家族や友人が統合失調症になったとき

息子が統合失調症になった母親の経験 (息子22歳・建築業 母47歳)

息子は高校を2年で中退し、夫と同じ建築業の仕事についた。夫が息子を現場につれていって仕事を教え、それなりに真面目に働いていた。

20歳で初めて大きな仕事場を経験したとき、同年代の同業者と自分の技術を比較して「自分の技術は低いかも」と気にするようになった。 「これまでアパートや中低層マンションなどの仕事ばかりで、高層オフィスビルの仕事は初めてなんだから、知らないことがあって当たり前。経験を積めば大丈夫」と、何度も励ました記憶がある。

その頃から「周囲の人に自分の情報がもれている」などと言うようになったが、あまり気にしていなかった。すると、自室のドアのすき間やカギ穴にガムテープを貼り、窓にはダンボールを貼りつけ、密閉してしまった。

なぜこんなことをするのか、と聞くと、仕事仲間が息子について「背中にアザがある」「小学生のときは太っていた」など、他人が知るはずもないことを、コソコソと話しているから、のぞかれないようにしているのだと言う。

そのうち、隠しカメラがあるかもしれないと言い出し、壁にも厚い布を張るようになり、仕事にもいけなくなってしまった。眠ると頭の中がのぞかれてしまうからと、コーヒーを何杯も飲んだりして、追い詰められた表情をしている。

「このままでは体をこわすから」と病院につれていき、治療が始まり、2週間くらいたったとき「もう緊張しなくなった。仕事に集中できている」と、元気そうに話しだした。

「いろいろ感じても、そんなことはない、と言い聞かせて気にしないことにした」とのこと。

回復してきても、治療はまだ続けなくてはならない。長いつきあいになる病気だということなので、病院の勉強会にも通っている。

家族も病気についてよく理解して

統合失調症がどんな病気なのか知らないと、仕事に行けないのが病気の症状によるものだと理解できず「なまけている」などと叱って、患者さんの苦しみを増してしまいます。家族向けの勉強会に出たり、本を読んだりして、症状や治療についての知識を身につけておくとよいでしょう。

できる範囲で治療の援助をする

薬の飲み忘れがないように気をつけてあげたり、受診につきそって家庭での様子を医師に伝えたりといった家族の援助が回復の助けとなります。

自分を追い詰めない

家族が病気になると献身的に看病をしすぎて無理をしてしまいがちですが、あまり自分を犠牲にしすぎると患者さんも負担に感じるかもしれません。自分の時間を大切にしてリラックスすることも大切です。
「とてもそんな気持ちになれない」という場合は、家族会に参加して、同じ立場の人と話をしてみませんか。それもつらくてできないという場合はカウンセリングを受けて自分のこころをケアすることも考えてみませんか。

気をつけたいこと

統合失調症の人は対人関係に敏感なので、次のようなことをこころがけましょう。

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