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医薬品・医療機器等安全性情報
Pharmaceuticals and Medical Devices
Safety Information No.220
目   次
  1. 重要な副作用等に関する情報
    1. 塩酸アミオダロン
    2. カルボプラチン
    3. セボフルラン
    4. 人全血液,合成血,新鮮凍結人血漿,人血小板濃厚液,人赤血球濃厚液,
      解凍人赤血球濃厚液,洗浄人赤血球浮遊液,白血球除去人赤血球浮遊液
    5. フェニトイン,フェニトインナトリウム,フェニトイン・フェノバルビタール,
      フェニトイン・フェノバルビタール・安息香酸ナトリウムカフェイン
  2. 使用上の注意の改訂について(その171)
    ゾピクロン他(12件)
  3. 市販直後調査の対象品目一覧
 この医薬品・医療機器等安全性情報は,厚生労働省において収集された副作用等の情報をもとに,医薬品・医療機器等のより安全な使用に役立てていただくために,医療関係者に対して情報提供されるものです。
平成17年(2005年)12月
厚生労働省医薬食品局

1.重要な副作用等に関する情報
 前号(医薬品・医療機器等安全性情報 No.219)以降に改訂を指導した医薬品の使用上の注意のうち重要な副作用等について,改訂内容,参考文献等とともに改訂の根拠となった症例の概要に関する情報を紹介いたします。

【1】塩酸アミオダロン

販売名(会社名) アンカロン錠100(アベンティスファーマ)
薬効分類等 不整脈用剤
効能効果 生命に危険のある下記の再発性不整脈で他の抗不整脈薬が無効か,又は使用できない場合
 心室細動,心室性頻拍,肥大型心筋症に伴う心房細動

使用上の注意(下線部追加改訂部分)》
[重要な基本
的注意]
肝臓:肝酵素の上昇があらわれることがある。通常は肝酵素値が異常を示すだけであるが,重篤な肝障害が起こる場合もあり,致死的な場合も報告されている。
[副作用
(重大な副作用)]
劇症肝炎,肝硬変,肝障害劇症肝炎,肝硬変,肝障害があらわれることがあり,致死的な場合も報告されているので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止する等の適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告
販売開始後(約13年間)の関連副作用報告数
(「因果関係が否定できるもの」以外のもので,「因果関係が不明なもの」も含む。)
・劇症肝炎:3例(うち死亡3例)
関係企業が推計したおおよその年間使用者数:約2万5千人(平成16年度)

症例の概要
No. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性 ・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
1
60代
心室性頻拍の改善
(僧帽弁閉鎖不全,慢性心不全)
400mg
9日間
 ↓
100mg
3日間
劇症肝炎
投与開始日 心室性頻拍の改善のため本剤400mg投与開始。
投与5日目 夕方より心窩部のムカムカ感が出現した。
投与7日目 軽度の肝腎障害を認めた。
投与10日目 本剤を100mgに減量した。
肝腎障害が中等度に悪化した。
投与11日目 少量の下血及び心窩部から右季肋部への違和感を認めた。
中止1日後 早朝よりふらつきあり,全身に力が入らず,頭部をベッドにぶつけたり,物がうまく掴めないという症状が出現した。
肝障害が高度となり利尿剤による点滴治療を開始した。
中止2日後 血中濃度はアミオダロン155ng/mL,デスエチルアミオダロン87ng/mLと低値であったが,劇症肝炎,播種性血管内凝固症候群の発症と考え,メシル酸ガベキサートを使用した。
また,新鮮凍結人血漿40単位による血漿交換等の処置も施した。
一時,意識レベル等回復傾向にあったが,心室性頻拍更に心室細動を起こし死亡した。
死因:劇症肝炎,播種性血管内凝固症候群
企業報告
臨床検査値
  投与1日前 投与3日目 投与7日目 投与10日目 中止1日後 中止2日後
AST(GOT)(IU/L) 20 19 53 337 1067 2601
ALT(GPT)(IU/L) 18 21 56 356 962 1692
LDH(IU/L) 373 380 523 970 2227 5896
血小板数(×104/mm3 19.7 21.6 24.4 19.2 14.9 9.5
総ビリルビン(mg/dL) 0.6 0.6 0.8 1.0 3.8 4.1
プロトロンビン時間(秒) 26.7 22.6
併用薬:マレイン酸エナラプリル,フロセミド


No. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性 ・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
2
70代
心室性頻拍,心房性頻拍
(うっ血型心筋症,心不全,心房粗動,痴呆,喘息)
50〜100mg
約2年5ヵ月間
劇症肝炎
投与開始日 拡張型心筋症による心不全のため加療開始。
不定型の心房性頻拍により心機能症状の悪化を認め,本剤(50〜100mg)の投与開始。本剤により洞調律が維持され経過は良好であった。
投与約2年目 甲状腺機能低下(症状はなし)を認めた。
投与約2年4ヵ月目 食思不振,活動力低下を認めた。
入院加療。甲状腺ホルモン補充,補液にて経過観察。
心房性頻拍,心房粗動があり本剤(100mg)を継続し,極力洞調律を維持した。
投与約2年5ヵ月目(投与中止日) 突然活気がうせ,肝酵素値上昇し黄疸が発現した。劇症肝炎(非ウイルス性)が疑われた。
中止1日後 翌日も軽快せずDICを併発した。
中止2日後 黄疸が進行したため消化器科へ転科した。
中止3日後 ステロイドパルス療法により肝酵素値の低下傾向を認めたため軽快と判断した。
中止5日後 誤嚥を契機に症状の悪化を認めた。一時,心肺停止状態となり蘇生するも脳障害は回復しなかった。
中止11日後 永眠。剖検により顕著な肝萎縮(壊死,変性)を認めた。
死因:劇症肝炎,発症後の誤嚥,その後の心肺停止。
企業報告
臨床検査値
  投与約2年4ヵ月目 投与約2年5ヵ月目
(投与中止日)
中止1日後 中止3日後 中止4日後
AST(GOT)(IU/L) 65 8572 9563 3228 1538
ALT(GPT)(IU/L) 40 5290 5216 3388 2744
Al-P(IU/L) 153
LDH(IU/L) 871 17293 15318 5202 2611
γ-GTP(IU/L) 62
血小板数(×104/mm3 17.3 8.9 4.5 3.1 2.7
アンモニア(μg/dL) 56 71
併用薬:フロセミド,スピロノラクトン,ジゴキシン,リシノプリル,ソファルコン,テオフィリン,塩酸ジルチアゼム,ワルファリンカリウム,レボチロキシンナトリウム



【2】 カルボプラチン

販売名(会社名) カルボプラチン注射液1%「ヘキサル」(日本ヘキサル)
カルボメルク注射液1%(メルク・ホエイ)
パラプラチン注射液,注射用パラプラチン150mg(ブリストル製薬)
薬効分類等 その他の腫瘍用薬
効能効果 頭頸部癌,肺小細胞癌,睾丸腫瘍,卵巣癌,子宮頸癌,悪性リンパ腫,非小細胞肺癌
以下の悪性腫瘍に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法
  小児悪性固形腫瘍(神経芽腫・網膜芽腫・肝芽腫・中枢神経系胚細胞腫瘍,再発又は難治性のユーイング肉腫ファミリー腫瘍・腎芽腫)

使用上の注意(下線部追加改訂部分)》
[副作用(重大な副作用)] 肝不全,肝機能障害,黄疸:肝不全,肝機能障害,黄疸があらわれることがあるので,定期的に検査を行うなど観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
消化管壊死,消化管穿孔,消化管出血,消化管潰瘍:消化管壊死,消化管穿孔,消化管出血,消化管潰瘍があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
出血性腸炎,偽膜性大腸炎:出血性腸炎,偽膜性大腸炎等があらわれることがあるので,観察を十分に行い,激しい腹痛・下痢等があらわれた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
急性呼吸窮迫症候群:急性呼吸窮迫症候群があらわれることがあるので,観察を十分に行い,急速に進行する呼吸困難,低酸素症,両側性びまん性肺浸潤影等の胸部X線異常等が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
播種性血管内凝固症候群(DIC):播種性血管内凝固症候群(DIC)があらわれることがあるので,観察を十分に行い,血小板数,血清FDP値,血漿フィブリノゲン濃度等の血液検査に異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
急性膵炎:急性膵炎があらわれることがあるので,観察を十分に行い,血清アミラーゼ値,血清リパーゼ値等に異常が認められた場合には投与を中止すること。
〈参   考〉 企業報告
1995年7月以降の関連副作用報告数
(「因果関係が否定できるもの」以外のもので,「因果関係が不明なもの」も含む。)
・肝不全,肝機能障害,黄疸:20例(うち死亡5例)
・消化管壊死,消化管穿孔,消化管出血,消化管潰瘍:14例(うち死亡3例)
・出血性腸炎,偽膜性大腸炎:9例(うち死亡0例)
・急性呼吸窮迫症候群:2例(うち死亡2例)
・播種性血管内凝固症候群(DIC):9例(うち死亡5例)
・急性膵炎:5例(うち死亡0例)
関係企業が推計したおおよその年間使用者数:約10万人(平成16年度)

症例の概要
No. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性 ・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
1
60代
再発肺癌
(転移性小脳腫瘍)
250mg
1日間
肝機能異常
投 与 日 外来で2回目(本剤250mg+パクリタキセル130mg)の治療を行っていた。
終了3日後 この頃より食欲低下,倦怠感出現。
終了5日後 食欲低下,倦怠感改善しないため,救急外来受診。採血上AST(GOT)694IU/L,ALT(GPT)1400IU/L,LDH952IU/Lと著明高値であり,加療目的にて入院となる。
終了6日後 夜に末梢冷感,血圧80mmHg台まで低下あり,動脈血ガス分析上,乳酸値上昇,採血上AST(GOT)1670IU/L,ALT(GPT)2820IU/Lと著明な肝機能障害を認めた。CV(中心静脈)挿入の上,ステロイド,肝庇護剤,昇圧剤などの投与を開始。またメシル酸ガベキサート投与も開始した。その後もデータ改善せず腎機能障害,DIC進行あり。stage IVの肺癌であり,病棟での加療を継続したが全身状態は悪化した。
終了7日後 夜,永眠される。
針生検(肝組織あり)
肝炎ウイルス(−)
死因:急性肝不全
剖検:なし
企業報告
臨床検査値
  投与14日前 終了5日後 終了6日後 終了7日後
赤血球数(×104/mm3 389 383 356 308
ヘマトクリット(%) 36.9 36.6 34 30.3
平均赤血球血色素量(MCH)(pg) 31.6 31.2 30.7 32
平均赤血球血色素濃度(MCHC)(%) 33.4 32.7 32.2 32.5
平均赤血球容積(MCV)(fL) 94.7 95.5 95.4 98.3
ヘモグロビン(g/dL) 12.3 12 11 9.8
白血球数(/mm3 6400 8200 7700 10300
分節核球(%) 72
桿状核球(%) 12
好酸球(%) 0.8 0
好塩基球(%) 0.4 0
リンパ球(%) 24.6 13
単球(%) 4.2 3
血小板数(×104/mm3 21.7 14.7 9.7 5.4
FDP(μg/mL) 17.4 20.7
フィブリノゲン濃度(mg/dL) 172 104
AST(GOT)(IU/L) 16 694 1670 3790
ALT(GPT)(IU/L) 11 1400 2820 3750
Al-P(IU/L) 269 310
LDH(IU/L) 280 952 2168 6250
γ-GTP(IU/L) 26 74
総ビリルビン(mg/dL) 0.9 0.9 1.9
血清ナトリウム(mEq/L) 140 135 131 134
血清カリウム(mEq/L) 4.1 5.3 5.1 5.6
血清クロール(mEq/L) 101 100 98 93
BUN(mg/dL) 10.9 35.1 54.7 55.3
血清クレアチニン(mg/dL) 0.79 0.9 1.22 1.56
拡張期血圧(mmHg) 60 80台
収縮期血圧(mmHg) 110
CRP(mg/dL) 0.13 4.57 7.99 6.12
活性化部分トロンボプラスチン時間(秒) 40.4 62.6
総蛋白(血清)(g/dL) 6.3 5.8 5.5 4.7
コリンエステラーゼ(IU/L) 70
心拍数(回/分) 120
PT-INR 2.03 6.30
LAP(IU/L) 98
プロトロンビン時間(秒) 38 11
併用薬:パクリタキセル,アルギン酸ナトリウム,ハロペリドール


No. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性 ・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
2
50代
卵巣癌
(高血圧,糖尿病,甲状腺機能低下症)
600〜910mg
4コース
消化管壊死
投与138日前 他院で腫瘍縮小手術。
投与111日前 1コース目化学療法(本剤+パクリタキセル240mg)実施。
投与90日前 2コース目化学療法(本剤+パクリタキセル240mg)実施。
投与73日前 血小板数2.0×104/mm3まで低下。
投与62日前 3コース目化学療法(本剤+パクリタキセル240mg)実施。
主な副作用:しびれ,筋肉痛,白血球数低下(投与44日前に1400/mm3)。
投与28日前 Interval cytoreductive surgery施行。術後経過良好。
確定診断:残存腫瘍なし,リンパ節転移なし;進行期 Ic(b)。
投 与 日 4コース目化学療法(本剤+パクリタキセル232mg)実施。
終了5日後 投与後十分量の排便なく,緩下剤や浣腸にも反応せず。昼頃,下腹部痛が出現し徐々に増強したが,腹部に異常所見は認めず。
終了6日後 夜間に嘔吐2回あり。痛みはペンタゾシンにて鎮痛した。X線では横行結腸にガス充満するもニボー像はなく,CTでも同様の所見を得た。しかし,腹痛は上腹部にも及び,圧痛は上腹部に強く認められ,鎮痛剤でも抑制不可に増強。
また血圧低下(50〜80/32〜45mmHg)を認めたため,昼過ぎからDOA投与開始。
採血では,昼間:白血球数4500/mm3,血小板数14.0×104/mm3→夜間:白血球数2300/mm3,血小板数5.6×104/mm3→1時間後:白血球数1100/mm3とDICの進行と考えられる状況となり,2時間後から緊急手術を施行(大腸亜全摘術,ストマ造設術,癒着剥離術:出血量5480mL)。
終了7日後 術直後,白血球数400/mm3,血小板数3.2×104/mm3。輸血続行するもドレーンより血性排液持続。
終了8日後 DICから離脱できず出血傾向(白血球数400/mm3,血小板数0.4×104/mm3)。胸水貯留。
終了9日後 心房細動出現し,除細動実施するも心停止に至る。蘇生にて心拍再開。胸水増量あり,両側胸腔ドレナージを行い,血性胸水を吸引。うっ血性肝障害によると考えられる肝酵素の上昇あり。
終了10日後 全身に点状出血と浮腫が出現。尿残量確保できず,アシドーシス進行。
終了11日後 永眠(直接死因は,大腸壊死に起因するDICによる多臓器不全)。
企業報告
臨床検査値
  投与前 終了
5日後
終了6日後
(昼間) (夜間)
終了
7日後
終了
8日後
終了
9日後
赤血球数(×104/mm3 317 214 402 254 345
ヘモグロビン(g/dL) 9.9 9.8 12.7 10.2 12.5 8.0 10.7
白血球数(/mm3 4200 3400 4500 2300 400 400 300
好中球(%) 85.8 74.7 38.0 20.0 21.0
血小板数(×104/mm3 32.2 22.6 14.0 5.6 3.2 0.4 0.5
プロトロンビン時間(秒) 18.9 15.8 12.7
FDP(μg/mL) 10.8 8.5 11.5
フィブリノゲン濃度(mg/dL) 101 221 263
AST(GOT)(IU/L) 10 11 93 107 112 175 839
ALT(GPT)(IU/L) 9 9 79 87 37 107 412
Al-P(IU/L) 191 168 122 88 137
LDH(IU/L) 143 160 279 249 224 397 1218
総ビリルビン(mg/dL) 0.40 0.78 0.43 0.28 3.07 2.54 4.08
CRP(mg/dL) 0.42 0.24 8.47 11.88 7.14 14.98 18.66
併用薬:パクリタキセル,オメプラゾール,クエン酸モサプリド,スクラルファート,チアマゾール,ベシル酸アムロジピン,ボグリボース,メコバラミン,酸化マグネシウム,エチゾラム


No. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性 ・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
3
60代
肺癌,癌性胸膜炎
(陳旧性心筋梗塞,脳梗塞,脳動脈瘤)
358mg
1日間
腸炎
投 与 日 本剤358mg及びパクリタキセル83mg投与。同日夕から食欲不振あり。
中止8日後 10回/日の下痢。夜より38.6℃の発熱あり。茶色水様便。
中止9日後 白血球数3560/mm3,CRP10.5mg/dL,硫酸セフピロム開始1g×2回/日,耐性乳酸菌製剤内服。
中止13日後 発熱・下痢続く。白血球数4110/mm3,CRP18mg/dL,パニペネム・ベタミプロン配合剤0.5g×2回/日を3日間に変更する。下痢による低カリウム血症あり。塩酸ロペラミド,L-アスパラギン酸カリウム内服。中止9日後,10日後の便,痰,血液より菌の検出なし。中止13日後〜死亡まで経口摂取はごくわずか〜ほとんどなし。
中止21日後 発熱・下痢改善せず。白血球数820/mm3,好中球52.2%,パニペネム・ベタミプロン配合剤再投与。ホスフルコナゾール400mg1日間併用。G-CSF(ナルトグラスチム(遺伝子組換え)50μg)皮下注投与。X-Pにて両側肺浸潤影あり。SpO293%(room air)。
中止24日後 白血球数710/mm3,好中球64.5%,下痢は23回/日,血液を混じる茶色泥状便。
食事はほとんどできず,補液も不十分,内服不可で経過を見守った。
中止25日後 下痢23回/日。パニペネム・ベタミプロン配合剤,ホスフルコナゾールを中止。
中止26日後 酸素1L/分開始,下痢23回/日。
中止27日後 酸素1L/分にてSpO296%,下痢19回/日。
中止28日後 SpO280%未満となり,酸素3L/分,SpO294%,下痢15回/日。
中止29日後 酸素4L/分,37℃台微熱。水分少量のみ摂取。末梢循環不全あり。SpO294%,下痢13回/日。
中止30日後 夕方死亡(中止27日後便培養より,MRSA(+))
死因:腸炎,好中球減少
剖検:なし
企業報告
臨床検査値
  投与
14日前
中止
6日後
中止
11日後
中止
15日後
中止
17日後
中止
24日後
中止
27日後
体温(℃) 36.2 36.8 38 38.4 38 37.4 37.8
赤血球数(×104/mm3 437 447 346 327 299 315 277
ヘモグロビン(g/dL) 13.4 13.7 10.6 9.9 9.2 9.5 8.3
白血球数(/mm3 5000 4730 3510 1880 1190 710 470
好中球(%) 66 77 84 79.5 81 64.5 57
好酸球(%) 1.5 2 1 0.5 1 11.5 15
好塩基球(%) 1 1 0.5 0.5 0 0 2.5
リンパ球(%) 24 18 6.5 13.5 16 13 14
単球(%) 7.5 2 6.5 3 2 8 8.5
血小板数(×104/mm3 29.5 21.1 13.1 7.3 5 7.3 6
AST(GOT)(IU/L) 36 18 11
ALT(GPT)(IU/L) 49 16 8
LDH(IU/L) 227
γ-GTP(IU/L) 16
総ビリルビン(mg/dL) 0.6
血清ナトリウム(mEq/L) 139 137 138 138 137
血清カリウム(mEq/L) 4.8 4.8 2.4 2.3 2.9
血清クロール(mEq/L) 102 102 99 97 96
BUN(mg/dL) 17 23 31
血清クレアチニン(mg/dL) 0.9 0.9 0.7
クレアチニンクリアランス(mL/min) 55
拡張期血圧(mmHg) 66 88 65 60 64 43 58
収縮期血圧(mmHg) 120 113 97 110 118 105 94
CRP(mg/dL) 1 1.4 16.9 18.9 22.2
動脈血酸素飽和度(SpO2)(%) 97 97 96 96 96 93 96
併用薬:パクリタキセル,リン酸デキサメタゾンナトリウム,塩酸ラニチジン,塩酸ジフェンヒドラミン,塩酸オンダンセトロン,スピロノラクトン,アスピリン,塩酸テモカプリル,トラセミド,フロセミド,マレイン酸フルボキサミン,プラバスタチンナトリウム,ニコランジル,酒石酸メトプロロール,酸化マグネシウム


No. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性 ・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
4
60代
肺癌
(出血性胃潰瘍,高血圧,糖尿病)
450mg
1日間
急性呼吸窮迫症候群,播種性血管内凝固
投与105日前 肺癌患者に右中下葉切除術を施行。
投 与 日 化学療法(本剤450mg+パクリタキセル100mg)実施。
中止1日後 胸部に少しボヤッとした感じがする。
中止3日後 食欲低下が前日夜からあり。リン酸デキサメタゾンナトリウム7.6mg div(中止4日後まで)投与。
中止4日後 血糖コントロール増悪。本人は調子良いと…。
夜,38.5℃の熱。
中止5日後 朝,「胸がつかえるような感じ」「食事がとれない」「口が渇く」。CX-pで左肺に浸潤影出現。まず院内肺炎として治療を開始。
午後,SpO291%に低下。
その後,意識レベル低下→人工呼吸管理に。warm shockの状況となり,肺炎→敗血症を考えた。
SIRS,ARDSを診断。脳CTでは明らかな所見なし。
シベレスタットナトリウム水和物を投与。ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン,セフタジジム(中止7日後まで)投与。コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム1g(中止7日後までパルス療法)投与。
中止6日後 白血球数900/mm3に低下。G-CSF使用。肺野浸潤影は右肺にも拡がり増悪。血小板数8.1×104/mm3,松田基準にてDICと診断。
イミペネム・シラスタチンナトリウム配合剤,リン酸クリンダマイシン,乾燥濃縮人アンチトロンビンV(中止8日後まで),人血小板濃厚液40単位(中止7日後まで)投与。
中止7日後 DIC,多臓器不全の状況となる。人工透析施行(高カリウム血症のため)。メシル酸ガベキサート投与。
中止8日後 高カリウム血症→wide QRS→心停止。心肺蘇生法行ったが心拍は再開しなかった。
剖検:なし
死因:肺炎,急性呼吸窮迫症候群
企業報告
臨床検査値
  投与日 中止
5日後
中止
6日後
中止
7日後
中止
8日後
体温(℃) 36.0
赤血球数(×104/mm3 364 354 321 301 279 281 272
ヘモグロビン(g/dL) 10.7 10.3 9.6 8.9 8.2 8.4 7.8
白血球数(/mm3 9300 8500 900 800 4300 1300 4900
血小板数(×104/mm3 29.0 21.4 8.1 3.0 1.4 1.3 6.9
プロトロンビン時間(秒) 12.8
FDP(μg/mL) 6.49
フィブリノゲン濃度(mg/dL) 793.0
AST(GOT)(IU/L) 16 10 17 22 16
ALT(GPT)(IU/L) 24 17 16 12 13
Al-P(IU/L) 209 159 81
LDH(IU/L) 128 146 115 215 170
血清ナトリウム(mEq/L) 137 134 131 137 130
血清カリウム(mEq/L) 5.0 5.4 5.4 4.8 6.7
血清クロール(mEq/L) 101 98 99 101 98
BUN(mg/dL) 25 40 54 50 73
血清クレアチニン(mg/dL) 1.4 1.4 1.8 2.0 2.5
CRP(mg/dL) 0.60 0.24 36.35
併用薬:パクリタキセル,ナテグリニド,塩酸プロピベリン,ナフトピジル,センノシド,ベシル酸アムロジピン,カンデサルタンシレキセチル,オメプラゾール,クエン酸第一鉄ナトリウム,ピコスルファートナトリウム,オンダンセトロン,マレイン酸クロルフェニラミン,リン酸デキサメタゾンナトリウム



【3】 セボフルラン

販売名(会社名) セボフレン(丸石製薬)
薬効分類等 全身麻酔剤
効能効果 全身麻酔

使用上の注意(下線部追加改訂部分)》
[副作用
(重大な副作用)]
横紋筋融解症:筋肉痛,脱力感,CK(CPK)上昇,血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれ,これに伴って急性腎不全等の重篤な腎障害があらわれることがあるので,異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
肝機能障害,黄疸:AST(GOT),ALT(GPT)等の著しい上昇を伴う肝機能障害,黄疸があらわれることがあるので,異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
重篤な不整脈:心停止,完全房室ブロック,高度徐脈,心室性期外収縮,心室頻拍(Torsades de pointesを含む),心室細動があらわれることがあるので,異常が認められた場合には本剤の減量又は中止,除細動,心肺蘇生等の適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告
販売開始後(約15年間)の関連副作用報告数
(「因果関係が否定できるもの」以外のもので,「因果関係が不明なもの」も含む。)
・横紋筋融解症:5例(うち死亡0例)
・肝機能障害,黄疸:38例(うち死亡4例)
・重篤な不整脈:21例(うち死亡0例)
関係企業が推計したおおよその年間使用者数:約82万人(平成16年度)

症例の概要
No. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性 ・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
1
40代
左下顎骨嚢胞,埋伏智歯,根尖性歯周炎(脂肪肝) 1.2〜5%
1日間
横紋筋融解症,高ミオグロビン血症,急性腎不全
投 与 日 左下顎骨嚢胞,埋伏智歯,根尖性歯周炎のため手術を施行した。
麻酔前投薬として硫酸アトロピン,塩酸ヒドロキシジン,塩酸ロキサチジンアセタートを投与した。麻酔はプロポフォール,亜酸化窒素,塩化スキサメトニウム,本剤で導入し,亜酸化窒素,本剤,塩酸ブプレノルフィンで維持した。麻酔時間は3時間16分,手術時間は2時間53分であった。手術直後より血尿がみられた。
終了1日後 AST(GOT)506IU/L,ALT(GPT)125IU/L,LDH3992IU/Lであった。
終了3日後 AST(GOT)696IU/L,ALT(GPT)235IU/L,LDH3019IU/L,クレアチニン2.2mg/dLであったため,電解質液を1000mL/日,フロセミド1/2アンプルを持続静注した。
終了4日後 AST(GOT)460IU/L,ALT(GPT)241IU/L,LDH1065IU/L,クレアチニン2.2mg/dL,CK(CPK)35440IU/Lであったため,電解質液,フロセミドを継続投与した。X線上,心肥大,胸水がみられた。
終了5日後 AST(GOT)243IU/L,ALT(GPT)220IU/L,LDH558IU/L,クレアチニン2.5mg/dL,CK(CPK)11290IU/Lであり,引き続き電解質液,フロセミドを投与した。また,人工透析を開始した。
企業報告
臨床検査値
  投与前 終了
1日後
終了
3日後
終了
4日後
終了
5日後
終了
6日後
終了
7日後
終了
10日後
終了
14日後
AST(GOT)(IU/L) 26 506 696 460 243 100 54 25 22
ALT(GPT)(IU/L) 61 125 235 241 220 170 159 91 54
LDH(IU/L) 212 3992 3019 1065 558 366 422 365 347
CK(CPK)(IU/L) 98 35440 11290 3871 1629 413 138
クレアチニン(mg/dL) 0.7 1.5 2.2 2.2 2.5 1.8 2.0 2.0 2.2
BUN(mg/dL) 12 26 36 36 39 24 28 27 27
併用薬:亜酸化窒素,塩化スキサメトニウム,硫酸アトロピン,塩酸ヒドロキシジン,塩酸ロキサチジンアセタート,プロポフォール,塩酸ブプレノルフィン,塩酸エフェドリン,ホスホマイシンナトリウム,フルルビプロフェンアキセチル,カルバゾクロムスルホン酸ナトリウム,トラネキサム酸


No. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性 ・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
2
60代
1回目
腹部大動脈閉塞症
(なし)
2回目
下腸間膜動脈閉塞症
(なし)
1回目
1.5〜3%
1日間
 ↓
2回目
1.5〜2%
1日間
肝機能障害
1回目の手術 麻酔前投薬として硫酸アトロピン0.5mg,塩酸ヒドロキシジン50mgを筋注した。麻酔導入はチオペンタールナトリウム300mg,塩化スキサメトニウム60mgにて挿管を行い,亜酸化窒素50%,酸素50%,本剤1.5〜3%で維持した。術中のバイタルは心拍数60〜100回/分,血圧100〜150/50〜80mmHgと安定していた。帰室後,創部感染予防のためフロモキセフナトリウム4g/日と点滴投与した。
2回目の手術 前回の手術2日後に筋性防御を伴う激しい腹痛が出現したため,下腸間膜動脈閉塞症を疑い緊急手術を施行した。麻酔導入はチオペンタールナトリウム150mg,臭化べクロニウム7mgにて挿管を行い,亜酸化窒素50%,酸素50%,本剤1.5〜2%で維持した。
終了1日後 体温37.7℃に上昇するとともに肝機能検査値(AST(GOT)64IU/L,ALT(GPT)58IU/L)の上昇も認められた。
終了2日後 体温38.0℃に上昇し,AST(GOT) 4242IU/L,ALT(GPT)3699IU/Lとなった。
終了20日後 AST(GOT)17IU/L,ALT(GPT)30IU/Lと軽快した。
DLST:本剤(+),フロモキセフナトリウム(+)
企業報告
臨床検査値
  投与前 2回目の手術後 終了2日後 終了9日後 終了20日後
AST(GOT)(IU/L) 13 41 4242 33 17
ALT(GPT)(IU/L) 13 17 3699 362 30
Al-P(IU/L) 65 61 47 83 95
LDH(IU/L) 140 349 1381 276 236
総ビリルビン(mg/dL) 0.5 0.9 0.5 1.1 0.7
併用薬:硫酸アトロピン,塩酸ヒドロキシジン,チオペンタールナトリウム,亜酸化窒素,臭化べクロニウム,フロモキセフナトリウム


No. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性 ・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
3
10代
慢性腎不全
(Pierre-Robin症候群,多発奇形,不完全右脚ブロック)
3%
1日間
完全房室ブロック
既往歴:心室中隔欠損症,完全房室ブロック
投 与 日 慢性腎不全のためにCAPDカテーテル留置術を施行した。術前検査では心電図異常は認められなかった。
麻酔導入は酸素60%,亜酸化窒素40%,本剤3%で行った。本剤吸入5分後に血圧が180/100mmHgから115/60mmHgに低下するとともに,心電図上,完全房室ブロックとなり,心拍数が80回/分から40回/分の徐脈となった。直ちに,点滴を確保し,硫酸アトロピン総量0.2mg,塩酸エフェドリン4mgを静注したが改善せず,本剤の投与を中止し,100%酸素吸入と臭化べクロニウム1.5mgで気管内挿管後,正常洞調律に戻った。
企業報告
併用薬:亜酸化窒素



【4】 人全血液,合成血,新鮮凍結人血漿,人血小板濃厚液,人赤血球濃厚液,解凍人赤血球濃厚液,洗浄人赤血球浮遊液,白血球除去人赤血球浮遊液

販売名(会社名)
人全血液
人全血液CPD「日赤」(日本赤十字社)
照射人全血液CPD「日赤」(日本赤十字社)
合成血
合成血「日赤」(日本赤十字社)
照射合成血「日赤」(日本赤十字社)
新鮮凍結人血漿
新鮮凍結血漿「日赤」(日本赤十字社)
人血小板濃厚液
濃厚血小板「日赤」(日本赤十字社)
照射濃厚血小板「日赤」(日本赤十字社)
濃厚血小板HLA「日赤」(日本赤十字社)
照射濃厚血小板HLA「日赤」(日本赤十字社)
人赤血球濃厚液
赤血球M・A・P「日赤」(日本赤十字社)
照射赤血球M・A・P「日赤」(日本赤十字社)
解凍人赤血球濃厚液
解凍赤血球濃厚液「日赤」(日本赤十字社)
照射解凍赤血球濃厚液「日赤」(日本赤十字社)
洗浄人赤血球浮遊液
洗浄赤血球「日赤」(日本赤十字社)
照射洗浄赤血球「日赤」(日本赤十字社)
白血球除去人赤血球浮遊液
白血球除去赤血球「日赤」(日本赤十字社)
照射白血球除去赤血球「日赤」(日本赤十字社)
薬効分類等 血液製剤類
効能効果
人全血液
一般の輸血適応症に用いる。
合成血
ABO血液型不適合による新生児溶血性疾患に用いる。
新鮮凍結人血漿
血液凝固因子の補充
(1)複合性凝固障害で,出血,出血傾向のある患者又は手術を行う患者
(2)血液凝固因子の減少症又は欠乏症における出血時で,特定の血液凝固因子製剤がないか又は血液凝固因子が特定できない場合
人血小板濃厚液
(濃厚血小板「日赤」,照射濃厚血小板「日赤」)
 血小板減少症を伴う疾患に適応する。
(濃厚血小板HLA「日赤」,照射濃厚血小板HLA「日赤」)
 血小板減少症を伴う疾患で,抗HLA抗体を有するため通常の血小板製剤では効果がみられない場合に適応する。
人赤血球濃厚液
血中赤血球不足又はその機能廃絶に適する。
解凍人赤血球濃厚液
貧血又は赤血球の機能低下に用いる。
洗浄人赤血球浮遊液
貧血症又は血漿成分などによる副作用を避ける場合の輸血に用いる。
白血球除去人赤血球浮遊液
人全血液等によって抗白血球抗体による発熱性副作用を起こす患者の輸血に用いる。
臓器移植時の輸血に白血球抗体産生予防のため用いる。

使用上の注意(下線部追加改訂部分)》
[警  告]
警告
次の点について留意して輸血療法を行うこと。
 1)輸血について十分な知識・経験を持つ医師のもとで使用すること。
 2)輸血に際しては副作用発現時に救急処置をとれる準備をあらかじめしておくこと。
[重要な基本
的注意]
本剤は,B型肝炎ウイルス(HBV),C型肝炎ウイルス(HCV),ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1及びHIV-2)等のウイルスについての検査には適合しているが,供血者がウインドウ期等にあることによる感染リスクを考慮し,感染が疑われる場合等には,患者の輸血前後の肝炎ウイルスマーカー検査あるいはHIV抗体検査等を実施し,患者の経過観察を行うこと。
[副作用
(重大な副作用
及び感染症)]
呼吸障害・輸血関連急性肺障害(TRALI:transfusion related acute lung injury)輸血中あるいは輸血後に喘鳴,低酸素血症,チアノーゼ,肺水腫,輸血関連急性肺障害(TRALI:transfusion related acute lung injury)等を生じることがある。特にTRALIは輸血中あるいは輸血終了後6時間以内に,急激な肺水腫,低酸素血症,頻脈,低血圧,チアノーゼ,呼吸困難を伴う呼吸障害で,時に死亡に至ることがある。これらの症状があらわれた場合には直ちに輸血を中止し,酸素投与,呼吸管理等の適切な処置を行うこと。
心機能障害・不整脈:心不全,心筋障害,心房細動・心室細動等の重篤な心機能障害や不整脈があらわれることがあるので,患者の状態を十分観察し,異常が認められた場合には輸血を中止するなど,適切な処置を行うこと。
腎機能障害:急性腎不全等の重篤な腎機能障害があらわれることがあるので,患者の状態を十分観察し,異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
肝機能障害:AST,ALTの著しい上昇を伴う肝機能障害があらわれることがあるので,患者の状態を十分観察し,異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告
販売開始後(約50年間)の関連副作用報告数
(「因果関係が否定できるもの」以外のもので,「因果関係が不明なもの」も含む。)
・呼吸障害等:12例(うち死亡9例)
・心機能障害・不整脈等:9例(うち死亡0例)
・腎機能障害等:5例(うち死亡3例)
・肝機能障害等:7例(うち死亡1例)
関係企業が推計したおおよその年間使用者数:約101万人(平成15年)


症例の概要
No. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性 ・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
1
60代
術後貧血 
(高血圧,高脂血症)
4単位
1回
急性呼吸不全
輸 血 日 輸血前の状態:体温37.4℃,血圧93/48mmHg,脈拍105/分。赤血球数231×104/mm3,ヘモグロビン6.9g/dL,ヘマトクリット21%と貧血を認めた。胸部聴診にて下肺野まで呼吸音良好に聴取,湿性ラ音(−),SpO2 95%前後(O2マスク5L)。胸部X線検査にて両肺野とも透過性低下,無気肺(−)。
人赤血球濃厚液4単位輸血開始。
輸血4時間20分後 輸血終了。
輸血8時間20分後 突然の湿性咳が出現,SpO2 77%(O2マスク5L),脈拍130〜140/分,胸部聴診にて両肺野ともに湿性ラ音著明。O2マスクをインスピロンマスクに変更。その後も急速に呼吸状態が悪化。
輸血8時間40分後 心肺停止となる。すぐに心肺蘇生処置開始するも,心拍再開せず。
輸血11時間10分後 呼吸不全,心肺停止にて死亡。
企業報告
併用薬:塩酸ドパミン,ウリナスタチン,塩酸ロキサチジンアセタート,セフメタゾールナトリウム,加熱人血漿たん白


No. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性 ・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
2
70代
血小板減少症
(多臓器不全,ニューモシスティスカリニ肺炎)
20単位
1回
心房細動,血圧低下
原疾患:菌状息肉症
免疫不全状態によりカリニ肺炎発症,重篤化し血小板減少。
輸 血 前 カテコールアミン製剤10γにて,血圧80mmHg台を維持していた。
輸 血 日 血小板数0.6×104/mm3にて,人血小板濃厚液20単位輸血開始。
輸血10分後 突然の心房細動,血圧低下,心拍数低下(30回/分台)。輸血中止。
輸血15分後 循環動態は回復。
企業報告
併用薬:コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム,イセチオン酸ペンタミジン,ミカファンギンナトリウム,メロペネム三水和物,シベレスタットナトリウム水和物


No. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性 ・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
3
70代
術前貧血
(なし)
4単位
1回
血圧低下,急性腎不全,蕁麻疹
原疾患:直腸癌,腸閉塞状態
輸 血 日 血圧120mmHg。人赤血球濃厚液4単位輸血開始。
輸血15分後 血圧94/60mmHgと低下。
輸血1時間15分後 酸素投与開始。
輸血1時間50分後 カテコールアミン製剤開始。
輸血4時間45分後 加熱人血漿たん白輸注。
輸血5時間30分後 利尿剤投与。(利尿得られず。)
輸血6時間15分後 メシル酸ガベキサート投与。
輸血8時間55分後 死亡。
注)輸血中止にせず,全量輸血した。
企業報告
臨床検査値
  輸血前 輸血後
BUN(mg/dL) 22 34
クレアチニン(mg/dL) 0.9 1.0
赤血球数(×104/mm3 404 507
ヘモグロビン(g/dL) 9.0 12.1
ヘマトクリット(%) 30.1 38.2
血小板数(×104/mm3 32.8 18.2
併用薬:なし


No. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性 ・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
4
70代
貧血
(肥大型心筋症)
4単位
1回
劇症肝炎
くも膜下出血,脳内出血にて入院。
輸 血 日 経皮的脳動脈造設術。人赤血球濃厚液輸血開始。
輸血7日後 意識障害出現。肝逸脱酵素の上昇あり。AST(GOT)1436IU/L,ALT(GPT)681IU/L,LDH4547IU/L,プロトロンビン時間延長あり。劇症肝炎と診断。新鮮凍結人血漿40単位を用い,血漿交換療法施行。
輸血8日後 午前より昇圧剤用いるも,血圧は徐々に低下。血漿交換療法継続は断念。夜,心室頻拍が出現。死亡確認。
企業報告
臨床検査値
  輸血日 輸血7日後(朝) 輸血7日後(夕) 輸血8日後
AST(GOT)(IU/L) 78 1436 3784 12426
ALT(GPT)(IU/L) 49 681 1443 1716
LDH(IU/L) 1079 4547 10296 23922
CRP(mg/dL) 0.5 20.7 16.9 7.0
HBsAg (−) (−) (−)
HCV-Ab (+)
併用薬:ファモチジン,塩酸ニカルジピン,ハロペリドール,フェノバルビタール,フマル酸ニゾフェノン,セファゾリンナトリウム


【5】 フェニトイン,フェニトインナトリウム,フェニトイン・フェノバルビタール,フェニトイン・フェノバルビタール・安息香酸ナトリウムカフェイン

●フェニトイン,フェニトインナトリウム
販売名(会社名) アレビアチン散10%,同錠25mg,同錠100mg,同注250mg(大日本住友製薬)
ヒダントール散10%,同錠25mg,同錠100mg(藤永製薬)
フェニトイン散10%「協和医療」(協和医療開発)
薬効分類等 抗てんかん剤
効能効果 (経口剤)
○てんかんのけいれん発作
 強直間代発作(全般けいれん発作,大発作),焦点発作(ジャクソン型発作を含む)
○自律神経発作
○精神運動発作
(注射剤)
○てんかん様けいれん発作が長時間引き続いて起こる場合(てんかん発作重積症)
○経口投与が不可能で,かつ,けいれん発作の出現が濃厚に疑われる場合(特に意識障害,術中,術後)
○急速にてんかん様けいれん発作の抑制が必要な場合

使用上の注意(下線部追加改訂部分)》
[副作用
(重大な副作用)]
劇症肝炎,肝機能障害,黄疸劇症肝炎,著しいAST(GOT),ALT(GPT),γ-GTPの上昇等を伴う重篤な肝機能障害,黄疸があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
小脳萎縮:長期投与例で,小脳萎縮があらわれることがあり,持続した本剤の血中濃度上昇との関連が示唆されているので,小脳症状(眼振,構音障害,運動失調等)に注意し,定期的に検査を行うなど観察を十分に行い,異常が認められた場合には,直ちに減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。


●フェニトイン・フェノバルビタール,フェニトイン・フェノバルビタール・安息香酸ナトリウムカフェイン
販売名(会社名) 複合アレビアチン錠(大日本住友製薬)
ヒダントールD,同E,同F(藤永製薬)
薬効分類等 抗てんかん剤
効能効果 ○てんかんのけいれん発作
 強直間代発作(全般けいれん発作,大発作),焦点発作(ジャクソン型発作を含む)
○自律神経発作
○精神運動発作

使用上の注意(下線部追加改訂部分)》
[副作用
(重大な副作用)]
劇症肝炎,肝機能障害,黄疸劇症肝炎,著しいAST(GOT),ALT(GPT),γ-GTPの上昇等を伴う重篤な肝機能障害,黄疸があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
小脳萎縮:フェニトインの長期投与例で,小脳萎縮があらわれることがあり,持続したフェニトインの血中濃度上昇との関連が示唆されているので,小脳症状(眼振,構音障害,運動失調等)に注意し,定期的に検査を行うなど観察を十分に行い,異常が認められた場合には,直ちに減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告
安永剛,他:日本内科学会東北地方会会誌 2003;15(2):33
早川正樹,他:精神医学 2000;42(11):1175-1180
後藤公文,他:神経内科 1995;43:355-357
販売開始後(約65年間)の関連副作用報告数
(「因果関係が否定できるもの」以外のもので,「因果関係が不明なもの」も含む。)
・劇症肝炎:4例(うち死亡2例)
・小脳萎縮:11例(うち死亡0例)
関係企業が推計したおおよその年間使用者数:約25万人(平成16年度)

症例の概要
No. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性 ・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
1
30代
脳挫傷後遺症
(なし)
200mg
402日間
 ↓
250mg
1日間
劇症型肝障害
既往歴:なし
投与開始日 交通事故による頭部外傷後の症候性てんかんのため,フェニトイン200mg/日を投与していた。
投与403日目
(投与中止日)
朝,覚醒できず,高熱もあったため,救急車で搬送した。入院時,意識レベルはJCS100で,39〜40℃の発熱があり,右半身麻痺を認めた。
フェニトイン血中濃度は6.8μg/mLと低値で,フェノバルビタール100mgとフェニトイン250mgを投与した。頭部CTやMRIでは特に有意な異常所見はなく,腰椎穿刺により髄膜炎も否定された。入院時の血液検査にてAST(GOT)617IU/L,ALT(GPT)630IU/Lと肝機能障害を認めたため,以降のフェニトインの投与は中止した。
中止1日後 AST(GOT)901IU/L,ALT(GPT)1448IU/Lと肝機能障害が進行した。血小板数は5.7×104/mm3と減少した。各種ウイルス検査は陰性で,自己免疫性肝炎も否定的であった。頭部CTで脳浮腫の増悪がみられた。濃グリセリン・果糖,グルカゴン,インスリンによる肝庇護療法を行った。NH3は正常範囲内であったが,肝性昏睡と判断して,分岐鎖アミノ酸の点滴静注を開始した。
中止2日後 AST(GOT)7750IU/L,ALT(GPT)10420IU/Lと肝機能障害が更に進行した。総ビリルビン3.6mg/dLとなり黄疸もみられた。肝予備能はプロトロンビン時間34.1秒,ヘパプラスチンテスト<8%と著しく低下し,FDPも40μg/mLと上昇した。血小板数が3.6×104/mm3と更に低下したため,意識障害や脳浮腫等を考え合わせ,劇症型肝障害とDICと診断し,血小板輸血,ステロイドパルス療法,血漿交換療法を施行した。血漿交換施行直後から意識レベルはJCS30にまで改善した。
中止3日後 AST(GOT)2095IU/L,ALT(GPT)3065IU/Lと改善傾向になった。
中止5日後 プロトロンビン時間15.5秒,ヘパプラスチンテスト31%と肝予備能は著しく改善した。血漿交換は1回のみ施行した。
中止25日後 DLSTを実施したが,結果は(±)であった。
中止1ヵ月半後 肝機能は正常化し,肝予備能もプロトロンビン時間10.6秒,ヘパプラスチンテスト125%と改善した。脳浮腫もほぼ消失し,意識は清明となった。
企業報告
臨床検査値
  投与403日目
(投与中止日)
中止
1日後
中止
2日後
中止
3日後
中止
5日後
中止
25日後
中止
47日後
赤血球数(×104/mm3 548 512 403
白血球数(/mm3 19700 12210 8600
血小板数(×104/mm3 5.7 3.6
AST(GOT)(IU/L) 617 901 7750 2095 341 55 35
ALT(GPT)(IU/L) 630 1448 10420 3065 2252 44 23
Al-P(IU/L) 237 203 206 182 186 180 143
総ビリルビン(mg/dL) 0.5 3.6 4.7
直接ビリルビン(mg/dL) 2.6 3.1
γ-GTP(IU/L) 191 260 206 65 138 113 47
LDH(IU/L) 1443 1140 11500 1254 521 386 314
アルブミン(g/dL) 5.3 3.3
併用薬:なし

No. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性 ・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
2
70代
てんかん,前立腺肥大症,不眠症
(なし)
300mg
約50年間
 ↓
400mg
18日間
小脳萎縮,フェニトイン中毒(歩行時ふらつき,嘔気,嘔吐)
既往歴:S状結腸癌(術後),左腎癌(術後)
投与開始日 痙攣発作が出現し,てんかんの診断でフェニトイン300mg/日の投与を開始。
投与約50年目
(増量日)
フェニトインが300mg/日から400mg/日へ増量された。
投与約50年
増量16日目
夕方頃より歩行障害(ふらつき),嘔気,嘔吐が出現し,近医を受診した。
投与約50年
増量18日目
(投与中止日)
フェニトイン中毒が疑われ,精査加療目的にて入院した。失調性歩行,眼振,羽ばたき振戦を認め,フェニトイン中毒と考え,フェニトイン内服を中止とし,補液点滴,利尿剤静注によるwashoutを開始した。入院時の頭部CT検査にて小脳萎縮を認めた。
中止1日後 フェニトイン血中濃度は53.6μg/mL。入院後の点滴施行にて嘔気は消失したが,失調性歩行はあった。
中止7日後 頭部MRI検査で小脳萎縮を認めた。
中止11日後 フェニトイン血中濃度が3.0μg/mL以下となった。
中止18日後 失調性歩行もかなり改善がみられたが,まだ軽度残存していた。小脳萎縮を来す疾患(アルコール,ビタミン欠乏,甲状腺障害,悪性腫瘍,脊髄小脳変性症等)を精査したが否定的であったため,フェニトインの長期内服による小脳萎縮と診断した。
文献報告
併用薬:酢酸クロルマジノン,ナフトピジル,塩酸プロピベリン,ブロチゾラム,酒石酸ゾルピデム


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2.使用上の注意の改訂について(その171)
 前号(医薬品・医療機器等安全性情報 No.219)以降に改訂を指導した医薬品の使用上の注意(本号の「1 重要な副作用等に関する情報」で紹介したものを除く。)について,改訂内容,主な該当販売名,参考文献等をお知らせいたします。

1 〈催眠鎮静剤,抗不安剤〉
ゾピクロン
[販売名] アモバン錠7.5,同錠10(アベンティスファーマ)他
[副作用
(重大な副作用)]
アナフィラキシー様症状:アナフィラキシー様症状があらわれることがあるので,観察を十分に行い,蕁麻疹,血管浮腫等の異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告


2 〈精神神経用剤〉
塩酸クロルプロマジン,ヒベンズ酸クロルプロマジン,フェノールフタリン酸クロルプロマジン
[販売名] ウインタミン錠12.5mg,同錠25mg,同錠50mg,同錠100mg(塩野義製薬),コントミン糖衣錠12.5mg,同糖衣錠25mg,同糖衣錠50mg,同糖衣錠100mg,同筋注10mg,同筋注25mg,同筋注50mg(三菱ウェルファーマ)他
コントミン散10%,同顆粒10%(三菱ウェルファーマ)
ウインタミン細粒(10%)(塩野義製薬)
[副作用
(重大な副作用)]
再生不良性貧血,溶血性貧血,無顆粒球症:再生不良性貧血,溶血性貧血,無顆粒球症があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,減量又は投与を中止すること。
〈参   考〉 企業報告
平井茂夫,他:精神医学 1995;37(7):737-742


3 〈精神神経用剤〉
塩酸クロルプロマジン・塩酸プロメタジン・フェノバルビタール
[販売名] ベゲタミン錠-A,同錠-B(塩野義製薬)
[副作用
(重大な副作用)]
再生不良性貧血,溶血性貧血,血小板減少,無顆粒球症:再生不良性貧血,溶血性貧血,血小板減少,無顆粒球症があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,減量又は投与を中止すること。
〈参   考〉 企業報告
平井茂夫,他:精神医学 1995;37(7):737-742


4 〈精神神経用剤〉
塩酸レボメプロマジン,マレイン酸レボメプロマジン
[販売名] ヒルナミン注(塩野義製薬),レボトミン筋注25mg(三菱ウェルファーマ)
ヒルナミン散50%,同細粒10%,同錠(5mg),同錠(25mg),同錠(50mg)(塩野義製薬),レボトミン散10%,同散50%,同顆粒10%,同錠5mg,同錠25mg,同錠50mg(三菱ウェルファーマ)他
[副作用
(重大な副作用)]
再生不良性貧血,無顆粒球症:再生不良性貧血,無顆粒球症があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,減量又は投与を中止すること。
〈参   考〉 企業報告
平井茂夫,他:精神医学 1995;37(7):737-742


5 〈利尿剤〉
スピロノラクトン
[販売名] アルダクトンA細粒,同A錠,同A錠50mg(ファイザー)他
[禁忌]
アジソン病の患者
[重要な基本
的注意]
連用する場合,高カリウム血症等の電解質異常があらわれることがあるので,定期的に検査を行うこと。高齢者,腎機能が低下している患者,高カリウム血症を誘発しやすい薬剤を併用している患者では特に注意すること。
降圧作用に基づくめまい等があらわれることがあるので,高所作業,自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。
〈参   考〉 企業報告


6 〈たん白アミノ酸製剤〉
アミノレバンEN
[販売名] アミノレバンEN(大塚製薬)
[副作用
(重大な副作用)]
低血糖:低血糖(冷汗,気分不良,ふるえ,動悸等)があらわれることがあるので,このような症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告


7 〈その他の血液・体液用薬〉
塩酸サルポグレラート
[販売名] アンプラーグ細粒10%,同錠50mg,同錠100mg(三菱ウェルファーマ)
[副作用
(重大な副作用)]
無顆粒球症:無顆粒球症があらわれることがあるので,観察を十分行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告


8 〈解毒剤〉
レボホリナートカルシウム
[販売名] アイソボリン注25mg(ワイス)
[副作用
(重大な副作用)]
高アンモニア血症:意識障害を伴う高アンモニア血症があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
急性膵炎:急性膵炎があらわれることがあるので,観察を十分に行い,腹痛,血清アミラーゼ上昇等があらわれた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告


9 〈代謝拮抗剤〉
テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム
[販売名] ティーエスワンカプセル20,同カプセル25(大鵬薬品工業)
[副作用
(重大な副作用)]
急性膵炎:急性膵炎があらわれることがあるので,観察を十分に行い,腹痛,血清アミラーゼ値の上昇等があらわれた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
横紋筋融解症:筋肉痛,脱力感,CK(CPK)上昇,血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがあるので,このような場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。また,横紋筋融解症による急性腎不全の発症に注意すること。
〈参   考〉 企業報告


10 〈主としてグラム陽性・陰性菌,リケッチア,クラミジアに作用するもの〉
塩酸ミノサイクリン(経口剤,注射剤)
[販売名] ミノマイシン顆粒,同カプセル50mg,同カプセル100mg,同錠50mg,同錠100mg,点滴静注用ミノマイシン(ワイス)他
[副作用
(重大な副作用)]
出血性腸炎,偽膜性大腸炎:出血性腸炎,偽膜性大腸炎等の重篤な腸炎があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には直ちに投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告


11 〈合成抗菌剤〉
リネゾリド
[販売名] ザイボックス錠600mg,同注射液600mg(ファイザー)
[重要な基本
的注意]
本剤を28日を超えて投与した場合,視神経障害があらわれることがあり,さらに視力喪失に進行する可能性があるので観察を十分に行うこと。また,視力低下,色覚異常,霧視,視野欠損のような自覚症状があらわれた場合,直ちに医師に連絡するように患者を指導すること。これらの症状があらわれた場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
[副作用
(重大な副作用)]
ショック,アナフィラキシー様症状:ショック,アナフィラキシー様症状があらわれることがあるので,異常が認められた場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告


12 〈その他の化学療法剤〉
塩酸テルビナフィン(経口剤)
[販売名] ラミシール錠125mg(ノバルティスファーマ)
[重要な基本
的注意]
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群),中毒性表皮壊死症(Lyell症候群),急性全身性発疹性膿疱症があらわれることがあるので,本剤の投与中は観察を十分に行うこと。
[副作用
(重大な副作用)]
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群),中毒性表皮壊死症(Lyell症候群),急性全身性発疹性膿疱症:観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告


13 一般用医薬品
ファモチジン含有製剤
[販売名] ガスター10,同〈散〉(ゼファーマ)
[相談すること] 次の場合は,直ちに服用を中止し,この文書を持って医師又は薬剤師に相談すること
 服用後,次の症状があらわれた場合
  まれに下記の重篤な症状が起こることがあります。その場合は直ちに医師の診療を受けること。
    横紋筋融解症:手足やからだの筋肉が痛んだりこわばったりする,尿の色が赤褐色になる。
〈参   考〉 企業報告


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3.市販直後調査の対象品目一覧
(平成17年12月1日現在)
一般名
販売名
製造販売業者名 市販直後調査
開始年月日
ボセンタン水和物
トラクリア錠62.5mg
アクテリオン ファーマシューティカルズ ジャパン(株) 平成17年6月10日
タミバロテン
アムノレイク錠2mg
東光薬品工業(株) 平成17年6月13日
トシリズマブ(遺伝子組換え)
アクテムラ点滴静注用200
中外製薬(株) 平成17年6月13日
アデノシン
アデノスキャン注60mg
第一サントリーファーマ(株) 平成17年6月21日
ボリコナゾール
ブイフェンド錠50mg,同錠200mg,同200mg静注用
ファイザー(株) 平成17年6月27日
ルリコナゾール
ルリコンクリーム1%,同液1%
ポーラ化成工業(株) 平成17年7月20日
フルデオキシグルコース
FDGスキャン注
日本メジフィジックス(株) 平成17年8月1日
フルデオキシグルコース
FDGスキャン-MP注
(財)先端医学薬学研究センター 平成17年8月1日
モンテプラーゼ(遺伝子組換え)
クリアクター注40万,同注80万,同注160万*1
エーザイ(株) 平成17年8月5日
フォリトロピンベータ(遺伝子組換え)
フォリスチム注75,同注150
日本オルガノン(株) 平成17年8月11日
ドリペネム水和物
フィニバックス点滴用0.25g
塩野義製薬(株) 平成17年9月16日
無水エタノール
無水エタノール注「フソー」
扶桑薬品工業(株) 平成17年9月16日
無水エタノール
無水エタノール注「メルク」
メルク・ホエイ(株) 平成17年9月20日
塩酸ピロカルピン
サラジェン錠5mg
キッセイ薬品工業(株) 平成17年9月22日
ゲムツズマブオゾガマイシン(遺伝子組換え)
マイロターグ注射用5mg
ワイス(株) 平成17年9月22日
アルテプラーゼ(遺伝子組換え)
アクチバシン注600万,同注1200万,同注2400万*2
協和発酵工業(株) 平成17年10月11日
アルテプラーゼ(遺伝子組換え)
グルトパ注600万,同注1200万,同注2400万*2
三菱ウェルファーマ(株) 平成17年10月11日
カンデサルタン シレキセチル
ブロプレス錠2,同錠4,同錠8*3
武田薬品工業(株) 平成17年10月11日

注)効能追加等における対象
*1:効能追加された「不安定な血行動態を伴う急性肺塞栓症における肺動脈血栓の溶解」
*2:効能追加された「虚血性脳血管障害急性期に伴う機能障害の改善(発症後3時間以内)」
*3:効能追加された「慢性心不全(軽症〜中等症)の状態で,アンジオテンシン変換酵素阻害剤の投与が適切でない場合」


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お知らせ
医薬品・医療機器等安全性情報は,医薬品医療機器情報提供ホームページ(http://www.info.pmda.go.jp/)又は厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/)からも入手可能です。
また,NTTのファクシミリ通信網サービス「Fネット」を通じ,最近1年間の「医薬品・医療機器等安全性情報」がお手元のファクシミリから随時入手できます(利用者負担)。
「Fネット」への加入等についての問い合わせ先:0120−161−011


照 会 先
厚生労働省医薬食品局安全対策課
03-5253-1111(内線)2753


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