1. 家庭用品等に係る皮膚障害に関する報告

(1)原因家庭用品カテゴリー、種別の動向
    原因と推定された家庭用品をカテゴリー別に見ると、洗剤等の「家庭用化学製品」が61件で最も多く、次いで装飾品等の「身の回り品」が45件であった(表1)。
  家庭用品の種類別では「洗剤」が52件(32.9%)で最も多く報告された。次いで「装飾品」が18件(11.4%)、「ゴム・ビニール手袋」が17件(10.8%)、「下着」、「眼鏡」及び「ベルト」が各6件(3.8%)、「時計バンド」、「時計」及び「スポーツ用品」が各5件(3.2%)、「くつ下」、「接着剤」、「文房具」及び「ナイロンタオル」が各3件(1.9%)の順であった(表2)。
  報告件数上位10品目について平成16年度と比較すると、報告件数については、「洗剤」の報告件数は16件増加し、全体に対しての割合も約12ポイント増加した。「装飾品」の報告件数は17件減少し、全体に対する割合も約9ポイント減少した。「ゴム・ビニール手袋」については、報告件数は17件と同じであり、全体に対する割合は約1ポイント増加した。(表2)。その他の上位品目については、前年度9件の報告があった「洗浄剤」については2件と減少し、新たに接着剤や文房具の報告があった。これら以外は、報告数、割合に変動があったものの概ね過去の上位10品目と同様の品目で占められていた。

  「洗剤」:野菜、食器等を洗う台所用及び洗濯用洗剤
「洗浄剤」:トイレ、風呂等の住居用洗浄剤

  上位10品目の全報告件数に占める割合を長期的な傾向から見ると、変動はあるものの「洗剤」と「装飾品」の割合が常に上位を占めており(図1)、平成17年度も同様であった。

(2)各報告項目の動向
    患者の性別では女性が96件(72.2%)と大半を占めた。そのうち30歳代が21件と全体の15.8%を占め、次いで20歳代及び50歳代が各20件でそれぞれ全体の15.0%を占めた。
  障害の種類としては、「手の湿疹(刺激性皮膚炎)」が59件(37.3%)と最も多く、次いで「手の湿疹(アレルギー性接触皮膚炎)」が54件(34.2%)、「アレルギー性接触皮膚炎」が50件(31.6%)、「刺激性皮膚炎」27件(17.1%)であった。
  症状の転帰については、「全治」と「軽快」を合計すると116件(87.2%)であった。なお、本年も「不明」が17件(12.8%)あった。このような転帰不明の報告例は、症状が軽快した場合に受診者が自身の判断で途中から通院を打ち切っているものと考えられる。

(3)原因製品別考察
 
1) 洗剤
    平成17年度における洗剤に関する報告件数は52件(32.9%)であった。前年度36件(21.1%)より報告件数及び全報告件数に対する割合は大幅に増加した(表2)。
  内訳を見ると、台所用洗剤が原因となった例が30件(57.7%)、合成洗剤が原因となった例が22件(42.3%)であった。
  洗剤が原因となった健康障害の種類は、手の湿疹(刺激性皮膚炎)が49件(94.2%)、手の湿疹(アレルギー性接触皮膚炎)が39件(75.0%)、アレルギー性接触皮膚炎が4件(7.7%)、刺激性皮膚炎が2件(3.8%)であった。
  皮膚を高頻度で水や洗剤にさらすことにより、皮膚の保護機能が低下し、手の湿疹や刺激性皮膚炎が起こりやすくなっていたり、また高濃度で使用した場合に障害が起こったりというように、症状の発現には、化学物質である洗剤成分と様々な要因(皮膚の状態、洗剤の使用法・濃度・頻度、使用時の気温・水温等)が複合的に関与しているものと考えられる。基本的な障害防止策としては、使用上の注意・表示をよく読み、希釈倍率に注意する等、正しい使用方法を守ることが第一である。また、必要に応じて、保護手袋を着用することや、使用後、クリームを塗ることなどの工夫も有効な対処法と思われる。それでもなお、症状が発現した場合には、原因と思われる製品の使用を中止し、早期に専門医を受診することを推奨したい。

◎事例1【原因製品:台所用洗剤】
  患者   63歳 女性
症状 台所用洗剤に触れてから、両前腕から手関節部に皮疹、痒みが出現
障害の種類 刺激性皮膚炎
パッチテスト 未実施
治療・処置 ステロイド薬外用、抗アレルギー薬内服
転帰 全治(21日)

<担当医のコメント>
台所用洗剤の刺激と考えられる。パッチテスト未施行なので、アレルギー性かは不明。ゴム手袋の内側に洗剤が流入し皮膚に密着した可能性もある。

◎事例2【原因製品:台所用洗剤】
  患者   56歳 男性
症状 調理関係者。約1年前より手掌にかゆい皮疹を生じ、寛解増悪を繰り返している。両手掌、手背にびまん性落屑性紅斑を認める。手掌では亀裂を生じ、痂皮と付着する。
障害の種類 手の湿疹(刺激性皮膚炎)
パッチテスト 未実施
治療・処置 ステロイド薬外用、保湿剤
転帰 不明

<担当医のコメント>
仕事を休むことで短期間のうちにかなり軽快しており、水仕事や洗剤等による刺激性皮膚炎と考えた。

◎事例3【原因製品:台所用洗剤】
  患者   38歳 女性
症状 約2ヶ月前より、両手背、肘頭部に痒みを伴う紅斑、丘疹が出現。
障害の種類 アレルギー性接触皮膚炎、手の湿疹(刺激性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎)
パッチテスト 未実施
治療・処置 ステロイド薬外用、保湿剤
転帰 軽快

<担当医のコメント>
問診と発生部位より推定。

2)装飾品
    平成17年度における装飾品に関する報告件数は18件(11.4%)であった。前年度35件(20.5%)と比較すると報告件数及び全報告件数に対する割合は減少した(表2)。
  原因製品別の内訳は、ネックレスが11件、指輪が3件、ピアスが2件、バレッタが1件、複数によるものが1件であった。
  障害の種類では、アレルギー性接触皮膚炎が16件(88.9%)と最も多かった。
  金属の装飾品について、8件のパッチテスト施行例が報告され、ニッケル及びクロムにアレルギー反応を示した例が5件と最も多かった(表3)。それに次いでコバルトが3件でパッチテストによりアレルギー反応が観察された。
  このような金属による健康障害は、金属が装飾品より溶けだして症状が発現すると考えられる。そのため、直接皮膚に接触しないように装着することにより、被害を回避できると考えられる。しかしながら、夏場や運動時等、汗を大量にかく可能性のある時には装飾品類をはずす等の気を配ることが被害を回避する観点からは望ましい。また、ピアスは耳たぶ等に穴を開けて装着するため、初めて装着したり、種類を変えたりした後には、アレルギー症状の発現などに対して特に注意を払う必要がある。症状が発現した場合には、原因製品の装着を避け、装飾品を使用する場合には別の素材のものに変更することが症状の悪化を防ぐ上で望ましい。さらに、早急に専門医の診療を受けることを推奨したい。ある装飾品により金属に対するアレルギー反応が認められた場合には、金属製の別の装飾品、眼鏡、時計バンド、ベルト、ボタン等の使用時にもアレルギー症状が起こる可能性があるので、同様に注意を払う必要がある。例えば、最も症例の多いニッケルアレルギーの場合、金メッキされた金属製品はその下にニッケルメッキが施されている場合が多いので注意が必要である。

◎事例1【原因製品:指輪】
  患者   31歳 女性
症状 10年前より左V、W指、右W指に痒みを伴う紅斑、小水疱と紅色丘疹が出現。軽快増悪を繰り返す。
障害の種類 アレルギー性接触皮膚炎
パッチテスト コバルト(++)、クロム(+)
治療・処置 ステロイド薬外用、保湿剤
転帰 軽快

<担当医のコメント>
金属パッチテスト陽性と発症部位から診断。

◎事例2【原因製品:ネックレス】
  患者   56歳 女性
症状 頚部から後頭部に皮疹、痒みあり。ネックレスが擦れる部分に一致している。
障害の種類 アレルギー性接触皮膚炎
パッチテスト ニッケル(+)
治療・処置 ステロイド薬外用、抗アレルギー薬内服
転帰 軽快

3)ゴム・ビニール手袋
 

 平成17年度における報告件数は17件(10.8%)であり、前年度(9.9%)とほぼ同数であった。素材別の内訳は、ゴム手袋が15件、プラスチック手袋によるものが1件、不明のものが1件であった。
  障害の種類としては、手の湿疹(アレルギー性接触皮膚炎)が14件(82.4%)、手の湿疹(刺激性皮膚炎)が11件(64.7%)、アレルギー性接触皮膚炎が5件(29.4%)、刺激性皮膚炎が2件(11.8%)、接触じんましんが1件(5.9%)報告された。
  本年度についても、接触じんましんの例が報告された。材質に対する反応は個人差があり、特にラテックスアレルギーは、時にアナフィラキシー反応を引き起こし、じんましんや発疹、ショック状態等、重篤な障害を招く恐れがあるので、製造者において、製品中のラテックス蛋白質の含有量を低減する努力が引き続き行われることが重要であるとともに、ラテックスに対するアレルギー反応の有無等、自己の体質にも注意が必要である。基本的には、既往歴があり、ゴム・ビニール手袋による皮膚障害が心配される場合には、以前問題が生じたものとは別の素材のものを使うようにする等の対策をとる必要がある。はじめ軽度な障害であっても、当該製品の使用を継続することにより症状が悪化してしまうことがあり得る。また、原因を取り除かなければ治療効果も失われてしまうので、何らかの障害が認められた場合には、原因と思われる製品の使用を中止し、専門医を受診することを推奨したい。

◎事例1【原因製品:ゴム手袋】
  患者   34歳 男性
症状 1ヶ月前から手足に発疹。メッキ工場に勤めているので、いつも手袋をしている。仕事で悪化あり。
障害の種類 刺激性皮膚炎、異汗性湿疹
パッチテスト メルカプトベンゾチアゾール(+)
N-イソプロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン (IPPD)(+)
治療・処置 ステロイド薬外用、悪化時はステロイド薬内服、抗アレルギー薬内服
転帰 軽快

◎事例2【原因製品:ゴム手袋】
  患者   42歳 女性
症状 ゴム手袋をはめて2−3日後に手に湿疹あり
障害の種類 アレルギー性接触皮膚炎
パッチテスト ゴム手袋(+)、チウラムミックス(++)、
ジカルバメイトミックス(++)
治療・処置 ステロイド薬外用
転帰 軽快

<担当医のコメント>
加硫促進剤によるアレルギー反応である。プラスチック手袋を使用するよう指導し、皮疹は再発していない。

4)下着
    平成17年度における下着に関する報告件数は6件(3.8%)であった。前年度は10件(5.8%)であり、報告件数、全報告件数における割合とも減少した(表2)。
  障害の種類としては、刺激性皮膚炎が3件(50.0%)、アレルギー性接触皮膚炎が2件(33.3%)、色素沈着1件(16.7%)であった。
  下着は長時間にわたって直接触れるため、何らかの障害が認められた場合には、原因と思われる製品の使用を中止し、専門医を受診することを推奨したい。

◎事例1【原因製品:下着】
  患者   52歳 女性
症状 3年前に背中の色素沈着に気づくも放置。次第に下着のあたる部位が黒くなってきた。赤くなった後に黒くなることに気付き、他院で皮膚生検をするも診断不明。
障害の種類 色素沈着
パッチテスト ブラジャースポンジ(+)、肩ひも(+)、
p-トルエンジアミン(+)、ヒドロキノン(+)
治療・処置 抗アレルギー薬内服、ビタミンC外用、ステロイド薬外用
転帰 軽快

<担当医のコメント>
発汗部に色素沈着が強い。

◎事例2【原因製品:下着】
  患者   31歳 女性
症状 新しいパンツを使用していたところ、2−3日前より下腹部に紅斑が出現。線状に分布する。
障害の種類 刺激性皮膚炎
パッチテスト 未実施
治療・処置 ステロイド薬外用
転帰 軽快

<担当医のコメント>
発生部位、皮疹分布、問診より推定。

5)ベルト
    平成17年度におけるベルトに関する報告件数は6件(3.8%)であった。前年度8件(4.7%)と比べると報告件数、全報告件数に対する割合とも減少していた(表2)。
  障害の種類は、6件全てがアレルギー性接触皮膚炎によるものであった。
  また被害を発症したうち4件がバックル部分の金属によるものであった。そのうち3件でパッチテストが施行されていたが、全てニッケルに陽性反応を示していた(表3)。
  対策としては、皮膚に直接バックル部分が触れないように着用することが第一であるが、それでも症状が発現した場合には、原因となった部分の素材を別のものに変更することが必要である。また、このように金属部分でアレルギー症状が発現した場合には、イヤリング、ピアス、ネックレス、眼鏡、時計バンド等の他の金属製品の使用にあたっても注意が必要である。

◎事例1【原因製品:ベルト】
  患者   21歳 男性
症状 2年前より下腹部に皮疹が出現、痒みあり。ベルトのバックルがあたる部分に一致している。
障害の種類 アレルギー性接触皮膚炎
パッチテスト ニッケル(+)
治療・処置 ステロイド薬外用、抗アレルギー薬内服
転帰 軽快

<担当医のコメント>
ローライズのジーンズの流行などで、ベルトが直接肌に触れることが多くなると、こうした症状を発現する可能性が高くなり、注意が必要である。

◎事例2【原因製品:ベルト】
  患者   22歳 男性
症状 以前よりベルトのバックルでかぶれる。
障害の種類 アレルギー性接触皮膚炎
パッチテスト ニッケル(++)、コバルト(+)。
治療・処置 なし
転帰 軽快

<担当医のコメント>
以前より金属アレルギーには気付いていた。今回就職を機に、検査を希望して来院した。

6)その他
   その他、被害報告件数が多かったものは眼鏡が6件(3.8%)、時計バンド、時計及びスポーツ用品が各5件(3.2%)であった。

◎事例1【原因製品:眼鏡】
  患者   78歳 男性
症状 眼鏡フレームのあたるところに痒い病変。両耳介後部に皮疹出現。数年前にも同様の症状あり。
障害の種類 アレルギー性接触皮膚炎
パッチテスト 老眼用先セル削り(++)、サングラス先セル削り(+)、ニッケル(++)、スズ(++)
治療・処置 ステロイド薬外用
転帰 軽快

◎事例2【原因製品:時計バンド、革製品の財布】
  患者   35歳 男性
症状 左手首、左大腿部に皮疹、痒みあり。左手首は時計のバンド、左大腿部は革の財布が皮膚に接触する部位に一致。
障害の種類 アレルギー性接触皮膚炎
パッチテスト 未実施
治療・処置 ステロイド薬外用
転帰 不明

<担当医のコメント>
皮革製品等による接触性皮膚炎にクロムが関与していることは有名である。パッチテストは未施行であるものの、本症例では時計の皮バンド・皮革製の財布に接触する部位に皮疹が出現していたため、アレルギー性接触皮膚炎を考えた。なお皮革製品による接触皮膚炎の既往は明らかでなかった。

◎事例3【原因製品:くつ下】
  患者   58歳 男性
症状 左足首から下腿に痒み、皮疹が出現。くつ下がすれる部分に一致。
障害の種類 刺激性皮膚炎
パッチテスト 未実施
治療・処置 ステロイド薬外用
転帰 軽快

<担当医のコメント>
皮疹はくつ下が擦れる部位に認められ、くつ下による刺激が原因と考えた。くつ下に付着しているゴムによる刺激性あるいはアレルギー性皮膚炎の可能性も否定できない。

◎事例4【原因製品:膝プロテクター】
  患者   35歳 男性
症状 趣味で自転車をこぐ。ネオプレンゴムでできた膝当てを使用すると接触部位に紅斑と痒みが出現する。
障害の種類 アレルギー性接触皮膚炎
パッチテスト ネオプレンゴム(+)、チウラムミックス(−)、
N-イソプロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン(IPPD)(−)、
p-tert-ブチルフェノール ホルムアルデヒドレジン(PTBP-FR)(−)
治療・処置 ステロイド薬外用
転帰 軽快

<担当医のコメント>
運動による発汗や長時間の密着が、症状の誘発に関与しているものと考えられる。

◎事例5【原因製品:ナイロンタオル】
  患者   70歳 男性
症状 入浴時ナイロンタオルを10年ほど使用している。1ヶ月ぐらい前から背中の痒みに気付く。色素沈着あり。
障害の種類 色素沈着
パッチテスト 未実施
治療・処置 ナイロンタオル中止、ステロイド薬外用
転帰 軽快

<担当医のコメント>
ナイロンタオルが摩擦黒皮症の発症に関与することについて、依然、啓発が必要である。

◎事例6【原因製品:携帯電話】
  患者   30歳 女性
症状 約1年半前より、両手掌に軽症痒みを伴う小水疱、鱗屑が出現。 携帯電話の接触部に症状強し。
障害の種類 手の湿疹(アレルギー性接触皮膚炎)
パッチテスト 未実施
治療・処置 ステロイド薬外用
転帰 軽快

<担当医のコメント>
右利きにも関わらず、左手に強度。本人の訴えで推定。

◎事例7【原因製品:ビニルテープ】
  患者   66歳 男性
症状 約1年半前から両手掌に自覚症状のない落屑が増加した。仕事で電線と触れるので心配している。
障害の種類 刺激性皮膚炎
パッチテスト ビニルテープ(+)
治療・処置 尿素軟膏とステロイド薬外用
転帰 軽快

◎事例8【原因製品:接着剤】
  患者   38歳 男性
症状 約2ヶ月前より両手、指尖部を中心に、痒みを伴う鱗屑性紅斑が出現。ステロイド外用剤にて、軽快せず、顔面にも同様の皮疹が出現。接着剤を扱う職業に従事している。
障害の種類 アレルギー性接触皮膚炎
パッチテスト 接着剤、強化剤いずれも(+)
治療・処置 ステロイド薬外用、ステロイド薬内服、抗アレルギー薬内服
転帰 軽快

<担当医のコメント>
発症部位、パッチテスト、職業より診断。

◎事例9【原因製品:局所冷却剤】
  患者   2歳 女児
症状 前額部に境界明瞭な紅斑(+)、痒みあり。市販の局所冷却剤を貼った部分に一致
障害の種類 刺激性皮膚炎
パッチテスト 未実施
治療・処置 ステロイド薬外用
転帰 軽快

<担当医のコメント>
使用した局所冷却剤は内側が糊状になっており皮膚に密着する。この刺激が原因で生じたものと考えた。

(4)全体について
    平成17年度の家庭用品を主な原因とする皮膚障害の種類別報告全158件のうち、50件はアレルギー性接触皮膚炎であった。この中でも、装飾品、眼鏡、ベルトの留め金、時計や時計バンド等で金属アレルギーが判明したものが約3割を占めた。
  家庭用品を主な原因とする皮膚障害は、原因家庭用品との接触によって発生する場合がほとんどである。家庭用品を使用することによって接触部位に痒み、湿疹等の症状が発現した場合には、原因と考えられる家庭用品の使用は極力避けることが望ましい。故意、若しくは気付かずに原因製品の使用を継続すると、症状の悪化を招き、後の治療が長引く可能性がある。
  症状が治まった後、再度使用して同様の症状が発現するような場合には、同一の素材のものの使用は以後避けることが賢明であり、症状が改善しない場合には、専門医の診療を受けることが必要である。本年は報告されなかったが、ゴム手袋のラテックス蛋白質に対するアナフィラキシーショックのように重篤なものもあるので、注意が必要である。
  また、日頃から使用前には必ず注意書きをよく読み、正しい使用方法を守ることや、化学物質に対して感受性が高くなっているアレルギー患者等では、自分がどのような化学物質に反応する可能性があるのかを認識し、使用する製品の素材について注意を払うことも大切である。


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