| 平成18年2月13日 厚生労働省医薬食品局食品安全部
 北島 新開発食品保健対策室長
 担当:調所、柊、岡野(内線2479)
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アガリクス(カワリハラタケ)を含む製品の安全性に関する
食品安全委員会への食品健康影響評価の依頼について
 本日、アガリクス(カワリハラタケ)を含む3製品の安全性に関する食品健康影響評価について、食品安全委員会に意見を求めることとしましたのでお知らせします。
| 1. | 厚生労働省では、アガリクスを含む製品が広域に渡って流通していること、アガリクスを含む製品によることが明確な健康被害は報告されていませんが、肝障害の疑い等複数の事例が学術雑誌等に掲載されていること等から、国立医薬品食品衛生研究所において、アガリクスを含む市販の3製品の毒性試験を実施してきました。 この結果、現在実施しているラットを用いた中期多臓器発がん性試験(※1)において、1製品に発がんプロモーション作用(※2)が認められたとの中間報告を受けました(表1参照)。
 
 
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| 2. | これを受け、本日、厚生労働省は食品安全委員会に対し、これらのアガリクスを含む3製品の食品健康影響評価を依頼することとしました。 今回、3製品のうちの1製品については食品としての販売を暫定的に禁止することについて、他の2製品については製品の安全性について念のため評価を依頼することとしました。
 
 
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| 3. | 今回の試験結果は、ラットにおいて発がんプロモーション作用が認められたというものであり、ヒトに対してただちにがんを引き起こすという結果ではありませんが、ヒトへの健康被害を未然に防ぐため、厚生労働省では、次のような対応を図ることとしています。 
| (1) | ラットへの発がんプロモーション作用が認められた1製品(キリン細胞壁破砕アガリクス顆粒)の販売者(キリンウェルフーズ(株))に対し、自主的な販売停止と回収を要請 |  | (2) | 消費者に対し当該製品の摂取を控えるよう、注意喚起する(別紙)こととし、アガリクスに関するQ&Aを厚生労働省のホームページに掲載し、適切な情報を提供 |  | (3) | 各都道府県、関係団体等に対し、周知の協力を要請するための通知を発出 |  | (4) | 厚生労働省にアガリクスを含む製品に関する相談専用電話を設置 (連絡先電話番号 03−5253−1111 内線4261〜4263)
 
| ※ | 平成18年2月27日(月)以降の問い合わせ先は、内線2479、4271、4272 |  |  
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| 4. | なお、他の2製品のうち、1製品(「仙生露顆粒ゴールド」(販売者:(株)サンドリー(※4)))については、遺伝毒性試験は陰性で、発がんプロモーション試験は実施中であり、腫瘍性病変の増加は確認されていません(※5)。他の1製品(「アガリクスK2ABPC顆粒」(販売者:(株)サンヘルス))については、遺伝毒性が陰性で、ラットにおける発がんプロモーション試験でも現在腫瘍性病変の増加は認められていないとの報告を受けていますが、最終結果は出ておりません。 これら2製品については、試験結果が出次第、食品安全委員会にその内容を報告するとともに公表することとしています。
 
 
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| 5. | 今回実施した中期多臓器発がん性試験の結果、発がんプロモーション作用が認められたのは、「キリン細胞壁破砕アガリクス」のみです。その他のアガリクスを含む製品については、発がんプロモーション作用が認められたわけではありません。 
 
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| 6. | 厚生労働省では、今後、食品安全委員会の評価結果を踏まえ、必要な措置をとることとしています。 
 
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| 7. | 以上のような状況について、正確な報道をしていただきますとともに、国民への情報提供についてご協力いただきますようお願いいたします。 | 
| ※1 | 中期多臓器発がん性試験:生体に悪性腫瘍を発生させる能力である発がんを促進する作用(発がんプロモーション作用)を確認する試験のひとつ。げっ歯類(ネズミ等)を用いた二段階発がん試験のひとつで、最大5種類のイニシエーター(※3)を投与して発がんの感受性を高め、次いで被験物質を数ヵ月間投与する。 | 
| ※2 | 発がんプロモーション(作用) Promotion Action : それ自身が発がんを引き起こすものではなく、他の発がん物質による発がん作用を促進する作用をいう。プロモーション作用がある物質をプロモーターという。 | 
| ※3 | イニシエーター(Initiator): 発がんの過程にはいくつかのステップが存在し、多段階的に進行していると考えられており、その最初のステップのことをイニシエーション(Initiation)という。化学物質や放射線などによって引き起こされたDNA損傷が修復されず、突然変異として遺伝子に固定され、腫瘍発生に関与する遺伝子に機能異常をもたらす過程をさす。イニシエーションを起こす物質をイニシエーターと呼ぶ。 | 
| ※4 | 試験対象とされた「仙生露顆粒ゴールド」は(株)サンドリーが販売したものであるが、現在、(株)S・S・Iに営業譲渡されている。 | 
| ※5 | 仙生露顆粒ゴールドについては、企業により、韓国において類似の製品(仙生露スタンダード顆粒)の発がん試験が行われた結果、発がん性は陰性であるとの情報もある。 | 
(表1)毒性試験(遺伝毒性試験及び中期多臓器発がん性試験)結果
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|  | 遺伝毒性試験 | 中期多臓器 発がん性試験
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| 復帰突然変異試験 | 染色体異常試験 | 小核試験 |  
| (1) | + | + | − | + |  
| (2) | − | − | − | 試験実施中 |  
| (3) | − | − | − | 試験実施中 |  | 
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| (1) | キリン細胞壁破砕アガリクス顆粒(販売者:キリンウェルフーズ(株)) |  | (2) | 仙生露顆粒ゴールド(販売者:(株)サンドリー(※)) |  | (3) | アガリクスK2ABPC顆粒(販売者:(株)サンヘルス) |  | (被害報告等を基準としてこれらの製品を選択したものではない。) |  | 
| ※ | 試験対象とされた「仙生露顆粒ゴールド」は(株)サンドリーが販売したものであるが、現在、(株)S・S・Iに営業譲渡されている。 | 
| (参考) 厚生労働省の食品の安全性の確保に係る対応 食品事業者は、自らの責任において販売する食品の安全性の確認に努めることとされている(食品衛生法第3条参照)が、厚生労働省では、食品衛生上の危害の発生を防止するため必要があるときは、従前より食品安全委員会の健康影響評価を踏まえた上で、食品衛生法に基づく措置を講じているところである。
 〜これまでの具体的事例〜
 
| ・ | 「サウロパス・アンドロジナス(いわゆるアマメシバ)を大量長期に摂取させることが可能な粉末、錠剤等の形態の加工食品」 |  | ・ | 「シンフィツム(いわゆるコンフリー)及びこれを含む食品」 |  | ・ | 既存添加物「アカネ色素」 |  | 
| ※ | 食品安全委員会での審議資料はこちらをご覧ください。 | 
| 本件について、いわゆる風評被害が生じることのないよう正確なご理解をよろしくお願いします。 |