厚生労働省発基安第0626001号


労働政策審議会
 会長 菅野 和夫 殿



 厚生労働省設置法第9条第1項第1号の規定に基づき、別紙1「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令案要綱」及び別紙2「石綿障害予防規則等の一部を改正する省令案要綱」について、貴会の意見を求める。



 平成18年6月26日


厚生労働大臣  川崎 二郎



   労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令案要綱
一 製造等の禁止
 製造等が禁止される有害物として、石綿及びこれをその重量の○・一パーセントを超えて含有する製剤その他の物を定めること。
二 規制の対象となる有害物の範囲の拡大
 作業主任者を選任すべき作業、作業環境測定を行うべき作業場、健康診断を行うべき有害な業務及び健康管理手帳を交付する業務について、石綿又はこれをその重量の○・一パーセントを超えて含有する製剤その他の物(以下「石綿等」という。)を取り扱う作業等を定めるとともに、製造等の禁止に伴う所要の規定の整備を行うこと。
三 経過措置
 石綿等のうち、この政令の施行の日前に製造され、又は輸入された物(二に掲げる物を除く。)であって、同日において現に使用されているものについては、同日以後引き続き使用されている間は、労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号。以下「法」という。)第五十五条の規定は適用しないものとすること。
 石綿等のうち、この政令の施行の日前に製造され、又は輸入された物であって、石綿の分析のための試料の用に供されるものについては、法第五十五条の規定は適用しないものとすること。
 次に掲げる物(一に掲げる物に該当するものを除く。)については、当分の間、法第五十五条の規定は適用しないものとすること。
(一) 石綿ジョイントシートガスケッチングから切り出した石綿(アモサイト及びクロシドライトを除く。以下三において同じ。)を含有するガスケットであって、次のいずれかに該当するもの
 この政令の施行の際現に存する本邦にある化学工業の用に供する施設(以下「既存化学工業施設」という。)の設備(配管を含む。以下同じ。)の接合部分(百度以上の温度の流体又はゲージ圧力三メガパスカル以上の流体を取り扱う部分に限る。)に使用されるもの
 既存化学工業施設の設備の接合部分に使用されるもので、直径千五百ミリメートル以上のもの(1に掲げるものを除く。)
 この政令の施行の際現に存する本邦にある鉄鋼業の用に供する施設(以下「既存鉄鋼業施設」という。)の設備の接合部分(二百五十度以上の温度の高炉ガス又はコークス炉ガスを取り扱う部分に限る。)に使用されるもの
 既存鉄鋼業施設又はこの政令の施行の際現に存する本邦にある非鉄金属製造業の用に供する施設(以下「既存非鉄金属製造業施設」という。)の設備の接合部分(四百五十度以上の温度の硫酸ガス又は亜硫酸ガスを取り扱う部分に限る。)に使用されるもの
 潜水艦(本邦において製造されるものに限る。)に使用されるもの
(二) 石綿を含有するうず巻形ガスケットであって、  既存化学工業施設の設備の接合部分(四百度以上の温度の流体又は三百度以上四百度未満の温度の次に掲げる物の流体を取り扱う部分に限る。)に使用されるもの
 水素イオン濃度指数が二・○以下又は十一・五以上の状態である物
 金属ナトリウム
 黄りん
 赤りん
 亜硝酸及びその塩
 クロム酸及びその塩
 硝酸及びその塩
 硫酸及びその塩
 塩化水素ガス
10 塩素ガス
11 弗化水素ガス
12 弗素ガス
13 よう
 沃素ガス
(三) 石綿を含有するメタルジャケット形ガスケットであって、既存鉄鋼業施設の設備の接合部分(熱風炉から高炉に送り込まれる千度以上の温度の熱風を取り扱う部分に限る。)に使用されるもの
(四) 石綿を含有するグランドパッキンであって、次のいずれかに該当するもの
 既存化学工業施設の設備の接合部分(四百度以上の温度の流体又は三百度以上四百度未満の温度の次に掲げる物の流体を取り扱う部分に限る。)に使用されるもの
(1) 亜硝酸及びその塩
(2) クロム酸及びその塩
(3) 硝酸及びその塩
(4) 硫酸及びその塩
 既存鉄鋼業施設の設備の接合部分(五百度以上の温度の転炉ガス又はコークス炉ガスを取り扱う部分に限る。)に使用されるもの
 潜水艦(本邦において製造されるものに限る。)に使用されるもの
(五) 石綿を含有する断熱材であって、本邦において製造されるミサイルに使用されるもの
(六) 石綿又は石綿を含有する製剤その他の物で、(一)から(五)までに掲げる物の原料又は材料として使用されるもの
 一から三までに掲げるもののほか、この政令の施行に関し必要な経過措置を定めること。
四 施行期日等
 この政令は、平成十八年九月一日から施行するものとすること。
 関係政令について所要の規定の整備を行うこと。



   石綿障害予防規則等の一部を改正する省令案要綱
一 吹き付けられた石綿等の封じ込め又は囲い込みの作業に係る措置
 吹き付けられた石綿等がその粉じんを発散させ、及び労働者がその粉じんにばく露するおそれがある場合における当該石綿等の封じ込め又は囲い込みの作業(以下「封じ込め等の作業」という。)について、石綿等の使用の有無の事前調査、作業計画の作成、作業の届出、特別教育等を行わなければならないものとすること。
 封じ込め等の作業(石綿等の切断、せん
穿孔、研磨等の作業を伴うものに限る。)について、
 作業場所を隔離しなければならないものとすること。
 封じ込め等の作業(石綿等の切断、せん
穿孔、研磨等の作業を伴うものを除く。)について、
 当該作業場所に当該作業に従事する労働者以外の者が立ち入ることを禁止するとともに、その旨を見やすい箇所に表示しなければならないものとすること。
 事業者は、封じ込め等の作業に労働者を従事させるときは、石綿等を湿潤な状態にしなければならないものとするとともに、当該労働者に呼吸用保護具及び作業衣又は保護衣を使用させなければならないものとすること。
二 石綿等が吹き付けられた建築物等における臨時の業務に係る措置
 事業者は、その労働者を臨時に就業させる建築物の壁、柱、天井等に吹き付けられた石綿等が損傷、劣化等によりその粉じんを発散させ、及び労働者がその粉じんにばく露するおそれがあるときは、労働者に呼吸用保護具及び保護衣又は作業衣を使用させなければならないものとすること。
三 足場、器具、工具等の持出し禁止
 事業者は、石綿等を取り扱う作業に使用した足場、器具、工具等について、付着したものを除去した後でなければ、作業場外に持ち出してはならないものとすること。ただし、廃棄のため、容器等に梱包したときは、この限りでないものとすること。
四 記録の保存期間の延長
 作業の記録及び健康診断の結果の記録について、当該労働者が当該事業場において常時当該作業に従事しないこととなった日から四十年間保存するものとするとともに、作業環境測定の結果及びその評価の記録についても、四十年間保存するものとすること。
五 施行期日等
 この省令は、平成十八年九月一日から施行するものとすること。
 この省令の施行に関し必要な経過措置を定めるとともに、関係省令について所要の規定の整備を行うこと。

トップへ