厚生労働省発表 平成18年1月27日 |
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改正高齢法の施行に向けた企業の取組状況について
〜雇用確保措置導入見込み企業は300人以上規模で98%〜
改正高年齢者雇用安定法(以下「改正高齢法」という。)に基づき、本年4月1日から、高年齢者について少なくとも年金支給開始年齢までの高年齢者雇用確保措置(以下「雇用確保措置」という。)の導入が各企業に義務づけられる。 全国の労働局・ハローワークにおいては、個別訪問や集団説明会等の方式で、この改正高齢法施行の周知及び遵守を各企業に対し働きかけているところである。 このうち、特に300人以上規模企業については、昨年11月1日時点における法施行に向けた取組状況について聞き取り等により調査を行ったところであり、さらに前回未調査であった企業、取組が遅れていた企業等に対し本年1月1日時点における取組状況について同様の調査を行ったところである。その結果、昨年11月1日時点では、改正高齢法に沿った雇用確保措置導入見込み企業は86.7%であったが、本年1月1日時点では、97.9%に達した。 その概要については以下のとおり。 |
1 | 全体の状況 ─── 導入見込み企業は、98% ──── 前回は、個別訪問を行った企業のうち300人以上規模の11,169社(300人以上規模企業全12,272社の約91%)に対し、昨年11月1日時点における改正高齢法の施行に向けた取組状況について聞き取り等により調査を行った。さらに今回は、前回の調査において未調査であった企業(1,103社)及び取組が遅れていた企業等に対し、本年1月1日における取組状況について聞き取り等により調査を行った。 その結果、前回調査と合わせ、本年1月1日時点で「既に改正高齢法に沿った雇用確保措置を導入済み」としている300人以上規模企業は、全12,272社中2,910社、23.7%【2,633社、23.6%】(注)となっている。
このため、本年1月1日時点で、法施行時に改正高齢法に沿った雇用確保措置の導入を行うと見込まれる企業 (「導入済み」及び「導入予定」の企業の両者を合計。以下「導入見込み企業」という。)は、12,020社、97.9%【9,686社、86.7%】と伸長した(図1、表1)。 |
また、「その他」の企業は252社、2.1%【1,483社、13.3%】となっているが、今後、労使間でより具体的な取組を進めるものと見込まれ、今後、ハローワーク等を中心に引き続き改正高齢法の遵守に向けた支援、指導を行っていくこととしている。 導入見込み企業を産業別に見ると、昨年11月1日時点で平均を下回っていた業種においても、例えば、「情報通信業」が83.2%から96.9%に、「飲食業、宿泊業」が81.0%から98.8%に、「金融・保険業」が77.5%から98.1%に増加するなど、いずれの業種についても、昨年11月1日時点と比べて当該企業の割合が伸長している(図3-1、表3)。 導入見込み企業を企業規模別に見ても、いずれの規模についても、昨年11月1日時点と比べて当該企業の割合が伸長している(図3-2、表3)。 |
2 | 取組の具体的内容 ────65歳引き上げ企業は4割──── 導入見込み企業(12,020社)による取組の具体的内容は、次のとおり。 |
(1) | 雇用確保措置の上限年齢 雇用確保措置の上限年齢については、「本年4月1日から62〜64歳まで引き上げる」とする企業は、7,165社、59.6%【5,867社、60.6%】となっているが、改正高齢法の義務化スケジュールより前倒しし、「本年4月1日から65歳以上へ引き上げる」とする企業は、4,855社、40.4%【3,819社、39.4%】となっている(図2-1、表2-1)。この比率については、昨年11月1日時点とほぼ同様である。 |
(2) | 雇用確保措置の内訳 雇用確保措置の内訳については、「定年の定めの廃止」や「定年年齢の引上げ」の措置を講じるところは少なく(両者で769社、6.4%【725社、7.5%】)、9割以上の企業が「継続雇用制度を導入」としている(11,251社、93.6%【8,961社、92.5%】、図2-2、表2-2)。この比率についても、昨年11月1日時点とほぼ同様である。 |
3 | 今後の取組 今後、職業安定行政機関においては、各都道府県雇用開発協会等に配置されている高年齢者雇用アドバイザー等と緊密に連携しつつ、取組が遅れている企業について個別に阻害要因の分析を行った上で、繰り返し企業訪問を行うなど課題解決のための支援、指導を行っていくこととする。 また、規模の大小を問わずすべての企業において確実に雇用確保措置の導入を図る観点から、平成15年度から各地域ごとの主要な事業主団体の協力を得て実施している「65歳雇用導入プロジェクト」(※)事業を一層活性化させることにより、傘下企業への集団的な指導・助言・啓発等を加速させていくこととする。 こうした取組を通じて、関係労使の合意に向けた話し合いをさらに積極化させることにより、改正高齢法が施行される本年4月1日までに、今回の調査において「導入予定」の企業等についても最終的に確実に雇用確保措置が導入されるよう、万全を期することとしている。
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(注)上段は平成17年11月1日時点、下段は平成18年1月1日時点。 |
(注)上段は平成17年11月1日時点、下段は平成18年1月1日時点。 |
表1 雇用確保措置の導入見込み状況
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表2 雇用確保措置導入見込み企業(12,020社)の概要
表2−1 雇用確保措置の上限年齢
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表2−2 雇用確保措置の内訳
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表3 規模別・産業別取組状況
(単位 : %) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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(注) | 「(5)その他」は、「(1)対象企業」から改正高齢法に沿った雇用確保措置を「(2)導入済み」の企業と「(3)導入予定」の企業を除いた企業 |