別添2
平成18年度生涯職業能力開発促進センターにおける職業訓練事
業の市場化テスト(モデル事業)に係る実績評価について
厚生労働省職業能力開発局
平成18年度市場化テスト(モデル事業)の実績評価について
I 経緯及び評価方法について
1 経緯
「規制改革・民間開放の推進に関する第1次答申」(平成16年12月24日規制改革・民間開放推進会議。以下「第1次答申」という。)において、「土日・夜間においてこれまで未使用であったアビリティガーデンの施設・設備を活用した職業訓練(職業紹介等訓練修了者を対象とする就職支援に関わる事業を含む)を市場化テスト(モデル事業)の対象とする。」とされたところであり、これを受けて、厚生労働省では、平成17年11月25日付け能発第1125002号「生涯職業能力開発促進センターにおける職業訓練事業の市場化テスト(モデル事業)の継続実施について」(以下「実施方針」という。)を独立行政法人雇用・能力開発機構(以下「機構」という。)に通達し、機構はアビリティガーデン(生涯職業能力開発促進センター)において、平成18年度市場化テスト(モデル事業)を実施した。
アビリティガーデンでは、土日・夜間に未使用である施設・設備を活用した離職者訓練(公共職業訓練)及び在職労働者を対象とする教育訓練(以下「在職者等のための訓練」という。)に係る企画を民間から募集し、優れた企画を提出したとして決定された3事業者が、平成18年4月から、アビリティガーデンにおいて職業訓練を実施した。
この市場化テスト(モデル事業)の結果の評価については、機構は、事業評価をとりまとめ、平成19年11月5日の機構における「第6回市場化テスト評価委員会」に報告し、了承を得た。これを受け、機構は平成19年11月12日付け19雇能業発第156号「生涯職業能力開発促進センターにおける平成18年度市場化テスト(モデル事業)の事業評価報告について」により厚生労働省に報告を行ったところである。これを踏まえ、厚生労働省としても実績評価を行い、厚生労働省に設置された市場化テスト評価委員会に意見を求めた上で、その結果を取りまとめた。
2 事業受託者の決定
機構は、アビリティガーデンの施設・設備のうち、土日・夜間に未使用であるものを開放し、これを活用した離職者訓練(公共職業訓練)及び在職者等のための訓練について、民間から企画を募集することとし、離職者訓練については総合評価方式一般競争により、在職者等のための訓練については企画競争により、それぞれ2事業者を選定することとした。平成17年12月、土日・夜間にアビリティガーデンの施設・設備を利用すること、訓練実施経費や訓練受講者が負担する受講料の内容を明確化して公表すること等の条件を付した入札公告及び企画競争に関する公告を実施したところ、離職者訓練には3社が入札に参加し、(株)東京リーガルマインド及び(株)日本医療事務センターを事業受託者として決定した。在職者等のための訓練については、応札がなかったため、平成18年2月に再度公告を行ったところ、(株)東京リーガルマインドのみが入札に参加し、同社を事業受託者として決定した。各事業受託者は平成18年4月から訓練を実施したところである。
3 評価方法
市場化テスト(モデル事業)の実施方針においては、訓練に係る指標として、離職者訓練の10項目((1)訓練コースの定員、(2)応募者数、(3)入校者数、(4)中退者数、(5)就職を理由とする中退者数、(6)訓練修了者数、(7)訓練受講者数と訓練日数の乗(延べ訓練人日)、(8)訓練終了後3か月時点での就職者数、(9)訓練受講者に対する受講後アンケート集計結果、(10)訓練実施経費に係る支出額及び収入額)及び在職者等のための訓練の7項目((1)訓練コースの定員、(2)応募者数、(3)受講者数、(4)訓練受講者数と訓練時間数の乗(延べ訓練人時間)、(5)訓練受講者に対する受講後アンケート集計結果(機構が、中期目標・中期計画に定める数値目標を検証するために実施するアンケートを準用することとする。)、(6)事業主の指示により訓練を受講した場合における事業主に対する受講後アンケート集計結果(機構が、中期目標・中期計画に定める数値目標を検証するために実施するアンケートを準用することとする。)、(7)訓練実施経費に係る支出額及び収入額)が示されている。
これを受けて、具体的な評価に当たっては、以下のとおり評価指標を整理した(なお、上記の離職者訓練に係る指標のうち、(7)については、各事業者の訓練日ごとの訓練時間が異なっていたことから、より正確な比較を行うため、訓練日数ではなく、訓練時間を用いて評価指標の整理を行った)。
(1) 離職者訓練の実施に係る具体的な評価指標
ア 比較対象
モデル事業を実施した民間の2事業者の実施結果と独立行政法人雇用・能力開発機構の生涯職業能力開発促進センターの実施結果との比較
イ 評価指標
(1) 訓練終了後3か月時点での就職率
[=(中退就職者数+就職者数)/(中途就職者数+修了者数)]
(2) 延べ訓練人時間当たりの経費[=(委託費)/(延べ訓練人時間)]
(3) 就職者延べ訓練人時間当たりの経費[=(委託費)/(就職者延べ訓練人時間)]
(4) 受講者の満足度(教育訓練が役に立ったかどうかについてアンケートを実施)
ウ 参考指標
(1) 応募率[=(応募者数)/(定員)]
(2) 定員充足率[=(入所者数)/(定員)]
(3) 修了率[=(修了者数)/(入所者数)]
(3)−2 就職による中退者を除いた修了率
[=(修了者数)/(入所者数−中退者数のうち就職者数)]
(4) 中退率[=(中退者数)/(入所者数)]
(4)−2 就職以外の理由による中退率
[=(中退者数−中退者数のうち就職者数)/(入所者数)]
(2) 在職者等のための訓練の実施に係る具体的な評価指標
ア 比較対象
モデル事業を実施した民間事業者の実施結果と独立行政法人雇用・能力開発機構の生涯職業能力開発促進センターの実施結果との比較
イ 評価指標
(1) 受講者の満足度(教育訓練が役に立ったかどうかについてアンケートを実施)
(2) 事業主の指示により訓練を受講した場合における事業主の満足度(教育訓練が役に立ったかどうかについてアンケートを実施)
(3) 延べ訓練人時間当たりの経費[=(直接経費+間接経費)/(延べ訓練人時間)]
(4) 定員充足率[=(受講者数)/(定員)]
ウ 参考指標
(1) 応募率[=(応募者数)/(定員)]
(2) コース実施率[=(実施コース数)/(実施計画コース数)]
4 結果
(1)離職者訓練
(株)東京リーガルマインド、(株)日本医療事務センター及びアビリティガーデンの結果は次のとおりである。
ア (株)東京リーガルマインド
(ア) 離職者訓練に係る指標
(1) 訓練コースの定員132人
(2) 応募者数265人
(3) 入所者数125人
(4) 中退者数27人
(5) 就職を理由とする中退者数18人
(6) 訓練修了者数98人
(7) 延べ訓練人日10,000人日
(8) 就職者数53人
(9) 訓練受講者に対する受講後アンケート集計結果(「役に立った」「どちらかといえば役に立った」と回答した人の割合) 99.0%
(10) 訓練実施経費に係る支出額及び収入額
収入 16,712,804円
支出 11,706,679円
収支 5,006,125円
委託費(国からの支出額)
15,619,804円
(イ) 評価指標
(1) 訓練終了後3か月時点での就職率
[=(中退就職者数+就職者数)/(中途就職者数+修了者数)]
○ (18人+53人=71人)/(18人+98人=116人)=61.2%
(2) 延べ訓練人時間当たりの経費
[=(委託費)/(延べ訓練人時間)]
○ 15,619,804円/ 30,000人時間
= 521円
(3) 就職者延べ訓練人時間当たりの経費
[=(委託費)/(就職者延べ訓練人時間)]
○ 15,619,804円/ 17,040人時間
= 917円
(4) 受講者の満足度(教育訓練が役に立ったかどうかについてアンケートを実施)
○ 95人/96人=99.0%
(ウ) 参考指標
(1) 応募率[=(応募者数)/(定員)]
○ 265人/132人=2.01倍
(2) 定員充足率[=(入所者数)/(定員)]
○ 125人/132人=94.7%
(3) 修了率[=(修了者数)/(入所者数)]
○ 98人/125人=78.4%
(4) 就職による中退者を除いた修了率
[=(修了者数/(入所者数−中退者数のうち就職者数)]
○ 98人/(125人−18人=107人)=91.6%
(5) 中退率[=(中退者数)/(入所者数)]
○ 27人/125人=21.6%
(6) 就職以外の理由による中退率
[=(中退者数−中退者数のうち就職者数)/(入所者数)]
○ (27人−18人=9人)/125人=7.2%
イ (株)日本医療事務センター
(ア) 離職者訓練に係る指標
(1) 訓練コースの定員168人
(2) 応募者数329人
(3) 入所者数152人
(4) 中退者数8人
(5) 就職を理由とする中退者数2人
(6) 訓練修了者数144人
(7) 延べ訓練人日9,120人日
(8) 就職者数78人
(9) 訓練受講者に対する受講後アンケート集計結果(「役に立った」「どちらかといえば役に立った」と回答した人の割合) 99.3%
(10) 訓練実施経費に係る支出額及び収入額
収入 13,695,073円
支出 13,642,840円
収支 52,233円
委託費(国からの支出額)
11,415,073円
(イ) 評価指標
(1) 訓練終了後3か月時点での就職率
[=(中退就職者数+就職者数)/(中途就職者数+修了者数)]
○ (2人+78人=80人)/(2人+144人=146人)=54.8%
(2) 延べ訓練人時間当たりの経費
[=(委託費)/(延べ訓練人時間)]
○ 11,415,073円/ 27,360人時間
= 417円
(3) 就職者延べ訓練人時間当たりの経費
[=(委託費)/(就職者延べ訓練人時間)]
11,415,073円/14,400人時間
= 793円
(4) 受講者の満足度(教育訓練が役に立ったかどうかについてアンケートを実施) ○ 141人/142人=99.3%
(ウ) 参考指標
(1) 応募率[=(応募者数)/(定員)]
○ 329人/168人=1.96倍
(2) 定員充足率[=(入所者数)/(定員)]
○ 152人/168人=90.5%
(3) 修了率[=(修了者数)/(入所者数)]
○ 144人/152人=94.7%
(4) 就職による中退者を除いた修了率
[=(修了者数/(入所者数−中退者数のうち就職者数)]
○ 144人/(152人−2人=150人) = 96.0%
(5) 中退率[=(中退者数)/(入所者数)]
○ 8人/152人=5.3%
(6) 就職以外の理由による中退率
[=(中退者数−中退者数のうち就職者数)/(入所者数)]
○ (8人−2人=6人)/152人=3.9%
ウ アビリティガーデン
(ア) 離職者訓練に係る指標
(1) 訓練コースの定員440人
(2) 応募者数1,018人
(3) 入所者数453人
(4) 中退者数106人
(5) 就職を理由とする中退者数81人
(6) 訓練修了者数347人
(7) 延べ訓練人日48,561人日
(8) 就職者数260人
(9) 訓練受講者に対する受講後アンケート集計結果(「役に立った」「どちらかといえば役に立った」と回答した人の割合) 96.2%
(10) 訓練実施経費に係る支出額及び収入額
収入 138,478,066円
(うち運営費交付金133,754,654円)
支出(国からの支出額)
138,478,066円
収支0円
(イ) 評価指標
(1) 訓練終了後3か月時点での就職率
[=(中退就職者数+就職者数)/(中途就職者数+修了者数)]
○ (81人+260人=341人)/(81人+347人=428人) = 79.7%
(2) 延べ訓練人時間当たりの経費
[=(直接経費+間接経費)/(延べ訓練人時間)]
○ (89,453,255円+49,024,811円=138,478,066円)/295,276人時間 = 469円
(3) 就職者延べ訓練人時間当たりの経費
[=(直接経費+間接経費)/(就職者延べ訓練人時間)]
(89,453,255円+49,024,811円=138,478,066円)/221,100人時間 = 626円
(4) 受講者の満足度(教育訓練が役に立ったかどうかについてアンケートを実施)
○ 303人/315人=96.2%
(ウ) 参考指標
(1) 応募率[=(応募者数)/(定員)]
○ 1,018人/440人=2.31倍
(2) 定員充足率[=(入所者数)/(定員)]
○ 453人/440人=103.0%
(3) 修了率[=(修了者数)/(入所者数)]
○ 347人/453人=76.6%
(4) 就職による中退者を除いた修了率
[=(修了者数/(入所者数−中退者数のうち就職者数)]
○ 347人/(453人−81人=372人)=93.3%
(5) 中退率[=(中退者数)/(入所者数)]
○ 106人/453人=23.4%
(6) 就職以外の理由による中退率
[=(中退者数−中退者数のうち就職者数)/(入所者数)]
○ (106人−81人=25人)/453人=5.5%
(2)在職者等のための訓練
(株)東京リーガルマインド及びアビリティガーデンの結果は次のとおりとなった。
ア (株)東京リーガルマインド
(ア) 指標
(1) 訓練コースの定員 552人
(2) 応募者数11人
(3) 受講者数8人
(4) 訓練受講者数と訓練時間数の乗(延べ訓練人時間)
84人時間
(5) 訓練受講者に対する受講後アンケート集計結果(「役に立った」「どちらかといえば役に立った」と回答した人の割合)
100%
(6) 事業主の指示により訓練を受講した場合における事業主に対する受講後アンケート集計結果(「役に立っている」「どちらかといえば役に立っている」と回答した人の割合)
−%(該当者なし)
(7) 訓練実施経費に係る経費
収入 142,500円
支出 552,809円
収支 △410,309円
(イ) 評価指標
(1) 受講者の満足度(教育訓練が役に立ったかどうかについてアンケートを実施)
○ 8人/8人=100%
(2) 事業主の指示により訓練を受講した場合における事業主の満足度(教育訓練が役に立ったかどうかについてアンケートを実施)
○ 0事業所/0事業所=−%(該当者なし)
(3) 延べ訓練人時間当たりの経費
[=(直接経費+間接経費)/(延べ訓練人時間)]
○ (329,686円+223,123円=552,809円/84人時間
= 6,581円
(4) 定員充足率[=(受講者数)/(定員)]
○ 8人/522人=1.4%
(ウ) 参考指標
(1) 応募率[=(応募者数)/(定員)]
○ 11人/552人=0.02倍
(2) コース実施率[=(実施コース数)/(実施計画コース数)]
○ 4コース/23コース=17.4%
イ アビリティガーデン
(ア) 指標
(1) 訓練コースの定員2,115人
(2) 応募者数2,258人
(3) 受講者数1,681人
(4) 訓練受講者数と訓練時間数の乗(延べ訓練人時間)
20,629人時間
(5) 訓練受講者に対する受講後アンケート集計結果(「役に立った」「どちらかといえば役に立った」と回答した人の割合)
97.4%
(6) 事業主の指示により訓練を受講した場合における事業主に対する受講後アンケート集計結果(「役に立った」「どちらかと言えば役に立った」と回答した人の割合)
92.9%
(7) 訓練実施経費に係る支出額及び収入額
収入 36,403,000円
支出 35,906,092円
収支 496,908円
(イ) 評価指標
(1) 受講者の満足度(教育訓練が役に立ったかどうかについてアンケートを実施)
○ 1,501人/1,541人=97.4%
(2) 事業主の指示により訓練を受講した場合における事業主の満足度(教育訓練が役に立ったかどうかについてアンケートを実施)
○ 546事業所/588事業所=92.9%
(3) 延べ訓練人時間当たりの経費
[=(直接経費+間接経費)/(延べ訓練人時間)]
○ (29,665,925円+6,240,167円=35,906,092円/20,629人時 = 1,741円
(4) 定員充足率[=(受講者数)/(定員)]
○ 1,681人/2,115人=79.5%
(ウ) 参考指標
(1) 応募率[=(応募者数)/(定員)]
○ 2,258人/2,115人=1.07倍
(2) コース実施率[=(実施コース数)/(実施計画コース数)]
○ 121コース/141コース=85.8%
II 各事業の評価について
1 離職者訓練について
(1)(株)東京リーガルマインド
訓練終了後3か月時点での就職率は、61.2%となっており、(株)日本医療事務センターの54.8%よりは高いものの、アビリティガーデンの79.7%と比べかなり低くなっている。平成18年度に機構が実施した委託訓練全体の就職率68.9%と比べても低く、また、仕様書で示す目標である就職率70%をも下回る数値となっている。就職実績に応じた委託費(インセンティブ)が支給されなかったコース(就職率50%未満)は、6コース中2コースとなった。
訓練の実施目的である再就職の実現といった観点からコストを見ると、「就職者延べ訓練人時間当たりの経費」は917円となっており、(株)日本医療事務センター(793円)、アビリティガーデン(626円)との比較では最も高い。
また、受講生の満足度の指標である受講者に対する受講後アンケート集計結果(「役に立った」「どちらかと言えば役に立った」と回答した人の割合)を見ると99.0%となっており、(株)日本医療事務センター、アビリティガーデンとの比較では大差はない。
参考指標を見ると、生徒を集める力をみる応募率と定員充足率はそれぞれ、2.01倍、94.7%となっており、(株)日本医療事務センターよりは高くなっているが、アビリティガーデンよりは低くなっている。
(2)(株)日本医療事務センター
訓練終了後3か月時点での就職率を見ると、54.8%となっており、(株)東京リーガルマインド、アビリティガーデンと比較して一番低くなっている。平成18年度に機構が実施した委託訓練全体の就職率68.9%と比べても低く、また、仕様書で示す目標である就職率70%をも下回る数値となっている。就職実績に応じた委託費(インセンティブ)が支給されなかったコース(就職率50%未満)は、6コース中1コースとなった。
訓練の実施目的である再就職の実現といった観点からコストを見ると「就職者延べ訓練人時間当たりの経費」は793円となっており、(株)東京リーガルマインド(917円)よりは安いが、アビリティガーデン(626円)との比較では高い。
受講生の満足度の指標である受講者に対する受講後アンケート集計結果(「役に立った」「どちらかと言えば役に立った」と回答した人の割合)を見ると99.3%となっており、(株)東京リーガルマインド、アビリティガーデンとの比較では大差はない。
参考指標を見ると、生徒を集める力をみる応募率と定員充足率はそれぞれ1.96倍、90.5%と(株)東京リーガルマインド、アビリティガーデンとの比較では最も低くなっている。
(3)アビリティガーデン
訓練終了後3か月時点での就職率をみると、79.7%となっており、(株)日本医療事務センターの就職率54.8%、(株)東京リーガルマインドの就職率61.2%を大きく上回っている。これは仕様書で示す目標である70%を上回る水準である。
訓練の実施目的である再就職の実現といった観点からコストを見ると「就職者延べ訓練人時間当たりの経費」は626円となっており、(株)東京リーガルマインド、(株)日本医療事務センターと比較して一番低額となっている。
受講生の満足度の指標である受講者に対する受講後アンケート集計結果(「役に立った」「どちらかと言えば役に立った」と回答した人の割合)をみると96.2%となっており、(株)東京リーガルマインド、(株)日本医療事務センターとの比較では大差はない。
参考指標をみると、アビリティガーデンの訓練は平日日中に実施しており、訓練時間帯が異なることから単純に比較することはできないが、生徒を集める力を見る応募率と定員充足率はそれぞれ2.31倍、103.0%と、最も高くなっている。
(4)総合評価
市場化テストの趣旨は「公共サービスの質の維持向上及び経費の削減」(競争の導入による公共サービスの改革に関する法律(平成18年法律第51号)第1条)であることから、サービスの質の面では就職率及び満足度、経費の削減の面では就職者延べ訓練人時間当たりの経費(円)について評価することとする。
訓練終了後3か月時点での就職率についてみると、アビリティガーデンが79.7%と仕様書の目標である70%を上回って最も高くなっている。民間の受託者は、(株)日本医療事務センターが54.8%、(株)東京リーガルマインドも61.2%と、いずれも仕様書で示す目標を下回っており、サービスの質が担保されているとは言えない状況である。
受講者アンケートによる満足度は、アビリティガーデンが96.2%、(株)日本医療事務センターが99.3%、(株)東京リーガルマインドが99.0%となっており、大差は無い。
就職者延べ訓練人時間当たりの経費について見ると、(株)東京リーガルマインドが917円、(株)日本医療事務センターが793円と、いずれもアビリティガーデンの626円を上回っており、コストの削減効果は見られなかった。
以上を総合すると、アビリティガーデンは、離職者訓練において最も重視すべき指標である就職率において、民間の2受託者を大きく上回っているなど、良好な実績をあげていると評価できる。
ただし、今回のモデル事業においては、第1次答申に基づき、(株)東京リーガルマインドや(株)日本医療事務センターの訓練の実施時間帯がアビリティガーデンの施設・設備が未使用である平日夜間のみであったり、土曜と夜間の組合せであるのに対して、アビリティガーデンが平日日中であることや、訓練実施時間が民間に比較して長いことなど、前提条件に大きな相違が存在することに留意する必要がある。
2 在職者等のための訓練について
(1)(株)東京リーガルマインド
在職者等のための訓練の評価指標である受講者の満足度(「役に立った」「どちらかと言えば役に立った」と回答した人の割合)をみると、(株)東京リーガルマインドは100%と、アビリティガーデンの97.4%を上回ったが、そもそも回答者数が8名と極端に少ないため、単純な比較は困難である。
また、事業主の指示により訓練を受講した場合における事業主の満足度(「役に立っている」「どちらかといえば役に立っている」と回答した人の割合)については、そもそも事業主の指示により訓練を受講した者がいなかったため、データが存在しない。
一方、訓練に要した経費を見る指標である延べ訓練人時間当たりの経費を見ると6,581円と、アビリティガーデン(1,741円)よりかなり高くなっている。
(2)アビリティガーデン
受講者の満足度(「役に立った」「どちらかといえば役に立った」と回答した人の割合)を見ると、97.4%と前年(97.5%)に引き続き高いものとなった。
また、事業主の指示により訓練を受講した場合における事業主の満足度(「役に立っている」「どちらかといえば役に立っている」と回答した人の割合)について見ても92.9%と、前年(93.1%)と同様に高いものとなった。
一方、延べ訓練人時間当たりの経費を見ると1,741円と、(株)東京リーガルマインドの6,581円よりかなり低くなった。
なお、定員充足率をみてもアビリティガーデンは79.5%と、(株)東京リーガルマインドの1.4%を大きく上回っている。
(3)総合評価
サービスの質の面では受講者及び事業主の満足度、経費の削減の面では延べ訓練人時間当たりの経費(円)について評価することとなるが、(株)東京リーガルマインドについては、評価以前の問題として、定員充足率や訓練コース実施率が低く、予定された訓練の多くが実施に至っていない。
離職者訓練の場合、ハローワークからの受講あっせんを通じて訓練生が確保される仕組みとなっているが、今回のモデル事業における在職者等のための訓練については、受託者の責任において企業等へ働きかけ、受講生を集めることとしたことから、このような結果になったものと考えられる(ただし、アビリティガーデンが行っている時間帯が平日日中であったのに対し、民間受託者の訓練の実施時間帯は平日夜間であったことに留意する必要がある)。
こうした制約の下で、今回得られたデータにより評価を行うと、まず受講者の満足度については、アビリティガーデンが97.4%、(株)東京リーガルマインドが100%といずれも高くなっている(ただし、民間のサンプル数は8人と極端に少ないことに留意する必要がある)。
一方、事業主の満足度については、アビリティガーデンは92.9%と9割を超えているが、(株)東京リーガルマインドについては、該当するデータがないので、比較が困難となっている。
また、訓練経費についてみると、(株)東京リーガルマインドの定員充足率が1.4%と著しく低かったことから、その延べ訓練時間当たりの経費は6,581円とアビリティガーデンの1,741円よりも大幅に高くなっている。
以上を総合すると、そもそも民間側の集客に大きな問題があり、訓練自体の実施が十分確保されなかったことから、正確な評価をすることは難しいが、受講者の満足度については、アビリティガーデンと民間で違いがないものの、コスト面では民間による削減効果は見られなかったという状況となっている。
参考1
評価指標及び参考指標<離職者訓練>
<在職者等のための訓練>
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参考2
訓練実施結果一覧<離職者訓練>
<在職者等のための訓練>
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