平成18年12月21日
連絡先
 医薬食品局安全対策課
  山田(内線 2755)
  鬼山(内線 2752)


リツキシマブ(遺伝子組換え)によるB型肝炎の増悪等について


1.品目の概要
○販売名:リツキサン注10mg/mL
 製造販売元 全薬工業株式会社
 発売元 中外製薬株式会社
○適応症:CD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫
○販売開始年月:平成13年9月
○推定使用患者数:約16,000人(平成17年11月〜18年10月)

2.経緯
(1) 平成16年7月12日
  米国においてB型肝炎再燃に関する記載を【 Warning 】に追記
(2) 平成16年11月4日
  国内でのB型肝炎の増悪等の副作用報告状況及び米国での措置を踏まえ、使用上の注意の改訂を指示
[重要な基本的注意]
  B型肝炎ウイルス感染のある患者等に投与する場合、肝機能検査値等のモニタリングを行い、異常が認められた場合は抗ウイルス剤の投与を行うなど適切な処置を行う旨
[重大な副作用]
  B型肝炎ウイルスに感染している患者で、本剤投与後、肝炎が再燃し死亡に至った例が報告されている旨
(3) 使用上の注意の改訂後、平成18年12月11日までに、企業から、新たにB型肝炎の増悪等18例、うち劇症肝炎9例、死亡例8例の副作用報告

3.安全対策
 本日、企業に対して、別紙のとおり使用上の注意の改訂指示を通知するとともに、医薬関係者に対して速やかに適正使用情報を提供するように指導した。



別紙
429 その他の腫瘍用薬


【医薬品名】リツキシマブ(遺伝子組換え)

【措置内容】以下のように使用上の注意を改めること。

[警告]の項に

 B型肝炎ウイルスキャリアの患者で、本剤の治療期間中又は治療終了後に、劇症肝炎又は肝炎の増悪、肝不全による死亡例が報告されている(「重要な基本的注意」、「重大な副作用」の項参照)。」

を追記し、[重要な基本的注意]の項のB型肝炎の再燃に関する記載を

 B型肝炎ウイルスキャリアの患者で、本剤の投与により、劇症肝炎又は肝炎が増悪することがあるので、本剤の治療期間中及び治療終了後は継続して肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合は投与を中止し、直ちに抗ウイルス剤を投与するなど適切な処置を行うこと。なお、投与開始前にHBs抗原陰性の患者において、B型肝炎ウイルスによる劇症肝炎を発症し、死亡に至った症例が報告されている(「重大な副作用」の項参照)。」

と改め、感染症に関する記載を

 「本剤の治療中より末梢血リンパ球の減少があらわれ、治療終了後も持続すること、また免疫グロブリンが減少した例が報告されていることなど、免疫抑制作用により細菌やウイルスによる感染症が生じる又は悪化する可能性があるので、患者の状態を十分観察すること。感染症が生じた場合は適切な治療を行うこと。」

と改め、[副作用]の「重大な副作用」の項に

 「B型肝炎ウイルスによる劇症肝炎、肝炎の増悪:B型肝炎ウイルスによる劇症肝炎又は肝炎の増悪による肝不全があらわれることがあるので、肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど患者の状態を十分に観察すること(「重要な基本的注意」の項参照)。」

を追記し、肝機能障害、黄疸に関する記載を

 「肝機能障害、黄疸:AST(GOT)、ALT(GPT)、Al-P、総ビリルビン等の肝機能検査値の上昇を伴う肝機能障害や黄疸があらわれることがあるので、肝機能検査を行うなど患者の状態を十分に観察すること。異常が認められた場合は投与を中止し、適切な処置を行うこと。」

と改め、

 「消化管穿孔:消化管穿孔があらわれることがあるので、消化管穿孔の初期症状としての腹痛、腹部膨満感、下血、吐血、貧血等の観察を十分に行い、異常が認められた場合は、直ちにX線、CT検査等を実施して出血部位、穿孔所見の有無を確認し、適切な処置を行うこと。」

を追記する。

 〈参考〉医薬関係者に対して速やかに適正使用情報を提供すること。

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