厚生労働省発表
平成19年12月 19 日
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照会先  老健局計画課
認知症・虐待防止対策推進室

室長井内 雅明
室長補佐山本   亨
認知症対策専門官佐々木 健

電話 03-5253-1111 内線3868,3869
03-3595-2168(直通)



平成18年度 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等
に関する法律に基づく対応状況等に関する調査結果(確定版)

目 次

結果の概要 ……………………………………………………………………………… 1
1.養介護施設従事者等による高齢者虐待についての対応状況等 ………… 1
1.1.市町村における対応状況等  ………………………………………… 1
(1)相談・通報対応件数  ………………………………………………… 1
(2)相談・通報者  ………………………………………………………… 1
(3)事実確認の状況及び都道府県への報告  …………………………… 1
1.2. 都道府県における対応状況等  ……………………………………… 2
(1)市町村から都道府県へ報告があった事例  ………………………… 2
(2)都道府県が直接把握した事例 ………………………………………… 2
(3)虐待の事実が認められた事例の総数  ……………………………… 2
1.3. 虐待の事実が認められた事例について ……………………………… 2
(1)施設・事業所の種別  ………………………………………………… 2
(2)虐待の種別・類型  …………………………………………………… 2
(3)被虐待高齢者の性、年齢  …………………………………………… 3
(4)虐待を行った養介護施設従事者等の年齢・職種  ………………… 3
(5)対応状況等  …………………………………………………………… 3
2.養護者による高齢者虐待についての対応状況等 ………………………… 4
(1)相談・通報対応件数  ………………………………………………… 4
(2)相談・通報者  ………………………………………………………… 4
(3)虐待を受けた又は受けたと思われたと判断した事例  …………… 4
(4)虐待の種別・類型  …………………………………………………… 4
(5)被虐待高齢者の状況 ………………………………………………… 4
(6)虐待への対応策 ……………………………………………………… 5
(7)虐待等による死亡例 ………………………………………………… 6
3.市町村における高齢者虐待防止対応のための体制整備等について…… 7
(参考)調査の概要 …………………………………………………………………… 8
調査結果 ………………………………………………………………………………… 9

※本資料は、暫定版発表(平成19年9月21日)の時点において回答の数値に不整合と思われる点等がある自治体に対し、再調査を行い得られた回答に基づき、再度集計等を行い確定値として取りまとめたものである。


結 果 の 概 要

平成18年度における高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(以下「法」という。)に基づく対応状況等に関する調査結果は以下のとおりであった。

1.養介護施設従事者等による高齢者虐待についての対応状況等

「養介護施設」とは

・老人福祉法に規定される老人福祉施設(地域密着型施設も含む)、有料老人ホーム

・介護保険法に規定される介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、地域包括支援センター

「養介護事業」とは

・老人福祉法に規定される老人居宅生活支援事業

・介護保険法に規定される居宅サービス事業、地域密着型サービス事業、居宅介護支援事業、介護予防サービス事業、地域密着型介護予防サービス事業、介護予防支援事業

「養介護施設従事者等」とは

・「養介護施設」又は「養介護事業」の業務に従事する者

1.1.市町村における対応状況等
(1)相談・通報対応件数

平成18年度、全国の1,829市町村(特別区を含む)で受け付けた養介護施設従事者等による高齢者虐待に関する相談・通報の総数は、273件であった。

(2)相談・通報者(表1)

相談・通報者の内訳は、「親族」が24.5%と最も多く、次いで「当該施設職員」が23.1%、「当該施設元職員」が10.6%であった。なお、「本人による届出」は4.0%であった。

表1  相談・通報者内訳(複数回答)
  本人
による
届出
親族 当該施
設職員
当該施
設元職

医師
介護支
援専門
国民健
康保険
団体連
合会
都道
府県
から
連絡
その
不明
(匿名
を含
む)
合計
11 67 63 29 2 10 8 17 45 38 290
4.0 24.5 23.1 10.6 0.7 3.7 2.9 6.2 16.5 13.9 -

(注1) 相談・通報者には重複があるため、内訳の合計は相談・通報総数273件と一致しない。

(注2) %は相談・通報総数273件に対する割合であるため、内訳の合計は100%にならない。

(3)事実確認の状況及び都道府県への報告

相談・通報総数273件のうち、訪問調査(介護保険法又は老人福祉法に基づく立入検査等を含む)等により事実確認を行ったのは243件であり、そのうち、「虐待の事実が認められた」又は「都道府県と共同して事実の確認を行う必要がある」との理由により市町村から都道府県へ59件の報告があった。

1.2.都道府県における対応状況等
(1)市町村から都道府県へ報告があった事例

市町村から都道府県へ報告があった事例59件のうち、市町村からの依頼又は都道府県の判断により一部の事例について改めて事実確認を行った結果、最終的に「虐待の事実が認められた事例」が49件、「虐待ではないと判断した事例」又は「虐待の事実が確認できなかった事例」が合わせて10件であった。

(2)都道府県が直接把握した事例

市町村から都道府県へ報告があった59件のほかに、都道府県が直接、相談・通報を受け付けた事例が30件あり、「後日、事実確認予定又は対応検討中」の4件を除く26件について都道府県が事実確認を行った結果、「虐待の事実が認められた事例」が5件、「虐待ではないと判断した事例」が4件、「虐待の事実が確認できなかった事例」が17件であった。

(3)虐待の事実が認められた事例の総数

虐待の事実が認められた事例は、市町村から都道府県へ報告があった事例では49件、都道府県が直接把握した事例では5件であり、これらを合わせた総数は、54件であった。

1.3.虐待の事実が認められた事例について

虐待の事実が認められた54件の事例を対象に、施設・事業所の種別、虐待の種別・類型、虐待を受けた高齢者及び虐待を行った養介護施設従事者等の状況等について集計を行った。

(1)施設・事業所の種別(表2)

「特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)」が35.2%と最も多く、次いで「介護老人保健施設」及び「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)」が18.5%であった。

表2  当該施設・事業所の種別
  有料
老人
ホーム
軽費
老人
ホーム
特別
養護
老人
ホーム
介護
老人
保健
施設
訪問介護、
訪問入浴
介護
短期
入所
施設
認知症対
応型共同
生活介護
老人デイ
サービス
センター
合計
件数 7 1 19 10 3 3 10 1 54
13.0 1.8 35.2 18.5 5.6 5.6 18.5 1.8 100.0
(2)虐待の種別・類型(表3)

「身体的虐待」が74.1%と最も多く、次いで「心理的虐待」が37.0%、「介護等放棄」が13.0%であった。

表3   虐待の種別・類型(複数回答)
  身体的虐待 介護等放棄 心理的虐待 性的虐待 経済的虐待 種別不明 合計
件数 40 7 20 6 3 1 77
74.1 13.0 37.0 11.1 5.6 1.9

(注1) 虐待の種別・類型には重複があるため、内訳の合計は虐待の事実が認められた事例54件と一致しない。

(注2) %は虐待の事実が認められた事例54件に対する割合であるため、内訳の合計は100%にならない。

(3)被虐待高齢者の性、年齢 (表4、表5)

性別では全体の約8割が「女性」、年齢では全体の約7割が「80歳以上」であった。

表4 被虐待高齢者の性別
  合計
20 74 94
21.3 78.7 100.0

(注1) 被虐待高齢者が特定できなかった2件を除く52件の事例を集計。

(注2) 1件の事例に対し被虐待高齢者が複数の場合があるため、52件の事例に対し被虐待高齢者の総数は94人であった。

表5 被虐待高齢者の年齢
  65歳
未満
65〜
69歳
70〜
79歳
80〜
89歳
90〜
99歳
合計
2 6 22 36 28 94
2.1 6.4 23.4 38.3 29.8 100.0

(注1) 被虐待高齢者が特定できなかった2件を除く52件の事例を集計。

(注2) 1件の事例に対し被虐待高齢者が複数の場合があるため、52件の事例に対し被虐待高齢者の総数は94人であった。

(4)虐待を行った養介護施設従事者等の年齢、職種(表6、表7)

年齢では「40歳未満」が半数以上であり、職種では「介護職員」85.9%、「看護職員」7.8%の他に、「管理者」「施設長」及び「開設者」が合わせて6.3%であった。

表6 虐待を行った養介護施設従事者等の年齢
  30歳未満 30〜39歳 40〜49歳 50〜59歳 60歳以上 不  明 合  計
19 16 2 8 4 15 64
29.7 25.0 3.1 12.5 6.3 23.4 100

(注1) 虐待者が特定できなかった1件を除く53件の事例を集計。

(注2) 1件の事例に対し虐待者が複数の場合があるため、53件の事例に対し虐待者の総数は64人であった。

表7 虐待を行った養介護施設従事者等の職種
  介護職員 看護職員 管理者 施設長 開設者 合計
55 5 2 1 1 64
85.9 7.8 3.1 1.6 1.6 100.0

(注1) 虐待者が特定できなかった1件を除く53件の事例を集計。

(注2) 1件の事例に対し虐待者が複数の場合があるため、53件の事例に対し虐待者の総数は64人であった。

(5)対応状況等(表8)

虐待の事実が認められた事例54件に対して、都道府県又は市町村等が行った対応は、介護保険法又は老人福祉法の規定による権限の行使として、「報告徴収、質問、立入検査、指導」が48件行われたほか、人員、設備及び運営に関する基準等が遵守されていないことに伴う「改善勧告」4件、「改善命令」1件及び「指定の停止」1件が行われた。

表8 虐待の事実が認められた事例への対応状況
報告徴収、質問、立入検査、指導 48件
改善勧告 4件
改善命令 1件
指定の停止 1件
合計 54件

2.養護者による高齢者虐待についての対応状況等

養護者とは、「高齢者を現に養護する者であって養介護施設従事者等以外のもの」であり、高齢者の世話をしている家族、親族、同居人等が該当する。

(1)相談・通報対応件数

平成18年度、全国1,829市町村(特別区を含む)で受け付けた養護者による高齢者虐待に関する相談・通報総数は、18,390件であった。

(2)相談・通報者(表9)

「介護支援専門員・介護保険事業所職員」が41.1%と最も多く、次いで「家族・親族」が13.4%、「被虐待高齢者本人」が12.1%であった。

表9 相談・通報者(複数回答)
  介護支援専門
員・介護保険
事業所職員
近隣
住民・
知人
民生
委員
被虐待
高齢者
本人
家族・
親族
虐待
者自
当該市
町村行
政職員
警察 その

合計
7,558 1,004 1,684 2,231 2,464 270 1,306 1,247 1,839 229 19,832
41.1 5.5 9.2 12.1 13.4 1.5 7.1 6.8 10.0 1.2

(注1) 相談・通報者には重複があるため、内訳の合計は相談・通報総数18,390件と一致しない。

(注2) %は相談・通報総数18,390件に対する割合であるため、内訳の合計は100%にならない。

(3)虐待を受けた又は受けたと思われたと判断した事例

相談・通報総数18,390件のうち、91.1%に当たる16,758件で訪問調査等の方法で事実確認が行われた結果、市町村が虐待を受けた又は受けたと思われたと判断した事例(以下「虐待判断事例」という。)の総数は、12,569件であった。

以下、虐待判断事例総数12,569件を対象に、虐待の種別・類型、被虐待高齢者の状況及び虐待への対応策等について集計を行った。

(4)虐待の種別・類型(表10)

「身体的虐待」が63.7%と最も多く、次いで「心理的虐待」が35.9%、「介護等の放棄(ネグレクト)」が29.5%、「経済的虐待」が27.1%、「性的虐待」が0.6%であった。

表10 虐待の種別・類型(複数回答)
  身体的虐待 介護等放棄 心理的虐待 性的虐待 経済的虐待 合計
件数 8,009 3,706 4,509 78 3,401 19,703
63.7 29.5 35.9 0.6 27.1

(注1) 虐待の種別・類型には重複があるため、内訳の合計は虐待判断事例総数12,569件と一致しない。

(注2) %は虐待判断事例総数12,569件に対する割合であるため、合計は100%にならない。

(5)被虐待高齢者の状況について
ア.性及び年齢(表11、表12)

性別では「女性」が全体の4分の3以上、年齢階級別では「80-89歳」が全体の4割を占めていた。

表11 被虐待高齢者の性別
  不明 合計
2,946 9,799 42 12,787
23.1 76.6 0.3 100.0

(注) 1件の事例に対し被虐待高齢者が複数の場合があるため、虐待判断事例総数12,569件に対し、被虐待高齢者総数は12,787人であった。

表12 被虐待高齢者の年齢
  65〜69
70〜79
80〜89
90歳
以上
不明 合計
1,405 4,674 5,109 1,180 419 12,787
11.0 36.5 40.0 9.2 3.3 100.0

(注) 1件の事例に対し被虐待高齢者が複数の場合があるため、虐待判断事例総数12,569件に対し、被虐待高齢者総数は12,787人であった。

イ.虐待者との同居・別居の状況(表13)

「同居」が84.2%と、8割以上が虐待者と同居であった。

表13 被虐待高齢者における虐待者との同居の有無
  虐待者と同居 虐待者と別居 その他 不明 合計
件数 10,585 1,402 259 323 12,569
84.2 11.1 2.1 2.6 100.0
ウ.虐待者との関係(表14)

被虐待高齢者からみた虐待者の続柄は「息子」が38.5%と最も多く、次いで「夫」が14.7%、「娘」が14.5%の順であった。

表14 虐待者の被虐待高齢者との続柄
  息子 息子の配偶者
(嫁)
娘の配偶
者(婿)
兄弟
姉妹
その他 不明 合計
2,052 715 5,390 2,025 1,503 348 279 625 672 374 13,983
14.7 5.1 38.5 14.5 10.7 2.5 2.0 4.5 4.8 2.7 100.0

(注) 1件の事例に対し、虐待者が複数の場合があるため、虐待判断事例総数12,569件に対し虐待者総数は13,983人であった。

(6)虐待への対応策について
ア.分離の有無(表15)

虐待への対応として「被虐待高齢者の保護と虐待者からの分離を行った事例」が35.6%と、約3分の1強の事例で分離が行われていた。一方、「被虐待高齢者と虐待者を分離していない事例」は60.0%であった。

表15 虐待への対応策としての分離の有無
  件数
被虐待高齢者の保護と虐待者からの分離を行った事例 4,471 35.6
被虐待高齢者と虐待者を分離していない事例 7,536 60.0
対応について検討、調整中の事例 594 4.7
合  計 12,601 -

(注1) 1件の事例に対し被虐待高齢者が複数の場合において、一方は虐待者からの分離を行ったが、もう一方は虐待者と分離していない事例がある場合、「分離を行った事例」と「分離していない事例」の各々に重複して計上した。また、事実確認後、対応を行うまでに被虐待高齢者が死亡した例があった。これらの理由により、分離の有無の内訳の合計は虐待判断事例総数12,569件と一致しない。

(注2) %は虐待判断事例総数12,569件に対する割合であるため、内訳の合計は100%にならない。

イ.分離を行った事例の対応(表16)

「契約による介護保険サービスの利用」が36.0%と最も多く、次いで「医療機関への一時入院」が20.2%、「やむを得ない事由等による措置」が13.6%の順であった。

表16 分離を行った事例の対応の内訳
  件数
契約による介護保険サービスの利用 1,608 36.0
やむを得ない事由等による措置 606 13.6
緊急一時保護 476 10.6
医療機関への一時入院 903 20.2
その他 881 19.7
合  計 4,474

(注1) 1件の事例に対し被虐待高齢者が複数の場合において、それぞれの被虐待高齢者に対する分離を行った対応方法が異なる事例については、内訳の該当項目各々に重複して計上したため、内訳の合計は虐待者からの分離を行った事例総数4,471件と一致しない。

(注2) %は分離を行った事例総数4,471件に対する割合であるため、内訳の合計は100%にならない。

ウ.分離していない事例の対応の内訳(表17)

「養護者に対する助言・指導」が42.1%と最も多く、次いで「被虐待高齢者に対するケアプランが見直された上で、被虐待高齢者が介護保険サービスを継続して利用」が24.5%、「見守り」が22.4%であった。

表17 分離を行っていない事例の対応の内訳(複数回答)
  件数
養護者に対する助言・指導 3,176 42.1
養護者自身が介護負担軽減のためサービスを利用 775 10.3
被虐待高齢者が介護保険サービスを新たに利用 891 11.8
被虐待高齢者に対するケアプランが見直された上で、被虐待高齢者が介護保険サービスを継続して利用 1,850 24.5
被虐待高齢者が介護保険サービス以外のサービスを利用 834 11.1
その他 1,724 22.9
見守り 1,689 22.4

(注1) %は被虐待高齢者と虐待者の分離を行っていない7,536件に対する割合。

(注2) 「見守り」には、他の対応と重複がない事例のみ計上されている。

(7)虐待等による死亡例について

平成18年度に発生し、「介護している親族による、介護をめぐって発生した事件で、被介護者が65歳以上、かつ虐待等により死亡に至った事例」として、市町村で把握している事例について情報提供を求めた。その結果、事件数及び被害者数は「養護者の虐待による被養護者の致死」16件16人、「養護者による被養護者の殺人及び心中」が15件16人であり、合わせて31件32人であった。

3.市町村における高齢者虐待防止対応のための体制整備等について(表18)

「高齢者虐待の対応の窓口となる部局の設置」が91.4%、「高齢者虐待の対応の窓口となる部局の住民への周知」が67.3%と最も実施率が高かった。一方、「老人福祉法の規定による措置に必要な居室確保のための関係機関との調整」が39.9%、「早期発見・見守りネットワークの構築への取組」が38.6%、「法に定める警察署長に対する援助要請等に関する警察署担当者との協議」が32.1%、「保健医療福祉サービス介入支援ネットワークの構築への取組」が23.6%、「関係専門機関介入支援ネットワークの構築への取組」が19.6%であり、地域における高齢者虐待対応に関する関係機関等との連携や調整が必要な項目については、市町村内部の体制整備や住民及び介護関係施設・事業所への法の周知等に比べて実施率が低かった。

表18 市町村における体制整備等に関する状況
(1,829市町村、平成18年度末現在、単位:%)
  法施行前か
ら実施又は
取組み
法施行後
に実施又
は取組み
(小計) 19年度中
に実施又
は取組み
予定
19年度も
実施又は
取組む予
定なし
合計
対応窓口となる部局の設置 40.3 51.1 91.4 5.4 3.2 100.0
対応窓口部局の住民への周知 15.7 51.6 67.3 23.0 9.7 100.0
成年後見制度の市区町村長申立への体制強化 21.4 29.0 50.4 21.7 27.9 100.0
地域包括支援センター等の関係者への研修 9.5 35.7 45.2 22.7 32.1 100.0
独自の対応のマニュアル、業務指針等の作成 4.4 18.5 22.9 44.1 33.0 100.0
居宅介護サービス事業者に法について周知 7.8 43.9 51.7 27.9 20.4 100.0
講演会や広報紙等による住民への啓発活動 7.8 36.5 44.3 32.9 22.8 100.0
介護保険施設に法について周知 6.1 37.0 43.1 28.8 28.1 100.0
老人福祉法による措置に必要な居室確保のための関係機関との調整 20.4 19.5 39.9 24.0 36.1 100.0
法に定める警察署長に対する援助要請等に関する警察署担当者との協議 5.6 26.5 32.1 32.9 35.0 100.0
「早期発見・見守りネットワーク」の構築への取組 18.0 20.6 38.6 35.9 25.5 100.0
「保健医療福祉サービス介入支援ネットワーク」の構築への取組 8.4 15.2 23.6 31.5 44.9 100.0
「関係専門機関介入支援ネットワーク」の構築への取組 5.7 13.9 19.6 34.2 46.2 100.0

(参考)調査の概要

【調査目的】

平成18年度における養護者及び養介護施設従事者等による高齢者虐待への対応状況等を把握することにより、より効果的な施策の検討を行うための基礎資料を得ることを目的とする。

【調査方法】

全国1,829市町村(特別区を含む)及び47都道府県を対象に、平成18年度中に新たに相談・通報があった高齢者虐待に関する事例について、主として以下の項目の質問で構成されるアンケートを行った。

○市町村対象の調査
1.養護者による高齢者虐待

(1)相談・通報対応件数及び相談・通報者

(2)事実確認の状況と結果

(3)虐待の種別・類型

(4)被虐待高齢者の状況

(5)虐待への対応策

2.養介護施設従事者等による高齢者虐待

(1)相談・通報対応件数及び相談・通報者

(2)事実確認の状況と結果

3.高齢者虐待対応に関する体制整備の状況

4.虐待等による死亡事例の状況

○都道府県対象の調査(養介護施設従事者等による高齢者虐待)
1.市町村からの報告件数
2.都道府県が直接受け付けた相談・通報対応件数
3.1及び2における具体的内容

虐待があった施設等の種別、虐待の種別・類型、被虐待高齢者の状況、行政の対応等

【調査結果】

別紙(9ページ以下)のとおり


調 査 結 果

1.養介護施設従事者等による高齢者虐待についての対応状況等

1.1 市町村における対応状況等
(1)相談・通報対応件数

平成18年度、全国の1,829市町村(特別区を含む)で受け付けた養介護施設従事者等による高齢者虐待に関する相談・通報総数は、273件であった。

(2)相談・通報者(表1)

相談・通報者の内訳は、「親族」が24.5%と最も多く、次いで「当該施設職員」が23.1%、「当該施設元職員」が10.6%であった。なお、「本人による届出」は4.0%であった。

※ 1件の事例に対し複数の者から相談・通報があった場合、相談・通報者の内訳の該当項目に重複して計上されるため、内訳の合計は相談・通報総数273件と一致しない。

表1  相談・通報者内訳(複数回答)
  本人
による
届出
親族 当該施
設職員
当該施
設元職

介護支
援専門
国民健
康保険
団体連合
都道
府県
から
連絡
その
不明
(匿名
を含
む)
合計
11 67 63 29 2 10 8 17 45 38 290
4.0 24.5 23.1 10.6 0.7 3.7 2.9 6.2 16.5 13.9 -

(注) %は相談・通報総数273件に対する割合であるため、内訳の合計は100%にならない。

(3)事実確認の状況(表2)

相談・通報総数273件のうち、「事実確認を行った事例」は243件、「事実確認を行わなかった事例」は30件であった。「事実確認を行った事例」243件のうち、「訪問調査(介護保険法又は老人福祉法に基づく立入検査等を含む)等による事実確認を行った事例」が219件、「訪問調査以外の方法による事実確認を行った事例」が24件であった。

一方、事実確認を行わなかった30件における、その理由は、「相談・通報を受理した段階で、明らかに虐待ではなく、事実確認不要と判断した事例」が13件、「後日、事実確認を予定している又は対応を検討中の事例」が12件、「その他」が5件であった。

表2 相談・通報に関する事実確認の状況
相談・通報総数 273件
  事実確認を行った 243件
  訪問調査等による事実確認 219件
上記以外の方法による事実確認 24件
事実確認を行わなかった 30件
  相談・通報を受理した段階で、明らかに虐待ではなく、事実確認不要と判断した事例 13件
後日、事実確認を予定している又は対応を検討中の事例 12件
その他 5件

訪問調査等による事実確認を実施主体別にみると(表3)、「市町村単独のみ」が182件の他、「都道府県と市町村の合同のみ」が28件、「市町村単独と都道府県と市町村の共同の両方」が9件であり、合わせて16.9%に当たる37件において、市町村と都道府県の共同による訪問調査等が実施されていた。

表3 訪問調査等による事実確認の実施主体の内訳
  件数 回数
市町村単独のみ 182 246
都道府県と市町村の共同のみ 28 40
市町村単独と都道府県と市町村の共同の両方 9 32
合計 219 318
(4)都道府県への報告(表4)

養介護施設従事者等による高齢者虐待に関して、法第22条及び法律施行規則第1条の規定により、通報又は届出を受けた市町村は、当該通報又は届出に係る事実確認を行った結果、養介護施設従事者等による高齢者虐待の事実が認められた場合、又は更に都道府県と共同して事実の確認を行う必要が生じた場合に、当該養介護施設等の所在地の都道府県へ報告しなければならないとされている。

事実確認を行った事例243件のうち、59件の事例について市町村から都道府県へ報告があった。報告の理由は、「虐待の事実が認められた」が43件、「虐待の事実が認められたが、更に都道府県と共同して事実の確認を行う必要がある」が9件、「都道府県と共同して事実の確認を行う必要がある」が7件であった。

表4 養介護施設従事者等による虐待に関する市町村から都道府県への報告
市町村から都道府県への報告 59件
  虐待の事実が認められた 43件
虐待の事実が認められたが、更に都道府県と共同して事実の確認を行う必要がある 9件
都道府県と共同して事実の確認を行う必要がある 7件
1.2.都道府県における対応状況等
(1)市町村から都道府県へ報告があった事例

市町村から都道府県へ報告があった事例59件のうち、「市町村による虐待の事実の認定に基づき、都道府県としても虐待の事実が認められたと判断した事例」が39件、市町村からの依頼又は都道府県の判断により「改めて事実確認を行った事例」が20件であった。改めて事実確認を行った20件の結果は、「虐待の事実が認められた事例」が10件、「虐待ではないと判断した事例」が1件、「虐待の事実が確認できなかった事例」が9件であった(表5)。

したがって、最終的に「虐待の事実が認められた事例」が49件、「虐待ではないと判断した事例」又は「虐待の事実が確認できなかった事例」が合わせて10件であった。

表5  市町村から報告された事例への都道府県の対応
市町村による虐待の事実の認定に基づき、都道府県としても虐待の事実が認められたと判断した事例 39件
改めて事実確認を行った事例 20件
  虐待の事実が認められた事例 10件
虐待ではないと判断した事例 1件
虐待の事実が確認できなかった事例 9件
(2)都道府県が直接把握した事例(表6)

市町村から都道府県へ報告があった59件のほかに、都道府県が直接、相談・通報を受け付けた事例が30件あり、「後日、事実確認予定又は対応検討中」の4件を除く26件について都道府県が事実確認を行った結果、「虐待の事実が認められた事例」が5件、「虐待ではないと判断した事例」が4件、「虐待の事実が確認できなかった事例」が17件であった。

表6 都道府県が直接、相談・通報を受け付けた事例における事実確認状況及びその結果
都道府県が直接、相談・通報を受け付けた事例 30件
  事実確認により虐待の事実が認められた事例 5件
事実確認により虐待ではないと判断した事例 4件
事実確認を行ったが、虐待の事実が確認できなかった事例 17件
後日、事実確認を予定している又は対応を検討中の事例 4件
(3)虐待の事実が認められた事例の総数

虐待の事実が認められた事例は、市町村から都道府県へ報告があった事例では49件、都道府県が直接把握した事例では5件であり、これらを合わせた総数は、54件であった。

都道府県別にみた虐待の事実が認められた事例の件数を表7に示す。

表7  都道府県別にみた養介護施設従事者等による虐待の事実が認められた事例の件数
(平成18年度)
  件数   件数   件数   件数
北海道 1 東京都 4 滋賀県 0 香川県 0
青森県 0 神奈川県 6 京都府 2 愛媛県 2
岩手県 3 新潟県 0 大阪府 4 高知県 0
宮城県 0 富山県 0 兵庫県 2 福岡県 3
秋田県 0 石川県 2 奈良県 0 佐賀県 1
山形県 1 福井県 1 和歌山県 0 長崎県 1
福島県 0 山梨県 1 鳥取県 0 熊本県 0
茨城県 0 長野県 1 島根県 0 大分県 0
栃木県 0 岐阜県 3 岡山県 1 宮崎県 0
群馬県 1 静岡県 1 広島県 2 鹿児島県 2
埼玉県 2 愛知県 0 山口県 0 沖縄県 3
千葉県 3 三重県 1 徳島県 0 合計 54
1.3.虐待の事実が認められた事例について

虐待の事実が認められた54件の事例を対象に、施設・事業所の種別、虐待の種別・類型、虐待を受けた高齢者及び虐待を行った養介護施設従事者等の状況等について集計を行った。

(1)施設・事業所の種別(表8)

「特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)」が35.2%と最も多く、次いで「介護老人保健施設」及び「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)」が18.5%であった。

表8  当該施設・事業所の種別
  有料
老人
ホーム
軽費
老人
ホー
特別
養護
老人
ホーム
介護
老人
保健
施設
訪問介
護、訪問
入浴介護
短期入
所施設
認知症対
応型共同
生活介護
老人デイ
サービス
センター
合計
件数 7 1 19 10 3 3 10 1 54
13.0 1.8 35.2 18.5 5.6 5.6 18.5 1.8 100.0
(2)虐待の種別・類型(表9)

虐待の種別・類型(複数回答)は、「身体的虐待」が74.1%と最も多く、次いで「心理的虐待」が37.0%、「介護等放棄」が13.0%であった。

※ 1件の事例に対し複数の種別・類型がある場合、内訳の該当項目に重複して計上されるため、虐待の事実が認められた事例54件と一致しない。

表9   虐待の種別・類型(複数回答)
  身体的虐待 介護等放棄 心理的虐待 性的虐待 経済的虐待 種別不明 合計
件数 40 7 20 6 3 1 77
74.1 13.0 37.0 11.1 5.6 1.9

(注) %は虐待の事実が認められた事例54件に対する割合であるため、内訳の合計は100%にならない。

(3)被虐待高齢者の状況

被虐待高齢者の性、年齢階級及び要介護状態区分について、被虐待高齢者が特定できなかった2件を除く52件の事例を対象に集計を行った。なお、1件の事例に対し被虐待高齢者が複数の場合があるため、52件の事例に対し被虐待高齢者の総数は94人であった。

ア.性(表 10)

「男性」が21.3%、「女性」が78.7%と、全体の約8割が「女性」であった。

イ.年齢(表11)

「80〜89歳」が38.3%と最も多く、次いで「90〜99歳」が29.8%であり、合わせて全体の約7割が「80歳以上」であった。

表10  被虐待高齢者の性別
  合計
20 74 94
21.3 78.7 100.0

(注) 被虐待高齢者が特定できなかった2件を除く52件の事例を集計。

表11  被虐待高齢者の年齢
  65歳
未満
65〜
69歳
70〜
79歳
80〜
89歳
90〜
99歳
合計
2 6 22 36 28 94
2.1 6.4 23.4 38.3 29.8 100.0

(注) 被虐待高齢者が特定できなかった2件を除く52件の事例を集計。

ウ.要介護状態区分(表12)

「要介護4」が42.6%と最も多く、次いで「要介護5」が20.2%、「要介護3」が17.0%であり、合わせて「要介護3以上」が79.8%と約8割を占めた。

表12  被虐待高齢者の要介護状態区分
 
要支援1 1 1.1
要支援2 1 1.1
要介護1 7 7.4
要介護2 10 10.6
要介護3 16 17.0
要介護4 40 42.6
要介護5 19 20.2
合計 94 100.0

(注) 被虐待高齢者が特定できなかった2件を除く52件の事例を集計。

(4)虐待を行った養介護施設従事者等の状況

虐待を行った養介護施設従事者等(以下、「虐待者」という。)の年齢及び職種について、虐待者が特定できなかった1件を除く53件の事例を対象に集計を行った。なお、1件の事例に対し虐待者が複数の場合があるため、53件の事例に対し虐待者の総数は64人であった。

ア.年齢(表13)

「30歳未満」が29.7%と最も多く、次いで「30〜39歳」が25.0%であり、これらを合わせると「40歳未満」が54.7%と半数以上であった。

表13  虐待を行った養介護施設従事者等の年齢
  30歳未満 30〜39歳 40〜49歳 50〜59歳 60歳以上 不  明 合計
19 16 2 8 4 15 64
29.7 25.0 3.1 12.5 6.3 23.4 100.0

(注) 虐待者が特定できなかった1件を除く53件の事例を集計。

イ.職種(表14)

「介護職員」が85.9%、「看護職員」が7.8%の他に、「管理者」「施設長」及び「開設者」を合わせて6.3%であった。

表14  虐待を行った養介護施設従事者等の職種
  介護職員 看護職員 管理者 施設長 開設者 合計
55 5 2 1 1 64
85.9 7.8 3.1 1.6 1.6 100.0

(注) 虐待者が特定できなかった1件を除く53件の事例を集計。

(5)虐待の事実が認められた事例への対応状況

虐待の事実が認められた事例54件に対して、都道府県又は市町村等が行った対応について表15に示す。介護保険法又は老人福祉法の規定による権限の行使として、「報告徴収、質問、立入検査、指導」が48件行われたほか、人員、設備及び運営に関する基準等が遵守されていないことに伴う「改善勧告」4件、「改善命令」1件及び「指定の停止」1件が行われた。

当該施設等における改善措置(複数回答)としては、市町村又は都道府県への「改善計画の提出」27件、「勧告・命令等への対応」5件及び「その他」18件であった。その他の主な具体的な内容は、「虐待を行っていた職員を解雇」「高齢者虐待対応マニュアルの作成」「緊急職員会議の開催」「虐待防止について研修、啓発」「虐待者の配置換え、降格」「施設内虐待意識調査を実施」「被虐待高齢者・家族への謝罪」「施設内に人権委員会設置」等であった。

表15   虐待の事実が認められた事例への対応状況
介護保険法又は老人福祉法
の規定による権限の行使(都
道府県又は市町村)
報告徴収、質問、立入検査、指導 48件
改善勧告 4件
改善命令 1件
指定の停止 1件
合計 54件
当該施設等における改善措置
(複数回答)
施設等から改善計画の提出 27件
勧告・命令等への対応 5件
その他 18件

2.養護者による高齢者虐待についての対応状況等

(1)相談・通報対応件数

平成18年度、全国の1,829市町村(特別区を含む)で受け付けた養護者による高齢者虐待に関する相談・通報総数は、18,390件であった。

(2)相談・通報者(表16)

「介護支援専門員・介護保険事業所職員」が41.1%と最も多く、次いで「家族・親族」が13.4%、「被虐待高齢者本人」が12.1%、「民生委員」が9.2%、「警察」が6.8%であった。また、「虐待者自身」からは1.5%であった。

※1件の事例に対し複数の者から相談・通報があった場合、相談・通報者の内訳の該当項目に重複して計上されるため、内訳の合計は相談・通報総数18,390件と一致しない。

表16 相談・通報者(複数回答)
  介護支援専門
員・介護保険
事業所職員
近隣住
民・知
民生
委員
被虐待
高齢者
本人
家族・
親族
虐待
者自
当該市
町村行
政職員
警察 その

合計
7,558 1,004 1,684 2,231 2,464 270 1,306 1,247 1,839 229 19,832
41.1 5.5 9.2 12.1 13.4 1.5 7.1 6.8 10.0 1.2

(注) %は相談・通報総数18,390件に対する割合であるため、内訳の合計は100%にならない。

(3)事実確認の状況(表17)

「訪問による事実確認(立入調査事例は除く)」が61.3%、「関係者からの情報収集のみによる事実確認」が27.8%、「事実確認を行ったが、確認の方法が不明」が0.6%、「立入調査による事実確認」が1.4%であり、これらを合わせて91.1%の事例(16,758件)において、何らかの方法で事実確認が行われていた。一方、「立入調査が困難」が0.2%、「訪問拒否等により事実確認が不可能」が0.9%と、合わせて約1%の事例では事実確認が困難であった。

表17 事実確認の実施状況
  件 数
訪問による事実確認を行った事例   ※立入調査事例は除く 11,279 61.3
関係者からの情報収集のみによる事実確認を行った事例 5,109 27.8
事実確認を行ったが、確認の方法が不明 112 0.6
立入調査による事実確認を行った事例 258 1.4
  警察が同行した事例 106 -
警察に援助要請したが同行はなかった事例 62 -
立入調査が困難であった事例 31 0.2
訪問拒否等により事実確認が不可能だった事例 165 0.9
後日事実確認予定又は対応を検討中の事例 750 4.1
相談・通報を受理した段階で、明らかに虐待事例ではないと判断し、事実確認を行わなかった事例 686 3.7
合計 18,390 100.0
(4)虐待を受けた又は受けたと思われたと判断した事例

事実確認の結果、市町村が虐待を受けた又は受けたと思われたと判断した事例(以下、「虐待判断事例」という。)の総数は、12,569件であった。 一方、虐待を受けたとは思われなかったが、虐待を受ける恐れがある等の理由により、予防的に何らかの具体的な対応を行った事例の総数は、2,435件であった。

以下、虐待判断事例総数12,569件を対象に、虐待の種別・類型、被虐待高齢者の状況及び虐待への対応策等について集計を行った。

(5)虐待の種別・類型(表18)

「身体的虐待」が63.7%と最も多く、次いで「心理的虐待」が35.9%、「介護等の放棄(ネグレクト)」が29.5%、「経済的虐待」が27.1%、「性的虐待」が0.6%であった。

※1件の事例に対し、複数の種別・類型がある場合、内訳の該当項目に重複して計上されるため、内訳の合計は虐待判断事例総数12,569件と一致しない。

表18  虐待の種別・類型(複数回答)
  身体的虐待 介護等放棄 心理的虐待 性的虐待 経済的虐待 合計
件数 8,009 3,706 4,509 78 3,401 19,703
63.7 29.5 35.9 0.6 27.1

(注) %は虐待判断事例総数12,569件に対する割合であるため、内訳の合計は100%にならない。

(6)被虐待高齢者の状況
ア.性及び年齢(表19、表20)

性別では「女性」が76.6%、「男性」が23.1%と「女性」が全体の4分の3以上を占めていた。年齢階級別では「80〜89歳」が40.0%と最も多かった。

※1件の事例に対し被虐待高齢者が複数の場合があるため、虐待判断事例総数12,569件に対し、被虐待高齢者総数は12,787人であった。

表19 被虐待高齢者の性別
  不明 合計
2,946 9,799 42 12,787
23.1 76.6 0.3 100.0
表20 被虐待高齢者の年齢
  65〜69
70〜79
80〜89
90歳
以上
不明 合計
1,405 4,674 5,109 1,180 419 12,787
11.0 36.5 40.0 9.2 3.3 100.0
イ.要介護認定者数(表21)

被虐待高齢者12,787人のうち、介護保険の利用申請を行い「認定済み」の者が67.9%(8,677人)と、約7割が要介護認定者であった。

表21 被虐待高齢者の要介護認定
 
未申請 3,042 23.8
申請中 208 1.6
認定済み 8,677 67.9
認定非該当(自立) 439 3.4
不明 421 3.3
合計 12,787 100.0
ウ.要介護状態区分及び認知症日常生活自立度(表22、表23)

要介護認定者8,677人における要介護状態区分は、「要介護3以下」が73.2%と、比較的軽度の者が7割以上を占めた。また、要介護認定者における認知症日常生活自立度「II以上」の者は61.6%であり、被虐待高齢者総数(12,787人)の41.8%を占めた。

表22 要介護認定者の要介護状態区分
 
要支援1 608 7.0
要支援2 680 7.8
要介護1 1,826 21.1
要介護2 1,506 17.4
要介護3 1,730 19.9
要介護4 1,268 14.6
要介護5 790 9.1
不明 269 3.1
合計 8,677 100.0
表23 要介護認定者の認知症日常生活自立度
 
自立又は認知症なし 1,535 17.7
自立度I 1,209 13.9
自立度II 1,879 21.7
自立度III 1,624 18.7
自立度IV 671 7.7
自立度M 148 1.7
認知症あるが自立度不明 1,021 11.8
自立度II以上(再掲) (5,343) (61.6)
認知症の有無が不明 590 6.8
合計 8,677 100.0

(注) 「認知症あるが自立度不明」には、一部「自立度I」が含まれている可能性がある。

エ.虐待者との同居・別居の状況(表24)

「虐待者と同居」が84.2%と、8割以上が虐待者と同居であった。

表24 被虐待高齢者における虐待者との同居の有無
  虐待者と同居 虐待者と別居 その他 不明 合計
件数 10,585 1,402 259 323 12,569
84.2 11.1 2.1 2.6 100.0
オ.世帯構成(表25)

「未婚の子と同一世帯」が31.3%と最も多く、次いで「既婚の子と同一世帯」が27.8%であり、両者を合わせると59.1%と、6割近くが「子と同居」であった。

表25 世帯構成
  単身世帯 夫婦二人世帯 未婚の子と
同一世帯
既婚の子と
同一世帯
その他 不 明 合 計
1,077 1,952 3,936 3,497 1,198 909 12,569
8.6 15.5 31.3 27.8 9.5 7.3 100.0
カ.虐待者との関係(表26)

被虐待高齢者からみた虐待者の続柄は、「息子」が38.5%と最も多く、次いで「夫」が14.7%、「娘」が14.5%の順であった。

※1件の事例に対し虐待者が複数の場合があるため、虐待判断事例総数12,569件に対し虐待者総数は13,983人であった。

表26 虐待者の被虐待高齢者との続柄
  息子 息子の配
偶者(嫁)
娘の配偶
者(婿)
兄弟
姉妹
その
不明 合計
2,052 715 5,390 2,025 1,503 348 279 625 672 374 13,983
14.7 5.1 38.5 14.5 10.7 2.5 2.0 4.5 4.8 2.7 100.0
(7)虐待への対応策
ア.分離の有無(表27)

虐待への対応として、「被虐待高齢者の保護と虐待者からの分離を行った事例」が35.6%と、約3分の1強の事例で分離が行われていた。一方、「被虐待高齢者と虐待者を分離していない事例」は60.0%であった。

※1件の事例に対し被虐待高齢者が複数の場合において、一方は虐待者からの分離を行ったが、もう一方は虐待者と分離していない事例がある場合、「分離を行った事例」と「分離していない事例」の各々に重複して計上した。また、事実確認後、対応を行うまでに被虐待高齢者が死亡した例があった。これらの理由により、分離の有無の内訳の合計は虐待判断事例総数12,569件と一致しない。

表27 虐待への対応策としての分離の有無
  件数
被虐待高齢者の保護と虐待者からの分離を行った事例 4,471 35.6
被虐待高齢者と虐待者を分離していない事例 7,536 60.0
対応について検討、調整中の事例 594 4.7
合  計 12,601 -

(注) %は虐待判断事例総数12,569件に対する割合であるため、内訳の合計は100%にならない。

イ.分離を行った事例の対応(表28)

分離を行った事例における対応としては、「契約による介護保険サービスの利用」が36.0%と最も多く、次いで「医療機関への一時入院」が20.2%、「やむを得ない事由等による措置」が13.6%の順であった。「やむを得ない事由等による措置」を行った606件のうち、36.1%に当たる219件において面会を制限する措置が行われていた。

※1件の事例に対し被虐待高齢者が複数の場合において、それぞれの被虐待高齢者に対する分離を行った対応方法が異なる事例については、内訳の該当項目各々に重複して計上したため、内訳の合計は虐待者からの分離を行った事例総数4,471件と一致しない。

表28 分離を行った事例の対応の内訳
  件数
契約による介護保険サービスの利用 1,608 36.0
やむを得ない事由等による措置 606 13.6
  面会の制限を行った事例 219
緊急一時保護 476 10.6
医療機関への一時入院 903 20.2
その他 881 19.7
合  計 4,474

(注) %は分離を行った事例総数4,471件に対する割合であるため、内訳の合計は100%にならない。

ウ.分離していない事例の対応の内訳(表29)

分離していない事例における対応では、「養護者に対する助言・指導」が42.1%と最も多く、次いで「被虐待高齢者に対するケアプランが見直された上で、被虐待高齢者が介護保険サービスを継続して利用」が24.5%、「見守り」が22.4%であった。

表29 分離を行っていない事例の対応の内訳(複数回答)
  件数
養護者に対する助言・指導 3,176 42.1
養護者自身が介護負担軽減のためサービスを利用 775 10.3
被虐待高齢者が介護保険サービスを新たに利用 891 11.8
被虐待高齢者に対するケアプランが見直された上で、被虐待高齢者が介護保険サービスを継続して利用 1,850 24.5
被虐待高齢者が介護保険サービス以外のサービスを利用 834 11.1
その他 1,724 22.9
見守り 1,689 22.4

(注1) %は被虐待高齢者と虐待者の分離を行っていない7,536件に対する割合。

(注2) 「見守り」には、他の対応と重複がない事例のみ計上されている。

エ.権利擁護に関する対応

権利擁護に関する対応として、成年後見制度及び地域福祉権利擁護事業(平成19年度から日常生活自立支援事業)の利用状況について把握した。成年後見制度については、「利用開始済み」が125件、「利用手続き中」が158件であり、これらを合わせた283件のうち、市町村長申し立ての事例は101例(35.7%)であった。

一方、「地域福祉権利擁護事業の利用」は241件であった。

(8)虐待等による死亡例

「介護している親族による、介護をめぐって発生した事件で、被介護者が65歳以上、かつ虐待等により死亡に至った事例」のうち、平成18年4月1日〜平成19年3月31日の間に発生し、市町村で把握している事例について情報提供を求めた。

ア.事件形態、事件数及び被害者数

「養護者の介護等放棄(ネグレクト)による被養護者の致死」10件10人、「養護者の虐待(介護等放棄を除く)による被養護者の致死」6件6人、「養護者による被養護者の殺人及び心中」が15件16人であり、合わせて31件32人であった。

イ.加害者、被害者の性及び続柄

被害者の性別は「男性」10人(31.2%)、「女性」22人(68.8%)、また、加害者の性別は「男性」18人(58.1%)、「女性」13人(41.9%)であった。 また、被害者の続柄は、多い順に「母」12人(37.5%)、「妻」7人(21.9%)、「夫」6人(18.8%)、「父」4人(12.5%)、「祖母」2人(6.2%)、「叔母」1人(3.1%)であった。

加害者の続柄は、多い順に「息子」10人(31.3%)、「夫」7人(21.9%)、「息子の配偶者(嫁)」5人(15.6%)、「娘」4人(12.5%)、「妻」3人(9.4%)、「孫」2人(6.2%)、「姪」1人(3.1%)であった(重複あり)。

3.市町村における高齢者虐待防止対応のための体制整備等について

市町村における高齢者虐待防止対応のための体制整備等について、平成18年度末の状況を調査した。全部で13の項目について回答を求め、その結果を表30に示す。

いずれの項目も、高齢者虐待防止法施行が契機となり、体制整備および取組みが促進されたことがわかる。

平成18年度末現在の実施率をみると、「高齢者虐待の対応の窓口となる部局の設置」が91.4%、「高齢者虐待の対応の窓口となる部局の住民への周知」が67.3%と最も実施率が高かった。一方、「老人福祉法の規定による措置に必要な居室確保のための関係機関との調整」が39.9%、「早期発見・見守りネットワークの構築への取組」が38.6%、「法に定める警察署長に対する援助要請等に関する警察署担当者との協議」が32.1%、「保健医療福祉サービス介入支援ネットワークの構築への取組」が23.6%、「関係専門機関介入支援ネットワークの構築への取組」が19.6%であり、地域における高齢者虐待対応に関する関係機関等との連携や調整が必要な項目については、市町村内部の体制整備や住民及び介護関係施設・事業所への法の周知等に比べて実施率が低く、平成19年度中に取り組む予定なしという率も高かった。

表30   市町村における体制整備等に関する状況
(1,829市町村、平成18年度末現在)
    法施行前
から実施
又は取組
法施行後
に実施又
は取組み
(小計) 19年度中
に実施又
は取組み
予定
19年度も
実施又は
取組む予
定なし
対応窓口となる部局の設置 737 934 1,671 99 59 1,829
40.3 51.1 91.4 5.4 3.2 100.0
対応窓口部局の住民への周知 286 944 1,230 421 178 1,829
15.7 51.6 67.3 23.0 9.7 100.0
成年後見制度の市区町村長申立への体制強化 391 531 922 397 510 1,829
21.4 29.0 50.4 21.7 27.9 100.0
地域包括支援センター等の関係者への研修 174 653 827 415 587 1,829
9.5 35.7 45.2 22.7 32.1 100.0
独自の対応のマニュアル、業務指針等の作成 81 339 420 806 603 1,829
4.4 18.5 22.9 44.1 33.0 100.0
居宅介護サービス事業者に法について周知 142 804 946 511 372 1,829
7.8 43.9 51.7 27.9 20.4 100.0
講演会や広報紙等による住民への啓発活動 143 667 810 601 418 1,829
7.8 36.5 44.3 32.9 22.8 100.0
介護保険施設に法について周知 111 676 787 527 515 1,829
6.1 37.0 43.1 28.8 28.1 100.0
老人福祉法による措置に必要な居室確保のための関係機関との調整 374 356 730 439 660 1,829
20.4 19.5 39.9 24.0 36.1 100.0
法に定める警察署長に対する援助要請等に関する警察署担当者との協議 102 485 587 602 640 1,829
5.6 26.5 32.1 32.9 35.0 100.0
「早期発見・見守りネットワーク」の構築への取組 330 376 706 656 467 1,829
18.0 20.6 38.6 35.9 25.5 100.0
「保健医療福祉サービス介入支援ネットワーク」の構築への取組 154 278 432 576 821 1,829
8.4 15.2 23.6 31.5 44.9 100.0
「関係専門機関介入支援ネットワーク」の構築への取組 104 254 358 625 846 1,829
5.7 13.9 19.6 34.2 46.2 100.0

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