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介護給付適正化推進運動の実施について
〜全保険者が第一歩を踏み出そう〜


1.趣旨

   介護保険制度は老後を支える基礎的な社会システムとして定着したが、介護サービスが真に所期の効果をあげているかとの観点、不適正・不正な介護サービスはないかとの観点から改善の余地がある。
 適正化の取組に当たっては、行政担当者がケアマネジメントに対する理解を一層深めることが肝要であり、国・都道府県・市町村(保険者)が連携して介護給付の適正化に取り組む「介護給付適正化推進運動」を実施することとする。

2.実施期間

 ○ 初年度は本年10月から実施することとし、次年度以降も実施。

3.具体的な取組

(1)効果的な適正化事業実施例を踏まえた取組

 介護給付の適正化に積極的に取り組んでいる保険者(トップランナー)を目標として、すべての保険者が適正化に取り組むこととする。

別紙1】保険者、都道府県が実施している効果的な適正化事業実施例

(2)不正請求、不適切な請求への対応

 不正請求や事業所の取消事例が増加していること等を踏まえ、適切な介護給付を行うため、サービス提供事業者等の保険給付について調査(照会)等を行うこととする。

【優先的に調査等を行う事業所の選定基準】

(1)国保連合会の適正化システムにより特異的な傾向を示している事業所に対する調査(照会)

別紙2】適正化システムにより把握できる主な事項

(2)大規模事業所等への指導監査

1)介護報酬支払額の上位事業所

 次に掲げるサービス種別ごとに介護報酬支払額が大きい事業所を優先し、介護報酬支払額が最大である事業所に対しては当該給付内容について指導監査を行っていただきたいこと。






在宅サービス
(1)訪問介護 (2)通所介護 (3)通所リハビリ (4)ショートステイ
(5)痴呆性高齢者グループホーム (6)福祉用具貸与
施設サービス
(1)特別養護老人ホーム (2)老人保健施設 (3)療養型医療施設






2)複数の事業拠点を展開している事業所

 同一法人が多数の事業拠点を展開、あるいは特別な関係にある法人間で多方面にわたる複数の事業拠点を展開している形態の事業所、施設から優先的に指導監査を実施していただきたいこと。

4.運動の目標の目安、成果

   介護給付費については依然として10%程度の高い伸びが続いている。本運動による給付適正化の重点的な取組により、介護給付費の1%程度の抑制を運動の目標の目安として取り組んでいただきたいこと。

 取組の成果については、都道府県において管下保険者の成果を含めて取りまとめていただき、都道府県から厚生労働省がヒアリングをする予定。

 平成16年10月21日、標記運動の実施について、都道府県宛て事務連絡を発出し、市町村に対する周知を依頼する。


【別紙1】

適正化事業実施例


○介護給付費通知
【北海道栗山町】
 介護給付費通知を活用して、要介護度を改善することにより自己負担額も軽減できるメリットがあることを啓発している。
 介護給付費通知書に利用実績の要介護度が改善された場合の自己負担額の下がり方をグラフ等で具体的に示して、被保険者や家族の意識を啓発する取り組みを行っている。

【東京都稲城市】
 給付額や負担額の記載をすることにより、給付が適正に行われているかが確認できるとともに、要介護認定を受けた人に、自分の身体状況やサービス利用状況が確認できるよう「介護保険サービス確認シート」を提供し、利用者の意識改革を図り、今後の健康管理、ケアプランの作成に役立てることができるものとしている。


○ケアマネジメントの適正手続の確保・ケアプランチェックの実施
【鹿児島県】
 市町村が居宅介護支援事業所から提出してもらったケアプランを「ケアプラン評価チーム」がチェックし、問題点の指摘や改善のためのアドバイスを行う。
 また、各地区ごとの「ケアプラン評価チーム代表者」が会し、ケアプランチェックの結果等を検討し、その検討結果を保険者等へ配布することで、事業の効果が県下全域に及ぶように努めている。
 なお、当県では、提出されたケアプランによる利用者の要介護度とサービスの利用状況等の分析結果から、(1)訪問介護の利用回数が多くなるにつれて要介護度が悪化する傾向があること、(2)福祉用具貸与の利用が要介護度を悪化させること、などが調査結果としてまとめられている。

【茨城県下館市】
 居宅サービス利用者に係るケアプランをそれぞれの居宅介護支援事業所より毎月提供させ、ケアプランの内容を精査し、不適切なサービスに対して指導・助言を行う。
 (点検項目)
  ・重複する時間帯でのサービス計画・提供
  ・訪問介護提供に当たっての疑義(長時間の訪問介護等)
  ・要支援、要介護1の利用者で、福祉用具貸与のみ(特殊寝台、車いす他)
  ・長期の短期入所
  ・ケアプランに利用者又はその家族の同意の押印又はサインの確認
  ・ケアプラン作成日とサービス提供開始日の整合性

 (対処方針)
   点検の結果不明な点に関しては、ケアプランを作成する居宅介護支援事業所に質問状を送付する。また、必要に応じてサービス提供事業所へも同様の質問を行う。これにより不適切なサービス提供が確認できた場合は、介護支援事業所及びサービス提供事業所の責任者に内容を説明した上で過誤申請を行うよう指導する。

【岡山県寄島町】
 介護給付費の増加理由のひとつが在宅サービスの利用率の増大であることから、介護支援専門員に対して適正な指導を行うため、居宅サービス利用者のケアプランを新規・更新・変更の都度すべて提出させ、サービス利用表及び利用別表は毎月提出させてチェックを行う。
 また、ケアプランの向上を図るため、サービス事業所、在宅介護支援センター、役場の関係者で毎月「ケアプラン事例研究会」を行っている。

【福岡県大川市】
 居宅介護支援事業者に対し、利用者のケアプランの提出を依頼し、チェックシートを活用したケアマネジメントのチェックを行った。 その結果、事業者に対し指導の必要があると判断した案件については、各事業所に出向き指導を行った。


○要介護認定調査
【東京都武蔵野市】
 在宅介護支援センター(社会福祉法人等に運営委託)及び福祉公社に認定調査を委託して行っている。在宅介護支援センターには、市の派遣職員も配置している。
 なお、施設の認定調査は、市の嘱託職員が実施している。
 また、認定審査会へ認定調査員が同席している。

【鹿児島県川内市】
 本年4月より、認定調査を介護支援事業所へ委託していたものを市嘱託職員の実施に切り替えて実施している。
 この結果、4月、5月の新規認定申請件数が昨年同月比で33%減少した。
 また、認定更新者の要介護度判定状況(要介護度が軽度化した者の割合)は5月で25.1%であり、昨年度と比較して8.2ポイントの増となった。


【別紙2】

適正化システムにより把握できる主な事項


支援事業所別認定者の要介護度の変化
各支援事業所単位の要介護度の改善状況の把握ができる。

ケアマネジャー1人あたり作成ケアプラン
支援事業所単位のケアマネジャー1人あたり平均ケアプラン作成件数の把握ができる。

支援事業所別支給限度額割合
支援事業所単位で、支給限度額に対して、どのくらいのサービス量のケアプランを作成しているかを把握できる。

支援事業所とサービス事業所との同一法人割合(単位数)
各支援事業所が同一法人のサービスをどのくらい組み込んでいるか把握できる。

訪問介護事業所別ヘルパー1人あたりのサービス提供時間
ヘルパー1人あたりのサービス時間が極端に長い場合は、給付費の請求誤りの疑いがあったり、サービス運用体制に問題があるケースがある。

事業所別定員に対する利用割合
ショートスティ、グループホーム、入所施設等の定員数に対する利用者割合の把握



詳細については、こちらをご覧ください。
本資料
  (1〜5ページ(PDF:468KB)  6〜13ページ(PDF:476KB)  14〜18ページ(PDF:450KB)
 19〜45ページ(PDF:510KB)  46〜59ページ(PDF:501KB)  60〜93ページ(PDF:479KB))



照会先
 老健局介護保険課 課長補佐 重永将志
 課長補佐 福井隆昭
TEL03-5253-1111(内線2262,2162)



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