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III  「継続一人っ子家族」と「若年一人っ子家族」・「複数子家族」の比較

1. 結婚意識

 平均結婚年齢について、男女とも 【継続一人っ子家族】は相対的に高く、他グループとは2歳ほどの開きがある。

図表1-1.結婚年齢(単数回答)(基数:全体)
図表1-1.結婚年齢(単数回答)(基数:全体)のグラフ

 結婚のきっかけについて、男女とも【継続一人っ子家族】は、「自分の年齢を考えて」が相対的に高く、「交際期間の長さを考えて」が低い状況となっている。
 また、男性の場合は「きっかけはないが一緒に暮らしたかった」が相対的に低く、女性の場合は「生活に変化が欲しくなったので」が高い状況となっている。

図表1-2.結婚のきっかけ(複数回答)(基数:全体) (%)
各グループN=150 きっかけはないが一緒に暮らしたかった 自分の年令を考えて 交際期間の長さを考えて 家族・子どもが欲しくなったので 相手の年令を考えて 親が心配しているので 相手に結婚を迫られて 友達・仲間の多くが結婚したので 生活に変化が欲しくなったので 子どもができたので 結婚した方が経済的に楽になると思ったので 親の年令を考えて 転勤・海外赴任が決まったので 近親者が病気になったので 職場の上司から薦められて ライバルが出現したので
若年一人っ子
家族男性
46.7 35.3 20.7 24.7 18.0 3.3 4.7 8.0 5.3 11.3 2.0 4.0 4.7 1.3 0.7 0.7
継続一人っ子
家族男性
39.3 45.3 12.0 18.7 18.7 9.3 0.7 4.0 5.3 5.3 3.3 2.7 0.7 1.3 0.7 0.0
複数子家族男性 49.3 39.3 22.0 22.0 20.0 14.0 3.3 8.0 6.7 4.7 0.7 2.0 0.7 2.0 1.3 0.7
若年一人っ子
家族女性
41.3 34.0 30.7 18.7 13.3 8.7 14.7 3.3 6.0 16.7 1.3 2.7 3.3 1.3 0.7 0.0
継続一人っ子
家族女性
32.0 57.3 10.0 19.3 6.0 21.3 10.0 9.3 14.7 4.0 6.7 3.3 2.0 2.7 1.3 0.0
複数子家族女性 31.3 46.0 23.3 14.0 8.7 18.0 13.3 14.0 8.0 5.3 2.7 3.3 2.0 0.0 3.3 0.0

 結婚のよい点について、どのグループの男女とも「家族や子どもを持てる」が最も高い状況となっている。
 また、【継続一人っ子家族】の男性は、「精神的な安定が得られる」、「好きな人と一緒にいられる」及び「一人前の大人だと感じられる」が相対的に低く、女性は「経済的な安定が得られる」が相対的に高い状況となっている。

図表1-3.結婚のよい点(複数回答)(基数:全体) (%)
各グループN=150% 家族や子どもを持てる 精神的な安定が得られる 好きな人と一緒にいられる 人生の喜びや悲しみを分かち合える 社会的な信用が得られる 経済的な安定が得られる 親や周囲の期待に応えられる 一人前の大人だと感じられる 親から独立できる 交友関係が広がる 生活上の不便が無くなる 性的な充足が得られる
若年一人っ子
家族男性
83.3 61.3 62.7 45.3 29.3 4.0 8.0 14.7 8.7 8.7 16.0 14.0
継続一人っ子
家族男性
70.0 54.0 46.0 47.3 38.0 3.3 12.0 8.7 5.3 4.7 18.7 10.7
複数子
家族男性
82.0 60.7 60.0 45.3 36.0 3.3 9.3 20.7 8.7 8.0 16.7 17.3
若年一人っ子
家族女性
84.7 56.0 62.0 50.0 15.3 16.7 18.7 6.7 10.7 8.7 6.0 4.0
継続一人っ子
家族女性
73.3 54.0 45.3 48.7 19.3 32.7 12.7 8.0 22.7 10.0 4.7 6.7
複数子
家族女性
84.7 48.0 48.0 37.3 19.3 25.3 12.7 9.3 22.0 8.7 0.7 1.3

 結婚のよくない点について、【継続一人っ子家族】の女性は、「自分の自由になる「時間」や「お金」が少なくなる」が相対的に低く、「義父母や親戚など人間関係が複雑になる」が相対的に高い状況となっている。

図表1-4.結婚のよくない点(複数回答)(基数:全体) (%)
各グループN=150% 自分の自由になる時間が少なくなる 行動が制限される 自分の自由になるお金が少なくなる 義父母や親戚など人間関係が複雑になる 家事に縛られる ストレスがたまる 家族扶養の責任が生まれる 仕事がしづらくなる/やめなければならない 交友関係が狭くなる 恋愛が自由にできなくなる 親元から離れなければならなくなる 生活のレベル・質が落ちる
若年一人っ子
家族男性
54.0 54.0 58.0 18.0 2.7 11.3 22.0 0.7 7.3 5.3 0.7 3.3
継続一人っ子
家族男性
52.0 52.7 52.7 17.3 4.0 12.7 24.0 2.7 6.7 6.7 0.0 2.0
複数子
家族男性
50.0 49.3 50.7 22.7 8.0 14.0 23.3 0.0 4.0 5.3 1.3 1.3
若年一人っ子
家族女性
56.0 48.7 44.7 46.7 38.0 28.0 7.3 19.3 12.0 8.0 10.7 2.7
継続一人っ子
家族女性
44.0 50.7 27.3 60.0 36.0 28.0 9.3 19.3 8.7 4.0 6.7 3.3
複数子
家族女性
60.0 55.3 32.7 50.7 34.7 24.7 11.3 18.0 10.0 8.7 8.7 6.7


2. 家族意識

 子どもの位置づけについて、【継続一人っ子家族】の男性は、「生きがい・喜び・希望」及び「夫婦の絆を深めるもの」が相対的に低い状況となっている。

図表2-1.子どもの位置付け(複数回答) (%)
各グループN=150 生きがい・喜び・希望 無償の愛を奉げる対象 夫婦の絆を深めるもの 独立した一人の人間 自分の血を後世に残せるもの 自分の分身 社会的資産 配偶者の分身 経済的負担を与えるもの 老後の面倒を見てくれる人 精神的負担を与えるもの ライバル
若年一人っ子
家族男性
88.7 59.3 42.7 15.3 20.0 24.0 4.7 4.7 1.3 2.7 0.7 2.0
継続一人っ子
家族男性
73.3 47.3 37.3 35.3 20.0 19.3 7.3 4.0 2.7 1.3 2.0 1.3
複数子家族男性 81.3 46.7 48.0 34.7 17.3 17.3 10.0 4.7 3.3 2.0 1.3 1.3
若年一人っ子
家族女性
79.3 71.3 39.3 29.3 12.0 22.7 3.3 4.0 0.0 0.0 2.0 0.7
継続一人っ子
家族女性
74.0 58.7 34.0 43.3 12.7 16.0 4.7 2.0 2.7 2.0 2.0 0.7
複数子家族女性 76.7 55.3 34.7 42.7 14.7 13.3 8.0 2.0 2.7 1.3 2.7 0.0


3. 育児意識

 理想の子ども数については、男女とも、【若年一人っ子家族】及び【継続一人っ子家族】では「2人」が最も多く、【複数子家族】では「3人」が最も多い状況となっている。

図表3-1.理想の子ども数、今後子どもをもうける意向とその人数(各単数回答)(基数:全体)
各グループN=150 理想の子ども数 今後子どもをもうける意向率(%) 今後もうける予定の子ども数 平均子ども数(人)
1人 2人 3人 4人以上 1人 2人以上 理想の人数 持つつもりの人数 理想と持つつもりの差
若年一人っ子
家族男性
4.0 61.3 32.0 2.7 76.7 76.7 14.1 2.3 1.9 0.4
継続一人っ子
家族男性
6.0 64.0 28.0 1.3 19.3 19.3 0.7 2.2 1.2 1.0
複数子
家族男性
0.0 33.3 57.3 8.7 5.3 5.3 0.7 2.8 2.4 0.3
若年一人っ子
家族女性
7.3 51.3 39.3 2.0 58.0 58.0 7.4 2.4 1.7 0.7
継続一人っ子
家族女性
5.3 48.7 40.7 4.6 20.7 20.7 1.3 2.5 1.2 1.2
複数子
家族女性
0.0 27.3 64.7 8.0 2.7 2.7 0.0 2.8 2.5 0.4

 子ども数が理想より少ない理由について、男女とも【継続一人っ子家族】は、「子どもができないから」や「配偶者との性関係がなくなったから」が相対的に高い状況となっている。
 また、女性の場合は、「高年齢出産になるから」も相対的に高い状況となっている。

図表3-3.子ども数が理想より少ない理由(複数回答)
(基数:理想より持つ予定数が少ない人および子どもは持たない人)(%)
  n
経済的負担が大きいから 高年齢出産になるから 健康・体力に自信がないから 子どもができないから 心理的負担が大きいから 時間のゆとりがなくなるから 将来が子どもにとってよい環境とは思えない 子どもを育てる自信がないから 自分の人生を生きるのに精一杯だから 家が狭いから 末子が定年退職までに成人して欲しいから 配偶者の育児への協力が期待できないから 配偶者との性関係がなくなったから 自分の仕事に差しつかえるから
若年一人っ子
家族男性
(57) 73.7 5.3 14.0 12.3 12.3 10.5 5.3 1.8 3.5 14.0 5.3 1.8 3.5 1.8
継続一人っ子
家族男性
(123) 41.5 37.4 15.4 21.1 10.6 5.7 9.8 2.4 3.3 7.3 13.0 1.6 10.6 2.4
複数子
家族男性
(57) 73.7 47.4 14.0 0.0 15.8 17.5 1.8 1.8 0.0 15.8 7.0 0.0 0.0 3.5
若年一人っ子
家族女性
(87) 66.7 12.6 26.4 17.2 14.9 16.1 11.5 2.3 3.4 11.5 4.6 23.0 8.0 3.4
継続一人っ子
家族女性
(129) 39.5 44.2 34.9 34.9 7.0 12.4 6.2 4.7 1.6 6.2 5.4 10.1 11.6 1.6
複数子
家族女性
(64) 62.5 40.6 37.5 0.0 14.1 20.3 4.7 6.3 3.1 7.8 6.3 10.9 3.1 10.9

 第一子誕生の理想の平均年齢についてはどのグループもほぼ同じであるが、実際の平均年齢については、男女とも【継続一人っ子家族】が相対的に高く、他グループに比べて2〜3歳ほどの開きがある。

図表3-4.第1子誕生の理想の平均年齢と実際の平均年齢(単数回答)(基数:全体)
図表3-4.第1子誕生の理想の平均年齢と実際の平均年齢(単数回答)(基数:全体)のグラフ

 子どもに受けさせたい教育水準について、「大学までの教育は受けさせたい」と回答する者の割合が、男女とも、【継続一人っ子家族】より【複数子家族】の方が高い。

図表3-5.子どもに受けさせたい教育水準(単数回答)(基数:全体)
図表3-5.子どもに受けさせたい教育水準(単数回答)(基数:全体)のグラフ


4. 自己意識・社会意識

 現在及び将来の不安について、【継続一人っ子家族】の男性は、「老後の生活」が相対的に高く、「家族の健康・病気」が低い状況となっている。

図表4-1.現在及び将来の不安(複数回答)(基数:全体) (%)
各グループN=150 家族の健康・病気 自分の健康・病気 老後の生活 国の経済・景気 親の介護 社会の治安 給与・年収のダウン 日本の将来・行方 子どもの将来 リストラ・失業 自分の進路・将来 財産・貯蓄の目減り 妊娠・出産 結婚・離婚 自分の会社の業績・将来
若年一人っ子家族男性 68.0 55.3 40.0 49.3 27.3 37.3 47.3 44.0 56.0 20.0 22.7 21.3 2.0 3.3 27.3
継続一人っ子家族男性 54.7 51.3 51.3 54.0 42.0 38.7 40.7 44.7 52.0 19.3 19.3 21.3 2.0 4.7 22.0
複数子家族男性 66.0 60.7 40.7 57.3 42.7 38.0 40.7 50.0 66.0 29.3 12.0 16.7 0.0 0.7 29.3
若年一人っ子家族女性 69.3 46.7 47.3 42.7 56.0 43.3 42.7 27.3 64.7 22.0 7.3 18.0 12.7 6.7 2.0
継続一人っ子家族女性 64.7 46.0 62.7 37.3 51.3 44.0 40.7 33.3 62.0 18.0 2.7 24.0 2.0 2.7 2.0
複数子家族女性 66.7 48.7 58.7 39.3 54.0 39.3 47.3 31.3 72.0 24.7 6.7 24.0 0.7 4.7 4.7


5. 少子化についての考え方

 少子化問題のとらえ方について、【継続一人っ子家族】は、「ただちに解決すべき重要な問題だと思う」又は「できるだけ解決すべき重要な問題だと思う」と回答した者の割合が、男性で6割強、女性で4割強となっており、【複数子家族】と比べて、男性はほとんど差はないが、女性では2割弱低くなっている。

図表5-1.少子化問題のとらえ方(単数回答)(基数:全体)
図表5-1.少子化問題のとらえ方(単数回答)(基数:全体)のグラフ

 少子化対策への意見について、どのグループの男女とも、「経済的負担軽減のための取組を充実すべき」、「地域の子育て支援サービスを充実すべき」の順に多く、三番目には、男性では「子育てに対する相談体制の整備を進めるべき」、女性では「仕事と子育ての両立の取組を進めるべき」を挙げている。
 また、「安定した家庭のため就労の支援を進めるべき」及び「男性の育児参加のため働き方の見直しを進めるべき」については概ね3割から4割の者が、「家庭を築くことの大切さを伝えていくべき」についても概ね2割から3割の者が望んでいる。

図表5-2.少子化対策への意見(複数回答)(基数:全体) (%)
各グループN=150 経済的負担軽減のため取り組みを充実すべき 地域の子育て支援サービスを充実すべき 仕事と子育て両立の取組を充実すべき 子育てに対する相談体制の整備を進めるべき 安定した家庭のため就労の支援を進めるべき 男性の育児参加のため働き方の見直しを進めるべき 家庭を築くことの大切さを伝えていくべき 結婚や出産そのものを奨励すべきである 対策は行わなくてよい 無記入
若年一人っ子家族男性 73.3 52.7 32.0 42.0 40.7 32.7 22.0 29.3 2.0 0.7
継続一人っ子家族男性 69.3 54.0 42.0 45.3 38.7 30.0 30.7 21.3 2.0 0.0
複数子家族男性 73.3 59.3 35.3 48.0 43.3 28.0 32.0 29.3 2.0 0.0
若年一人っ子家族女性 72.7 72.7 60.0 40.7 40.7 42.7 26.7 28.7 0.0 0.0
継続一人っ子家族女性 70.0 63.3 52.7 46.7 36.0 31.3 28.7 12.0 1.3 0.0
複数子家族女性 71.3 62.0 51.3 50.7 29.3 28.7 22.7 18.7 0.7 0.0


6. 【継続一人っ子家族】についてのまとめ

 【継続一人っ子家族】は、【若年一人っ子家族】及び【複数子家族】に比べて平均結婚年齢が2歳ほど高いとともに、第一子誕生時の妻の平均年齢も2〜3歳ほど高く、晩婚・晩産の傾向がある。
 また、 理想の子ども数が一人という例は少なく、晩婚・晩産に伴う高年齢出産を避けたいという意識が働いたり、不妊や配偶者間での性関係がなくなったことにより、一人っ子家族を継続している傾向がある。
 したがって、【継続一人っ子家族】については、他のグループとの間の意識の相違は顕著に現れておらず、子どもの多寡を決める要因としては、夫婦の意識より年齢や健康面が強く影響している傾向にある。


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