定例事務次官記者会見概要

(H18.05.25(木)14:05〜14:29  省内会見場)
【広報室】

《次官会議等について》

(次官)
 本日の事務次官等会議ですが、厚生労働省関係では、明日の閣議で正式決定され、閣議終了後公表ということでありますが、母子家庭の母の就業支援施策の平成17年度の実施状況と平成18年度の就業支援施策についてという案件がありました。それから、二橋官房副長官からのお話ですが、6月8日から15日まで、天皇皇后両陛下がシンガポール国及びタイ国をご訪問されるという話がありました。以上です。


《質疑》

(記者)
 社会保険庁の問題ですが、3月に京都で最初に不正の事例があった時に、全国調査をされて、それでもその時にきちんと把握できていなかったということで、5月に再度調査をされて、昨日の委員会でも、これ以外ないかとの質問に対して、長官はないと信じたいとおっしゃっていたのですが、二度の調査にもかかわらず、今五月雨式に各地で他にもありましたという事例が出てきているのですが、こういう事態をどのようにご覧になっているかということと、この間、社会保険庁はいろいろな問題を受けて、いろいろな改革をしてきたはずなのですが、にもかかわらずこういうことがまた起きていることについて、どのように思われるかご所見を伺えますでしょうか。

(次官)
 一つは、今お話しのように、今年の2月に京都の社会保険事務所で、免除関係の数値が異常な動きを示しているということで、どういうことが原因なのかということを調べたところ、免除の処理を巡って、国民の方との間に混乱があって、それを処理するために免除の取り消しをしたということが判明したのが、私どもで免除を巡るいろいろな問題が起きているということを承知した発端であります。他にもこういった事案があるということになりますと、年金に対する国民の方々の信頼を大きく損なうし、それから、やり方が、例えて言えば、マラソンコースの42.195キロをきちんと走るべきところを近道を通ってゴールに辿り着こうとしたようなもので、やはり適切でないことであるし、社会保険庁でいろいろ不祥事が重なった中で、もう一度生まれ変わろうということで取組んでいる中で、こういったことがあるというのは、大変由々しき問題だということで、何度かに渡って調査を行って来たわけです。そういった中で、大阪ですとか、東京ですとか、あるいは、長崎ですとか、そういった所で、免除の処理について、ご本人の意思を十分確認し、あるいは、ご本人から、免除の申請書をきちんと提出してもらって処理するべきところ、その辺りの手続き面で、不適切なことがあったということであります。もう一つは、調査の過程で、何度か調査をしないと不適切な処理をしていたという事実を明かさなかった事務所や事務局があったということは、大変遺憾なことであるし、残念なことであるというふうに思っております。平成16年以来、保険料の無駄遣いですとか、あるいは、個人情報の違法な閲覧ですとか、いろいろな問題が起きて、社会保険庁の体質から改めていこうと、膿は十分出し切って、新たに組織を生まれ変わらせようというふうに思っていたところ、なおそういった相変わらずの内向き体質というか、相変わらずの独りよがりの考え方がまだ残っているのだとすると、これは大変残念なことであると思っております。
 これまで、年金制度に対する国民の方々の信頼を回復しよう、それから、国民の皆さんに対する社会保険事務所のサービスを向上しよう、納付率を高めていこうなどということで民間から村瀬長官をお迎えして、村瀬長官を先頭に取組んできたところでありまして、そういった中で、納付率も着実に向上し始めている、それから、社会保険事務所での年金相談の長時間の待ち時間もだいぶ解消してきている、いろいろな意味で改善が進んできているわけで、これ自身は方向として正しい方向を走っていると思っていますが、それを進める中で、第一線での事務の進め方について、いろいろな問題が出てきたということであろうと思いますので、こういった問題を一つ一つきちんと処理をしていくということと併せて、国民の方の不信感を払拭するためにも、調査を徹底的に行って、他に問題がないのか、あるいは、他の事務局や社会保険事務所で類似の事例がないのかということをさらに徹底的に調査をして、改めるべきものはきちんと改め、問題を起こした、適切でない行為を行った職員については、厳正に処分をするということが必要であろうと思っております。
 これまで、三度くらいに渡って具体的に社会保険庁から、それぞれの社会保険事務局長あるいは社会保険事務局に対して報告を求め、調査を行ってきたわけですけれども、さらに徹底的に調査をしようということで、今日中にも徹底的な調査について指示をしたいと思っております。国民の方の意思確認をどういった形で取っていたのかというような具体的な事実ですとか、免除の申請書がきちんと出されているのかどうかとか、そういった個々具体的なことについて、社会保険事務局長が、一人一人の社会保険事務所長と一対一で面談して、具体的かつ詳細に事実を掌握しろといった指示を出そうと思っております。今週の土曜日、明後日ですけれども、明後日の午後に緊急社会保険事務局長会議を開くということにしたいと思っておりまして、それまでに47社会保険事務局長から、調査の結果を報告させて、とるべき是正策それから、その後の処分の仕方を検討していきたいというのが、今の状況です。

(記者)
 五月雨式に出ているわけですが、現時点で次官が把握している範囲で結構ですが、問題があるのは何か所で、それはどこなのでしょうか。

(次官)
 現段階で私どもが把握しているのは、既に報道されているところでありますけれども、東京、これは中野の社会保険事務所であります。それから、三重県内の社会保険事務所です。それから、大阪府内の社会保険事務所、それから、長崎県内の社会保険事務所と、こういうことだろうと思います。その他にも報道されている事案が見られるわけで、それを今詳細に調査をさせているところですけれども、現段階で私が報告を受けている状況というのは、お一人お一人に免除についての意思を確認せずに免除の手続きをとっているケースと、それから、免除の手続きをとった後に個々の方々の意思を確認して、免除の申請書を出していただいて処理をしているというところと、それから、ご本人に電話等で、ご本人の免除の意思を確認して免除をしたいという申し出のあった方々について、ご本人の了解の上で事務所の方でご本人に代わって申請の手続きを進めているというケースなど、いろいろなケースが見受けられるわけで、いずれも、ご本人がなかなかつかまらない、電話で連絡してみたり、あるいは、手紙を本人の住所に送ってみたり、あるいは直接お住まいまで訪ねて行ったり、いろんな苦労を重ねていった末に、それでもなかなかご本人と連絡が取れない、という状況の中で、配達証明付きの郵便なり、あるいは、一般の郵便でご本人に免除の手続きをとらさせていただきます、もし免除をすることを希望でない場合はご連絡下さいと、こういう格好で進めてしまったところも一方にあるわけですけれども、中にはご本人の確認を得ながら、ご本人が同意された場合について、社会保険事務所の方で、事務を代行してやっているというケースもあって、社会保険庁に私が指示をしているのは、一体どこまでが法律上、あるいは通達上合理的な範囲で、どこからが法令に違反している、通達違反なのかという点を明確にする必要があるのではないか、その辺りがどうも明確でない部分があって、そのために第一線の取扱いで、法令違反とも思われるようなことまで行っているところと、法令違反になるかどうなのか分からないような微妙なところで処理しているところと、いろいろなことが起きているんじゃないかと思うので、そういった意味では、やはり、社会保険庁自身がこの問題の取扱いについての明確な方針を出すということも重要なのではないかというふうに思っています。

(記者)
 現時点でその方針等というのは、まだ固まっていないのでしょうか。

(次官)
 今検討させています。

(記者)
 仮に、これが違法であるというふうに判断された場合ですけれども、これは免除対象から外す。

(次官)
 基本的には、免除の手続きというのは、ご本人から申請書を市町村に出していただくというのが基本で、ただ、特別な事情がある場合、例えば、社会保険事務所の方が交通の利便があるとか、その他にもいろいろな事案があると思いますけれども、そういった場合は社会保険事務所の方に申請書を出していただくということなので、基本は、ご本人から免除申請書を出していただくということになっていると思います。ですから、免除申請書を、今それぞれの社会保険事務所でご本人に連絡をとっているんだと思いますけれども、ご本人が免除を望まないということであれば、それは免除を取り消していくということだろうと思いますし、それから、もう一つは、これからの解釈ですけれども、ご本人に代わって、ご本人の同意の上だと思いますが、社会保険事務所の方で事務手続きを代行したというふうなことについてご本人の意思というのを電話で確認するだけでいいのか、あるいは、文書による確認をきちんととるのか、あるいは別の形で確認をとるのか、この辺りをきちんと整理をして、それに該当しないようなものについては、ご本人のご意思をさらに確認した上で、ご本人が望まないのであれば、免除を取り消すということになると思います。

(記者)
 その辺の整理が済むまでは、いわゆる収納率の集計というのは、凍結みたいな形になるんでしょうか。

(次官)
 これは、おそらく収納率について、毎月毎月の月次の報告というのは、これは来るんだろうと思いますので、これは来るということですけれども、おそらく確定値にならずに、とりあえずの集計値という形での取扱いになると思います。とにかく、収納率を高めていくということが、国民年金に対する国民の方々の信頼感の向上、それから、国民年金制度の安定的な運営という意味ではやはり必須の事項でありますから、ここは停滞させてはいけないので、きちんと進めていくということだろうと思います。

(記者)
 発生の件数と全国的な広がり具合を見ると、これはかなり組織的なものではないのかなという気がするんですけれども、次官はその辺のところでのご認識はいかがですか。

(次官)
 これは、それぞれの事務局によって、ほとんどの社会保険事務所が同じことをやっていた局、それから、全ての社会保険事務所が同じことをやっていた局、それから、ごく一部の社会保険事務所がやっていた局と、いろいろありますから、それぞれの局によって事情は違うんだろうというふうに思いますけれども、この辺りも十分これからさらに調査をしないといけませんけれども、現段階で社会保険事務局と社会保険事務所とが組織的にというか、合意の上でやっていたことは全くなかったという状況とは言えないところはおそらくあるんだろうというふうに思います。あとは見ていると、社会保険事務所間でどこかの事務所がそういった取組みをしたので、それを参考にして取組んできたと、こういうところもあるということで、それぞれの事務局、事務所によって、様々なんだろうと思います。ただ、組織的であるかどうかということも非常に大きな問題ですから、その辺りもきちんと調査をさせないといけないというふうに思っています。

(記者)
 今まで社会保険庁として、収納率を上げるために、分母対策分子対策の両方やってきたわけですけれども、この方針について今後何らかの変更というのはあり得ると思いますか。

(次官)
 収納率を高めるためには、二つのやり方があるわけで、一つは、一人でも多くの方に保険料をきちんと納付していただくということで、未納の方々に対しての納付を促していく。それからもう一つは、所得のない方、あるいは所得水準の低い方については、免除制度を活用して受給資格期間の面や、あるいは、将来年金を受給する場合の年金の受給額など、そういったことで免除の方が有利であるということもあって、免除も勧めるというのも受給者の方のためにもなるわけですから、両輪でいくということだろうと思います。ただ、正直言って、国民年金の未納の方々の未納の解消というのも非常に難しいし、ご本人と連絡がうまく付けられるように勤務時間中はもちろんですけれども、勤務時間外や日曜日など、土曜日、日曜日もご本人との接触を図っているけれども、なかなかご本人にお会いできないという中でありますから、せっかくお会いできたときには、2つのやり方があるということで、どちらかを選んでもらうということは今後も続けていくんだろうと思います。ただ、所得情報が市町村から入手出来るようになったということで、比較的、免除の方が取扱いやすいと、どちらも困難なんですけれども、免除の方が取扱いやすいという気持ちが職員の中にあるのも事実だろうと思うので、その場合にやはりきちんとご本人の意思を確認して、法令違反になったり、あるいは、不透明なやり方でやらないようにということは、きちんと徹底していかないといけないということだろうと思います。ただ、これまでもいろいろ第一線の職員も苦労を重ねてきているわけですけれども、社会のルールというか、コンプライアンスというか、法令遵守意識というか、これは基本なのでこれを忘れずにルールにのっとってきちんと仕事をするというのは公務員として当然ですから、その辺りの意識をもう一度職員一人一人に持ってもらわないといけないということかなと思います。


(了)

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