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求人開拓事業に係る市場化テスト(モデル事業)の
実施に関する方針


 趣旨

 現下の雇用失業情勢は、引き続き改善しつつあるものの、依然求人情勢が厳しい地域にあっては引き続き求人を量的に確保するための求人開拓の推進が必要である。
 こうした求人開拓は、平成17年度、全国77地域で実施することとしているが、3地域について、民間事業者等の知見・ノウハウを活用することにより、サービスのコスト削減・質向上をめざしていく観点から、市場化テスト(モデル事業)の対象とする。

 基本的な考え方

 この市場化テスト(モデル事業)においては、民間事業者の創意工夫を最大限活用するとともに、国は入札に参加しないが、国と民間との間の透明・中立・公正な比較を実現することを目的としている。このため、落札した民家事業者が国に対して不利にならないよう競争条件均一化のための措置を講ずるとともに、サービスの質やコスト(当該事業に要する直接的な費用に加え間接的な費用を適切に参入)の面から官民の実績評価を行う。
 このため、民間事業者の創意工夫を最大限活用する観点から、業務の遂行のあり方や実現の手法は、ハローワークが従来行ってきた前例に拘束されず、入札参加者の提案と裁量に委ねられる。
 また、国と民間の間の透明・中立・公正な比較を実現する観点から、本事業を実施する3地域のハローワークにおける事業の実績(サービス水準及び費用)について、客観的かつ可能な限り定量的な指標を用い、費用を構成する項目要素と費用を公表する。

 事業概要

(1) 対象地域
 北海道札幌地域(札幌所、札幌東所、札幌北所、小樽所、岩見沢所)
 秋田中央地域(秋田所、本荘所)
 福岡北九州地域(八幡所、小倉所、行橋所、若松所、門司所)
 対象地域ごとに、一の受託事業者に求人開拓事業を一括して委託する。

(2) 事業の実施期間
 事業の実施期間は、平成17年6月1日から平成18年5月31日までとする。

(3) 開拓対象となる求人
 開拓により確保する求人の対象及び内容は、求職者の再就職に資する求人の量的確保を目的とし、次の条件に該当するものとする。
1 労働市場圏内に所在する事業所のものであること
2 労働市場圏内を就業地とするものであること
3 雇用保険への加入が見込まれるものであること

(4) 実施内容
 求人開拓として実施する内容は次のとおりとする。
 受託事業者は、一の求人開拓ごとに次の1から4までのすべてを行うものとする。
1 求人未提出事業所に係る求人提出につながる情報を収集すること。
2 求人未提出事業所に対し求人提出を勧奨すること。
3 具体的な求人につながる求人未提出事業所の情報について、その詳細を把握、確認の上、管轄のハローワークに提供すること。具体的には、求人申込書(ハローワークに求人を出したことがない事業所にあっては事業所登録シートを含む。)を提出すること。
 なお、求人票を提出しようとする事業主が、過去において安定所に求人申込を行ったことがない場合、事業所訪問を行うことが必要である。
4 求人開拓時には、紹介に当たり希望する事項等の把握に努め、把握できた事項を補足事項として報告すること。
 民間事業者の創意工夫を最大限活用する観点から、これらの具体的内容や実施体制等は受託事業者の創意・工夫に委ねられるが、その内容は企画書に明記し、実行するものとする。

(5) その他の契約条件
 求人開拓に当たっては、次の取扱いを実施する。
1 ハローワークにおいて、求人申込書等の完全記入を確認し、求人受理を行った時点において当該求人申込みに係る求人開拓が実施されたものとし、ハローワークの指摘がある事項については、補足、補正を行うものとすること。
2 内容に労働基準法違反、最低賃金法違反、年齢制限理由不記載、男女雇用機会均等法違反、労働保険・社会保険の未加入等法令違反の疑いのある内容の求人の申込みに対しては、受理を一旦保留した上で、安定所において当該事業主から事情を聴くなどして取り扱う。
3 事業所との接触の結果、事業主から要請があった場合は、(3)の条件に該当しないものであっても(4)を実施すること。
4 有効期限切れの求人を、求人条件の変更を行うことなく更新する求人開拓は実施しないこと。
 受託事業者は、事業実施に当たり、次の規範を遵守しなければならない。
1 ハローワークの求人開拓を目的とするときは、ハローワークの求人開拓事業の受託事業者であることを明らかにすること。
2 事業の過程で知り得た個人情報及び事業所情報(安定所が提供する求人情報を含む。)は、受託事業の範囲内でのみ収集し、保管し、又は使用するものとし、みだりに他に漏らしてはならないこと。
3 業務上知り得た秘密の取扱いは、労働局の指示に従うものとし、それ以外の場合に他に漏らしてはならないこと。
4 求人内容に関し、把握した重要な事実を隠すこと、把握した事実以外の内容を追加、変更してはならないこと。
5 金品をもって求人を勧誘してはならないこと。
6 受託事業の活動において、利用者等からいかなる料金、手数料、実費の類(国の委託費を除く。)も徴収してはならないこと。
7 ハローワークの名称を受託事業以外の目的に使用してはならないこと。
8 ハローワークの求人開拓として事業所と接触した際に、同時に、自らの他の事業活動を行ってはならないこと。
9 その他契約上の義務に反してはならないこと。

 市場化テスト評価委員会の設置

 厚生労働省に「市場化テスト評価委員会」を設置し、国が作成する入札仕様書、落札者の選定に当たっての評価基準等について、第三者、民間事業者等の意見を反映させるとともに、実際の落札者の選定に当たって応札した民間事業者の企画書について質の評価を行うとともに、事業開始後は定期的に実績の評価を行う。
 市場化テスト評価委員会の構成は、労働問題や市場化テストについて知見を有する学識経験者、職業紹介事業者等の事業主団体代表者、行政関係者とする。ただし、事業主団体代表者は、実際の落札者の選定に当たって応札した民間事業者の企画書の評価を行う際には参加しない。
 また、議事の概要は公開する(ただし、一般競争入札の公正な実施を妨げるおそれのある事項を除く。)

 入札に関する事項

(1) 入札方式
 受託事業者の決定方法は、総合評価方式の一般競争入札による。
 契約の主体は、労働局長とし、業務の質等に関する評価の結果及び入札価格により落札事業者を決定する。ただし、業務の質等に関する評価については「市場化テスト評価委員会」の意見を反映させるものとする。

(2) 受託事業者の決定方法
 受託事業者は、一般競争入札(総合評価方式)による落札者(予定価格の範囲の入札額であって、業務の質等に関する評価点を価格で除して得られる総合評価点が最も高いもの)とする。
 業務の質等に関する評価点は、支援の内容が確実に実施されると評価される場合に与えられる基礎点と、支援の内容の質の高さにより与えられる加算点の合計点とし、基礎点と加算点の配点比率は10対2とする。
 事業内容の性能等に関する評価は、次の観点から実施する。その際、本省において開催する「市場化テスト評価委員会」の意見を反映させる。
1 労働市場に関する認識が、妥当かつ効果的な求人開拓を行う観点からの工夫が施されているか。
2 求人開拓の実施方法が、妥当かつ効果的な求人開拓を行う観点からの工夫が施されているか。
3 実施体制が、妥当かつ効果的な求人開拓を行う観点からの工夫が施されているか。
4 1から3までその他の事項が、全体として妥当か。

(3) 入札参加要件
 職業紹介事業者、求人情報提供事業者その他の本事業を適切に企画し、実行できる事業者であって、事業期間中対象地域に事業所を設置するものであること。
 入札参加者は、事業内容の性能等に関する評価を受けるため、次の事項を内容とする企画書を提出すること。
1 当該地域の労働市場に関する認識(地域の経済動向、業種別の業況、求人、求職等雇用失業情勢等)
2 労働市場の動向を踏まえた求人開拓の方法(接触対象事業所の範囲及び選定方法、接触頻度及び方法等)
3 実施体制(受託事業に係る組織構成、従事者の数、能力、実務経験、従事者間の業務の分担、従事者への教育訓練等)
4 1から3その他の事項についての事業全体としての構成、運用方法等
 会計関係法令上の入札資格があること。
 職業安定法第32条の有料職業紹介事業の許可の欠格要件を準用しこれに該当しないこと。

(4) 適切、適正な入札機会の確保
 入札説明書の交付はもとより、入札説明会の開催、40日間の入札期間の確保、質問への適切な対応により、適切、適正な入札の機会を確保する。
 また、民間の企画書の検討に資するため、入札説明会等において、本事業を実施する3地域のハローワークにおける求人開拓の実績(平成12年度〜平成15年度及び平成16年度前半)、平成15年度の求人開拓推進員の人数、謝金及び旅費を示す。

(5) 区分経理
 受託事業者は、求人開拓事業について他の経理と区分してその経理を行うものとする。

 事業の実績評価

(1) 開拓された求人件数、当該求人の求人数及び充足数並びに要した経費(落札額、実際に要した費用の双方)を指標として、事後的な事業評価を実施する。また、落札価格と経費の比較を行うことにより、本事業において実施した総合評価方式による一般競争入札の手法についても検証する。

(2) 国の直轄事業についても、受託事業者と同様の方法により実績評価を行う。経費については、直接経費について、実際に要した費用により、国と民間と比較する。

(3) 3(5)イ3又は4に該当するものは、開拓求人の実績に含めないものとする。

 競争条件均一化のための措置

(1) 落札した民間事業者等が国に対して不利な立場とならず、その円滑な事業運営が可能となるような必要な措置を講ずることとする。

(2) 求人の効率的開拓に資するため、安定所の求人開拓推進員が使用していた資料、業務統計を、安定所の業務に支障のない範囲で提供する。
 受託事業者とハローワークは、それぞれ担当を定め、業務の進捗等に関する情報の交換に努めることとする。
 開拓求人の充足の状況については、厚生労働省において月次で集計を行い、情報提供を行う(*)。
* 労働市場センターにおける特別集計が必要であり、その方法等につき検討中。

(3) 求人開拓のために広範に配布するものにあっては、受託事業者において作成、印刷等を行うものとする。

(4) 効率的な求人開拓の実施を図るため、ハローワークは、受託事業者に対し、次の求人に係る事業所の名称、住所及び郵便番号を提供する。
 毎月の第1営業日における有効求人
 日々新規に受理した求人

 公共サービスの確実な提供の担保に関する事項

(1) 受託事業者は、「ハローワーク求人開拓事業(△△受託○○労働局委託事業)」の受託事業者であることを称し、ハローワークの求人開拓を目的する事業所訪問では、その旨を必ず明らかにするものとする。

(2) 受託事業者は、労働局長から求人開拓事業者であることを明らかにする証書の交付を受け、事務所に掲出する。

(3) ハローワークが、求人の受理後、求職者に対する相談、紹介等を実施する上で、求人票(事業所情報を含む。)以上に詳細な情報を必要とする場合、必要な情報の把握はハローワークにおいて行うものとする。
 なお、受託事業者が実施する求人開拓とは別に、ハローワークは個々の職業紹介等に必要な場合に求人開拓その他の事業所訪問等を実施している。

(4) 国は事業の実施状況及び経理について検査することができるものとする。受託事業者に法令又は契約に違反する行為がある場合、国は契約を解除し、又は損害賠償を請求できるものとする。

 モニタリングに関する事項

 受託事業者は、接触した事業所、接触の日、接触の方法(訪問、郵便、電話等の別)を記録し、週に一度、活動状況を報告するものとする。



照会先:職業安定局首席職業指導官室
電話:03-5253-1111(内線5776)
FAX :03-3502-2606


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