定例事務次官記者会見概要

(H17.07.14(木)14:01〜14:10 省内会見場)
【広報室】
《次官会議等について》

(次官)

 本日の事務次官等会議ですが、厚生労働省関係の案件は日本国及びアメリカ合衆国の両国において就労する者等に係る健康保険法、船員保険法、国民健康保険法、国民年金法及び厚生年金保険法の特例に関する政令がありました。これは、日米社会保障協定の施行に伴って必要な事項を定める政令であります。事務次官等会議の関係は以上です。



《質疑》

(記者)

 昨日、全国知事会が「骨太の補助金の削減」をまとめまして、厚生労働省分もかなりこれに入っているんですが、これについて省としての対応、あるいはお考えをお聞かせ下さい。



(次官)

 私も新聞で報道されている範囲で見ているだけでまだ詳細を承知しているわけではありません。
 三位一体については、厚生労働省としては昨年度から考え方は変わっておりません。1つは既に地方自治体の事務として同化・定着している、将来に亘って全国的に一定の水準が保障されると考えられるものについては廃止しよう。次に、地方ごとの実施状況にひずみが生じている、今後さらに自治体に大きな役割を期待したいというものについては、負担関係を見直そう。それから、まだ自治体の事務として定着しているとは言えないようなものの中で、自治体の自主性・裁量性をさらに発揮していただく必要があるものについては交付金化を含めた改革を行う。それから、地方自治体の事務として定着しているとは言えず、今後国がより積極的に関与して全国規模でどの地域でも一定の水準のサービス等を提供するための整備等を行う必要があるというものについては、やはり現行どおりの補助金体系でなければいかん。というのが基本的な考え方です。こういった考え方に基づいて、今回の全国知事会の削減リストについても対応していきたいと考えているところであります。
 マスコミ等を通じて、承知している限りでは、厚生労働省関係の施設整備費等がかなり入っております。施設整備と運営費とは密接に関連しているわけでありまして、その運営費の相当部分は国税等で負担しているということでありますから、これを安易に廃止するということになりますと、仮に地方が過剰に施設整備等を行った場合には国もそれに対応して過剰な運営費を負担しなければならなくなるということで、社会保障給付に対する国としての責任という観点からいかがなものか、ということを申し上げておきたいと思います。いずれにしても、今後必要な社会保障の確保を図るためにどういった姿があるべき姿なのかということを、十分自治体側と議論を重ねていくということが重要だろうと思っていますので、これから昨年の政府・与党合意も踏まえた改革案というのを考えていきたい、自治体側とも十分協議をしていきたいと考えています。



(記者)

 今の関連ですけれども、地方団体の方がこういう新たな残り6,000億に対して、さらに4,000億上積みした案ということで出してきているんですけれども、背景には国側で検討されている生活保護費の補助率引き下げとかそういうところをとにかく外して欲しいという思惑で別のものを新たに提案しているということもあるようなのですが、この生活保護費の方、今検討まだ協議をしている段階ですけれども、これについてはどういうスタンスで臨まれるのでしょうか。



(次官)

 生活保護費については、都道府県間で非常に大きな格差があるというのは事実でありまして、「それがどういうことなのか」ということを生活保護費のあり方についての協議会で共同作業で検証していこうということになっています。共同作業も踏まえて十分協議を尽くして、我々の考え方について理解がいただけるように努力をしていきたいということです。



(記者)

 アスベストの労災認定の問題なんですが、企業の方がこういった形で実態を次々と明らかにしている。これは建設の現場にいる作業者の方達が、病気が職業上の疾病だということは認められるものの、今受けている治療が必要な治療ではないということでなかなか労災認定が下りなかったり、現場を転々としている関係で、どこの労基署が担当になるかというのがわからずに申請から結論が出るまでになかなか時間がかかるとか、そういった現場作業者の方達からかなり不満の声なんかが上がっているようなんですけれども、そういう労災の認定の現状に関して次官のご意見をお伺いしたいのですが。



(次官)

 不幸にしてアスベストを扱う職場で、アスベストが原因で労働災害の疾病に罹られたという方については、迅速に、かつ的確に審査をして給付を決定していくということが重要だと思います。ただ、アスベストを製造・加工している事業場であればアスベストと疾病との関係というのは容易に関連づけられるんだろうと思うんですけれども、今お話のように建設作業に従事されている方で肺ガンなり中皮腫になられた方も多い。そういった場合にアスベストを扱っている現場で働いたり、あるいはアスベストと全く関係ない現場で働いたり、現場をいろいろ移り変わっているというケースも確かにあるわけです。もう1つ言うと、建設業などの場合にアスベスト作業に携わっていたときに雇用されていた建設の事業場が廃業してしまったというケースもあって、そういった場合にアスベスト作業と疾病との因果関係をどう証明するのかということで、いろいろ困っておられる患者の方がおられるということであれば、我々としては監督署に対しては「とにかく迅速な審査、迅速な給付決定に努めろ」と指示はしているんですけれども、今お話のようなことがあるという声もありますので「できるだけ具体的に相談に乗るように」という指導をさらに行う必要があるかなと思っています。例えば事業者が既に廃業しているといったような場合、アスベスト作業で一緒に作業をしていた同僚の人とか上司の人とか、そういった人の証言でも審査できると思いますので、そういった人はいないか。あるいはその事業場に勤めていたということについて、給料袋とか会社の何らかの書類が残っていないかとか、そういったものを足がかりにして審査するということも可能だと思います。もう少し被災者の方の立場に立って、できるだけ円滑に、それからたらい回しなどに遇わずに容易に相談できる、対応できるようにさらに現場に対する指導に努めていきたいと思っています。


(了)

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