(別添)
採血によって献血者等の健康が害された場合の措置について
厚生労働省では、平成16年9月より「安全で安心な献血の在り方に関する懇談会」を設置し、献血者の健康被害の救済の在り方等について検討を重ねてきました。その結果、平成17年12月にまとめられた同懇談会の報告書においては、献血者の健康被害の救済は献血者が安心して献血できる環境を整備する意味で重要であり、国の適切な関与の下に、公平性、透明性及び迅速性に配慮して、新たに献血者の健康被害の救済の仕組みを設けることが適当であるとの報告がなされました。
これを受け、採血の業務の管理及び構造設備に関する基準(平成十五年厚生労働省令第百十八号)の改正等、関連規定の整備を行いました。改正等の概要については、以下のとおりです。
1 | 採血の業務の管理及び構造設備に関する基準の一部改正(「採血の業務の管理及び構造設備に関する基準の一部を改正する省令(平成18年厚生労働省令第162号)」平成18年9月19日公布、10月1日施行。)
安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律(昭和三十一年法律第百六十号)第二十一条第一項に基づく採血の業務の管理及び構造設備に関する基準(平成十五年厚生労働省令第百十八号。以下「基準」という。)の一部を改正し、次の内容を新たに規定する。
(1) | 採血事業者は、採血所ごとに、採血によって献血者等の健康が害された場合の措置に係る業務を適正に行うため、採血によって献血者等の健康が害された場合の措置の手順に関する文書(以下「手順に関する文書」という。)を作成し、備え付けなければならないこと。 |
(2) | 採血事業者等は、採血によって献血者等の健康が害された場合は、あらかじめ指定した者に、手順に関する文書に基づき、次の各号に掲げる業務を行わせなければならないこと。
一 | 献血者等を適切に処遇すること。 |
二 | 献血者等の処遇の状況に関する記録を作成し、その完結の日から五年間保存すること。 |
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(3) | 採血事業者は、あらかじめ、採血所ごとに、採血によって献血者等に生じた健康被害の補償のために、必要な措置を講じておかなければならないこと。 |
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2 | 献血者等の健康被害の補償に関するガイドライン(平成18年9月20日付け薬食発第0920001号日本赤十字社あて医薬食品局長通知)
上記1の改正による改正後の基準に基づき、採血事業者が献血者等の健康被害の補償のために講ずべき措置の標準的事項を示すものとして、「献血者等の健康被害の補償に関するガイドライン」を策定した。ガイドラインの概要は以下のとおり。
(1) | 給付の項目及び対象者
(1) | 医療費及び医療手当 採血によって生じた健康被害について医療を受ける献血者等 |
(2) | 障害給付 採血によって生じた健康被害により一定の障害の状態にある献血者等 |
(3) | 死亡給付 採血によって生じた健康被害により死亡した献血者等の遺族 |
(4) | 葬祭料 採血によって生じた健康被害により死亡した献血者等の葬祭を行う者 |
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(2) | 給付の額等
・ | 健康被害に対する給付の額等は、次のとおりとすることを基本とする。
給付項目 |
給付額等 |
医療費 |
採血によって健康被害を生じた献血者等が医療機関で受診した場合、その医療に要した費用を補填するもの。各種公的医療保険等による給付を受けることができる場合は、自己負担分について給付することを原則とする。 |
医療手当 |
採血によって健康被害を生じた献血者等が医療機関で受診した場合に要する医療費以外の費用を補填するもの。日額4,480円、月ごとの上限を35,800円とする。入通院一日目から給付する。 |
障害給付 |
後遺障害に対して、その障害の程度に応じた一時金を給付するもの。その額は、基礎額8,800円に障害等級1~14級に応じた倍数を乗じて得た額(44万~1,179万2千円)とする。 |
死亡給付 |
採血によって生じた健康被害が原因で死亡した献血者等の一定の範囲の遺族に対して一時金を給付するもの。その額は、基礎額8,800円の千倍に相当する額(880万円)とする。 |
葬祭料 |
葬祭を行うことに伴う出費に着目して、葬祭を行う者に対して給付するもの。その額は199,000円とする。 |
(備考) | 医療費、医療手当の支給を受ける者が、支給開始後三年を経過しても負傷又は疾病が治癒しないときは、その時点の状況を勘案し、引き続き支給を行うか、その後の支給を一括して行うか選択することができるものとする。 |
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・ | 給付の費用は、採血事業者の責務等を踏まえ、採血事業者の負担とする。 |
・ | 採血事業者は、給付を受けるべき者が同一の事由について損害賠償を受けた時は、その価額の限度において、給付を行わないことができる。 |
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(3) | 給付の手続き
・ | 献血者等の健康被害の大半を占める軽度の被害については、原則として、国の示す基準等を活用し、採血事業者が給付の内容を決定する。 |
・ | 因果関係、障害の程度等について判断が困難な健康被害については、採血事業者は、第三者の意見を聴くなどしたうえで、給付の決定に先立ち、厚生労働省医薬食品局に協議することができる。厚生労働省医薬食品局は、有識者の意見を聴いて、対象事案について意見を述べるものとする。 |
・ | 採血事業者は、支給不支給の決定の際には、献血者等に対し、決定の結果に不服がある場合は厚生労働省医薬食品局に対して申し出ることができる旨を説明することとする。 |
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