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医薬品・医療機器等安全性情報
Pharmaceuticals and Medical Devices
Safety Information No.223
目   次
  1. 重要な副作用等に関する情報
    1. 塩酸セレギリン
  2. 使用上の注意の改訂について(その174)
    ロルノキシカム他(3件)
  3. 市販直後調査の対象品目一覧
この医薬品・医療機器等安全性情報は,厚生労働省において収集された副作用等の情報をもとに,医薬品・医療機器等のより安全な使用に役立てていただくために,医療関係者に対して情報提供されるものです。
平成18年(2006年)3月
厚生労働省医薬食品局

1.重要な副作用等に関する情報
 前号(医薬品・医療機器等安全性情報 No.222)以降に改訂を指導した医薬品の使用上の注意のうち重要な副作用等について,改訂内容,参考文献等とともに改訂の根拠となった症例の概要に関する情報を紹介いたします。

【1】塩酸セレギリン

販売名(会社名) エフピー錠2.5(エフピー)
薬効分類等 抗パーキンソン剤
効能効果 次の疾患に対するレボドパ含有製剤との併用療法
パーキンソン病(過去のレボドパ含有製剤治療において,十分な効果が得られていないもの:Yahr重症度ステージI〜W)

使用上の注意(下線部追加改訂部分)》
[副作用
(重大な副作用)]
悪性症候群:本剤の急激な減量又は中止により,高熱,意識障害,高度の筋硬直,不随意運動,血清CK(CPK)上昇等があらわれることがある。このような場合には,再投与後,漸減するとともに,体冷却,水分補給等の適切な処置を行うこと。なお,投与継続中に同様の症状があらわれることがある。
低血糖:低血糖があらわれることがあるので,低血糖症状(意識障害,昏睡等)があらわれた場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
胃潰瘍:胃潰瘍があらわれることがあるので,このような場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告
販売開始後(約7年間)の関連副作用報告数
(「因果関係が否定できるもの」以外のもので,「因果関係が不明なもの」も含む。)
・悪性症候群:4例(うち死亡0例)
・低血糖:3例(うち死亡0例)
・胃潰瘍:4例(うち死亡0例)
関係企業が推計したおおよその年間使用者数:約3万2000人(平成17年)

症例の概要
No. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性 ・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
1
70代
パーキンソン病
(神経因性膀胱,高血圧症)
2.5mg
31日間
悪性症候群
投与開始日 パーキンソン病治療のため,本剤2.5mgの投与を開始。
投与29日目 発熱,無動が出現。
投与31日目(投与中止日) 入院。CK(CPK)の上昇を認めたため,悪性症候群と診断。処置として本剤の中止及び補液,ダントロレンナトリウムの投与を実施。
中止14日後 回復。
企業報告
臨床検査値
  投与169日前 投与31日目(投与中止日) 中止14日後
体温(℃) 36.2 39.0 36.5
白血球数(/mm3 8300 8600 7500
CK(CPK)(IU/L) 127 2269 118
AST(GOT)(IU/L) 31 73 45
ALT(GPT)(IU/L) 15 39 57
LDH(IU/L) 230 421 206
BUN(mg/dL) 26 36 18
尿蛋白(定性) (2+)
尿潜血(定性) (3+)
併用薬:レボドパ・カルビドパ配合剤,酒石酸イフェンプロジル,センノシド,酸化マグネシウム,塩酸プロピベリン,ニルバジピン,塩酸オキシブチニン


No. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性 ・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
2
80代
パーキンソン病
(痔疾,変形性膝関節症)
2.5mg
279日間
低血糖
投与開始日 パーキンソン病治療のため,本剤2.5mgの投与を開始。
投与277日目 運動機能が低下。
投与278日目 意識障害が出現。
投与279日目
(投与中止日)
朝,血糖値100mg/dL。
夕方,血糖値が急激に低下(40〜96mg/dL)し,意識レベルも低下したため,入院。入院時,せん妄状態。本剤及びその他の経口抗パーキンソン病薬の投与を中止し,レボドパ及びブドウ糖点滴で処置。
中止1日後 血糖値60mg/dL。呼名反応出現。
中止2日後 血糖値57〜64mg/dL。
中止3日後 血糖値70mg/dLとなり,やや回復した。
中止5日後 血糖値96〜166mg/dL。経口摂取が可能となる。
中止9日後 回復。
企業報告
臨床検査値
   投与279日目(投与中止日) 中止1日後 中止2日後 中止3日後 中止5日後
血糖値(mg/dL) 100 40〜96 60 57〜64 70 96〜166
併用薬:レボドパ・カルビドパ配合剤,ドロキシドパ,メシル酸ブロモクリプチン


No. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性 ・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
3
70代
パーキンソン病
(ラクナ梗塞,慢性心不全,高血圧,左鼠径ヘルニア)
2.5mg
28日間
 ↓
5.0mg
298日間
胃潰瘍
赤血球数は以前より正常下限程度であった(379×104/mm3)。
投与開始日 パーキンソン病治療のため,本剤2.5mgの投与を開始。
投与29日目 本剤を5.0mgに増量。
投与120日目 赤血球数378×104/mm3
投与約290日目 貧血,体重減少が発現。
投与302日目 赤血球数328×104/mm3,ヘモグロビン11.0g/dL,体重−5kg/月。
投与326日目
(投与中止日)
胃潰瘍(穿孔)が発現。Pre-shockにて緊急入院。本剤の投与を中止。
中止113日後 回復。
企業報告
臨床検査値
   投与前 投与120日目 投与302日目
赤血球数(×104/mm3 379 378 328
ヘモグロビン(g/dL) 11.0
併用薬:アスピリン・ダイアルミネート小児用,レボドパ・カルビドパ配合剤,塩酸トリヘキシフェニジル,塩酸アマンタジン,ユビデカレノン


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2.使用上の注意の改訂について(その174)
 前号(医薬品・医療機器等安全性情報 No.222)以降に改訂を指導した医薬品の使用上の注意(本号の「1 重要な副作用等に関する情報」で紹介したものを除く。)について,改訂内容,主な該当販売名,参考文献等をお知らせいたします。

1 〈解熱鎮痛消炎剤〉
ロルノキシカム
[販売名] ロルカム錠2mg,同錠4mg(大正製薬)
[副作用
(重大な副作用)]
消化性潰瘍,小腸・大腸潰瘍いずれも出血,穿孔を伴うことがある):消化性潰瘍,小腸・大腸潰瘍があらわれることがあり,穿孔に至る場合もあるので,観察を十分に行い,異常(腹痛,嘔吐,吐血・下血等を伴う胃腸出血)が認められた場合には,投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告


2 〈主としてグラム陽性・陰性菌に作用するもの〉
セフタジジム
[販売名] モダシン静注用(グラクソ・スミスクライン)他
[副作用
(重大な副作用)]
汎血球減少,無顆粒球症,溶血性貧血,血小板減少があらわれることがあるので,異常が認められた場合には投与を中止し適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告


3 〈駆虫剤〉
アルベンダゾール
[販売名] エスカゾール錠(グラクソ・スミスクライン)
[副作用
(重大な副作用)]
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群),多形紅斑:皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群),多形紅斑があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告


4 〈一般用医薬品〉
バシトラシン・硫酸フラジオマイシン・酢酸ヒドロコルチゾン
[販売名] ドルマイコーチ軟膏(ゼリア新薬工業)
[相談すること] 次の場合は,直ちに使用を中止し,この文書を持って医師又は薬剤師に相談すること
   使用後,次の症状があらわれた場合
      まれに下記の重篤な症状が起こることがあります。その場合は直ちに医師の診療を受けること。
         ショック(アナフィラキシー):使用後すぐにじんましん,浮腫,胸苦しさ等とともに,顔色が青白くなり,手足が冷たくなり,冷や汗,息苦しさ等があらわれる。
〈参   考〉 企業報告


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3.市販直後調査の対象品目一覧
(平成18年3月1日現在)
一般名
販売名
製造販売業者名 市販直後調査開始年月日
ドリペネム水和物
フィニバックス点滴用0.25g
塩野義製薬(株) 平成17年9月16日
無水エタノール
無水エタノール注「フソー」
扶桑薬品工業(株) 平成17年9月16日
無水エタノール
無水エタノール注「メルク」
メルク・ホエイ(株) 平成17年9月20日
塩酸ピロカルピン
サラジェン錠5mg
キッセイ薬品工業(株) 平成17年9月22日
ゲムツズマブオゾガマイシン(遺伝子組換え)
マイロターグ注射用5mg
ワイス(株) 平成17年9月22日
アルテプラーゼ(遺伝子組換え)
アクチバシン注600万,同注1200万,同注2400万*1
協和発酵工業(株) 平成17年10月11日
アルテプラーゼ(遺伝子組換え)
グルトパ注600万,同注1200万,同注2400万*1
三菱ウェルファーマ(株) 平成17年10月11日
カンデサルタン シレキセチル
ブロプレス錠2,同錠4,同錠8*2
武田薬品工業(株) 平成17年10月11日
塩酸モキシフロキサシン
アベロックス錠400mg
バイエル薬品(株) 平成17年12月9日
フィナステリド
プロペシア錠0.2mg,同錠1mg
萬有製薬(株) 平成17年12月14日
ミグリトール
セイブル錠25mg,同錠50mg,同錠75mg
(株)三和化学研究所 平成18年1月11日
クラブラン酸カリウム・アモキシシリン
クラバモックス小児用ドライシロップ
グラクソ・スミスクライン(株) 平成18年1月17日
塩酸パロキセチン水和物
パキシル錠10mg,同錠20mg*3
グラクソ・スミスクライン(株) 平成18年1月23日
シクロスポリン
パピロックミニ点眼液0.1%
参天製薬(株) 平成18年1月23日
胎盤性性腺刺激ホルモン
プロファシー注5000*4
セローノ・ジャパン(株) 平成18年1月30日
ザナミビル水和物
リレンザ*5
グラクソ・スミスクライン(株) 平成18年2月17日
注)効能追加等における対象
  *1: 効能追加された「虚血性脳血管障害急性期に伴う機能障害の改善(発症後3時間以内)」
  *2: 効能追加された「慢性心不全(軽症〜中等症)の状態で,アンジオテンシン変換酵素阻害剤の投与が適切でない場合」
  *3: 効能追加された「強迫性障害」
  *4: 効能追加された「低ゴナドトロピン性男子性腺機能低下症における精子形成の誘導」
  *5: 用法追加された「小児」


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お知らせ
医薬品・医療機器等安全性情報は,医薬品医療機器情報提供ホームページ(http://www.info.pmda.go.jp/)又は厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/)からも入手可能です。
また,NTTのファクシミリ通信網サービス「Fネット」を通じ,最近1年間の「医薬品・医療機器等安全性情報」がお手元のファクシミリから随時入手できます(利用者負担)。
「Fネット」への加入等についての問い合わせ先:0120−161−011


照 会 先
厚生労働省医薬食品局安全対策課
03-5253-1111(内線)2753


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