<情報提供>


照会先
医薬食品局審査管理課
課長     中垣(内線2733)
専門官   田中(内線4221)



平成19年11月9日
医薬食品局審査管理課


米国産のウシ由来の原材料を使用している医薬品等について(その6)



 米国産ウシ由来の原材料を使用して製造された医薬品等については、平成16年の薬事・食品衛生審議会等において、リスクの高い部位の使用が制限されていること、その製造過程でアルカリ処理、精製等のBSEの病原体の除去・不活化に効果のある様々な化学処理等が施されていること等から、通常使用されている範囲では公衆衛生上のリスクは回避されていると考えられるという結論が得られています。また、更なる予防的な措置として、一部を除き、他の原産国又は原材料への切替えを行うこととしています。


 切替えを行うこととした医薬品等のほとんどについては、すでに原産国又は原材料の切替えが終了していますが、一部については現在も米国産ウシに由来する原材料※等を使用しており、その一覧については、平成18年3月に厚生労働省ホームページにおいて公表し、その後も逐次更新しているところです。

(参考)

※ ウシに由来する原材料としては、医薬品を産生する細胞の培養に用いる培地や種細胞株の保存に利用する培地に添加する血清、精製に用いる充填剤を作成する際の培地に添加する血清等に用いられています。


 また、薬事法第42条に基づく生物由来原料基準(平成15年厚生労働省告示第210号)に基づき、米国産ウシに由来する原材料等を医薬品などに使用することは原則として認められていませんが、薬事・食品衛生審議会で個別に評価を行い、治療上の効果が当該原材料を使用することによるリスクを上回ると判断され、やむを得ず使用する場合については、その使用を認めているところです。


 今般、薬事・食品衛生審議会におけるリスクの判断を新たに受けて、米国産ウシに由来する原材料等を使用している医薬品及び医療機器が承認されたことから、これらの医薬品等についての情報を別添のとおり更新しましたので公表いたします。

 なお、これらの医薬品等を使用する患者への情報提供に万全を期すよう、関係製造販売業者に指導しているところであることを申し添えます。


(別添1)

 現在も米国産ウシ由来の原材料等を使用しているもの(平成19年10月29日現在)

1.切替えを前提として、治療上の効果が当該原材料を使用することによるリスクを上回ると薬事・食品衛生審議会で評価を行い、当面の使用が認められているもの

医薬品(8品目)

成分名

販売名(製造販売業者)

種類、適応等

乾燥ガスえそ抗毒素※1

乾燥ガスえそ抗毒素”化血研”(化学及血清療法研究所)

抗毒素製剤

乾燥ボツリヌス抗毒素※1

乾燥ボツリヌス抗毒素”化血研”(化学及血清療法研究所)

抗毒素製剤

乾燥濃縮人血液凝固第VIII因子※1

クロスエイトM250、同500、同1000(日本赤十字社)

血液凝固第VIII因子製剤

インフリキシマブ※1

レミケード点滴静注用100(田辺三菱製薬)

難治性関節リウマチ治療剤

ムロモナブ-CD3※1※2

オルソクローンOKT3注(ヤンセンファーマ)

腎移植後の急性拒絶反応の治療剤

A型ボツリヌス毒素※1

ボトックス注100(グラクソ・スミスクライン)

顔面痙攣治療剤

トラスツズマブ※1

ハーセプチン注射用60、同150(中外製薬)

乳癌治療剤

ヒトインスリン(遺伝子組換え)※2

イノレット10R注、同20R注、同30R注、同40R注、同50R注、同N注、同R注、ノボリン10R注フレックスペン、同20R注フレックスペン、同30R注100、同30R注フレックスペン、同40R注フレックスペン、同50R注フレックスペン、同N注100、同N注フレックスペン、同R注100、同R注フレックスペン、ペンフィルN注300、同R注300、同10R注300、同20R注300、同30R注300、同40R注300、同50R注300(ノボノルディスクファーマ)

インスリン製剤
なお、本インスリンは「オクトコグアルファ(遺伝子組み換え)(コージネイトFS250IU注射用、同500IU注射用、同1000IU注射用(バイエル薬品))」の培養工程の培地にも使用されている。

※1 米国産ウシ由来の原材料を使用

※2 カナダ産ウシ由来の原材料を使用

 (注)サキナビル(フォートベイスカプセル)については、「米国産ウシ由来の原材料を使用している医薬品等について(その3)」(本年1月26日付け)に記載がありますが、既に米国産ウシ由来の原材料を使用した製品は製造されておりません。


 2.治療上の効果が当該原材料を使用することによるリスクを上回ると薬事・食品衛生審議会で判断されたもの

医薬品(7品目) 医療機器(1品目)

成分名・種類

販売名(製造販売業者)

種類、適応等

エタネルセプト※1

エンブレル皮下注用25mg(ワイス)

難治性関節リウマチ治療剤

ゲムツズマブオゾガマイシン※1

マイロターグ注射用5mg(ワイス)

難治性白血病治療剤

乾燥ヘモフィルスb型ワクチン(破傷風トキソイド結合体)※1※3

アクトヒブ(サノフィパスツール第一三共ワクチン)

インフルエンザ菌b型による感染症の予防ワクチン

インスリン リスプロ(遺伝子組換え)※1※2

ヒューマログ注バイアル100単位/mL、同注カート、同ミックス25注カート、同ミックス50注カート、同N注カート、同注キット、同ミックス25注キット、同ミックス50注キット、同N注キット(日本イーライリリー)

インスリン製剤

エプタコグアルファ(活性型)(遺伝子組換え)※1※2

注射用ノボセブン1.2mg、同4.8mg(ノボノルディスクファーマ)

血液凝固第VII因子製剤

 

イデュルスルファーゼ(遺伝子組換え)※1

エラプレース点滴静注液6mg(ジェンザイム・ジャパン)

ムコ多糖症II型

 

ヒト自家移植組織(自家培養表皮)※1

ジェイス(ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング)

重篤な広範囲熱傷

 

ラロニダーゼ(遺伝子組換え)※1※2※4

アウドラザイム点滴静注液2.9mg(ジェンザイム・ジャパン)

ムコ多糖症I型

 


※1 米国産ウシ由来の原材料を使用

※2 カナダ産ウシ由来の原材料を使用

※3 フランス産ウシ由来の原材料を使用

※4 メキシコ産ウシ由来の原材料を使用


なお、ラロニダーゼについては事務局の手違いにより、これまで上記1の(注)に掲上されていたことを申し添えます。



(別添2)

 現在も米国産ウシ由来の原材料を使用しており、切り替えることが困難なもの(平成19年10月29日現在)

医療機器(1品目)

種類

販売名(製造販売業者)

主な用途

人工心臓弁※1

カーペンター エドワーズ牛心のう膜生体弁、同僧帽弁プラス(エドワーズライフサイエンス)

心臓弁膜症の治療(心臓弁の置換)

※1 米国産ウシ由来の原材料を使用






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