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平成16年7月1日
照会先: 厚生労働省医薬食品局
食品安全部監視安全課
室長: 桑崎(輸入食品安全対策室)
担当: 坂梨(内線 2476)
直通: 03-3595-2337

米国でのBSE発生に対する対応について(第10報)
「日米BSE協議に係る第二回専門家及び実務担当者会合(WG)の概要」

 6月28日〜30日、米国コロラド州フォートコリンズにおいて開催された標記会合の概要について、別添のとおりお知らせします。



BSEに関する第2回専門家及び実務担当者会合(WG)
(概要)

平成16年6月30日
I. 全体日程(28日〜30日)
 28日及び30日 終日討議
 29日 フォートコリンズ近郊の食肉処理場、飼養場、飼料工場、BSE検査施設の視察

II. 会合での議論の概要
 会合では、以下の議題事項について、質疑応答を含む活発な議論が行われた。各議題事項での議論のポイントは以下のとおり。

1. BSEの定義・検査方法、及びSRMの定義と除去方法
 主としてBSEの検査方法について議論した。また、BSE感染防止のためのSRM除去の重要性について認識を共有した。
(1)  日本側専門家より、世界的に見てBSEの発生頻度が低い日米両国では、発生頻度の高い国で用いられている検査方法よりもより感度の高い検査方法(ウエスタン・ブロット検査を免疫組織化学的検査と並行して用いること)が用いられるべきではないかと指摘した。
 これに対し、米側より、米国の検査方法は、これまで多くのBSE検査の実績のある国の専門家の意見を参考に導入した国際的にも評価されたものである旨の説明があった。
(2)  米側より、日本が実施している全頭検査は最も深刻な状況にあった英国でも採用されていない国際的に例を見ない日本独自のものであり、全頭検査を行うことで安心という印象を国民に与えている様であるが、どのような検査にも技術的限界があるのではないかとの指摘があった。
 これに対し、日本側専門家より、一定の月齢以下の感染牛については、現在の検査方法では検出できないとの認識が示された。
(3) 日本側専門家より、SRMの除去は人の健康を確保する上で非常に重要な点であり、潜伏期間中における検出が困難な場合があることを踏まえて、日本においては全頭からSRMを除去することで検査の技術的制約をカバーするダブル・チェック(Fail Safe)をしているとし、米側の対策強化の必要性を指摘した。
 米側より、SRM除去については、SRMを輸出しないので、汚染の問題が重要ではないかとの発言があった。これに関連して、米国政府がすでに行っている農業販売促進サービス(AMS ; Agricultural Marketing Service)のプログラムの下で、米国の民間業者が日本の要求する条件を満たしているかについて認証する(例:月齢、汚染防止措置を認証する制度を導入すること)ことは可能であるとの説明があった。


2. 米国における規則制定のプロセス
(1) 米側より、日本産牛肉の米国への輸出再開に関連の深い、米国における動植物の輸入規制の見直しについて説明があった。具体的には、(1)一般的な輸入再開に係る規則の制定、(2)米国政府が最小リスクであるとの評価に基づくBSE発生国の地域からの輸入解禁にかかる規則改正、(3)個別許可制の運用状況、の三点につき説明があった。また、科学的見地からは、日本の牛肉に基本的にBSEリスクの問題はないと考えている旨説明があった。
(2) 日本側より、本協議は、日米牛肉貿易の双方向の再開につき本年夏を目途に結論を得るとの目的をもって行われており、米側の説明はこの目的との関連で問題を生ぜしめる可能性を指摘した上で、米側がこの点に十分配慮することを求めた。


3. 牛の月齢鑑別方法
 米側より、歯列により牛の月齢を鑑別する方法について説明があった。また、AMSプログラムにおいては、米国企業が行う歯列及びその他の鑑別方法につき、その適否を認証することが可能である旨説明があった。



4. 米国におけるフィード・バンの現状
(1)  米側より、米国のフィード・バンの現状について説明があり、米国としては国際パネルの勧告について、その対応を検討しているとの説明があった。
(2) 日本側より、米国では肉骨粉がいまだに反芻動物以外の家畜(家禽や豚など)に給餌されていること、米国から輸入した魚粉に動物性たんぱくが検出されたこともあることから、交差汚染の可能性が否定できず、米国における交差 汚染対策強化の必要性を指摘した。


5. 米国におけるサーベイランスの現状
(1)  米側より、米国のサーベイランスの現状について説明があり、本年6月1日から開始された強化されたサーベイランスにおいては、ハイ・リスクに区分される推定約45万頭の牛の内、仮に1千万頭の内に1頭のBSE感染牛がいたとしてもそれを検出できるだけの統計上の確実性でサーベイランスを行うべく、最終的には20〜27万頭のサーベイランスを行う考えであるとの説明があった。
(2)  日本側より、本年6月までのサーベイランスにおいては、対象がダウナー牛になっており、OIEが示しているBSE様症状牛等の内訳が示されていないため、サーベイランスとしての評価には議論の余地があることを指摘した他、ワシントン州のダウナー牛問題、カナダからの挽肉輸入問題について事実確認を行うとともに、テキサス州における神経症状牛未検査問題について情報提供を求めた。


6. 米国のBSEリスク区分
(1)  米側より、米国はOIEの基準に従えば、暫定清浄国に区分されるのが適当であるとの説明があった。
(2)  日本側より、米国のリスク区分については現在米国政府が実施している強化されたサーベイランスの結果を待つ必要がある上、OIE等で行われているリスク区分の基準に関する国際的な議論の行方も考慮しながら今後両国で理解を深めていくべきである旨指摘した。


III. BSE感染が疑われる新たな牛の事案

 30日、米側より、25日(現地時間)に米国農務省から発表のあった、BSE迅速検査において陰性と判定されなかった事案について、アイオワ州の農務省の国立獣医局研究所における免疫組織化学的検査の結果、陰性であることが判明した旨の説明があった。

(了)


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