三位一体改革に関する改革案[厚生労働省関係]
(平成17年10月17日提出)

  基本的考え方
 国民の安心と安全を守るべき社会保障分野においては、歴史的、沿革的にみても、国と地方が分担・協力して事業を実施するとの考え方の下、事務事業ごとに費用負担の在り方が検討され、基本的には、地方の負担による事務事業の実施に対して国が一部を補助負担する形で適用されてきたところであり、その上で、地方へ同化・定着したものについては補助負担金を廃止するなど、一定のルールの下で具体的な負担関係を見直してきたところである。

 昨年度の三位一体改革においても、こうした考え方に立ち、
 (1)  既に地方自治体の事務として同化・定着しているものについては、国の補助負担を廃止
 (2)  全国的に一定の水準のサービスが確保されつつある一方、地方ごとの実施状況にひずみが生じており、今後地方自治体に対して更に大きな役割を期待すべきものについては、地方自治体の権限、役割等を拡大するとともに、国と地方の負担関係を見直し
 (3)  地方自治体の事務として定着しているとはいえず、今後国のより積極的な関与が必要であるが、一方で地方自治体の自主性・裁量性を更に発揮するような見直しを行うことが相応しいものについては、国の補助負担を交付金化
 (4)  地方自治体の事務として定着しているとはいえず、今後国のより積極的な関与が必要であり、従来通りの補助負担体系で行わなければ施策を実施できないものについては、現行の補助負担金を維持
として整理・見直しを行ったところである。

 今年度においても、こうした昨年度の整理を踏まえつつ、「地方にできることは地方に」という視点に立って、(1)昨年11月の政府・与党合意を踏まえて検討を行う、(2)本年7月に提出された地方提案を真摯に受け止めるという方針の下、補助負担金全体について整理し、提案することとしたものである。


  具体的な補助負担金の見直しに関する提案

 (1)  生活保護及び児童扶養手当に関する見直しについて
 生活保護及び児童扶養手当に関する負担金の改革については、昨年11月の政府・与党合意において「生活保護費負担金及び児童扶養手当の補助率の見直しについては、地方関係者が参加する協議機関を設置して検討を行い、平成17年秋までに結論を得て、平成18年度から実施する。」とされたことを受けて、本年4月に「生活保護費及び児童扶養手当に関する関係者協議会」を設置し、現在も協議を行っているところであり、引き続き検討する。

 (2)  地方6団体提案に係る国庫補助金について

〔地方6団体提案(平成17年7月19日)〕
 廃止対象補助負担金(厚生労働省所管分)  約4,750億円
(うち) 施設整備費   約1,321億円
  事業費・運営費  約3,429億円

(1)  地方自治体の事務として同化・定着していると判断される補助負担金については、既に17年度の「三位一体改革」において、廃止・縮減の措置を講じており、さらに廃止・縮減の措置を講じることは基本的に困難であるが、地方団体が改めて補助金廃止を提案している趣旨に鑑み、提案されている補助金の一部について、地方自治体の事務としての同化・定着の状況や近年の制度改正等の動向などを総合的に勘案して、廃止・縮減の可否を引き続き精査する。

(2)  未だ地方自治体の事務として定着しているとはいえず、今後も引き続き国が関与して積極的に推進する必要がある事業のうち、以下のものについては、地方自治体の自主性・裁量性を更に発揮できるよう、既に昨年度の厚生労働省意見で示した方針に従った補助金改革を行う。
 具体的には、従来の細分化された補助金・負担金を、分野ごとの大括りな交付金・統合補助金へと再編・統合する(18年度概算要求済)。

 ○ 保健医療関連: 保健医療提供体制整備交付金(160億円)
保健医療提供体制推進事業(統合補助金)(220億円)
 ○ 高齢者施策: 地域支援事業交付金(490億円)
 ○ 障害者施策: 地域生活支援事業(統合補助金)(200億円)
 ※ 額は18年度概算要求額

 なお、地域支援事業交付金については、先の通常国会で成立した改正介護保険法に基づき、地域生活支援事業(統合補助金)については、現在開会中の国会に提出されている障害者自立支援法案に基づき、創設を予定しているものである。

 また、以下の補助金、交付金については、「三位一体の改革」の一環として、すでに17年度において補助金改革を行ったものであり、措置済み。

 ○ 児童福祉事業対策費等補助金(統合補助金)
 ○ 母子保健衛生費補助金(統合補助金)
 ○ 次世代育成支援対策交付金
 ○ セーフティネット支援対策等事業費補助金(統合補助金)
 ○ 地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金
 ○ 次世代育成支援対策施設整備交付金

(3)  未だ地方自治体の事務として定着しているとはいえず、今後も引き続き国が関与して積極的に推進する必要がある事業のうち、上記(2)以外の補助負担金については、従来通りの体系でなければ適切な施策を実施できないものであり、引き続き、従来の体系で継続して実施していく。

 ○ 児童保護費等負担金
 ○ 婦人保護事業費負担金 等

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