平成17年10月 7日(金)
 照会先:健康局総務課
  課長補佐:中村(内2313)
  課長補佐:大重(内2315)
  ダイヤルイン03-3595-2207


福岡高裁判決への対応について



1.  本年9月26日、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(以下「被爆者援護法」という。)に基づく健康管理手当及び葬祭料の国外からの申請に関し、福岡高等裁判所の判決があった。

2.  今回の判決は、被爆者援護法が、健康管理手当の支給要件に関する認定等について「都道府県知事」と規定し、「居住地の都道府県知事」とは規定していないことから、長崎市長が行った次の処分を取り消した一審判決を、維持したものである。
(1)  被爆者健康手帳の交付を受けた者(以下「手帳所持者」という。)が出国して国外から行った健康管理手当の申請を却下した処分
(2)  国外で死亡した手帳所持者の葬祭を行ったとする者からの葬祭料の申請を却下した処分

3.  今回の判決は、被爆者援護法について、その前文を根拠に国家補償的な性格を強調しているが、政府としては、この前文の「国の責任において」とは被爆者援護対策に関する事業の実施主体としての国の役割を明確にしたものと考えており、判決とは見解を異にしている。

4.  しかし、今回の判決の結論は、法律が明文で「居住地の都道府県知事」と規定していないことから導かれているものであること、また、直接の訴訟当事者である長崎市からは、上訴しない方向で進めたく、国もその方向で考えてほしい旨の強い意向が寄せられていること、そして、次に述べるとおり、国外からの申請についても適正に審査できる新たな仕組みを設けることが可能になったこと、更には、在外被爆者の方々の高齢化に思いを致す必要があることなどを総合的に勘案し、長崎市に上訴を促すことは行わないこととした。

5.  また、健康管理手当等の国外からの申請については、かねてより進めてきた外務省との協議の成果に基づき、今後は、次のとおり可能とすることとしたい。

(1)  手帳所持者が国外から健康管理手当を申請する場合は、在外公館を経由してこれを行うこととし、国外で死亡した手帳所持者の葬祭料の申請についても、同様とする。(いずれも、申請は、日本国内における最後の居住地の都道府県に対して行うこととする。)

(2)  在外公館は、上記(1)の申請があったときは、本人確認や受給要件の確認に関し、一定の事務を行うこととする。

6.  今後、各在外公館並びに広島市、長崎市及び都道府県において所要の準備を進めていただくとともに、政省令の改正を行い、できる限り早く、上記5.に示した新たな仕組みに移行することとしたい。
 なお、今回の訴訟とは別に係争中である保健手当の国外からの申請についても、上記に準じて取り扱うこととする。

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