定例事務次官記者会見概要

(H19.04.05(木)14:34〜15:00  省内会見場)

【広報室】

《次官会議等について》

(次官)

今日は当省関係の案件はございませんでした。質問があればお受けしたいと思います。

《質疑》

(記者)

本日ですね、熊本市から申請のあった赤ちゃんポストについて市の方で認可ということですが、許可するという方向を決めたということだと思うんですが、これに対する評価をまずお聞かせ下さい。

(次官)

私どもは、現時点では決めたという報告はまだ受けておりませんが、もし、そのような方針が決められたのであるとすれば、もとより、私どもとしてこの問題については病院で安全措置等がきちっとなされておるということすべて含めまして、認めない合理性はないという認識を示しておりましたので、お子さんを捨てるということは一般的には決してあってはならないという中で、そういうご判断をされたものと認識いたします。しかしながら、私どもは本当にこのようなことがあってはならないという考え方は一切変わっておりません。私どもは、もし、そういう判断が行われたということであれば、全国に向けてまずもって十分そのようなことがないように相談体制を整備する、本当にそういうことについて相談を受けられる体制を徹底整備する、あるいは、若い方々が赤ちゃんにもっと触れて、触れ合って、命というものを大切にするという運動をもっと強化していく、こういったことを全国民に対して通知をさせていただきたいというような気持ちでおります。

(記者)

通知を出すと。

(次官)

ええ。私どもとしてはもし、そのような判断をされたのであれば、本当にこういうことは原則あってはならないことなんだということを基本とする考え方を全国に通知で発出させていただきたいと思います。

(記者)

現地で今日3時から地元で発表、市の方であるということですけど、本日中にその通知は出されるということですか。

(次官)

もし、そういうことであればそれを受けた通知ということで原局で検討していますので、本日中にそれを出すことになると思います。

(記者)

次ですが、昨日、大臣と日本医師会の会長が会談をされたと、開業医の救急や夜間診療ついての協力を要請されたということのようですが、どういう会談だったのか、内容等差し障りのない範囲で。

(次官)

詳細はまだ報告を受けていないのですけれども、医師不足問題を巡る議論が中心であったと聞いております。例えば、小児科が大変大きな問題となっておりますけども、急性期の病院の小児科勤務医不足が大変大きな問題となっておりますけど、結局急性期の病院の救急医療の9割が軽医療、軽い医療で開業医の方が対応できるような内容のものであるという状況を念頭におきまして、大臣の方からは、もっと開業医の方が時間外の診療を行っていただくことが大切だと、あるいは、これからはまず一次的な医療の対応というのは、開業医の方がまず対応をして、そして、必要なときに病院に行っていただくというのが一つの流れですので、総合的な観点から診られる開業医というものを育てていただきたいと、このようなお話を大臣がされたと聞いております。詳細は、議事録ベースでの報告はまだ受けておりませんので、そのようなお話を大臣がされたと聞いております。そのような観点から、日本医師会と大変意義のある会談であったと聞いております。

(記者)

大臣からの要請を受けて先方はどのような回答をされたのですか。

(次官)

そこまではまだ聞いておりません。

(記者)

赤ちゃんポストの話ですが、先ほど通知とおっしゃいましたが、具体的にどういう通知をお考えですか。

(次官)

基本的には、まず、私が今承知しております内容は、今回認可されたという事実が確認できれば、認可されたという、事実があったことを機に、お母さんが赤ん坊を捨てるということがあってはならないことであるという認識をまず示すことが大切だと。そして、まず、そういうことが起こらないように、そのような不幸な状況になっている方々に対して、常に相談窓口を開いて相談体制を確立すべきである。それから、そもそも、お子さんの命を大切にすると、赤ちゃんの命を大切にすることが基本であって、そのような気持ちが皆の心に染み渡ればそういうことは起こらないわけですから、今でも中高生が赤ん坊と触れ合う事業を促進するような、これからの若い方々が子供あるいは命を大切にするということを普及するような事業を行っていますけどそういうものをさらにさらに徹底して欲しい。そのようなことをお願いする通知を発出する予定でございます。

(記者)

それはどこに向けて発出するんでしょうか。

(次官)

基本的には都道府県経由だと思いますが、それがどこどこになるかということは、恐れ入りますが原局から聞いていただきたいと思います。

(記者)

赤ちゃんポストの法的解釈については、ただちに関係法律に違反しているとは言えないというのが皆さんの見解でしたけど、それはお変わりないですか

(次官)

ええ。この医療法の法解釈として認めない合理的理由はないという解釈には変更はありません。

(記者)

関係法律というのは、医療法だけでなくてですね。

(次官)

もちろんそうですが、基本的には医療法を解釈する上で、関係法令に違反しているかどうかということを含めています。

(記者)

今後、どういうことが起きたら何か法律で規制するとか、そのようなことが起きる予想は・・・

(次官)

これはそもそも、お子さんをどこかに置いていくということは大変危険な行為であってですね、それは個々の問題であって一般論的にこの件についてどの対処がどうだということを今明らかにすることはできないし、また、そのような議論を今するようなものではないと思います。

(記者)

文書の中で赤ちゃんポストを設置するような施設を今後出てこないようにというようなお願いも触れられるのでしょうか。

(次官)

私どもの出す通知の趣旨は、こういうことを一般化するという趣旨ではないという気持ちを持って発出しようとしております。

(記者)

C型肝炎訴訟に関連してなんですが、先月の30日に安倍総理から下村官房副長官の方に救済策の検討をということで指示があったと思うんですが、その後の検討は今どういう状況にあるのかを知りたいんですが。

(次官)

何よりも一般的な対策を充実することが裁判とは別に大切だというお考えを総理はお持ちだという認識を私どもは持っておりまして、例えば、19年度予算でも検査体制の強化、診療体制の整備あるいは治療方法の研究開発といったことを相当大幅に拡充する体制を行っているところでありまして、私どもとしてはそのような一般対策を積極的に進めていくということが必要であると受け止めております。

(記者)

治療費の補助に関してはどうですか。

(次官)

私どもは、これについてはなかなか大変難しいことであると考えております。

(記者)

もう一度その理由をお聞かせいただけますか。

(次官)

基本的には、例えば、難病の場合は治療方法が確立していないというようなことでありますとか、高額療養費の場合は極めて長期にわたって、一生ですね、治療が必要であるとかですね、そういったような要件からいろいろな体系があるわけですが、このC型肝炎に係る病気というものは、治療法は他の病気と比べて同じように確立されております。それから、一生長期にわたり、一番の例はHIV、それから、人工透析ですけれども、こういうものにも該当しないということで、なかなか対応が難しいというのが、私どもの考え方でございます。

(記者)

タミフルなんですけれども、昨日、128例の副作用報告が厚生労働省の方の精査で明らかになったんですが、それについてのご感想とこれまでの対応について、改めてお伺いしたいんですけれども。

(次官)

私ども、原局の方で、これまでの副作用情報というものを、異常な行動という視点にたって整理をいたしまして、そして、整理をしたものを出させていただいたわけでございます。これについて、私が受けております報告は、タミフルの異常な行動との因果関係については、さらに十分な検討が必要ということとされ、当面の対応としては、これまでの対応をさらに徹底することが必要であると、その場合に、医療従事者に対して、これまでも使用上の配慮というものを示させていただいているわけですけれども、これについて徹底的に周知していただくということと、それからもう一つは、患者、家族等へのインフルエンザのいわば基礎知識というものを普及するべきだと、これはあえて申しますと、インフルエンザというのは、大多数の方では特に治療を行わなくても約一週間で自然治癒をすると、一方において、乳幼児、高齢者、基礎疾患を持つ人では、気管支炎、肺炎などを併発したり、基礎疾患の悪化を招いたりするなどして、最悪の場合死に至ることもあると、こういう通常の風邪ではない病気でございますが、そのようなことをご家族にも知っていただく、そして、医療機関、医療従事者と親御さんといった当事者と十分な話し合いをしていただくということを、周知、徹底するべきであるということが示されておりまして、私どもはそのことに努めたいと思います。

(記者)

具体的に何か周知の方法というのは考えていらっしゃるんでしょうか。

(次官)

より周知できるように、今担当局で検討していると思います。本当によく皆様に届くようにしたいと思います。

(記者)

原爆症認定に関してなんですけれども、昨日、原爆症認定訴訟の東京の原告が、下村官房副長官と面会して、その中で、認定制度の抜本的な改革等を厚労大臣に指示するように求めたと思うのですけれども、そのあたりの指示は。

(次官)

この原爆関係の指示は、直接には受けておりません。私ども、この原爆の対応については、従来から各地裁の判決がまちまちであると、そういう観点から、統一されたものではありませんし、それから、事は基本的に科学的な因果関係の問題であると、したがって、これについては、私どもはきちんと控訴をして、精査をいただくという問題であるという認識は変わっておりません。そういう下で、私どもは原爆に遭われた方々については、基本的に、まず医療費は無料、そして、健康管理手当が月3万3千円でるという中での話ということで、こういう一般対策というものをきちんと進めていくということが大切であるという認識で対応してまいりたいと思います。

(記者)

赤ちゃんポストの件で、繰り返しになるんですが、施設としてはやはり歓迎されるような施設ではないというお考えなんでしょうか。

(次官)

私どもは、一般的にこういうことはあってはならないと、一般化するという問題ではないと考えています。

(記者)

次官がおっしゃっている「あってはならない」というのは、お子さんをご両親が捨ててしまう話ももちろんあってはならないことだし、こういうふうな施設ができることもあってはならないということ・・・

(次官)

一般化されるべき問題ではないと思います。

(記者)

それは、「あってはならない」というのは、そこじゃなくて・・・

(次官)

一般化されるべきではないということであって、個々の事象に対して、ぎりぎりの判断として、こういうことがあるということを、結果として、私どもは法解釈は全く同じでございまして、その中で、運用権者である熊本市が判断されたことについて、今言ったような考え方を示そうとしているわけです。

(記者)

被用者年金一元化の関連法案なんですが、与党内の手続きは終わっていて、明日6日にも閣議決定というふうな見通しだと思うんですが、今日の事務次官会議にかかっていない、遅れている理由と、閣議決定の見通しいつごろになるかについてお願いします。

(次官)

これは、厚生年金保険法等の公的年金法と、それから、各共済法との調整を伴う膨大なる改正条文でございまして、本当に条文ミスというものはあってはならないということで、徹底した、今最後のそういうミスがないかどうかを精査しておりまして、そのような観点から、13日金曜日閣議決定を目指しております。

(記者)

看護師の内診の問題なんですけれども、3月30日に局長名で通知が出されまして、内診という言葉できちんと書かれていなかったということもあると思うんですが、産婦人科医会の方が、内診が看護師によって認められるというような内容のガイドラインを出されました。厚生労働省の立場としては、看護師による内診は認められないということで、産婦人科医会の方にガイドラインの削除を求めたという経緯があるように聞いているんですが、局長通知を出されたことによって、解釈をめぐって混乱が起きているということで、もう一度きちんとわかりやすいような通知を出し直したり、そういうお考えというのはないでしょうか。

(次官)

私どもはこれは、医師、助産師、看護師等のお互いの役割分担というものを明らかにして、連携を深めてほしいという趣旨で出したわけでございます。そういう中で、これは看護師等が分娩の進行管理を自ら行うようなことはあってはならないという前提に基づいていて、これが内診を認めるということではないという認識を明確に持った上の通知でございまして、この点、解釈として、残念ながら大変な誤解を受けたということで、この通知を変える必要はないと考えております。しかしながら、私どもがこの通知を出しました趣旨は、やはり、医師、助産師、看護師の関係、役割分担を明らかにし、特に、医師、助産師の関係というものが、本当に円満で円滑であってほしいと、そういう中で、私どもとしては、もちろん助産所というものもがんばっていただきたいわけですが、例えば、院内助産、あるいは院内助産外来といった、国民の皆様が安心のできる、しかも、医師、助産師がそれぞれの役割をしっかり果たして、そして、より大きく言えば、医師不足にも寄与していくといったような、そういったような観点から、この三者の関係を明らかにすることが必要だということで、このような三者の関係が明らかにされ、分担が進み、そして、お産というものが安心してできるような環境がさらに整っていくようにということを願って出したものでございまして、この通知を変えるという必要性を今感じておりません。

(記者)

雇用保険法の改正案の成立がずれた、年度内にできなかったという問題なんですけれども、大臣は国会で処分をしますということで明言されていたかと思うんですが、その状況と、結局現時点で、その理由、なぜああいうミスが起こったのかという分析は、どういう結果になっているんでしょうか。

(次官)

この点については、このようなことが起こった経過の分析、評価、それから、再発防止、それから、もとより処分、一体のものとして最終精査中で、本日中にも公表させていただきたいと思いますので、その時に、全体を明らかにさせていただきたいと思います。

(記者)

タミフルの寄付の問題なんですけれども、先週の金曜日に疫学調査の研究班の3人の先生方が除外されるということがありましたし、また、その後も、薬食審で因果関係に否定的な見解を述べていた先生が奨学寄付金を受け取っていたというような報道も出ています。大臣の方からも、ルールが必要だという発言が、確か安倍総理からもそのような指示があったというようなこともあったと思うんですけれども、具体的に今後どういうルールというのを考えておられるのかという部分で、何か今の時点でお話しできることはございますでしょうか。

(次官)

いずれにいたしましても、この問題は、公的な資金が入った研究というものと、その研究に携わる人に対する関係企業からの研究なりなんなりの寄付金というものが交差することについての問題点だと思います。これについては、薬の問題だけではなくて、おそらく、様々な公的な研究が行われる中で、関係企業との関係というものを、関係企業からの寄付というものの関係をどう整理するのかということについて、十分全体をよく把握し、あるいは、内外の状況も把握し、と言いますのは、結局、本当に我々痛感していることですけれども、公的な研究の信頼性というものを損ねてはならないと、一方において、例えば、大学といった研究の場に対して、これからはイノベーションを進めようという意味で、民間との関係というものも、よい意味でイノベーションを進めるために、これからはよい連携を進めていくようにという流れもあるという中で、このルール作りというのは、本当によく詰めた上で決められるべきだと、そのような観点から、一方において、まさしく調査結果の透明さが、安全性に関わる調査結果が陰りがないように、そういうような観点から、どのようなルールがよいのかというのを、しかるべき場できちんと詰めていただきたいと考えております。

(記者)

厚生労働省だけにとどまる話ではないということですか。

(次官)

この問題については、厚生労働省として責任ありますので決めますが、やはり決める時には、全体をよくにらんだ、チェックをした上で決めるということも大切だという意味でございます。

(記者)

チェックというのは。

(次官)

要するに、今言ったような一般的な、公的な研究と公的な研究に関わる利害、何というか、関係する企業からの寄付とが交差するという問題については、厚生労働省だけでない面もありますので、その面も目を配りながら、厚生労働省として厚生労働省の方針を決めねばならないと、こういう意味で、厚生労働省としてその方針を決めなくてはいけないと思っております。他がこうだからやらないという意味ではないということであります。

(記者)

他の省庁とということですか。

(次官)

いやいや、そういうこともちゃんと研究した上で、大学はいろいろなところでいろいろな流れがある中で、この部分も位置づけられているはずですから。

(記者)

それは厚生労働省として決めるということですか。

(次官)

当然です。それは私どもとして決めますが、ただ、そのこともよくにらんだ上で、今言った二つの要請が本当に成り立つのは何かというのは、やはり十分な検討が必要だと思います。

(記者)

しかるべき場でルールを作るというのは、役所の中の、内部の人間だけではなくて、外部の識者の方も交えてということだと思うんですけれども・・・

(次官)

外部の識者の中で検討するという形をとるべきだということで検討しております。

(記者)

そうすると、タミフルの問題で新たに出てきたので、解決するにもそれほどゆっくりするような問題ではないと思うんですけれども、次官の考えとしては、早々にもそういう場をつくるということですか。

(次官)

そういう場で、議論そのものは透明に行われなければいけないと思いますので、早く、そういう場で議論する体制をとるということを急ぎたいと思います。

(了)


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