こころの病気を知る

うつ病

一日中気分が落ち込んでいる、何をしても楽しめないといった精神症状とともに、眠れない、食欲がない、疲れやすいなどの身体症状が現れ、日常生活に大きな支障が生じている場合、うつ病の可能性があります。うつ病は、精神的ストレスや身体的ストレスなどを背景に、脳がうまく働かなくなっている状態です。また、うつ病になると、ものの見方や考え方が否定的になります。うつ病かなと思ったら、自己判断をせずに、総合病院の精神科や心療内科、精神科のクリニックなどに相談しましょう。内科などのかかりつけの医師に相談したり、保健所や精神保健福祉センターの相談窓口を利用することもできます。うつ病を克服するためには、早めに専門家に相談し、しっかりと休養をとることが大切です。


「うつ病」とは

うつ病は、気分障害の一つです

うつ病は、気分障害の一つです。一日中気分が落ち込んでいる、何をしても楽しめないといった精神症状とともに、眠れない、食欲がない、疲れやすいといった身体症状が現れ、日常生活に大きな支障が生じている場合、うつ病の可能性があります。気分障害には、うつ病の他に、うつ病との鑑別が必要な双極性障害(躁うつ病)などがあります。うつ病ではうつ状態だけがみられますが、双極性障害はうつ状態と躁状態(軽躁状態)を繰り返す病気です。うつ病と双極性障害とでは治療法が大きく異なりますので専門家による判断が必要です。

発症の原因は今のところわかっていません

発症の原因は正確にはよくわかっていませんが、感情や意欲を司る脳の働きに何らかの不調が生じているものと考えられています。うつ病の背景には、精神的ストレスや身体的ストレスなどが指摘されることが多いですが、辛い体験や悲しい出来事のみならず、結婚や進学、就職、引越しなどといった嬉しい出来事の後にも発症することがあります。なお、体の病気や内科治療薬が原因となってうつ状態が生じることもあるので注意が必要です。

うつ病は、100人に約6人がかかる病気です

日本では、100人に約6人が生涯のうちにうつ病を経験しているという調査結果があります。また、女性の方が男性よりも1.6倍くらい多いことが知られています。女性では、ライフステージに応じて、妊娠や出産、更年期と関連の深いうつ状態やうつ病などに注意が必要となります。

 

うつ病のサイン・症状

気分が落ち込む、楽しめない、悪いほうにばかり考えてしまう

一日中気分が落ち込んでいる、何をしても楽しめないといった自覚症状が続いている場合、うつ病の可能性があります。気分が落ち込むような明らかな原因が思い当たらないことも少なくありません。また、原因と思われる問題を解決しても気分が回復せず、日常の生活に大きな支障が生じることがあります。うつ状態では、物事の捉え方が否定的になります。そのため、自分がダメな人間だと感じてしまうこともあります。そして、普段なら乗り越えられる問題も、実際よりもつらく感じてしまうという悪循環が起きてしまいます。イライラしたり、焦る気持ちも出てきます。重症になると「死んでしまいたいほどの辛い気持ち」が現れることもあります。うつ病かなと思ったら、早めに専門家に相談することが大切です。

周囲の人にもわかるうつ病のサイン

うつ病では、自分が感じる気分の変化だけでなく、周囲からみてわかる変化もあります。周りの人が「いつもと違う」こんな変化に気づいたら、もしかしたら本人はうつ状態で苦しんでいるのかもしれません。

  • 表情が暗い
  • 自分を責めてばかりいる
  • 涙もろくなった
  • 反応が遅い
  • 落ち着かない
  • 飲酒量が増える

身体に現れるうつ病のサイン

うつ病の精神症状に気づく前に、身体の不調が現れることもあります。

  • 食欲がない
  • 性欲がない
  • 眠れない、過度に寝てしまう
  • 体がだるい、疲れやすい
  • 頭痛や肩こり
  • 動悸
  • 胃の不快感、便秘や下痢
  • めまい
  • 口が渇く

 

うつ病の治療法

うつ病は、しっかりと休養をとることが大切です

うつ病の治療を考える前に、まず、心身の休養がしっかりとれるように環境を整えることが大事です。職場や学校から離れ自宅で過ごす、場合によっては、入院環境へ身を委ねることにより、大きく症状が軽減することもあります。精神的ストレスや身体的ストレスから離れた環境で過ごすことは、その後の再発予防にも重要です。うつ病の治療には、医薬品による治療(薬物療法)と、専門家との対話を通して進める治療(精神療法)があります。また、散歩などの軽い有酸素運動(運動療法)がうつ症状を軽減させることが知られています。

薬物療法

主に使われる治療薬は抗うつ薬です。抗うつ薬は、継続して服用する必要があり、服用を開始してもすぐに効果が現れません。主治医の指示に従い、自分の判断で薬の量を増やしたり減らしたり中断したりせず、焦らずに服薬を継続してください。副作用を最小限にするためにも、主治医との良いコミュニケーションが大事です。また、うつ病では様々な身体の症状も現れますので、その症状に応じた治療薬を併用することもあります。

精神療法

精神療法には、支持的精神療法と呼ばれる基本的な治療法に加えて、認知行動療法や対人関係療法などのより専門的な治療法があります。

その他の治療法

その他のうつ病の専門的治療法として、高照度光療法、修正型電気けいれん療法、経頭蓋磁気刺激法などが用いられる場合もあります。

治療の不安や疑問は主治医に相談しましょう

治療を進めるうえで不安や悩みを持ったら、主治医に相談しましょう。何でも相談できる関係を主治医ともつことはうつ病治療の第一歩です。場合によっては、主治医以外の専門家の意見を聞くことも考えます。これをセカンドオピニオンといいます。複数の専門家の意見を聞くことが納得のいく医療を受ける手だてになることもあります。