平成16年における死亡災害・重大災害発生状況の概要


 労働災害による死亡者数の推移【図1参照】
 労働災害による死亡者数は、昭和36年をピークとして長期的には減少してきており、平成16年の労働災害による死亡者数は1,620人であった。最近10年の減少傾向をみると、全業種における死亡災害の減少は、建設業における死亡者数の減少によるところが大きかったが、平成16年は建設業における死亡者数が増加しており、その他の業種における死亡者数の減少等により全業種における労働災害による死亡者数は減少となった。
 その結果、労働災害による死亡者数は、7年連続で2,000人を下回り、平成16年は、これまでで最少であった平成15年(1,628人)と比較して8人(前年比0.5%)減少した。

図1 死亡災害発生状況の推移


2 死亡災害の業種別発生状況【図2、表1参照】
 昨年まで減少傾向であった、建設業における死亡者数は594人で、平成15年と比較して46人(8.4%)増加した。全産業に占める割合は36.7%であり依然として最も高く、3.0ポイント増加した。
 製造業における死亡者数は293人で、平成15年と比較して増減がないが、全産業に占める割合は18.1%であり、0.1ポイント上昇した。
 陸上貨物運送事業における死亡者数は242人で、平成15年と比較して2人(0.8%)増加している。全産業に占める割合は15.0%であり、0.2ポイント上昇した。
 昨年14人増加した林業における死亡者数は46人で、平成15年と比較して15人(24.6%)減少している。

図2 平成16年における業種別死亡災害発生状況


表1 業種別死亡災害発生状況(平成7年〜平成16年)

  16年 (構成比(%)) 15年 構成比(%) 14年 構成比(%) 13年 構成比(%) 12年 構成比(%)
全産業 1,620 100.0 1,628 100.0 1,658 100.0 1,790 100.0 1,889 100.0
製造業 293 18.1 293 18.0 275 16.6 326 18.2 323 17.1
鉱業 16 1.0 14 0.9 17 1.0 24 1.3 26 1.4
建設業 594 36.7 548 33.7 607 36.6 644 36.0 731 38.7
交通運輸業 36 2.2 32 2.0 35 2.1 32 1.8 29 1.5
陸上貨物運送事業 243 15.0 241 14.8 234 14.1 241 13.5 271 14.3
港湾荷役業 10 0.6 12 0.7 15 0.9 18 1.0 11 0.6
林業 46 2.8 61 3.7 49 3.0 54 3.0 53 2.8
その他 382 23.6 427 26.2 426 25.7 451 25.2 445 23.6
 
  11年 構成比(%) 10年 構成比(%) 9年 構成比(%) 8年 構成比(%) 7年 構成比(%)
全産業 1,992 100.0 1,844 100.0 2,078 100.0 2,363 100.0 2,414 100.0
製造業 344 17.3 305 16.5 351 16.9 405 17.1 417 17.3
鉱業 24 1.2 29 1.6 40 1.9 32 1.4 45 1.9
建設業 794 39.9 725 39.3 848 40.8 1001 42.4 1,021 42.3
交通運輸業 29 1.5 47 2.5 38 1.8 36 1.5 47 1.9
陸上貨物運送事業 270 13.6 225 12.2 290 14.0 333 14.1 312 12.9
港湾荷役業 10 0.5 19 1.0 17 0.8 28 1.2 20 0.8
林業 71 3.6 69 3.7 56 2.7 80 3.4 74 3.1
その他 450 22.6 425 23.0 438 21.1 448 19.0 478 19.8


3 事故の型別発生状況【表2参照】
 「交通事故(道路)」による死亡災害の占める割合は27.4%(全産業合計の1,620人中444人)、高所からの「墜落・転落」による死亡災害の占める割合は25.6%(全産業合計の1,620人中415人)であり、この2つの災害で全体の50%を超えている。
 建設業においては「墜落・転落」による死亡災害の占める割合が高く、43.8%(建設業全体の594人中260人)となっている。建設業はこれまで減少傾向にあったが、平成16年は増加に転じており、特に「墜落・転落」、「激突され」、「感電」による災害が増加している。
 陸上貨物運送事業においては、「道路上の交通事故」による死亡災害の占める割合が高く、65.8%(陸上貨物運送事業全体の243人中160人)となっている。
 前年増加した林業における災害は、「墜落・転落」による死亡者が14人から7人に減少している。


表2   業種、事故の型別死亡災害発生状況(平成16年)
(確定)
 
墜落

転落
転倒
激突
飛来

落下
崩壊

倒壊
激突され
はさまれ巻き込まれ
切れ

こすれ
踏抜き
おぼれ
高温

低温物との接触
有害物との接触
感電
爆発
破裂
火災
交通事故

道路
交通事故

その他
動作の反動無理な動作
その他
分類不能
合計
全産業 415 34 8 87 90 102 229 7 2 40 18 19 23 15 6 6 444 18 0 52 5 1620
  413   37   15   79   104   74   229   11   2   27   20   24   14   21   0   22   482   10   0   39   5   1628
製造業 48 4 1 29 14 23 95 2 1 6 6 12 3 8 0 2 26 1 0 11 1 293
  41   4   4   24   17   14   91   6   1   7   9   11   7   17   0   8   29   0   0   2   1   293
鉱業 5 0 1 0 2 0 4 0 0 2 0 0 1 0 0 0 1 0 0 0 0 16
  2   0   0   0   3   0   3   0   0   1   0   0   0   1   0   3   1   0   0   0   0   14
建設業 260 13 5 31 54 37 51 1 1 10 11 5 18 5 6 0 74 1 0 10 1 594
  247   13   3   26   59   23   58   1   1   9   9   7   4   0   0   7   70   2   0   9   0   548
交通運輸
事業
2 1 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 22 9 0 1 0 36
  1   0   0   0   1   1   2   0   0   0   0   0   0   0   0   0   20   4   0   2   1   32
陸上貨物
運送事業
21 1 0 12 14 6 21 0 0 2 0 0 0 1 0 0 160 0 0 5 0 243
  20   4   2   8   4   6   22   0   0   2   0   0   0   0   0   0   169   0   0   4   0   241
港湾
荷役業
2 0 0 2 0 1 3 0 0 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 10
  1   0   0   2   3   3   2   0   0   1   0   0   0   0   0   0   0   0   0   0   0   12
林業 7 0 0 5 5 22 2 2 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 2 0 46
  14   2   0   7   11   13   2   3   0   0   1   0   0   0   0   0   2   0   0   5   1   61
その他 70 15 1 8 1 13 53 1 0 18 1 2 1 1 0 4 160 7 0 23 3 382
  87   14   6   12   6   14   49   1   0   7   1   6   3   3   0   4   191   4   0   17   2   427

 
H16年
  前年


4 重大災害発生状況【図3、表3,4参照】
 全産業における重大災害発生状況は274件であり、平成15年(249件)と比較して25件(前年度比10.0%)増加している。また、「交通事故」が134件、「交通事故」を除いた件数でも139件と、平成15年(129件)からそれぞれ14件、10件増加している。
 業種別発生状況は、製造業における重大災害は64件であり、平成15年(38件)と比較して26件(前年度比68.4%)増加しており、重大災害増加の主な要因となっている。その内訳は、交通事故が19件と平成15年と比較して10件(前年比111.1%)増加したほか、「爆発」が11件、「火災・高熱物」が10件、「中毒・薬傷」が17件と、平成15年と比較してそれぞれ4件(前年比57.1%)、6件(前年比150.0%)、5件(41.7%)増加している。

図3 重大災害発生状況の推移


表3 平成16年における重大災害発生状況
(確定)
業種 平成16年(1月〜12月) 平成15年(1月〜12月) 増減数
件数(件) 死傷者数(人) 死亡者数(人) 件数(件) 死傷者数(人) 死亡者数(人) 件数(件) 死傷者数(人) 死亡者数(人)
全産業 274 1,431 97 249 1,720 90 25 -289 7
  製造業 64 374 13 38 227 15 26 147 -2
鉱業 0 0 0 2 8 3 -2 -8 -3
建設業 89 364 44 88 403 29 1 -39 15
交通運輸業 11 47 11 9 28 3 2 19 8
陸上貨物運送事業 23 87 17 22 105 14 1 -18 3
港湾荷役業 0 0 0 2 7 1 -2 -7 -1
林業 2 9 0 3 11 0 -1 -2 0
その他の事業 85 550 12 85 931 25 0 -381 -13

 (注) 1 重大災害報告より作成したもの。
 2 一時に3人以上の労働者が業務上死傷又はり病した災害事故について作成。
 3 「−」は減少を示す。
 4 被災者が属する業種が複数にまたがる場合には、主たる業種についてのみ計上している。


表4 業種・事故の型別重大災害発生状況(平成16年)
(確定)
 
爆発
破裂
土砂災害
落盤
雪崩
倒壊
墜落
クレ

ン等
交通事故
火災

高熱物
中毒

薬傷
電気
海難
その他
合計
全産業 14 0 3 0 0 7 11 0 134 21 49 2 3 30 274
  13   4   6   0   1   8   6   3   120   13   54   0   0   21   249
製造業 11 0 0 0 0 1 1 0 19 10 17 1 0 4 64
  7   2   0   0   0   2   0   1   9   4   12   0   0   1   38
鉱業 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
  0   0   0   0   0   0   0   0   0   1   0   0   0   0   1
建設業 3 0 2 0 0 6 8 0 48 4 10 0 2 6 89
  0   1   6   0   1   4   5   1   50   5   12   0   0   4   89
運輸業 0 0 0 0 0 0 0 0 10 0 1 0 0 0 11
  0   0   0   0   0   0   0   0   7   0   0   0   0   2   9
陸上貨物
取扱業
0 0 0 0 0 0 1 0 21 0 1 0 0 0 23
  0   0   0   0   0   1   0   0   17   0   2   0   0   2   22
港湾
荷役業
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
  0   0   0   0   0   0   0   1   0   0   0   0   0   1   2
林業 0 0 0 0 0 0 0 0 2 0 0 0 0 0 2
  0   0   0   0   0   0   0   0   2   0   0   0   0   1   3
その他 0 0 1 0 0 0 1 0 34 7 20 1 1 20 85
  6   1   0   0   0   1   1   0   35   3   28   0   0   10   85

 (注) 1 重大災害報告より作成したもの。
 2 一時に3人以上の労働者が業務上死傷又はり病した災害事故について作成。
 3 被災者が属する業種が複数にまたがる場合には、主たる業種についてのみ計上している。
H16年
  前年

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