大臣訓示:広報委員会発足にあたって

2008年3月6日

2月27日、大臣就任半年の機会に、私は、全職員に対し、2008年を厚生労働省改革元年とするという決意を述べましたが、その際に、改革の具体的施策として、まず広報体制の強化をあげました。そして、「各部局に必ず広報担当官をおき、メディアを通じて迅速に国民に情報を提供する体制を整備する」ことを約束しました。

本日は、それを早速実現することとし、諸君を広報委員に任命します。

これまで、霞ヶ関、とりわけ厚生労働省は国民に対して十分に情報を提供してこなかったのではないかと自問自答してみる必要があります。故意に隠蔽することなど言語道断ですが、怠慢や不注意によって情報が開示されなかったり、また開示が遅れたりすることがあってはなりません。食品や医薬品の安全、感染症の予防や対策、災害への対応など、国民と行政が基本的な情報を共有しているか否かが、政策の実効性に大きく影響します。

国民と情報を共有するためには、メディアの協力が不可欠です。情報は公開することを基本とし、メディアに対しては、正確な情報をできるかぎり迅速に、そして的確に伝える必要があります。また、ホームページなどについては、審議会や研究会などを含めて厚生労働行政の透明性を高める必要があります。メディアの求めに対しては、誠実に対応する姿勢が不可欠です。それは、メディアが国民と行政との媒体であるからであり、国民の目線に立てないような官尊民卑の態度はとるべきではないからです。

しかしながら、メディアに迎合する必要はありません。謙虚さは保たねばなりませんが、たとえば、メディアの総攻撃を受けるようなことがあっても、自らが正しければ堂々と反論していくという信念と姿勢が肝要です。自分が国民のために、誠を尽くして全身全霊を傾注しているとき、何も怖いものはありません。

諸君は、自らの属する部局を代表する報道官であり、常日頃から、自分たちが公僕として、国民のためにどのような仕事をしているかを説明する必要があります。諸君がその職責を十全に果たすとき、職場の士気は高まり、国民との連帯感が生まれてくることは疑いありません。厚生労働省改革の第一歩として広報委員会を発足させる意義は、まさにそこにあります。

広報委員会は政策評価審議官を委員長とし、事務局を広報室におきます。そして、委員会を(1)テレビ・ラジオ、(2)新聞・雑誌、(3)ホームページ・機関誌・政府広報の三分科会に分け、それぞれの分科会ごとに定期的に会合を開き、全省的な広報改革案を策定します。まずは、ホームページの抜本的見直しから、作業を開始したいと思います。

3月3日、薬害エイズ事件に関して、官僚の不作為を業務上過失死罪で有罪とする判決が最高裁で確定しました。その判決の重みを十分にかみしめるべきであり、二度と薬害を起こさないという固い決意と、再発防止のための医薬品行政の見直しに着手しなければなりません。今回の広報体制の強化も、そのような努力の一環として位置づけることができます。一度失われた信頼を回復するのは至難の業ですが、一歩一歩着実に目標に向かって努力を重ねる以外に道はありません。国民と情報を共有する、そして国民の命を守っていく、その原点を忘れることなく、広報委員として全力を挙げることを期待します。


トップへ