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労審発第187号
平成16年12月21日

厚生労働大臣
 尾辻 秀久 殿

労働政策審議会
 会長 西川 俊作



労働者災害補償保険制度の改善について(建議)



 本審議会は、標記について、下記のとおりの結論に達したので、厚生労働省設置法第9条第1項第3号の規定に基づき、建議する。





別紙「記」のとおり。


(別紙)

平成16年12月21日

労働政策審議会
 会長 西川 俊作 殿

労働条件分科会
 分科会長 西村 健一郎



労働者災害補償保険制度の改善について(報告)



 本分科会は、標記について、下記のとおりの結論に達したので、報告する。





別紙「記」のとおり。


(別紙)

平成16年12月21日

労働条件分科会
 分科会長 西村 健一郎 殿

労災保険部会
 部会長 保原 喜志夫



労働者災害補償保険制度の改善について(報告)



 本部会は、標記について、下記のとおりの結論に達したので、報告する。





別添のとおり、厚生労働大臣に建議すべきである。


(別添)


 働き方の多様化等の社会経済情勢の変化に適切に対応し、労働者災害補償保険制度がその役割を十全に果たしていくことが重要な課題となっている。
 このため、労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会においては、学識経験者による検討の結果も踏まえ、平成16年10月より通勤災害保護制度を中心として労働者災害補償保険制度の見直しについて検討を行ってきたところであるが、その結果、下記のとおり意見の一致をみたのでこの旨報告する。
 この報告を受けて、厚生労働省において、次期通常国会における労働者災害補償保険法の改正をはじめ所要の措置を講ずることが望まれる。



 通勤災害保護制度については、昭和48年に創設されたものであるが、働き方の多様化等の社会経済情勢の変化の中で、必ずしも制度の創設当時に想定されていなかった問題への対応の必要性が生じているものと考えられる。特に、複数就業者や単身赴任者が増加してきている中で、これらの者が行う移動のうち通勤災害保護制度において保護すべきものと考えられるものについて適切な保護がなされるよう以下の見直しを行うことが適当である。
(1) 複数就業者の事業場間の移動については、移動先の事業場における労務の提供に不可欠なものであること、通常一の事業場から他の事業場に直接移動する場合には私的行為が介在していないこと、事業場間の移動中の災害はある程度不可避的に生ずる社会的な危険であると評価できること等から、通勤災害保護制度の対象とすること。
(2) 単身赴任者の赴任先住居・帰省先住居間の移動については、単身赴任は、労働者を自宅からの通勤が困難な場所で就労させなければならないという事業主の業務上の必要性と、労働者の家庭生活上の事情を両立させるためにやむを得ず行われるものであること、労働者が労務を提供するため家族と別居して赴任先住居に居住していることから、赴任先住居・帰省先住居間の移動中の災害はある程度不可避的に生ずる社会的な危険であると評価できること等から、就業に関する赴任先住居・帰省先住居間の移動を通勤災害保護制度の対象とすること。

 なお、複数就業者に係る給付基礎日額の算定方法の在り方については、複数就業者の賃金等の実態を調査した上で、労災保険制度の在り方に関する研究会中間とりまとめに示された考え方を参照しつつ、専門的な検討の場において引き続き検討を行うことが適当である。


(参考1)

労災保険部会報告書「労働者災害補償保険制度の改善について」の概要


労災保険制度の課題
 働き方の多様化等の社会経済情勢の変化に適切に対応し、労災保険制度がその役割を十全に果たしていくことが重要な課題。


法改正の基本的方向性
 昭和48年に創設された通勤災害保護制度について、働き方の多様化等に適切に対応したものに見直していくことが必要。


具体的な改正内容
(1) 複数就業者の事業場間の移動について
 移動先の事業場における労務の提供に不可欠であること、事業場間の移動中の災害はある程度不可避的に生ずる社会的な危険であると評価できること等から、通勤災害保護制度の対象とすることが適当。

(2) 単身赴任者の赴任先住居・帰省先住居間の移動について
 労働者が労務を提供するため家族と別居して赴任先住居に居住していることから、赴任先住居・帰省先住居間の移動中の災害はある程度不可避的に生ずる社会的な危険であると評価できること等から、通勤災害保護制度の対象とすることが適当。


(参考2)

労働政策審議会 労働条件分科会 労災保険部会委員・臨時委員名簿

平成16年12月21日現在
区分 氏名 職名
公益代表   ほばら きしお
○保原 喜志夫
天使大学教授
  いしおか しんたろう
  石岡  慎太郎
職業訓練法人日本技能教育開発センター
理事長
  いなば やすお
  稲葉 康生
毎日新聞社論説委員
  いわむら まさひこ
  岩村 正彦
東京大学大学院法学政治学研究科教授
  きし  れいこ
  岸  玲子
北海道大学大学院医学研究科教授
  きんじょう きよこ
  金城 清子
津田塾大学教授
労働者代表   さとう まさあき
  佐藤 正明
全国建設労働組合総連合書記長
  すが  やすたか
  須賀 恭孝
日本労働組合総連合会総合労働局長
  たかまつ のぶゆき
  高松 伸幸
全日本運輸産業労働組合連合会書記次長
  てらだ  ひろし
  寺田  弘
日本化学エネルギー産業労働組合連合会
事務局次長
  ないとう じゅんろう
  内藤 純朗
日本基幹産業労働組合連合会事務局長
  まじま あけみ
  真島 明美
日本労働組合総連合会東京都連合会
女性局副部長
使用者代表   かわい まさのり
  川合 正矩
日本通運株式会社代表取締役副社長
  きりく  たかし
  紀陸  孝
社団法人日本経済団体連合会常務理事
  きょう こういち
  杏  宏一
石川島播磨重工業株式会社顧問
  くぼ   くにおき
  久保 國興
JFEスチール株式会社専務執行役員
  しもながよし まさる
  下永吉 優
社団法人全国建設業協会常務理事
  はやかわ さちこ
  早川 祥子
株式会社アイディアバンク顧問
 ○部会長


(参考3)

複数就業者及び単身赴任者に係る通勤災害保護制度の改正内容


1 複数就業者の場合

図

 保険関係の処理は、(2)を第2の事業場への出勤ととらえ、第2の事業場において行う。




2 単身赴任者の場合

図

今回の改正において保護の対象とする部分・・・(2)、(6)
現行の通勤災害保護制度の対象・・・・(1)、(3)、(4)、(5)


(参考4)

複数就業者数及び単身赴任者数の推移


 複数就業者数(本業が雇用者であり、かつ、副業が雇用者である者の数)

  年

昭和62年 平成4年 平成9年 平成14年
男性
女性
383
167
473
284
483
409
399
416
合計 550 757 892 815


 単身赴任者数(雇用者で、単身、かつ、有配偶である者の数)

  年

昭和62年 平成4年 平成9年 平成14年
男性
女性
419
481
688
103
715
119
合計 791 834


※1 単位:千人
※2 資料出所:総務省統計局「就業構造基本調査」


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