報道発表資料   トピックス   厚生労働省ホームページ
医薬品・医療機器等安全性情報
Pharmaceuticals and Medical Devices
Safety Information No.214
目   次
  1. 重要な副作用等に関する情報
    1. アルプロスタジル,アルプロスタジルアルファデクス(20μg注射剤)
    2. 塩酸ドネペジル
    3. 酢酸リュープロレリン
    4. ロピナビル・リトナビル
  2. 使用上の注意の改訂について(その166)
    カベルゴリン他(15件)
  3. 市販直後調査の対象品目一覧
この医薬品・医療機器等安全性情報は,厚生労働省において収集された副作用情報をもとに,医薬品・医療機器等のより安全な使用に役立てていただくために,医療関係者に対して情報提供されるものです。
平成17年(2005年)6月
厚生労働省医薬食品局

1.重要な副作用等に関する情報

 前号(医薬品・医療機器等安全性情報 No.213)以降に改訂を指導した医薬品の使用上の注意のうち重要な副作用等について,改訂内容,参考文献等とともに改訂の根拠となった症例の概要に関する情報を紹介いたします。

【1】 アルプロスタジル,アルプロスタジルアルファデクス(20μg注射剤)

販売名(会社名) アルプロスタジル
 アリプロスト注(富士製薬工業)
 パルクス注5μg,同注10μg(大正製薬)
 プリンク注5μg,同注10μg,同注シリンジ5μg,同注シリンジ10μg(大洋薬品工業)
 リプル注5μg,同注10μg(三菱ウェルファーマ)
アルプロスタジルアルファデクス(20μg注射剤)
 タンデトロン注射用(高田製薬)
 注射用アピスタンディン(富士製薬工業)
 注射用アルテジール20(大洋薬品工業)
 注射用イプセリール(東菱薬品工業)
 注射用プロスタンディン(小野薬品工業)
 注射用メディプロスト(三共エール薬品)
薬効分類等 その他の循環器官用薬
効能効果 アルプロスタジル
○慢性動脈閉塞症(バージャー病,閉塞性動脈硬化症)における四肢潰瘍ならびに安静時疼痛の改善
○下記疾患における皮膚潰瘍の改善
 進行性全身性硬化症
 全身性エリテマトーデス
○糖尿病における皮膚潰瘍の改善
○振動病における末梢血行障害に伴う自覚症状の改善ならびに末梢循環・神経・運動機能障害の回復
○動脈管依存性先天性心疾患における動脈管の開存
○経上腸間膜動脈性門脈造影における造影能の改善(パルクス注5μg,同注10μg,リプル注5μg,同注10μgのみ)
アルプロスタジルアルファデクス(20μg注射剤)
I.動脈内投与
  慢性動脈閉塞症(バージャー病,閉塞性動脈硬化症)における四肢潰瘍ならびに安静時疼痛の改善
II.静脈内投与
 1.振動病における末梢血行障害に伴う自覚症状の改善ならびに末梢循環・神経・運動機能障害の回復
 2.血行再建術後の血流維持
 3.動脈内投与が不適と判断される慢性動脈閉塞症(バージャー病,閉塞性動脈硬化症)における四肢潰瘍ならびに安静時疼痛の改善
 4.動脈管依存性先天性心疾患における動脈管の開存(タンデトロン注射用,注射用アルテジール20,注射用プロスタンディンのみ)

使用上の注意(下線部追加改訂部分)》
[副作用
(重大な副作用)]
心筋梗塞:心筋梗塞があらわれることがあるので,観察を十分に行い,胸痛,胸部圧迫感,心電図異常等が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

症例の概要

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
1
80代
閉塞性動脈硬化症
(糖尿病)
60μg
1日間
 ↓
120μg
7日間
急性心筋梗塞
投与約11年前 糖尿病と診断され,内服治療薬にてコントロールは比較的良好であった。
投与11日前 3日前に転倒し,右第5趾挫傷のため解熱鎮痛消炎剤で治療開始。
投与6日前 右第5趾先端に小さな創出現。閉塞性動脈硬化症と考え,シロスタゾール100mg,イコサペント酸エチル1800mgの投与開始。
投与開始日 創の拡大及び壊死,右足冷感疼痛を認め,右足背動脈が触知不能のため入院し,本剤60μg/2時間投与開始。翌日より本剤60μgを1日2回投与。
心電図にて,T波異常(前壁心筋虚血の疑い),完全右脚ブロック認める。
投与7日目 壊死はほぼ治癒し,右足痛も改善。
投与8日目
(投与中止日)
夕方,血圧126/70mmHg。
1時間30分後,本剤2回目の点滴中,呼吸苦及び喘鳴が出現し,急性心筋梗塞発症。酸素マスク2L開始し,ネブライザー施行。血圧126/70mmHg。
2時間後,呼吸苦持続のため,ジプロフィリン点滴投与。
心電図にて異常Q波(II,III,aVF誘導)を認める。
呼吸苦続くため本剤中止し,ステロイド剤静注。
胸部X線にて右肺胸水貯留及びCTR拡大を認めたため,フロセミド静注し,酸素5Lに増量。
約3時間30分後,呼吸苦不変のため,エピネフリン0.5mgを2回皮下投与。
中止1日後 深夜,呼吸苦及び喘鳴は改善(SaO2 96%)。
朝,呼吸苦が再発したため,ネブライザー施行。
約1時間30分後,フロセミド静注,ニトログリセリン貼付剤を処置。
昼,呼吸苦及び喘鳴を認め,PaO2 51.5mmHgのため酸素8Lに増量。
約1時間30分後,心電図にて異常Q波(V1,III,aVF誘導)を認める。
2時間後,フロセミド静注し,7時間後に呼吸苦はほぼ軽快。
心エコーにて前壁〜中隔に重度のhypokinesis,EF40%,胸部X線にて右肺に軽度の胸水を認める。
中止2日後 胸部X線にて肺野うっ血様所見あり。
中止10日後 呼吸苦消失。
中止23日後 急性心筋梗塞は回復したが,心機能障害(心エコーにて軽度の左室拡大,前壁〜中隔に軽度のhypokinesis,EF53%)が残った。
企業報告
臨床検査値
  
投与開始日
投与8日目
(投与中止日)
中止1日後
中止2日後
中止13日後
白血球数(/mm3
6890
7160
10490
8780
10270
AST(GOT)(IU/L)
13
40
176
87
13
CK(CPK)(IU/L)
216
970
483
73
CRP(mg/dL)
1.8
10.1
13.6
14.4
2.5
血糖値(mg/dL)
155
136
236
111
血圧(収縮期)(mmHg)
160
126
160
138
138
血圧(拡張期)(mmHg)
80
70
66
82
72
血液ガス PaO2(mmHg)
51.5
74.6
PaCO2(mmHg)
27.2
34.5
併用薬:ブロチゾラム,アカルボース,トリアゾラム,膵臓性消化酵素配合剤,ザルトプロフェン,シロスタゾール,イコサペント酸エチル,ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液,グリチルリチン・グリシン・システイン配合剤,炭酸水素ナトリウム

【2】 塩酸ドネペジル

販売名(会社名) アリセプト細粒0.5%,同錠3mg,同錠5mg,同D錠3mg,同D錠5mg(エーザイ)
薬効分類等 その他の中枢神経系用薬
効能効果 軽度及び中等度のアルツハイマー型痴呆における痴呆症状の進行抑制

使用上の注意(下線部追加改訂部分)》
[副作用
(重大な副作用)]
横紋筋融解症:横紋筋融解症があらわれることがあるので,観察を十分に行い,筋肉痛,脱力感,CK(CPK)上昇,血中及び尿中ミオグロビン上昇等があらわれた場合には,投与を中止し,適切な処置を行うこと。また,横紋筋融解症による急性腎不全の発症に注意すること。
〈参   考〉 企業報告

症例の概要

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
1
70代
アルツハイマー型痴呆
(脳梗塞,高尿酸血症,高血圧,便秘,動脈瘤,高脂血症,腎機能障害)
3mg
12日間
 ↓
5mg
25日間
横紋筋融解
投与38日前 脳梗塞後遺症,胃癌にて他院初診。食欲なく,嚥下障害あり。腎機能も低下していた。
(Cr1.51mg/dL,赤血球数415×104/mm3,ヘモグロビン11.9g/dL,ヘマトクリット41.0%)
投与開始日 本剤3mg投与開始。
投与10日目 この頃より歩行困難となり,徐々に悪化。
投与13日目 本剤5mgに増量し,継続。
投与24日目 この頃より嚥下障害悪化し,嚥下困難となる。
その後も徐々に悪化。
投与37日目
(投与中止日)
薬剤の投与中止。
中止1日後 車イスの背もたれにぐったりと寄りかかっているところを発見された。歩行不能の状態となり,他院へ入院。入院時,褐色尿が見られた。入院時の感染症検査未実施。
中止2日後 CK(CPK)126480IU/Lと著しく高値。BUN26.5mg/dL,Cr2.8mg/dLと腎機能不良。肺炎併発していたためピペラシリンナトリウム2g投与開始。塩酸ロキサチジンアセテート150mg,コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム1000mg投与開始。
中止3日後 BUN51.4mg/dL,Cr4.93mg/dLのため横紋筋融解症と診断。同日よりCHDF(持続的血液透析濾過)開始。抗生剤投与。
腎機能悪化したため,透析等の目的で本院へ転院。転院時には腎不全も併発しており,尿もほとんど出ていなかった。透析等実施したが,肺炎,血圧低下,末梢循環不全となり,右足壊死。
多臓器不全となるも,そのまま経過。
中止53日後 死亡。(死因:多臓器不全)
企業報告
臨床検査値
  
投与
38日前
中止
2日後
中止
3日後
中止
4日後
中止
5日後
中止
7日後
中止
9日後
中止
35日後
中止
45日後
中止
50日後
中止
53日後
白血球数(/mm3
16000
19100
22300
14500
15500
11200
15200
16000
12200
17700
好中球(%)
96
94
90
94
98
94
好酸球(%)
0
0
0
0
0
0
好塩基球(%)
0
0
0
0
0
0
単球(%)
2
3
5
5
1
4
リンパ球(%)
2
3
5
1
1
2
赤血球数(×104/mm3
415
459
403
235
286
342
335
ヘモグロビン(g/dL)
11.9
12.7
11.5
6.8
8.5
10.1
10.0
7.8
7.9
7.6
8.0
ヘマトクリット(%)
41.0
39.1
34.7
21.0
24.1
29.9
30.1
22.0
21.1
20.6
21.6
血小板数(×104/mm3
21.6
14.4
9.6
5.1
2.7
3.3
12.2
11.9
5.7
3.3
AST(GOT)(IU/L)
1233
946
409
2360
709
262
88
57
67
62
ALT(GPT)(IU/L)
306
333
220
843
566
302
35
75
95
93
Al-P(IU/L)
470
317
319
388
291
LDH(IU/L)
2055
1315
2617
1375
781
318
223
216
261
γ-GTP(IU/L)
42
30
43
74
71
総蛋白(g/dL)
6.4
6.0
4.0
4.2
4.6
4.7
5.7
4.8
4.9
4.7
BUN(mg/dL)
26.5
51.4
46.3
49.0
25.9
43.4
78.2
58.5
50.8
35.3
Cr(mg/dL)
1.51
2.8
4.93
5.46
4.84
2.58
2.77
3.04
2.65
3.13
1.72
Na(mEq/L)
133
137
143
145
136
140
K(mEq/L)
5.9
5.3
5.1
5.5
4.6
4.6
尿中ミオグロビン(ng/mL)
840
CK(CPK)(IU/L)
126480
77350
29580
40500
13057
5235
57
55
27
31
CRP(mg/dL)
15.0
20.8
11.4
10.8
29.8
24.6
19.7
17.7
17.4
14.1
併用薬:アスピリン,アロプリノール,ベシル酸アムロジピン,メシル酸ドキサゾシン,酸化マグネシウム,センノシド

【3】 酢酸リュープロレリン

販売名(会社名) リュープリン注射用1.88,同注射用3.75,同注射用キット1.88,同注射用キット3.75,同SR注射用キット11.25(武田薬品工業)
薬効分類等 その他のホルモン剤
効能効果 (リュープリン注射用1.88)
○子宮内膜症
○過多月経,下腹痛,腰痛及び貧血等を伴う子宮筋腫における筋腫核の縮小及び症状の改善
○中枢性思春期早発症
(リュープリン注射用3.75)
○子宮内膜症
○過多月経,下腹痛,腰痛及び貧血等を伴う子宮筋腫における筋腫核の縮小及び症状の改善
○閉経前乳癌
○前立腺癌
○中枢性思春期早発症
(リュープリン注射用キット1.88)
○子宮内膜症
○過多月経,下腹痛,腰痛及び貧血等を伴う子宮筋腫における筋腫核の縮小及び症状の改善
(リュープリン注射用キット3.75)
○子宮内膜症
○過多月経,下腹痛,腰痛及び貧血等を伴う子宮筋腫における筋腫核の縮小及び症状の改善
○閉経前乳癌
○前立腺癌
(リュープリンSR注射用キット11.25)
○前立腺癌

使用上の注意(下線部追加改訂部分)》
[副作用
(重大な副作用)]
下垂体卒中が下垂体腺腫患者で報告されているので,初回投与直後に頭痛,視力・視野障害等があらわれた場合には,検査のうえ外科的治療等の適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

症例の概要

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
1
70代
前立腺癌
(下垂体腺腫)
3.75mg
1回
下垂体卒中
投与2年前 頭痛の原因精査のためにMRIを実施したところ,鞍内から鞍上部にかけて腫瘍(25×35×20mm)が認められた。内分泌学的検査で異常を認めず,非機能性下垂体腺腫と診断され,患者の希望により経過観察としていた。
投 与 日 前立腺癌と診断されたため,本剤を投与したところ,投与30分後より頭痛,嘔気,左動眼神経麻痺,外転神経麻痺が発現し,脳神経外科に入院した。入院時の意識は清明で,また,下垂体前葉機能低下症や尿崩症はなかった。また,CTでは明らかな腫瘍内出血を認めず,待機手術とした。血中コルチゾール値は正常,遊離型T3・T4は軽度低下していた。
入院時検査所見:コルチゾール17μg/dL,遊離型T3 1.8pg/mL,遊離型T4 0.8ng/dL
投与1日後 MRIにて腫瘍上部に壊死を示唆する所見を認めた。
投与2日後 下垂体機能不全に対し補充療法を開始した。
投与3日後 血圧低下,血中コルチゾール値低下(3.1μg/dL)を認めた。
投与9日後 MRIにて腫瘍内部の壊死の進行を示す所見を認め,また,腫瘍内出血を認めた。
投与13日後 経蝶形骨洞手術により血腫および腫瘍を除去した。
投与10ヵ月後 左外転神経麻痺が軽度に残存し,下垂体機能不全あり。
企業報告
併用薬:不明

【4】 ロピナビル・リトナビル

販売名(会社名) カレトラ・ソフトカプセル,同・リキッド(アボットジャパン)
薬効分類等 抗ウイルス剤
効能効果 HIV感染症

使用上の注意(下線部追加改訂部分)》
[禁  忌]
次の薬剤を投与中の患者:ピモジド,シサプリド,酒石酸エルゴタミン,メシル酸ジヒドロエルゴタミン,ミダゾラム,トリアゾラム,塩酸バルデナフィル水和物
[重要な基本
的注意]
抗HIV薬の使用により,体脂肪の再分布/蓄積があらわれることがあるので,異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
本剤を含む抗HIV薬の多剤併用療法を行った患者で,免疫再構築症候群が報告されている。投与開始後,免疫機能が回復し,症候性のみならず無症候性日和見感染(マイコバクテリウムアビウムコンプレックス,サイトメガロウイルス,ニューモシスチス等によるもの)等に対する炎症反応が発現することがあるので,これらの炎症性の症状を評価し,必要時には適切な治療を考慮すること。
[相互作用
(併用禁忌)]
塩酸バルデナフィル水和物
[副作用
(重大な副作用)]
徐脈性不整脈:徐脈性不整脈(洞徐脈,洞停止,房室ブロック)があらわれることがある。
多形紅斑,皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群):多形紅斑,皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)があらわれることがある。
〈参   考〉 企業報告

症例の概要

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
1
20代
HIV感染症
(血友病A,B型肝炎,C型肝炎)
6カプセル
2日間
  ↓
(50日間投与なし)
  ↓
6カプセル
4日間
完全房室ブロック,第2度房室ブロック(Wenckebach型)
投与28日前 7年前より抗HIV療法を開始している。末期AIDSに対するサルベージ治療目的で入院。
投与開始日 本剤,ジダノシン投与開始。
投与2日目
(投与中止日)
嘔気,動悸が発現。本剤,ジダノシン投与中止。心電図検査で完全房室ブロックが発現。硫酸アトロピン静注で改善。硫酸オルシプレナリン内服で心拍数をコントロールした。以後,中止1日後,14日後にも完全房室ブロックを認めた。
中止2日後 夜間に第2度房室ブロック(Wenckebach型)を認めた。以後,中止3日後,19日後,21日後,31日後,35日後にもホルター心電図上に第2度房室ブロックを認めた。
中止15日後 完全房室ブロックは回復。
中止46日後 中止14日後を最後に完全房室ブロックの再燃なく,退院。
中止51日後
(再投与開始日)
本剤,ジダノシン再投与目的で再度入院。同日本剤,ジダノシン投与開始。
再投与2日目 早朝,胸部不快感訴求あり。心電図上第2度房室ブロック(Wenckebach型)を認めた。以後,再投与3日目,4日目にも第2度房室ブロック(Wenckebach型)が散発した。5%ブドウ糖加乳酸リンゲル液による負荷と硫酸アトロピン0.5mgで胸部不快感が改善。
再投与4日目
(投与中止日)
本人の希望で本剤,ジダノシンを中止。
薬剤中止後も胸部不快感を自覚していた。
中止1日後 以後,第2度房室ブロック(Wenckebach型)を認めず。第2度房室ブロック(Wenckebach型)は軽快。
中止3日後 胸部不快感消失。硫酸オルシプレナリン内服継続で退院。
中止4日後 サニルブジン,ラミブジン,ネルフィナビルの投与開始。中止17日後,これらの薬剤を中止。以後,中止27日後に第2度房室ブロック(Wenckebach型)を認め,中止31日後に房室ブロックを認めた。以降,第2度房室ブロック(MobitzII型)を含む不整脈事象が中止35日後まで見られた。
中止35日後 房室ブロックは回復。
企業報告
併用薬:ジダノシン(被疑薬),インターフェロンアルファ-2b(遺伝子組換え),乾燥濃縮人血液凝固第VIII因子,スルファメトキサゾール・トリメトプリム配合剤,リバビリン

目次へ


2.使用上の注意の改訂について(その166)

 前号(医薬品・医療機器等安全性情報 No.213)以降に改訂を指導した医薬品の使用上の注意(本号の「1 重要な副作用等に関する情報」で紹介したものを除く。)について,改訂内容,主な該当販売名,参考文献等をお知らせいたします。

〈抗パーキンソン剤〉
カベルゴリン
[販 売 名] カバサール錠0.25mg,同錠1.0mg(ファイザー)
[副作用
(重大な副作用)]
胸水,胸膜又は肺線維性変化,心膜炎胸水があらわれることがある。また,本剤の長期投与又はドパミン受容体刺激作用を有する麦角製剤の治療歴のある患者に本剤を投与した場合,胸膜又は肺の線維症,心膜炎があらわれることがある。本剤の投与中に浮腫,呼吸器症状等があらわれた場合には,速やかに胸部X線検査を実施し,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
心臓弁膜症:心雑音の発現又は増悪があらわれた場合には,速やかに胸部X線検査,心エコー検査等を実施し,弁膜の異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

〈不整脈用剤〉
塩酸ニフェカラント
[販 売 名] シンビット注(日本シエーリング)
[用法・用量に関連
する使用上の注意]
本剤は同時に使用する薬剤や調製条件によっては,配合変化を生じることがあるので,薬剤の選択及び調製条件等に十分注意して使用すること。
〈参   考〉 企業報告

〈高脂血症用剤〉
ピタバスタチンカルシウム
[販 売 名] リバロ錠1mg,同錠2mg(興和)
[副作用
(重大な副作用)]
血小板減少:血小板減少があらわれることがあるので,血液検査等の観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

〈その他の循環器官用薬〉
リマプロストアルファデクス
[販 売 名] オパルモン錠(小野薬品工業),プロレナール錠(大日本製薬)他
[副作用
(重大な副作用)]
肝機能障害,黄疸:AST(GOT),ALT(GPT)の著しい上昇等を伴う肝機能障害,黄疸があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止するなど,適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

〈鎮咳剤,鎮咳去たん剤〉
臭化水素酸デキストロメトルファン,臭化水素酸デキストロメトルファン・クレゾールスルホン酸カリウム
[販 売 名] メジコン散,メジコン錠15mg,メジコンシロップ(塩野義製薬)他
[副作用
(重大な副作用)]
アナフィラキシー様症状:アナフィラキシー様症状(呼吸困難,蕁麻疹,血管浮腫等)があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

〈その他の泌尿生殖器官及び肛門用薬〉
塩酸バルデナフィル水和物
[販 売 名] レビトラ錠5mg,同錠10mg(バイエル薬品)
[禁 忌]
リトナビル,インジナビル,アタザナビル,サキナビル,メシル酸サキナビル,ホスアンプレナビル,ロピナビル・リトナビルを投与中の患者
ケトコナゾール,イトラコナゾールを投与中の患者
[相互作用
(併用禁忌)]
アタザナビル,サキナビル,メシル酸サキナビル,ホスアンプレナビル,ロピナビル・リトナビル
〈参   考〉 企業報告

〈他に分類されない代謝性医薬品〉
ゾレドロン酸水和物
[販 売 名] ゾメタ注射液4mg(ノバルティスファーマ)
[重要な基本
的注意]
抜歯等の歯科処置の既往があり,化学療法もしくはコルチコステロイド治療を併用している癌患者では,顎骨壊死及び骨髄炎があらわれることがある。リスク因子(悪性腫瘍,化学療法,コルチコステロイド治療,口腔の不衛生,歯科処置の既往等)のある患者に本剤を投与する場合には,適切な歯科検査を受けた上で行うこと。また,本剤投与中は侵襲的な歯科処置はできる限り避けること。
〈参   考〉 企業報告

〈その他のアレルギー用薬〉
ラマトロバン
[販 売 名] バイナス錠50mg,同錠75mg(バイエル薬品)
[副作用
(重大な副作用)]
肝炎,肝機能障害,黄疸:肝炎,AST(GOT),ALT(GPT),Al-P,γ-GTP,LDHの著しい上昇等を伴う肝機能障害,黄疸があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

〈合成抗菌剤〉
トシル酸トスフロキサシン
[販 売 名] オゼックス錠75,同錠150(富山化学工業),トスキサシン錠75mg,同錠150mg(アボットジャパン)他
[副作用
(重大な副作用)]
急性腎不全,間質性腎炎等の重篤な腎障害があらわれることがあるので,定期的に検査を行うなど観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
低血糖があらわれることがある(高齢者,腎障害患者,糖尿病患者であらわれやすい)ので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

10 〈抗ウイルス剤〉
硫酸アタザナビル
[販 売 名] レイアタッツカプセル150mg,同カプセル200mg(ブリストル製薬)
[重要な基本
的注意]
抗HIV薬の使用により,体脂肪の再分布/蓄積があらわれることがあるので,異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
本剤を含む抗HIV薬の多剤併用療法を行った患者で,免疫再構築症候群が報告されている。投与開始後,免疫機能が回復し,症候性のみならず無症候性日和見感染(マイコバクテリウムアビウムコンプレックス,サイトメガロウイルス,ニューモシスチス等によるもの)等に対する炎症反応が発現することがあるので,これらの炎症性の症状を評価し,必要時には適切な治療を考慮すること。
〈参   考〉 企業報告

11 〈抗ウイルス剤〉
硫酸アバカビル,アンプレナビル,硫酸インジナビルエタノール付加物,エファビレンツ,サニルブジン,ザルシタビン,ジダノシン,ジドブジン,メシル酸デラビルジン,ネビラピン,メシル酸ネルフィナビル,リトナビル
[販 売 名] ザイアジェン錠(グラクソ・スミスクライン),プローゼカプセル(キッセイ薬品工業),クリキシバンカプセル(萬有製薬),ストックリンカプセル200(萬有製薬),ゼリットカプセル15,同カプセル20(ブリストル製薬),ハイビッド錠0.375(中外製薬),ヴァイデックス錠25,同錠50,同錠100,同ECカプセル125,同ECカプセル200(ブリストル製薬),レトロビルカプセル(グラクソ・スミスクライン),レスクリプター錠200mg(ファイザー),ビラミューン錠200(日本ベーリンガーインゲルハイム),ビラセプト錠(日本たばこ産業),ノービア・ソフトカプセル100mg,ノービア・リキッド(アボットジャパン)
[重要な基本
的注意]
抗HIV薬の使用により,体脂肪の再分布/蓄積があらわれることがあるので,異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
本剤を含む抗HIV薬の多剤併用療法を行った患者で,免疫再構築症候群が報告されている。投与開始後,免疫機能が回復し,症候性のみならず無症候性日和見感染(マイコバクテリウムアビウムコンプレックス,サイトメガロウイルス,ニューモシスチス等によるもの)等に対する炎症反応が発現することがあるので,これらの炎症性の症状を評価し,必要時には適切な治療を考慮すること。
〈参   考〉 企業報告

12 〈抗ウイルス剤〉
サキナビル,メシル酸サキナビル
[販 売 名] フォートベイスカプセル,インビラーゼカプセル(中外製薬)
[禁忌]
テルフェナジン,アステミゾール,シサプリド,ピモジド,アミオダロン,ベプリジル,エルゴタミン製剤,バルデナフィルを投与中の患者
[重要な基本
的注意]
抗HIV薬の使用により,体脂肪の再分布/蓄積があらわれることがあるので,異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
本剤を含む抗HIV薬の多剤併用療法を行った患者で,免疫再構築症候群が報告されている。投与開始後,免疫機能が回復し,症候性のみならず無症候性日和見感染(マイコバクテリウムアビウムコンプレックス,サイトメガロウイルス,ニューモシスチス等によるもの)等に対する炎症反応が発現することがあるので,これらの炎症性の症状を評価し,必要時には適切な治療を考慮すること。
[相互作用
(併用禁忌)]
バルデナフィル
〈参   考〉 企業報告

13 〈抗ウイルス剤〉
ジドブジン・ラミブジン
[販 売 名] コンビビル錠(グラクソ・スミスクライン)
[警告]
警告
B型慢性肝炎を合併している患者では,ラミブジンの投与中止により,B型慢性肝炎が再燃するおそれがあるので,本剤の投与を中断する場合には十分注意すること。特に非代償性の場合,重症化するおそれがあるので注意すること。
[重要な基本
的注意]
「B型慢性肝炎を合併している患者では,ラミブジンの投与中止により,B型慢性肝炎が再燃するおそれがあるので,本剤の投与を中断する場合には十分注意すること。」を削除
抗HIV薬の使用により,体脂肪の再分布/蓄積があらわれることがあるので,異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
本剤を含む抗HIV薬の多剤併用療法を行った患者で,免疫再構築症候群が報告されている。投与開始後,免疫機能が回復し,症候性のみならず無症候性日和見感染(マイコバクテリウムアビウムコンプレックス,サイトメガロウイルス,ニューモシスチス等によるもの)等に対する炎症反応が発現することがあるので,これらの炎症性の症状を評価し,必要時には適切な治療を考慮すること。
〈参   考〉 企業報告

14 〈抗ウイルス剤〉
ホスアンプレナビルカルシウム水和物
[販売名] レクシヴァ錠700(グラクソ・スミスクライン)
[禁忌]
塩酸バルデナフィル水和物を投与中の患者
[重要な基本
的注意]
抗HIV薬の使用により,体脂肪の再分布/蓄積があらわれることがあるので,異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
本剤を含む抗HIV薬の多剤併用療法を行った患者で,免疫再構築症候群が報告されている。投与開始後,免疫機能が回復し,症候性のみならず無症候性日和見感染(マイコバクテリウムアビウムコンプレックス,サイトメガロウイルス,ニューモシスチス等によるもの)等に対する炎症反応が発現することがあるので,これらの炎症性の症状を評価し,必要時には適切な治療を考慮すること。
[相互作用
(併用禁忌)]
塩酸バルデナフィル水和物
〈参   考〉 企業報告

15 〈抗ウイルス剤〉
ラミブジン(150mg,300mg)
[販 売 名] エピビル錠150,同錠300(グラクソ・スミスクライン)
[警告]
警告
B型慢性肝炎を合併している患者では,本剤の投与中止により,B型慢性肝炎が再燃するおそれがあるので,本剤の投与を中断する場合には十分注意すること。特に非代償性の場合,重症化するおそれがあるので注意すること。
[重要な基本
的注意]
「B型慢性肝炎を合併している患者では,本剤の投与中止により,B型慢性肝炎が再燃するおそれがあるので,本剤の投与を中断する場合には十分注意すること。」を削除
抗HIV薬の使用により,体脂肪の再分布/蓄積があらわれることがあるので,異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
本剤を含む抗HIV薬の多剤併用療法を行った患者で,免疫再構築症候群が報告されている。投与開始後,免疫機能が回復し,症候性のみならず無症候性日和見感染(マイコバクテリウムアビウムコンプレックス,サイトメガロウイルス,ニューモシスチス等によるもの)等に対する炎症反応が発現することがあるので,これらの炎症性の症状を評価し,必要時には適切な治療を考慮すること。
〈参   考〉 企業報告

16 〈抗ウイルス剤〉
ラミブジン・硫酸アバカビル
[販 売 名] エプジコム錠(グラクソ・スミスクライン)
[警告]
警告
B型慢性肝炎を合併している患者では,ラミブジンの投与中止により,B型慢性肝炎が再燃するおそれがあるので,本剤の投与を中断する場合には十分注意すること。特に非代償性の場合,重症化するおそれがあるので注意すること。
[重要な基本
的注意]
「B型慢性肝炎を合併している患者では,ラミブジンの投与中止により,B型慢性肝炎が再燃するおそれがあるので,本剤の投与を中断する場合には十分注意すること。特に非代償性肝疾患の患者では重症化するおそれがあるので注意すること。」を削除
抗HIV薬の使用により,体脂肪の再分布/蓄積があらわれることがあるので,異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
本剤を含む抗HIV薬の多剤併用療法を行った患者で,免疫再構築症候群が報告されている。投与開始後,免疫機能が回復し,症候性のみならず無症候性日和見感染(マイコバクテリウムアビウムコンプレックス,サイトメガロウイルス,ニューモシスチス等によるもの)等に対する炎症反応が発現することがあるので,これらの炎症性の症状を評価し,必要時には適切な治療を考慮すること。
〈参   考〉 企業報告

目次へ


3.市販直後調査の対象品目一覧

(平成17年6月1日現在)
一般名
販売名
製造販売業者名 市販直後調査開始年月日
アデホビルピボキシル
ヘプセラ錠10
グラクソ・スミスクライン(株) 平成16年12月8日
三酸化ヒ素
トリセノックス注10mg
日本新薬(株) 平成16年12月8日
ペグインターフェロンアルファ-2b(遺伝子組換え)
ペグイントロン皮下注用50μg,同皮下注用100μg,同皮下注用150μg
シェリング・プラウ(株) 平成16年12月8日
ラミブジン
ゼフィックス錠100*1
グラクソ・スミスクライン(株) 平成16年12月8日
リバビリン
レベトールカプセル200mg*2
シェリング・プラウ(株) 平成16年12月8日
臭化チオトロピウム水和物
スピリーバ吸入用カプセル18μg
日本ベーリンガーインゲルハイム(株) 平成16年12月10日
ホスアンプレナビルカルシウム水和物
レクシヴァ錠700
グラクソ・スミスクライン(株) 平成17年1月7日
プロピオン酸ベクロメタゾン
キュバール50エアゾール,同100エアゾール*3
大日本製薬(株) 平成17年1月19日
ゾレドロン酸水和物
ゾメタ注射液4mg
日本チバガイギー(株) 平成17年1月21日
塩酸プラルモレリン
注射用GHRP科研100
科研製薬(株) 平成17年2月25日
硫酸アルミニウムカリウム・タンニン酸
ジオン注無痛化剤付,同注生食液付
三菱ウェルファーマ(株) 平成17年3月15日
塩酸エピナスチン
アレジオンドライシロップ1%
日本ベーリンガーインゲルハイム(株) 平成17年3月23日
エタネルセプト(遺伝子組換え)
エンブレル皮下注用25mg
ワイス(株) 平成17年3月30日
オキサリプラチン
エルプラット注射用100mg
(株)ヤクルト本社 平成17年4月6日
タクロリムス水和物
プログラフ0.5mg,同1mg*4
アステラス製薬(株) 平成17年4月11日
エムトリシタビン
エムトリバカプセル200mg
日本たばこ産業(株) 平成17年4月19日
エムトリシダビン・フマル酸テノホビルジソプロキシル配合剤
ツルバダ錠
日本たばこ産業(株) 平成17年4月19日
ロスバスタチンカルシウム
クレストール錠2.5mg,同錠5mg
アストラゼネカ(株) 平成17年4月27日
注)効能追加等における対象
*1: 効能追加された「アデホビルピボキシルとの併用の場合」
*2: 効能追加された「ペグインターフェロンアルファ-2b(遺伝子組換え)との併用による次のC型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善」
*3: 小児用量追加された「小児には,通常1回50μgを1日2回口腔内に噴霧吸入する。なお,年齢,症状により適宜増減するが,1日の最大投与量は,成人では800μg,小児では200μgを限度とする。(下線部追加)」
*4: 効能追加された「関節リウマチ(既存治療で効果不十分な場合に限る)」

目次へ


お知らせ
この医薬品・医療用具等安全性情報は,厚生労働省において収集された副作用情報をもとに,医薬品・医療用具等のより安全な使用に役立てていただくために,医療関係者に対して情報提供されるものです。
医薬品・医療機器等安全性情報は,医薬品医療機器情報提供ホームページ(http://www.info.pmda.go.jp/)又は厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/)からも入手可能です。
また,NTTのファクシミリ通信網サービス「Fネット」を通じ,最近1年間の「医薬品・医療機器等安全性情報」がお手元のファクシミリから随時入手できます(利用者負担)。
「Fネット」への加入等についての問い合わせ先:0120−161−011
医薬関係者等の皆様へ
医薬品安全性報告書及び医療機器安全性報告書の報告様式については、 (http://www.info.pmda.go.jp/info/houkoku.html) から入手可能です。


照 会 先
厚生労働省医薬食品局安全対策課
03-5253-1111(内線)2753


トップへ
報道発表資料   トピックス   厚生労働省ホームページ