大臣等記者会見概要  厚生労働省ホームページ

定例事務次官記者会見

(H15.01.16(木)14:01〜14:19 厚生労働省記者会見場)

【広報室】

《次官会議について》

(次官)

 本日の次官会議では、厚生労働省の政令案一本があります。件名ですが、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律施行令の一部を改正する政令案ということで、内容は被爆者健康手帳を取得し、手当の支給認定を受けた被爆者が出国した後も、引き続き手当を受給できることとすることに先般いたしましたので、それに伴って国内への居住地の変更の際の届出義務規定を創設するなど、所要の手続き措置を講ずることにしたものであります。施行は15年3月1日を予定をしております。後は厚生労働省ではありませんが、財務省の方から平成15年度税制改正の要綱を出しております。これは暮れに決まった税制改正大綱を若干詳しくしたもので、基本的には内容は同じです。今日の次官会議は以上のようなところです。

《質疑》

(記者)

 今日も朝からですけど、ここ数日支援費をめぐって障害者の方達がたくさんお見えになってですね、交渉を続けてますけれども、私どもから見てると、やはりかなり関係としてはですね、いい状態にはないのではないかと。今日もずっと交渉を続けてきてるけれども、どちらかというと平行線という感じがするんですが、どういうふうに次官としてはこの問題を考えられているかということと、解決策と言いますか、これから実際に制度を実施しなければいけない時期だと思うんですけれどもね。厚生労働省としてはどういう方向でこの事態を収拾されるおつもりなのか教えてください。
(次官)
 昨日は社会・援護局長が関係団体とお会いして、交渉というか話をして、今日も担当課長が話をしておりますが、こうした状況になったこと自体は非常に残念だと思っております。ホームヘルプサービスの補助金の問題で紛糾しているわけですが、国が市町村にこの補助金を交付する際の基準というものが、やはり必要なわけで、その交付の基準を今回決めてるわけですね。それと市町村がサービスが必要な方々にどういう種類の、どういう量のサービスを提供するかということは直結はしてないんですね、これは仕組みの話として。そこは市町村がこれまでの自分たちの行政のやり方、それから今後新しい支援費制度の下でどうすることが合理的かということをお考えになって判断されると思うので、必要なサービスは国の補助金事由の中でも青天井で無限定に出すべきであるというのもですね、補助金というのは予算で決められていて、必要性、合理性の範囲内で交付しているわけですから、それと各自治体間のまさに支援費制度の下での公平という問題もありますし、私ども今回お示ししていることは、僕は合理的であろうと思っております。ただ昨日も局長が関係団体と話し合いをする中で、新しい仕組みの下で市町村から見て、従来の補助金の額に比べて今回お示ししているものでいった場合に、大変額が少なくなるというようなケースがある場合には、なにか激変緩和の措置が出来ないか事務方に検討させているんだという話もありますので、ものの考え方としてお互いしっかり共通認識が出来た上で、激変緩和措置がとれるものなら、とっていくことは良いことだろうと思っております。
(記者)
 支援費問題はずっと長年にわたって検討を続けてこられたわけで、そう意味ではこの時期になってですね、こんなに紛糾してしまうのは、やはりそのなんて言うんでしょうか、障害者の方達のご意見を聞いていると、今までと説明が変わった、つまりその上限を設けないと言ってきたのに、突然設けるという話しになったと、で次官のおっしゃるようにその予算行為ということであれば、そもそも基準というものがあるはずで、それをきちっと最初から説明をしてですね、制度設計をしてくれば、こういう事態にはならなかったのではないかという声もあるんですが、何故この時期にこんなに紛糾してしまうことになったのでしょうか。
(次官)
 それは結局予算が年末に査定という形で決まって、そこから決められた金額、査定内容の中で制度を具体的に設計して、地方にお示ししていくという、まあ時間的な制約でかなり今のご質問の点はやむを得ない面があったんじゃないかと思いますが、関係団体、あるいは障害者の方々と意見交換は、年末の査定前からもいろんなチャンネルでやっているようですから、そうした中で、おっしゃるようにもう少しスムーズに行けば良いという感じはしております。
(記者)
 今、時間的な制約でやむを得ない面があったというようなお話がありましたけれども、今回障害者団体の方が非常に問題視しているのが2点あると思うのですよ。一つは先程から出ている支援費制度のホームヘルプサービスの時間数について支給基準を設けるという点と、もう一つは支援費制度とは直接関わりませんけれども、障害者が施設を出て、地域で生活する時に、そういう相談に乗ってあげたり、情報提供するような事業をずっと、平成8年度からやってきておりますけれども、それを突然今度、補助金を打ち切るという方針を12月27日付で出している、それで一般財源化すると。たとえばこういう話を、なんで12月27日に自治体に出すのでしょうか。というのは普通一般財源化という話が出たら、財務省から出たとしても、11月の段階で普通分かると思うのですよ。それがなんで12月27日に突然紙一枚の事務連絡が都道府県に回るのか、そんなことも含めて、全く今の障害保健福祉部のやり方というのは、今までやった旧厚生省時代から培ってきたやり方と全く違うようなやり方をやっているのですね。その辺についてはどういうふうに、単なる時間的な制約とかいうのでは全く説明つかないと思うんですけれども。
(次官)
 今のお話2点あって、ちょっと分けて考えていただきたいと思うのですが、交付税化したという二つの事業の話につきましては、従来の補助金スタイルでいくのか、交付税化するのかというそこの議論を、年末ギリギリまで財政当局と厚生労働省はずっと議論してきたわけですね。そういう結果交付税化するということに決まったという、まさにプロセスがあるという点だと思います。それから支援費制度全体については、確かに4月から措置から支援費制度に変わるということで、法改正以降ずっと準備してきたわけですけれども、大変な、いわば制度の変更でありまして、いろいろその間において難しい問題、あるい予定通りスムーズに準備作業がいかなかったというのは、たしかにそこはあると思います。
(記者)
 たとえば交付税化の、一般財源化の二事業の関係ですけれども、補助金スタイルにするのか、若しくは交付税化するのか、こういうプロセスがあったということですけれども、これは各都道府県に非常に重要に関わってくる問題だし、今度出てくる支援費制度の中、若しくはノーマライゼーションの精神からいっても中核になるような事業なわけですね。それを、そのプロセスがあること自体みんな知らないわけですね、厚生労働省と財務省でやっているだけで、決まったらいきなり12月27日、こんな年末に出してくると、これは本当にやり方として全然オープンではないし、都道府県の方がびっくりしてやっているようですね、市町村の方もそれを前提に予算を策定しているところもある。こういうやり方というのは、そういうプロセスがあったということだけで説明が付くのでしょうか。
(次官)
 その点については、いわば制度の枠組み、財政的な意味での枠組みを変えるか変えないかという話は、かなり大事な話で、関係者にとっても大変関心があるだけではなくて、まさに事業を進めていく上での、大いに影響のあるところなので、事前にどの程度、こういう課題なり論点があるということをお示しするかということは、非常に難しい問題になるのですね。あらかじめ前広に情報提供するというのも一つの考え方ですけれども、結果がどうなるか、関係者がギリギリ議論している中で、そこがどっちになるかというのもかなり、それほど予想のつかない問題でもある場合もあるわけで、どの程度オープンにするかというのは非常に僕はアプリオリに言えない面が相当あるなという気がいたしております。
(記者)
 補助金から交付金に切り替えるという根拠はなんだったんですか。決まった訳ですよね、ギリギリの交渉をして。それで結果的に交付金でやることが良いという判断があったということですよね。
(次官)
 良いというか、そういうことになったわけですね、そういう結論が出たと、そこは全体として地方分権の流れの中で一般論としていろいろな補助金も交付税化すべきであるという流れがあって、そういう中の議論としてこの二つの事業が、他にもいろいろありましたけれども、ずっと俎上に上がっていて、交付税化するという形になったということですね。
(記者)
 補助金の制度で運用してきた事業を、ある程度根付いた段階で一般財源化するというのは、それはもちろんあってしかるべきだし、それは良いと思うんですよ。ただこれから4月に支援費制度が行われると、今まで入所施設に入ってきた人をなるべく外に出して、地域で生活してもらおうという時期に、しかもこの事業、二つの事業については昨年末の進捗状況などを見ても4割くらいしか進んでないですね、その段階でこの事業の補助を打ち切ったら当然やらないところが出てくるのは当たり前なわけじゃないですか。それを指導すると言っても実際もうやらないとほとんど言っているようなところもあると言っていますけれども、何でこの時期に、四月から支援費制度をやると、ノーマライゼーションの精神をまさしく具現化しようという時期に、そういったものを一般化財源化する、しかもその決定が12月の年末になってバーンと出てくるということになるんですかね。それは財務省の指導がそうなったということなんですか。
(次官)
 別に指導とかそういう話ではなくて、まさに判断としてそうなったわけですね。交付税化すると市町村の交付税の中を自分たちの政策順位を付けて、どういうふうに使うかという、まさに弾力性が非常に高まるという点があるわけですね。ですから従来の補助金でやっていた二つの事業も市町村がきわめて重要であるというふうに判断して、交付税を優先的に、あるいは量としてもそこに多く突っ込むということは、まさに市町村の政策判断として出来るわけですね、ですからそういうところも一部考えていただきたいと、こう思っているわけです。それから今回交付税化するにあたって、モデル事業制度というのを別途補助金の仕組みで設けておりまして、おっしゃっているように補助金じゃなくなったんで、もうお手上げで事業が出来ないということにならないように、そのモデル事業を上手く使ってもらいたいと思っております。
(記者)
 しかしモデル事業については基本的に一都道府県にほとんど一つ、事実上は一つしか出来ない、ほとんど関係者は手切れ金と言っていますけれども、これで代替されたらやはり。
(次官)
 だから代替というのではなく、まさに市町村が政策の優先順位を考えて、大事なものとして位置づけてもらえばそれで良いわけで、是非そういう努力を、必要だという市町村は当然ながらやるでしょうし、私どももそういうふうにしてもらうように指導というとおこがましいですけれども、いろいろ指導なり、アドバイスなり、支援なりをしていきたいと思っております。
(記者)
 この事態をどう収拾するのかということも一つの大きな課題だと思うんですけれども、21日ですか、一応各都道府県の担当課長さん、なんか今再交渉を持つということで下で交渉進んでいるということですが、改めてこういう混乱自体になったことはどのように収拾されるつもりですか。
(次官)
 ですから昨日、今日で交渉していますけれども、そうした中で私どもが考えた今回の措置についての理解もしてもらい、また関係団体のおっしゃることも私ども理由のあることは十分聞かなければならないし、いわばお互いこういう事態になっているのは残念なんで、信頼関係をきっちり作っていって、そうした上で会議で適切な指示を市町村に対してしていくべきだろうと思っております。そのための努力を担当の局、課で最大限やってもらうというところでございます。
(記者)
 今もう障害保健福祉部の、少なくとも障害者の交渉の席に出てきている人達の顔ぶれですね、信頼関係が新たに培っていけるんでしょうか。ほとんどもう、今、ついさっきまで交渉があったし、あれはオープンだったので我々も聞きましたけれども、ほとんど信頼関係の修復なんて出来ない状態なんじゃないんでしょうか。
(次官)
 ただ担当として自分の職務でありますし、また自分がやっている仕事に対して責任と誇りを持ってみんな取り組んでいますから、努力してくれるものと私は固く信じておりますし、実際そのように督励を一層したいと思います。

(了)


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