全国の鉄道事業者に安全衛生管理の点検を要請
−鉄道事業者に対する安全衛生管理の徹底について−
本年4月25日に西日本旅客鉄道福知山線において100名を超える方々が亡くなり、500人を超える負傷者が出るという甚大な事故が発生したことを受け、厚生労働省としてはこれまでに労働災害防止の観点から西日本旅客鉄道株式会社に対し、大阪労働局、兵庫労働局及び所轄労働基準監督署による立ち入り調査を実施し、その結果を踏まえ、安全衛生管理等に関し、改善を必要とすべき点について指導を行ってきたところである(別添1)。上記の調査の結果明らかとなった問題点について、他の鉄道事業者における状況を把握する必要があるため、本日、厚生労働省労働基準局安全衛生部長より、都道府県労働局長に対し、管内の鉄道事業者を対象とした安全衛生管理に関する点検等の実施を指示した。
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1 | 対象
全国の鉄道事業者(約150社、西日本旅客鉄道株式会社を除く。)
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2 | 実施内容
(1) | 都道府県労働局長から全国の鉄道事業者(本社)に対し以下の事項を要請する。
(1) | 西日本旅客鉄道株式会社に対して実施した調査の結果明らかとなった問題点を踏まえた安全衛生管理に関する点検(別添2)の実施 |
(2) | (1)の点検結果に問題が認められた場合における改善措置の実施 |
(3) | (1)及び(2)の実施結果の概要の都道府県労働局長への報告(8月1日まで) |
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(2) | 都道府県労働局長より、上記(1)(3)の報告を踏まえ、各鉄道事業者に対し、必要な指導を実施する。 |
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(別添1)
西日本旅客鉄道脱線事故に対する調査結果の概要について
1 | 概要
本件について、大阪労働局、所轄労働基準監督署等において、京橋電車区、大阪支社等に対して立ち入り調査を実施した。
その結果、把握された問題点に対し、5月30日に大阪労働局長から西日本旅客鉄道社長あて、京橋電車区の問題点はもとより、全社的な見直しを行うよう指導文書を交付した。
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2 | 指導内容の概要
調査によると、一定の措置は実施されていたものの、以下の点について問題があったため、その改善を指導した。
(1) | 安全衛生委員会の活動について
(1) | 労働者側委員について、労働者代表からの推薦に基づき指名すること。 |
(2) | 産業医を出席させること。 |
(3) | 労働者の健康診断結果等健康障害防止やメンタルヘルス対策に係る調査審議を行うこと。 |
(4) | 労働災害に係るヒヤリハット事例や日常の安全活動結果等についての審議を行うこと。 |
(5) | 安全衛生規定を審議すること。 |
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(2) | 安全管理者等に対する教育等に関する安全衛生教育計画を審議・策定し、計画的・組織的な安全衛生教育を行うこと。 |
(3) | 経営トップ自らが定めた安全衛生方針について各事業場に周知徹底を図ること。また、それに基づく目標・計画による組織的・継続的な安全衛生水準の向上のための仕組みを確立すること。 |
(4) | 就業規則の一部である賞罰等取扱規程を届け出るとともに、周知を図ること。 |
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(別添2)
安全衛生管理等の徹底について(点検項目)
1 | 安全衛生委員会等
(1) | 安全衛生委員会等の設置状況 |
(2) | 労働者側委員の労働者代表の推薦に基づく指名状況 |
(3) | 総括安全衛生管理者、安全管理者、衛生管理者、産業医の出席状況 |
(4) | 委員会の開催状況、議事録の作成状況 |
(5) | 以下に掲げる事項の調査審議状況
(1) | 労働者の危険防止、労働災害の原因および再発防止対策、日常的な安全衛生活動 |
(2) | 労働者の健康障害防止、労働者の健康の保持増進、メンタルヘルス対策 |
(3) | 安全衛生規定、安全衛生教育計画 |
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2 | 安全衛生教育
(1) | 安全衛生教育計画の策定状況 |
(2) | 以下の安全衛生教育の実施状況
(1) | 雇入れ時教育 |
(2) | 作業内容変更時教育 |
(3) | 安全衛生特別教育 |
(4) | 安全管理者等に対する教育 |
(5) | 危険予知活動等の日常的な安全活動のための教育 |
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3 | 経営トップを中心とした労働災害防止のための自主的な取り組み
(1) | 経営トップによる安全衛生方針の策定状況 |
(2) | 安全衛生方針の各事業場への周知状況 |
(3) | 安全衛生方針に基づく目標や計画の策定状況 |
(4) | 危険有害要因の調査等(リスクアセスメント)の実施状況 |
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