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社会保険労務士法の一部を改正する法律案の概要
 裁判外紛争解決手続の利用の促進に資するため、社会保険労務士について、個別労働関係紛争に関する紛争解決手続における代理業務を行うことができるようにする等所要の措置を講ずる。
「今後の司法制度改革の推進について」(平成16年11月26日司法制度改革推進本部決定)に基づき、次の改正を行う。

改正の概要
1 紛争解決手続代理業務の拡大
 ○  個別労働関係紛争解決促進法に基づき都道府県労働局が行うあっせんの手続の代理に加え、新たに次の代理業務を追加する。
(1)  個別労働関係紛争について都道府県労働委員会が行うあっせんの手続の代理
(2)  男女雇用機会均等法に基づき都道府県労働局が行う調停の手続の代理
(3)  個別労働関係紛争について厚生労働大臣が指定する団体が行う紛争解決手続の代理(紛争価額が60万円を超える事件は弁護士の共同受任が必要)
 ○  上記代理業務には、当該手続に関する相談、和解の交渉及び和解契約の締結の代理を含む。

2 紛争解決手続代理業務に係る研修及び試験
 ○  上記代理業務に必要な学識及び実務能力に関する研修の修了者に対し試験を実施する。
 ○  当該試験の合格者のみ上記代理業務を行うことができることとする。

3 労働争議不介入規定の削除
 ○  社会保険労務士の労働争議への介入を禁止する規定を削除する。


施行期日
 ○  2,3については公布の日から9月以内の政令で定める日
 ○  1については裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律の施行日

 今後の司法制度改革の推進について(抜粋)
 社会保険労務士について、次に掲げる方向性に沿って、裁判外紛争解決手続における当事者の代理人としての活用を図る。
 1  信頼性の高い能力担保措置を講じた上で、上記概要(1)〜(3)の事務を社会保険労務士の業務に加えること
 個別労働関係紛争解決促進法に基づき都道府県労働局が行うあっせんの手続の代理(平成15年4月からすでに実施)に関しても、信頼性の高い能力担保措置を講じる。
 上記概要(1)〜(3)の事務には、依頼者の紛争の相手方との和解のための交渉や和解契約の締結の代理を含む。
 2 労働争議介入禁止規定を見直すこと




(参考1)


今後の司法制度改革の推進について(抄)


平成16年11月26日
司法制度改革推進本部決定



 裁判外紛争解決手続における隣接法律専門職種の活用について

 裁判外紛争解決手続の利用を促進していくためには、手続実施者のみならず、代理人についても、利用者が適切な隣接法律専門職種を選択できるよう制度整備を図っていく必要がある。
 そこで、司法書士、弁理士、社会保険労務士及び土地家屋調査士について、別紙に掲げる方向性に沿って、裁判外紛争解決手続における当事者の代理人としての活用を図ることとし、所管府省を中心に、できるだけ早期の具体化に向け、今後、関係法案の提出を含め、所要の措置を講じていく必要がある。

(別紙)
.社会保険労務士
 信頼性の高い能力担保措置を講じた上で(注3)、次に掲げる事務を社会保険労務士の業務に加える。併せて、開業社会保険労務士が労働争議に介入することを原則として禁止する社会保険労務士法の規定を見直す。
(1) 都道府県知事の委任を受けて地方労働委員会が行う個別労働関係紛争のあっせん及び雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律に基づき都道府県労働局(紛争調整委員会)が行う調停の手続について代理すること。
(2) 個別労働関係紛争(紛争の目的となる価額が60万円を超える場合には、弁護士が同一の依頼者から裁判外紛争解決手続の代理を受任しているものに限る。)の裁判外紛争解決手続(厚生労働大臣が指定する団体が行うものに限る。)について代理すること。

(注3) 個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律に基づき都道府県労働局(紛争調整委員会)が行うあっせんの手続について代理する業務に関しても、併せて、信頼性の高い能力担保措置を講ずるものとする。
(注4) 1から4までにおける裁判外紛争解決手続の代理の事務には、裁判外紛争解決手続の代理を受任する前に依頼者の相手方と和解交渉を行うことは含まれないが、次に掲げる事務は、原則として、含まれることとなる。
(1)  裁判外紛争解決手続の代理を受任する際に依頼者からの相談に応じること
(2)  裁判外紛争解決手続の代理を受任した後、当該裁判外紛争解決手続の開始から終了までの間に依頼者の紛争の相手方と和解のための交渉を行うこと
(3)  裁判外紛争解決手続で成立した合意に基づき和解契約を締結すること




(参考2)


社会保険労務士制度について

1 社会保険労務士制度の概要
 ・  社会保険労務士制度は、社会保険労務士法(昭和43年法律第89号)に基づく制度であり、厚生労働省の所管となっている。
 ・  厚生労働省では、社会保険労務士試験の実施、社会保険労務士に対する監督、社会保険労務士の団体の設立等の認可及び監督等を行っている。

2 社会保険労務士の業務
 社会保険労務士の業務は、次のとおりである。
 (1)  労働社会保険諸法令に基づく申請書等及び帳簿書類の作成
 (2)  申請書等の提出代行
 (3)  申請等についての事務代理
 (4)  紛争調整委員会における個別労働関係紛争のあっせん代理
 (5)  労務管理その他労働及び社会保険に関する事項についての相談及び指導
 このうち、(1)〜(4)の業務については、社会保険労務士でない者は、他人の求めに応じ報酬を得て、業として行ってはならないこととされている。

3 社会保険労務士の現状
 ・  社会保険労務士となるためには、社会保険労務士試験に合格し、かつ、全国社会保険労務士会連合会に登録することが必要である。

 ・
 登録状況は次のとおりである。(平成16年12月末現在)
 社会保険労務士登録者 28,980人
  うち 開業社会保険労務士 18,265人
     社会保険労務士法人の社員 192人
     勤務社会保険労務士等 10,523人

 ・  平成16年度の社会保険労務士試験の受験申込者数は65,215人、受験者数は51,493人、合格者は4,850人(合格率は9.4%)であった。

4 社会保険労務士の団体
 (1)  都道府県社会保険労務士会
 会員の品位を保持し、その資質の向上と業務の改善進歩を図るため、会員の指導及び連絡に関する事務を行うことを目的とする。
 (2)  全国社会保険労務士会連合会
 社会保険労務士会の全国的な統一を図るための連合組織である。


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