識者の意見をとりまとめました。
研究で蓄積された自殺未遂者対応に関する現場でのノウハウや、この検討会の報告を基に、救急医療従事者に対して自殺未遂者ケアに関する研修会を厚生労働省と日本臨床救急医学会との共同開催で実施する等、救命救急医療現場における自殺未遂者への対応技術の普及を進めています。
また、厚生労働省の研究班と日本精神科救急学会との協同で「精神科救急医療ガイドライン-自殺未遂者対応」を作成し、精神科医療従事者に対する自殺未遂者ケアに関する研修会を厚生労働省と同学会との共同開催で実施する等、精神科医療の現場についても自殺未遂者への対応技術の普及を進めています。

職場のメンタルヘルス

職場のメンタルヘルスや自殺対策が重要な課題となっている中で、様々な支援事業の活用を図りつつ、事業場に対する指導、業界団体等の自主的活動を促進する等メンタルヘルス対策の強化を行っています。
「職場における自殺の予防と対応」(自殺予防マニュアル)を改訂し、うつ病の症状や早期発見のための方法、産業医や専門医へ紹介する時期、方法等の内容の充実を図り、リーフレットによるこころの健康に関する情報、ストレスチェックシート、メール相談の案内等の周知のほか、自殺等にかかわる悩み、不安等の相談に対し、カウンセラーによるメール相談を実施しています。また、メンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」を設置し、事業者、産業保健スタッフ、労働者やその家族等に対してメンタルヘルスに関する様々な情報を提供しています。
このように、労働者のメンタルヘルス対策が重要な課題となっている中で、労働者のメンタルヘルスの不調の未然防止を図るため、ストレスチェック(心理的な負担の程度を把握するための検査)の実施を事業者に義務付ける(ただし、従業員50人未満の事業場については、当分の間努力義務)こと等を内容とする改正労働安全衛生法が26年6月に公布され、27年12月から施行されました。

民間団体の活動に対する支援

「いのちの電話」をはじめいくつかの民間団体において、自殺を防止するための電話相談活動などが行われています。「自殺防止対策事業」の中で、ボランティア等で先駆的・試行的な自殺対策の取り組みを行う民間団体に財政的支援を行っており、相談員に対する研修、フリーダイヤル電話相談の実施等の事業を行う複数の団体がその対象となっています。



政策の方向性

厚生労働省では、自殺・うつ病対策プロジェクトチームを立ち上げ、5回にわたり有識者の方々からのヒアリング及び議論を行うとともに、人口動態統計など、自殺に関するデータの分析等を行い、報告をとりまとめました。
まず、「いのちを守る」というメッセージを発し、「支えられている」という安心感を持っていただけるよう、普及啓発の重点的実施として、キャンペーンの実施やウェブサイトの充実などにより、当事者の気持ちに寄り添ったメッセージを発信していきます。
自殺の実態の分析からは、自殺には多くの要因が関連しており、中でも、無職者、独居者、生活保護受給者等は自殺のリスクが高いことが分かりました。
ゲートキーパー機能の充実と地域連携体制の構築として、ハローワーク等での相談・支援体制の強化など、精神疾患を有する生活保護受給者への相談支援体制の充実などにより、悩みのある人を、早く的確に必要な支援につなぐことを目指します。
職場におけるメンタルヘルス対策・職場復帰支援の充実として、職場におけるメンタルヘルス不調者を把握する方法や、職場での支援体制の強化について検討するほか、産業保健スタッフの養成や職場環境のモニタリングなど、一人ひとりを大切にする職場づくりを進めます。
自殺の背景には、うつ病をはじめとする様々な精神疾患が関連することが多いといわれていますが、治療を受けていない方々も多くいます。アウトリーチ(訪問支援)の充実として、一人ひとりの身近な生活の場に支援を届けます。
また、精神科医療の改革と診療の質の向上も求められており、精神保健医療改革の推進として、認知行動療法の普及や自殺未遂者に対する医療体制の強化など、質の高い医療提供体制づくりを進めています。
このような対策を通じて、誰もが自殺に追い込まれない社会の実現を目指していきます。


法令・通知、資料など

 

 

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