(1) | 最近の雇用失業情勢
最近の雇用失業情勢は、厳しさが残るものの、改善が進んでいる。
公共職業安定所で取り扱う新規求人数は、景気の回復を反映して、前年同月比で増加傾向で推移している。一方、新規求職者数は、景気の回復を受けて、よりよい労働条件を求める在職求職者が増加していることなどにより、前年同月比での減少幅が小さくなるなどの動きもみられるが、全体としては減少傾向で推移している。これらの結果、有効求人倍率は上昇し、平成17年12月には1.03倍と平成4年9月以来13年3ヶ月ぶりに1倍台となり、18年1月も同水準となっている。
しかしながら、正社員等の安定した雇用形態での就職を希望する者が多い(全求職者のうち常用フルタイム求職者の割合は7割以上)一方で、平成18年1月の正社員有効求人倍率(常用フルタイム有効求職者1人当たりの正社員有効求人数)については、0.67倍と前年同月差で0.08ポイント上昇しているものの、全体の有効求人倍率に比べて低い水準にとどまっている。
また、平成5年度以来20%後半で推移していた就職率は、平成16年度は30.7%となり、平成17年度の上半期は、前年同期差で1.0ポイント上昇して32.2%となっている。
完全失業者数は、平成15年4月に過去最高の385万人となった後、減少傾向で推移し、平成18年1月は前年同月差4万人減の292万人となっている。完全失業率は、平成14年6月、8月、15年1月、4月にこれまでで最も高い水準の5.5%となった後、平成15年12月以降は4%台で、また平成17年4月以降は概ね4%台前半で推移し、6月には4.2%と平成10年7月の4.1%以来6年11か月ぶりの水準まで低下した。景気の回復を反映した動きとして転職活動が活発化していることなどから、完全失業率が一時的に上昇する局面もみられ、平成18年1月の完全失業率は4.5%となっているが、全体としてみれば、高水準ながらも低下傾向で推移している。
その一方で、生活保護の保護率が上昇しており、被保護世帯数は平成16年度には過去最高となっている。
就業者数、雇用者数とも前年と比較して増加が続いている。雇用者数を従業上の地位別にみると、増加を続けていた臨時雇に加え、常雇が平成16年に7年ぶりに増加に転じて以降、増加傾向を続けているが、雇用形態別にみると、非正規の職員・従業員の増加が続いている一方、正規の職員・従業員は減少傾向となっている。企業の雇用人員判断については、平成17年3月に12年6か月ぶりに不足超過となった後、不足感が高まり、12月には13年ぶりに全規模、全産業で不足超過となっている。また、雇用調整の実施事業所割合についても、引き続き低下傾向にある。
地域別にみると、平成18年1月現在、有効求人倍率については6ブロック(東海、南関東、中国、北関東・甲信、北陸、近畿)で1倍台となっている一方、北海道ブロックにおいては0.6倍台、九州、東北の各ブロックにおいては0.7倍台となっており、失業率についても3%台から5%台までブロックごとにばらつきがみられるなど、雇用情勢には地域差がみられるところである。 |
(2) | 若者の雇用状況
若者の雇用情勢については、平成18年1月の15〜24歳層の有効求人倍率が1.79倍と全年齢層に比べて高く、求人は多いものの、それが就職に結びつかない状況がみられ、完全失業率は前年同月よりも0.1ポイント低下して7.8%と、改善が加速しているが、依然、年齢計の4.5%と比べ高水準で推移しており、早期離職率も高い状況にある。
さらに、フリーターが201万人(平成17年)、ニートと呼ばれる学校に通っておらず、働いてもおらず、職業訓練を行っていない若者が64万人(平成17年)と多い状況にあり、このことが社会経済に与える影響の重大さが指摘されている。
他方、平成18年3月高校新卒者の就職内定状況(平成18年1月末現在)をみると、全国の内定率は85.3%と、前年同期(平成17年1月末現在)に比べ3.7ポイント上昇しているが、地域別にみると、3ブロック(東海、北陸、山陽)で90%を超えている一方、北海道ブロックにおいては63.1%、東北、南九州ブロックにおいては80%前半となっており、地域差がみられる。また、平成18年3月大学新卒者の就職内定状況(平成18年2月1日現在)をみると、全国の内定率は85.8%と、前年同期(平成17年2月1日現在)に比べ3.2ポイント上昇している。 |
(3) | 高齢者の雇用状況
高齢者の雇用管理の現状(平成17年1月1日現在)をみると、少なくとも65歳まで働ける場を確保する企業は72.4%、そのうち、原則として希望者全員を対象とする企業は24.1%となっている。また、雇用情勢については、平成18年1月の60〜64歳層の有効求人倍率は0.59倍と改善傾向にあるものの依然として低水準にとどまっており、一旦離職すると再就職が厳しい状況にある。 |
(4) | 女性の雇用状況
女性雇用者数は平成17年には2,229万人となり、16年に比べ26万人増加(前年比1.2%増)した。
また、年齢階級別労働力率をみると、M字型カーブの底である30〜34歳層の労働力率は前年と比べ最も上昇幅が大きく、62.7%(前年差1.3%ポイント上昇)であった。 |
(5) | パートタイム労働者の雇用状況
短時間雇用者(週間就業時間が35時間未満の非農林業の短時間雇用者)数は、平成17年においては1,266万人と、雇用者総数の約4分の1を占めるに至るとともに、近年では、勤続年数の伸張、基幹的な役割を担う者の増加もみられる。 |
(6) | 障害者の雇用状況
障害者の雇用状況については、公共職業安定所を通じた障害者の就職件数は平成16年度には年間3万5千件を超え、2年連続高い伸びを示しており、また、平成17年6月1日現在、民間企業の実雇用率は1.49%と前年に比べて0.03%ポイント上昇するなど、着実な進展がみられる。しかし一方で、有効求職者は14万9千人(平成18年1月末現在)と依然として多数であり、雇用率達成企業の割合も42.1%(平成17年6月1日現在)にとどまるなど、引き続き努力すべき点も多い。 |