定例事務次官記者会見概要

(H17.03.24(木)14:00〜14:07  省内会見場)
【広報室】
《次官会議等について》

(次官)

 本日の事務次官等会議の案件でありますが、厚生労働省関係では年度末ということもあって、「薬事法関係手数料令」として手数料の改定ですとか、「母子及び寡婦福祉法施行令の一部を改正する政令」、あるいは「国民年金法による改定率の改定等に関する政令」ということで来年度の年金額の改定率等、そういった関連のもの等を含めて全部で6本の政令案が案件でありました。あとは「規制改革・民間開放推進3か年計画」もかかり、これは明日閣議決定ということになっています。当省の関係するのはそんなところでありました。



《質疑》

(記者)

 内閣府の発表でニートが80万人を超えているという数字が出てましたけれども、ニート対策について改めて何かお考えのようなものはありますか。



(次官)

 これまで若年者の雇用対策というのは、働く意欲のある、しかし雇用情勢が厳しくなっている中でなかなか希望に沿った就職がうまくいかない人たち、あるいは本人の持っている知識なり技能なりと会社側が求めているものとの間にミスマッチがあって容易に就職出来ない人たち、そういった対策を中心にとってきたわけです。今お話のように、最近はそういう意欲を持って仕事に就こうとしているにも関わらずうまく仕事に就けないという人にとどまらず、働く意欲が不足している、あるいは学校を卒業して就職活動を行っている途中で意欲を喪失してしまった人たちというのがかなりの数いるということがはっきりしてきた。それからもう一つは、30代前半よりも若い人たちで通学もしていないし働いてもいない人たちの年齢別の動向を見ると、昔は20代の前半層の人たちが中心だったのですけれども、最近は20代の後半から30代の前半にかけてもそういった人たちが増えてきている。これは恐らく10年前の20代前半、10代後半の無業者の人たちが、そのまま10年後の今、20代後半から30代前半の無業者になっているということではないかと思います。
 本人が親がかりで何とか生活出来ている、本人に働く意思がない、働く意欲が低いのだから、行政として限られた資源、限られた経費、限られた人員でそこまで手を差し伸べる必要がないのでないかという議論が従来は強かった。けれども今申し上げたような状況だとすると、やはりそれを放置すると、これから先、日本の社会の活力、あるいは本人にとって親がいる間はいいのですけれども親が亡くなられた後の生活を一体どうしていくのかと考えると、これは本人にとってはもとより、社会にとっても非常に大きな問題だということで、とにかく来年度は働く意欲、能力を高める対策に重点を置いていこうとしており、おかげさまで予算も成立したということであります。
 一つはやはり国を挙げてやる必要があるのではないかということで、国民運動をやってみようと思っております。経済界、労働界、自治体、地域社会、NPO、それから我々行政、関係省庁といった関係者を挙げて、若者の意欲を高め、人間力を高めていくための国民運動をやっていこうと考えている。それから具体的には親がかりでいることが自立を妨げているということがあるのではないかと思うので、そういった働く意欲に欠けている人たちを合宿形式で、日常生活の規則的な生活習慣をつけてもらうとか、身体を動かして働くことについての価値といったものを実感してもらうとか、あるいは何らかの資格を身につけてもらうことで働く自信をつけてもらってそれで就業に結びつけるというふうな対策をやってみようと思っています。「若者自立塾」となっておりますけれども、これはアメリカにはジョブコアというのがあり、貧困家庭の子女を合宿形式で技能を身につけさせたりしてますけれども、ちょっとアメリカのジョブコアにヒントを得てそういったものをやってみようと考えています。あるいはボランティア活動ですとか、短期の就業経験といった経験をきちんと記録をして、そういったものが就職の際に評価されるようなシステムということで「ジョブパスポート制度」。これも経済界の協力を得ないといけないわけでありますが、経済界の協力を得ながらそういったものをやっていこう。来年度はそういう意味では働く意欲の不足しがちな、あるいは不足している若者にかなり重点を置いた対策に取り組んでいこうと思っているということであります。



(了)

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