「厚生労働省における環境配慮の方針」







平成16年6月29日
環境対策推進本部決定
平成17年9月28日
一部改正
平成18年9月29日
一部改正







I 目的

 「環境基本計画」(平成18年4月7日閣議決定)において、関係府省は、環境配慮の方針を定めるとともに、施策の進捗状況について点検を行うことが求められている。
 このため、厚生労働省においても「厚生労働省における環境配慮の方針」(以下「環境配慮の方針」という。)を策定し、同方針に基づいて環境対策を推進することとする。


II 環境配慮の方針の理念

 「環境基本計画」はその序章において、我々が目指すべき社会とは「健全で恵み豊かな環境が地球規模から身近な地域までにわたって保全されるとともに、それらを通じて国民一人一人が幸せを実感できる生活を享受でき、将来世代にも継承することができる社会」であるとし、そのためには「多様化する国民の期待が実現する社会の基盤としての環境が適切に保全されるとともに、経済的側面、社会的側面も統合的に向上することが求められる」としている。
 厚生労働省においては、従来から実施してきた健全な水循環の構築に向けた取組や化学物質対策などに加え、環境配慮の方針を策定し、厚生労働省自らの具体的取組とその目標を明らかにし、その進捗状況を点検することにより、環境対策の効果的かつ効率的な推進を図ることとする。


III 環境配慮の方針の対象となる施策

 環境配慮の方針は、厚生労働省所掌業務に係る環境保全のための施策(以下「環境保全施策」という。)及び通常の経済活動主体としての厚生労働省の業務における環境配慮の取組について定める。

(1)環境保全施策

 環境保全施策は「環境基本計画」の「重点分野政策プログラム」のうち次に掲げるものを対象とし、具体的な施策は別紙のとおりとする。
 (1) 物質循環の確保と循環型社会の構築のための取組
 (2) 環境保全上健全な水循環の確保に向けた取組
 (3) 化学物質の環境リスクの低減に向けた取組
 (4) 生物多様性の保全のための取組
 (5) 地球温暖化問題に対する取組

(2)通常の経済活動主体としての厚生労働省の業務における環境配慮の取組

 厚生労働省が経済活動主体として環境に及ぼす影響を低減するため、「京都議定書目標達成計画」(平成17年4月28日閣議決定)等に基づき次に掲げる取組を対象とし、具体的な施策は別紙のとおりとする。
 (1) 国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(平成12年法律第100号)に基づく取組
 (2) 政府がその事務及び事業に関し温室効果ガスの排出の抑制等のため実行すべき措置について定める計画(平成17年4月28日閣議決定)に基づき、燃料使用量、エネルギー使用量、廃棄物排出量、上水使用量、用紙使用量といった事項について把握し、その減量化を行うこと
 (3) 「早期退庁を促進するための具体的方策について」(平成14年8月早期退庁促進のための省内検討チーム)に基づき、「一斉定時退庁日」などの推進、その実施状況の把握による仕事と生活の調和の取れた働き方を実現すること等を通じて、職場における環境負荷の低減に資するよう努めること


IV 環境対策推進本部への報告等

 環境配慮の方針の対象となる施策(以下「対象施策」という。)を実施する際には、毎年度、対象施策の関係課室がその進捗状況について自己点検を行った後、環境対策推進本部(平成16年6月厚生労働大臣伺い定めにより設置)に報告し、その点検結果を施策等の見直し、改善等へ適切に反映させることとする。


V 検討

 環境対策推進本部においては、3年に1度、環境配慮の方針について検討を行い、その結果を踏まえて見直すこととする。
 平成19年までに行われる上記の見直しに際しては、次に掲げる事項について検討することとする。
 (1) 関係諸団体の取組状況等を踏まえて、環境保全施策に係る具体的な目標値を設定すること
 (2) 次世代育成支援や労働条件その他の労働者の働く環境の整備等の施策を所掌する観点から、例えば時間外労働の削減・効率的な業務推進などの取組を環境保全施策につなげることについて記述すること
 (3) 厚生労働省としてISO14001の将来的な認証取得の可能性



別紙
厚生労働省における環境配慮の方針の対象となる施策について

 「厚生労働省における環境配慮の方針」III(1)及び(2)に基づき、次に掲げる「環境保全施策」及び「通常の経済活動主体としての厚生労働省の業務における環境配慮の取組」を環境配慮の方針の対象とする。

I 環境保全施策

 (1)物質循環の確保と循環型社会の構築のための取組

  (1) 生活衛生関係営業者による環境配慮の取組の推進
 
《目標》
 ・旅館・飲食・食肉関係営業者による食品循環資源の再生利用率の向上を図る。
指標;旅館・飲食・食肉関係営業者による食品環境資源の再生利用等の実施率(%)、現状(平成18年3月末現在);20.5%)
 ・生活衛生関係営業者による自主的な環境配慮の取組を推進する。
《施策の柱》
 ・食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(平成12年法律第116号)の適正な運用(計画的かつ効率的な「食品リサイクルシステム」の構築と推進に対する支援)
 ・生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律(昭和32年法律第164号)に基づく「振興指針」の見直しの際に、随時環境配慮に関する事業内容をより積極的に位置づけ

  (2) 医薬品・医療機器製造販売業者等による環境配慮の取組の推進
 
《目標》
 ・医薬品・医療機器製造販売業者等(以下「医薬品製造販売業者等」という。)による容器包装等の再資源化の向上を図る。
指標;日本製薬工業協会加盟企業の工場・事業所から発生する廃棄物の最終処分量、現状(平成16年度);15,500t)
 ・医薬品製造販売業者等による自主的な環境配慮の取組を推進する。
《施策の柱》
 ・容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(平成7年法律第112号)の適正な運用
 ・資源の有効な利用の促進に関する法律(平成3年法律第48号。以下「資源有効利用促進法」という。)の適正な運用
 ・密閉型蓄電池を使用する医薬品製造販売業者等に対する自主回収及び再資源化への支援(資源有効利用促進法に基づく主務大臣の認定)
 ・グリーン購入、環境報告書の作成・公表の促進等、環境に配慮した経営に向けた普及啓発

  (3) 医療施設、保健衛生施設、社会福祉施設等における環境配慮の取組の推進
 
《目標》
 ・医療施設、保健衛生施設、社会福祉施設等における環境対策関係法令の遵守を促す。
 ・医療施設、保健衛生施設、社会福祉施設等による自主的な環境配慮の取組を推進する。
《施策の柱》
 ・建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(平成12年法律第104号)の遵守
 ・廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)の遵守
 ・グリーン購入、環境報告書の作成・公表の促進等、環境に配慮した経営に向けた普及啓発

  (4) その他厚生労働省所掌の事業者による自主的な環境配慮の取組の推進
 
《目標》
 ・その他厚生労働省所掌の事業者による自主的な環境配慮の取組を推進する。
《施策の柱》
 ・グリーン購入、環境報告書の作成・公表の促進等、環境に配慮した経営に向けた普及啓発

 (2)環境保全上健全な水循環の確保に向けた取組
  (1) 健全な水循環系の構築
 
《目標》
 ・水道広域化、漏水対策、用途間転用等により、水資源の有効利用を推進する。
指標;有効率(%)(=年間有効水量/年間給水量)、現状(平成16年度);92.4%)
 ・流域関係者と連携し、取排水系統の再編等良好な水道水源の確保に努める。
 ・所要の施設整備を行い、安心・快適な水道水を供給する。
指標;水道普及率、現状(平成16年度末);97.1%)
《施策の柱》
 ・水道広域化、水道水源開発、未普及地域解消、老朽管布設替、高度浄水処理施設整備等に係る技術的・財政的支援措置
 ・関係省庁との連携による流域水循環計画の作成・実施

  (2) 水道施設における廃棄物・リサイクル対策の推進
 
《目標》
 ・水道施設整備による建設廃棄物の減量化及び建設残土の再生利用の推進に努める。
指標;建設発生土の再資源化率(%)(=(年間再資源化量(m3)+年間工事間利用量(m3))/年間発生量(m3)×100、現状(平成16年度は調査を行っていないため、数値を把握していない)
指標;建設廃棄物の再資源化率(%)(=(年間再資源化量(m3又はt)+年間工事間利用量(m3又はt))/年間発生量(m3又はt)×100、現状(平成16年度は調査を行っていないため、数値を把握していない);コンクリート塊;−%、建設発生木材;−%、アスファルト・コンクリート塊;−%)
 ※コンクリート塊及びアスファルト・コンクリート塊の単位はt、建設発生木材の単位はm3
《施策の柱》
 ・建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律の遵守
 ・公共工事の最適設計等による建設廃棄物の減量化・リサイクルの推進
 ・公共事業における再生資材等の利用促進

  (3) 水道施設における地球温暖化対策の推進
 
《目標》
 ・水道施設における単位水量当たり電力使用量を年1%削減する。
指標;給水量当たりの電力使用量、現状(平成16年度);0.499(kWh/m3))
《施策の柱》
 ・エネルギーの使用の合理化に関する法律(昭和54年法律第49号)の適正な運用

 (3)化学物質の環境リスクの低減に向けた取組

 
《目標》
 ・化学物質について、環境リスクの評価、管理等を推進する。
指標;規制物質数、現状(平成18年4月1日); 第一種特定化学物質15、第二種特定化学物質23、第一種監視化学物質25、第二種監視化学物質842)
《施策の柱》
 ・化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(昭和48年法律第117号)の適正な運用(有害性及びリスクの評価、管理等の実施)
 ・既存化学物質の安全性点検の実施

《目標》
 ・環境中化学物質のリスク研究事業を推進し、施策へ反映する。
指標;研究課題数、現状(平成17年度);15億円、28件に交付)
指標;「殺虫剤指針」の改訂、現状;「殺虫剤指針等の改訂に関する検討委員会」の下に三つの作業部会を設置し、「殺虫剤の物性・規格」、「殺虫剤の効力」、「殺虫剤の安全性」について検討。)
《施策の柱》
 ・内分泌かく乱物質、ダイオキシン等に関する調査等研究事業の推進
 ・「殺虫剤指針」等の改訂

《目標》
 ・化学物質に係る情報収集・提供体制を整備する。
指標;化学物質毒性データベースの登録状況、現状(平成17年度末);GINC登録物質246件)
《施策の柱》
 ・化学物質に係る各種データベースの整備、インターネット等を通じた情報の発信等

《目標》
 ・化学物質対策に係る国際的な研究協力を推進する。
指標;OECDへの報告件数、現状(平成17年度末);107物質)
《施策の柱》
 ・OECD(経済協力開発機構)、IPCS(国際化学物質安全性計画)、IFCS(化学物質の安全性に関する政府間フォーラム)等の関係国際機関の活動への参画等

 (4)生物多様性の保全のための取組

 
《目標》
 ・医薬品等の分野において生物多様性の保全を図る。
指標;第一種使用(開放系での使用)に係る承認の件数、第二種使用(閉鎖系での使用)に係る確認の件数、製造販売業者等からの遺伝子組換え生物等を使用した医薬品等の製造等の状況に関する年度報告数、現状(平成17年度末);第一種使用に係る承認の件数0件、第二種使用に係る確認の件数79件、製造状況に関する報告数83件)
《施策の柱》
 ・遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(平成15年法律第97号)の適正な運用(遺伝子組換え生物等を使用した医薬品等の適正な使用等を確保する。)

 (5)地球温暖化問題に対する取組

 
《目標》
 ・企業内での「働き方」の見直しにより、地球温暖化対策を推進する。
指標;所定外労働時間数(厚生労働省「毎月勤労統計調査」、現状(平成17年);149時間)
《施策の柱》
 ・所定外労働の削減
「ノー残業デー」の導入・拡充


II 通常の経済活動主体としての厚生労働省の業務における環境配慮の取組

 (1)国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(平成12年法律第100号)に基づく環境物品等の調達の推進を図るための方針に基づくすべての取組

 (2)地球温暖化対策の推進に関する法律(平成10年法律第117号)に基づく「政府がその事務及び事業に関し温室効果ガスの排出の抑制等のため実行すべき措置について定める計画」(平成17年4月28日閣議決定)に基づくすべての取組

 (3)「早期退庁を促進するための具体的方策について」(平成14年8月早期退庁促進のための省内検討チーム)に基づき、職員について「一斉定時退庁日」などの推進、その実施状況の把握により仕事と生活の調和の取れた働き方の実現を通じて、職場として環境負荷の低減に資するよう努めること

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