平成19年1月23日
厚生労働省雇用均等・児童家庭局
(照会先) 総務課 、虐待防止対策室
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児童虐待防止対策の強化について
児童虐待により子どもの尊い命が失われるなどの深刻な事件が頻発しており、児童相談所における立入調査や一時保護などの措置が適切に行われるとともに、市町村や関係機関等の連携強化を図るなど、子どもの安全確保を最優先とした対応を行うことが緊喫の課題であるため、社会保障審議会児童部会の「児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会」における検討を踏まえ、下記の措置を講じることとし、今般、児童相談所運営指針等の改正を行ったところである。
記
- 児童相談所運営指針等の改正(本日付けで通知を改正)
- 虐待通告の受付の基本を徹底
- 虐待に関する情報については、すべて虐待通告として受理し、記録票に留めた上で緊急受理会議を開催することを徹底する。
- 安全確認に関する基本ルールを設定
- 児童相談所の虐待対応において、迅速かつ的確な対応が求められていることから、安全確認を行う時間ルールを設定し、48時間以内が望ましい旨を明記する。
- 市町村においても安全確認を行うことを明確化する。
- 市町村から児童相談所に対して、立入調査や一時保護の実施に関し、通知できる仕組みを導入する。
- 「きょうだい」事例への対応を明確化
- 児童記録票は、世帯単位ではなく、相談を受理した子どもごとに作成する。
- 「きょうだい」事例の場合、ハイリスク家庭として対応することを徹底し、虐待の兆候が認められた場合には、危険度が高いことを踏まえ、一時保護の実施を含めた積極的な対応を検討することを明確化する。あわせて、一時保護決定に向けてのアセスメントシートを見直す。
- すべての在宅の虐待事例に関する定期的なフォロー
- 児童相談所が担当している在宅の虐待事例については、状況の変化等をフォローするため、すべてのケースについて、定期的に現在の状況を会議で検討することとする。
- 関係機関相互における情報共有の徹底(要保護児童対策地域協議会の運営 強化)
- 児童相談所は、関係機関の関与が必要な事例に関する情報について、市町村及び要保護児童対策地域協議会への提供を義務づける。
- 要保護児童対策地域協議会の調整機関が、すべての虐待事例について進行管理台帳を作成することとし、実務者会議等の場において、定期的に(3か月に1度程度)、状況確認、主担当機関の確認、援助方針等について、チェックする仕組みを導入する。
- 児童相談所と警察署、都道府県児童福祉担当部局と都道府県警察本部のそれぞれにおいて連携体制を整備し、相互に情報を交換し、対応する。
- 児童相談所は、養育支援の必要性が認められる場合には、育児支援家庭訪問事業の活用について、市町村に対し通知できることを明確化する。
- 虐待通告の受付の基本を徹底
- その他の措置
- 措置解除に関するチェックリストの策定(本年夏を目途)
- 保護者の改善状況の評価、子どもの意思、児童養護施設等の意見、措置解除後の援助計画、主担当機関、保護者の遵守事項と不遵守の場合の対応措置など、措置解除に関するチェックリストを策定する。
- 転居ケースへの対応強化(本年夏を目途)
- 住居変更の際の児童相談所の管轄、対応方法などについて明確化を図る。
- 出産前後の対応強化
- 母子健康手帳(任意記載様式)に、産後うつ、乳幼児揺さぶられ症候群、車中放置の危険性について明記する。(本日付けで、母子健康手帳(任意記載様式)の通知を改正)
- 平成19年度より実施予定の生後4か月までの全戸訪問事業(こんにちは赤ちゃん事業)において、リスクアセスメントを実施する。
- 新生児訪問指導の対象に虐待ケース(「きょうだい」事例を含む)を追加する。(平成19年度より実施予定)
- 措置解除に関するチェックリストの策定(本年夏を目途)
(参考)
社会保障審議会児童部会
児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会委員
岩城 正光 | NPO法人子どもの虐待防止ネットワーク・あいち理事長 | |
上野 昌江 | 大阪府立大学看護学部教授 | |
奥山 眞紀子 | 国立成育医療センターこころの診療部長 | |
○ | 柏女 霊峰 | 淑徳大学総合福祉学部社会福祉学科教授 |
坂本 正子 | 大阪府東大阪子ども家庭センター所長 | |
津崎 哲郎 | 花園大学社会福祉学部教授 | |
西澤 哲 | 大阪大学大学院人間科学研究科助教授 | |
◎ | 松原 康雄 | 明治学院大学社会学部社会福祉学科教授 |
◎:委員長、 ○:委員長代理 |