フィブリノゲン資料問題及びその背景に関する調査プロジェクトチーム報告(概要)

平成19年11月30日

1 調査の端緒

平成14年、厚生労働省が三菱ウェルファーマ社(当時)からの報告命令により収集したフィブリノゲン製剤投与によるC型肝炎患者の418名の症例一覧表等の資料につき、存在しないと思われていたマスキングの無い資料(2名の個人名の入った企業内部資料を含む)が、本年10月19日に厚生労働省の地下倉庫から発見された。

このため、この資料問題及びその背景について、厚生労働大臣から調査指示。

2 主な調査事項

(1) 当該資料の収集経緯並びにその保管管理状況

(2) 当該資料を収集した平成14年当時の患者個人への連絡の検討の有無とその背景となる状況並びにこれらに関する職員の責任

(3) 平成16年のフィブリノゲン製剤納入医療機関名の公表時における(2)と同様の検討の有無、背景、職員の責任

(4) 今後改善すべき事項

3 調査体制

厚生労働大臣直属の調査チームとして、
主査:西川京子副大臣、
副主査:松浪健太・伊藤渉厚生労働大臣政務官、
顧問:中込秀樹弁護士、吉岡桂輔弁護士
チーム員:杉浦政策評価審議官ほか職員9名

4 判明した主な事実

○ 平成13年3月「肝炎対策に関する有識者会議」において、フィブリノゲン製剤を投与された者については、対象医療機関や患者が多いこと等から、必要な相談や治療が受けられるよう普及啓発対策を強化するよう提言があった。

○ 一方、同有識者会議の報告に基づき、13年度には第VIII・第IX因子製剤投与の患者に対しては、患者を特定し、受診勧奨する調査研究事業(805医療機関、999人を特定、呼びかけ)を実施していた。

○ 厚生労働省の14年調査は、フィブリノゲン製剤の投与によるC型肝炎ウィルス感染に関するそれまでの事実関係や行政の対応の調査を目的としたものであり、

から、患者個人への告知について当時の職員に認識はなく、検討もされなかった。

○ 医療関係者からは、418名の患者には少なくとも肝炎に罹患している事実は告げられているはずだが、フィブリノゲン製剤の投与についてまで説明しているかはわからないとの意見あり。

○ 患者からは、フィブリノゲン製剤を投与されたことは説明されていない人が多く、また、早く知っていれば検診も受けられたのではないかとの意見あり。

○ 14年調査で収集した当該資料は、16年7月頃に十分な引継ぎもなく地下倉庫に移され、本年10月19日に職員に発見されるまで倉庫に保管されたままであった。こうした状況から職員に隠蔽の意図はなかったと考えられるが、倉庫の保管や、文書管理の状況は、極めて不十分であった。

○ 平成16年のフィブリノゲン納入医療機関(約7000)の公表時に幅広く検査受診を呼びかけると同時に、医療機関に対し、可能な限り患者を特定し、連絡をとるよう要請。

5 責任の所在と提言

○  フィブリノゲン製剤投与者に対しては、14年当時において、収集した418名の症例に限って考えても、C型肝炎に関する知見の進歩や自覚症状が分からないままに重篤化する特性を踏まえ、国は、患者の視点に立って、告知に関する配慮があってしかるべきであり、反省すべきである。

当時の有識者会議の判断や、調査時における情報公開に向けた取組み等から見て、患者への告知を行わなかったことにつき、調査チームとしては、責任があるとまでは言い切れなかったが、肝炎で苦しんでいる人々に行うべきことは何かに思いを致すべきという批判を組織全体として重く受け止めるべき。

今後、早期に患者に通知することにより治療が望みうるような一定の疾病については、副作用報告制度の機能を損うことなく、また、個人情報保護や患者と医師との関係にも十分配慮しつつ、国民個人が疾病の罹患について知りうるような方途のあり方を、有識者等が参加する検討の場を設け、広く議論するよう提言。

○ 肝炎対策につき、局間の連携を密にし、総合的、有機的な推進体制を確立するよう提言。

○ 文書の保管・管理については、行政の執行における文書管理の大切さの意識が職員に欠落していた。厚生労働省全体として、外部の意見を取り入れる等により抜本的に見直しが必要であり、円滑な事務引継ぎ等についても組織としての意識改革が必要である。

また、今回、存在しないとされた資料が後になって出てくるという事態が生じたことは大変問題であり、責任を問うて処分を行う。

○ なお、今回の一連の問題により、厚生労働行政に対する国民の信頼を著しく損ねたことについて、我々政治家としても重く受けとめ姿勢を示すべきと考える。

調査報告書(平成19年11月30日 フィブリノゲン資料問題及びその背景に関する調査プロジェクトチーム)

【本文】

○表紙・目次(PDF:95KB)

○本文(PDF:251KB)

【資料編】

○表紙・目次

(肝炎対策に関する有識者会議関係資料)(PDF:110KB)

○資料1−1 肝炎対策に関する有識者会議報告書(平成13年3月30日)(PDF:9,463KB)

○資料1−2 新聞各紙記事(平成13年3月30日、31日)※

(フィブリノゲン製剤によるC型肝炎ウイルス感染に関する調査報告書関係資料)

○資料2−1 読売新聞記事「米で禁止後も10年販売」等(平成14年3月21日)※

○資料2−2 厚生労働大臣閣議後記者会見(抜粋)平成14年3月22日)(PDF:2,553KB)

○資料2−3 フィブリノゲン製剤によるC型肝炎ウイルス感染に関する調査報告書(平成14年8月29日)(PDF:29,959KB)

○資料2−4 第4回報告命令により提出された418名の症例一覧表(PDF:10,384KB)

○資料2−5 フィブリノゲン製剤投与による肝炎患者2名の実名の入った資料(マスキング有りの資料)(PDF:1,438KB)

○資料2−6 新聞各紙記事(平成14年8月30日)※

○資料2−7 厚生労働大臣閣議後記者会見(抜粋)(平成14年8月30日)

(C型肝炎に係る訴訟関係資料)(PDF:1,516KB)

○資料3−1 新聞各紙記事(平成14年10月22日)※

(非加熱血液凝固因子製剤に係る肝炎ウイルス感染に関する調査報告書関係資料)

○資料4−1 非加熱血液凝固因子製剤を使用した血友病以外の患者における肝炎ウイルス感染に関する調査研究報告書(平成14年11月21日) (PDF:14,623KB)

○資料4−2 新聞各紙記事(平成14年11月22日)※

(フィブリノゲン製剤納入先医療機関名等の公表関係資料)

○資料5−1 フィブリノゲン製剤納入先医療機関等リスト(平成16年12月9日)(PDF:5,160KB)

○資料5−2 新聞各紙記事(平成16年12月10日)※

○資料5−3 厚生労働大臣閣議後記者会見(抜粋)(平成16年12月10日)

(その他関係資料)(PDF:505KB)

○資料6―1 田辺三菱製薬 会社変遷表(PDF:204KB)

○資料6−2 医薬食品局の変遷(PDF:147KB)

○資料6−3 厚生労働省文書管理規程(厚生労働省訓第21号)(PDF:9,857KB)

○資料6−4 薬事法(抄)(PDF:665KB)

○資料6−5 刑法(抄)(PDF:141KB)

○資料6−6 平成14年7月17日公表資料(フィブリノゲン関連の行政文書)(PDF:3,098KB)

○資料6−7 行政不服審査法に基づく異議申立て(平成16年4月19日)

(調査プロジェクトチーム関係資料)(PDF:2,877KB)

○資料7−1 フィブリノゲン資料問題及びその背景に関する調査プロジェクトチーム設置要項(PDF:398KB)

○資料7−2 調査プロジェクトチーム体制図(PDF:284KB)

※ 新聞記事については、著作権の都合により掲載していません。

【照会先】

大臣官房フィブリノゲン資料問題及びその背景に
関する調査プロジェクトチーム

牛尾(内線2012)
野田(内線2018)


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