厚生労働省発表 平成19年5月25日 |
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《平成18年度個別労働紛争解決制度施行状況》
個別労働紛争解決制度の利用が引き続き拡大・ | 民事上の個別労働紛争相談件数 | 約18万7千件 |
・ | あっせん申請受理件数 | 約7千件 |
《概要》
「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律」施行状況〜平成18年度〜
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『個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律(別添4、5)』に基づく、個別労働紛争解決制度の平成18年度の施行状況は以下のとおりである(概要は別添2、都道府県労働局別一覧は別添3)。
1. | 相談受付状況 |
各都道府県労働局、主要労働基準監督署内、駅近隣の建物などにおいて、労働問題に関するあらゆる相談にワンストップで対応するための総合労働相談コーナー(約300ヵ所)を設置しているところであるが、平成18年度1年間に寄せられた相談は94万6,012件であった。 このうち、労働関係法上の違反を伴わない解雇、労働条件の引下げ等のいわゆる民 事上の個別労働紛争に関するものが18万7,387件である。年度ごとの推移をみると、確実に件数が増えている。(第1図) |
(注) | 平成13年度の件数は、6ヶ月分(H13.10.1〜H14.3.31)である。 |
また、民事上の個別労働紛争に係る相談内容の内訳は、解雇に関するものが最も多く23.8%、労働条件の引下げに関するものが12.8%、いじめ・嫌がらせに関するものが10.3%と続いている(第2図)。 |
2. | 都道府県労働局長による助言・指導及び紛争調整委員会によるあっせんの受付状況 |
平成18年度の当該制度に係る助言・指導申出件数は5,761件で、平成17年度比9.5%の減少となっている。 あっせん申請受理件数は6,924件で0.5%の増加となっている。(第3図) |
(注) | 平成13年度の件数は、6ヶ月分(H13.10.1〜H14.3.31)である。 |
3. | 都道府県労働局長による助言・指導の主な内容 |
助言・指導の申出の主な内容は、解雇に関するものが27.2%と最も多く、次いで、労働条件の引下げに関するものが10.4%、いじめ・嫌がらせに関するものが9.6%と続いている(第4図)。 |
申出を受け付けた事案の都道府県労働局における処理状況をみると、平成18年度1年間に手続きを終了したものは5,750件である。このうち、助言・指導を実施したものは5,429件で94.4%、申出が取り下げられたものは142件で2.5%、処理を打ち切ったものは162件で2.8%となっている。 処理に要した期間は、1ヶ月以内が93.4%となっている。 申出人は、労働者が97.1%と大半を占めるが、事業主からの申出も166件と2.9%あった。 労働者の就労状況は、正社員が54.2%と最も多いが、パート・アルバイトが21.3%、派遣労働者・期間契約社員も16.8%を占めている。 事業所の規模は、10〜49人が32.1%と最も多く、次いで10人未満21.6%、100〜299人が9.7%となっている。 また、労働組合のない事業所の労働者が68.4%である。 なお、助言・指導の実施事例は、別添1のとおりである。 |
4. | 紛争調整委員会によるあっせんの主な内容 |
あっせん申請の主な内容は、解雇に関するものが39.4%と最も多く、次いで、いじめ・嫌がらせに関するものが13.0%、労働条件の引下げに関するものが8.3%と続いている(第5図)。 |
申請を受理した事案の都道府県労働局における処理状況をみると、平成18年度1年間 に手続きを終了したものは6,793件である。このうち、合意が成立したものは2,686件で 39.5%、申請者の都合により申請が取り下げられたものは508件で7.5%、紛争当時者の一方が手続きに参加しない等の理由により、あっせんを打ち切ったものは3,566件で52.5%となっている。 処理に要した期間は、1ヶ月以内が63.7%、1ヶ月を超え2ヶ月以内が30.5%となっている。 申請人は、労働者が6,809件で98.3%と大半を占めるが、事業主からの申請も110件で1.6%となっており、労使双方からの申請も5件で0.1%あった。 労働者の就労状況は、正社員が58.5%と最も多いが、パート・アルバイトが19.2%、派遣労働者・期間契約社員も16.6%を占めている。事業所の規模は、10〜49人が31.2%と最も多く、次いで10人未満が22.4%、300人以上が10.8%となっている。 また、労働組合のない事業所の労働者が70.6%である。 なお、あっせんの実施事例は、別添1のとおりである。 |
【紛争調整委員会とは】 弁護士、大学教授等の労働問題の専門家である学識経験者により組織された委員会であり、都道府県労働局ごとに設置されている。この紛争調整委員会の委員のうちから指名されるあっせん委員が、紛争解決に向けてあっせんを実施するものである。 |
別添1
【助言・指導の例】
事例1:懲戒解雇に係る助言・指導 | |
事案の概要 | 申出人は、虚偽の理由で休暇を取得したため服務規律を乱したとして懲戒解雇を言い渡されたが、事実は認めるものの処分内容が重すぎるとして、解雇の撤回を求め、労働局長の助言・指導を申し出たもの。 労働局長の助言・指導を踏まえ、申出人と会社で話し合った結果、懲戒解雇は撤回された。 |
助言・指導 の内容 |
懲戒権の行使は、社会通念上相当として認められない場合には権利の濫用として無効となることから、処分撤回を含め当事者間でよく話し合うこと。 |
事例2:労働条件引下げに係る助言・指導 | |
事案の概要 | 申出人は、会社から突然1日の労働時間を5時間から2時間へ変更する旨の通知を受け、それに納得できないことから、労働時間変更の撤回を求め、労働局長の助言・指導を申し出たもの。 労働局長の助言・指導を踏まえ、申出人と会社とで話し合った結果、従来の労働時間で働くことができることとなった。 |
助言・指導 の内容 |
労働契約で定められた労働時間を使用者が一方的に削減することはできないことから、当事者間でよく話し合うこと。 |
【あっせんの例】
事例1:損害賠償に係るあっせん | |
事案の概要 | 申請人は、業務中に運転していた車を誤って破損してしまい、会社から修理代金全額を支払うよう求められたが、金額負担に納得できないことから、自分が支払うべき修理代金の金額を話し合いで決めたいとして、あっせん申請を行ったもの。 |
あっせんの ポイント |
修理代金のうち○○万円を申請人が分割にて支払うことで双方の合意が成立した。 |
事例2:普通解雇に係るあっせん | |
事案の概要 | 申請人は、管理職として中途採用され勤務していたが、突然、会社から「業務能力が著しく劣り、期待どおりの仕事がなされない」として解雇を通告されたため、解雇理由に納得できないとして、解雇されたことによる経済的損害及び精神的苦痛として補償金の支払いを求め、あっせん申請を行ったもの。 |
あっせんの ポイント |
早期解決を双方が望んだ結果、解決金○○万円を支払うことで双方の合意が成立した。 |
別添2
個別労働紛争解決制度の運用状況(概要)
(平成18年4月1日〜平成19年3月31日)
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別添3
別添4
個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律の概要
1 | 趣旨 企業組織の再編や人事労務管理の個別化等に伴い、労働関係に関する事項についての個々の労働者と事業主との間の紛争(以下「個別労働関係紛争」という。)が増加していることにかんがみ、これらの紛争の実情に即した迅速かつ適正な解決を図るため、都道府県労働局長の助言・指導制度、紛争調整委員会のあっせん制度の創設等により総合的な個別労働紛争解決システムの整備を図る。 |
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2 | 概要
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