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雇用創出企画会議ワーキング・グループ検討結果概要


1 開催日時
 ○ 第1回 平成16年3月12日
 ○ 第2回 平成16年3月22日

2 参加者(団体については別添概要参照)

 ○ 第1回

【NPO等中間支援組織】
 ・ コミュニティ・ビジネス・ネットワーク(CBN) 細内 信孝  理事長
 ・ コミュニティビジネスサポートセンター(CBS) 永沢 映   事務局長
【個別NPO団体】
 ・ 特定非営利活動法人 シニアSOHO普及サロン・三鷹
 堀池 喜一郎 代表理事
 ・ 特定非営利活動法人 千葉まちづくりサポートセンター
 栗原 裕治  副代表
 ・ 特定非営利活動法人 チャイルドライン支援センター
 清川 輝基  代表理事
 ・ 特定非営利活動法人 日本子育てアドバイザー協会
 小谷野 公代 副理事長
  田中 あけ美 事務局員
 ○ 第2回

【NPO等中間支援組織】
 ・ コミュニティサポートセンター神戸(CS神戸) 中村 順子  理事長
 ・ コミュニティビジネスサポートセンター(CBS) 永沢 映   事務局長
 ・ コミュニティ・ビジネス・ネットワーク(CBN) 鵜飼 修   事務局長
【個別NPO団体】
 ・ 特定非営利活動法人 WeCAN! 上條 一男  理事長
 ・ 特定非営利活動法人 エルダーホステル協会
 大原 美和子 代表理事
 ・ (NPO法人申請中)  たてやま・海辺の鑑定団
 竹内 聖一  代表
 ・ 特定非営利活動法人 ひなたぼっこ 大見 京子  代表理事
 ・ 特定非営利活動法人 文化学習協同ネットワーク
 佐藤 洋作  代表理事

3 結果概要

(1)NPO等の設立に関して
【設立の経緯・動機】
 社会への貢献意識、共通の問題意識・ニーズや地域に関心を持つ人達が集まり設立。
 「市民参加のまちづくり」をテーマとした講演をきっかけに、地域に関心があり、地域に貢献できるのではないかと考えた者が集まった。(千葉まちづくり)
 子どもの成長を保障しようという志や問題意識を持った者が集まった(チャイルドライン)
 市の観光協会主催の自然体験プロジェクトにアルバイトとして携わったが、参加者の多さから、ビジネスチャンスと捉え、仲間が集まった。(たてやま・海辺の鑑定団)
 自分の親の介護経験から、自分自身の老後に不安を持った。たまたま、老人ホームに勤務していた者と出会い、介護する女性も外で働けるようにと、自宅を改造して宅老所を設立した。(ひなたぼっこ)
 自分の趣味などをきっかけに事業を始めようとする者が多い。(CBS)

【組織形態としてNPO法人を選択した理由】
 対外的信用度のためには法人格が必要であると考え、特定非営利活動法人が、一番設立が簡単であるため、特定非営利活動法人認証を申請中。(たてやま・海辺の鑑定団)

【設立時から収益事業を決めていたか】
 設立時に、収益事業と非収益事業を決めていた。(シニアSOHO普及サロン・三鷹)
 設立時に、収益事業を決めていたわけではない。金銭面を意識せずに始めたが、ニーズの高まりに伴う事業化により売り上げが伸びていった。(千葉まちづくり)
 設立時は、ボランティアとして活動していたが、後に収入も入り、雇用もできるようになった。(チャイルドライン)
 設立時に、収益を上げるという意識がないと苦しい。(CBS)

【コミュニティ・ビジネス(CB)に対する幅広いニーズの掘り起こし】
 自分たちのことは、自分たちで解決するという意識が重要。住民の意識の問題として、例えばゴミ問題などの社会問題について行政に頼る傾向があるが、地域住民が共通の問題意識をもって問題解決に取り組めば、コミュニティ・ビジネスのチャンスがある。(千葉まちづくり、エルダーホステル、ひなたぼっこ)
 NPOは、自分たちのやりたいことを、社会的使命と責任をもって活動しているが、そのような活動から、地域貢献的で新たな活動分野を切り開く可能性がある。(WeCAN!)
 コミュニティ・バス事業を実施し、住民のニーズを踏まえながら停留所の設定等を行っているが、地域で本当に必要なものであれば、住民はお金を出すものである。(CS神戸)
 CBは都市部をイメージしがちだが、農村地域にもチャンスはある。地方にもCBはある。(CBN、エルダーホステル)
 地域通貨が、人と人とを結びつける効果がある。(千葉まちづくり)

(2)若年者のNPO参加
 NPOが、フリーターや若年無業者を雇用した場合の優遇措置があれば、若い人が起爆剤となって、NPOが活発化する。(チャイルドライン)
 ある県の高校では、1年間、高齢者や乳幼児と向き合う授業があるが、このような体験をした高校生は、自分が向き合った高齢者や乳幼児のいる地域の中で働き、生活したいという気持ちが芽生え、フリーターになろうとの気持ちがなくなる。このように、若者が地域の中で生きる場所をみつけるための教育が必要。(チャイルドライン)
 活動プロジェクトを示して、それに適応できる専門的能力のある若年者しか雇えないのが現状。大学生のボランティアを受け入れることがあるが、意欲がないと役に立たない。(千葉まちづくり)
 引きこもりの若年者は自信を失っている弱い存在であるが、地域の中で、周りの顔を知り、自分が必要とされている、自分が生きていけると実感できれば、職種にはこだわらず働く傾向にある。本当に仕事に就きたい若年者は、職種を気にしない。そもそもマッチング先の受皿がないため、若年者の働く場を作る必要がある。地域の中小企業は、若年者は欲しいが余力がない。若年者を育て、マッチングをし、受け皿を作るという三位一体で進めることが必要。(文化学習)
 ジョブカフェについても、もっと気軽な雰囲気で行きやすい形にすることが必要。若年者との人間関係が築けて、初めてキャリアコンサルティングができる。(文化学習)
 若年者がNPOの現場で働けるような、まちの中に職業トレーニングの場を作ることが重要である。(CBN)

 (3)中高年齢者のNPO参加
 子育て経験のある中高年齢者の参加が多い。(子育てアドバイザー)
 技術や知識を有する高齢者をCBに誘導するには、行政とNPOが協働して、就労形態に限らず、自由に参加のできる活動場所を作ることが必要である。(シニアSOHO普及サロン・三鷹)
 高齢者のフルタイム就労は20人程度しかいないが、細切れの時間を利用して大きな仕事をしており、団体活動が盛り上がっている。(シニアSOHO普及サロン・三鷹)
 企業に望まれる環境整備策としては、社員が地域活動に参加するため、就業時間を減らす必要がある。また、個人が尊重される時代になりつつあるが、企業は組織であることから、個人の尊重と両立できない面もある。社員は、仕事と生活のバランスをとることが重要であるが、これは国がアプローチする必要がある。(CBN)
 勤労者マルチライフ支援事業は、退職前教育として、マネープランと健康の話ばかりでなく、CBのような地域性のある仕事の教育をするなどの工夫が必要。NPOでの就労は、実際に働いてみないとわからない。企業負担で、6ヶ月間、インターンシップで来ている人も少数ながらいる。研修は、体験型、実践型のものが必要だが、そういった研修を実施するスタッフが育っていないことも問題。(CS神戸)
 高齢者がNPOの現場で働けるような、まちの中に職業トレーニングの場を作ることが重要である。(CBN)

(4)女性・障害者のNPO参加
 CBで女性に着目すると、保育・教育系のニーズがあるが、介護保険制度のような財政面での支援策があれば、起業促進につながる。(CBS)
 宅老所で働く女性が、子育てでキャリアが分断されないよう、出産前は常勤、出産後は週1回勤務、保育所に入所すると常勤に戻るといった配慮を行っている。(ひなたぼっこ)
 障害者や子どもを抱える女性の就労形態として、テレワークに期待している。埼玉県と連携して、大宮の合同庁舎内に、テレワークのサテライトオフィスを作り、企業と障害者等のマッチングを行うことで、ビジネスモデル作りを進めている。(WeCAN!)

(5)NPOで求められる人材
 CBに必要とされる人材要件は、自発性、色々な人と話ができること、責任を引き受けられることと考える。(CS神戸)
 企業と共同で、事業運営の原資となるファンドを作っていきたいが、そのために必要な企画力、資金調達力など事業をプロデュースできる有能な人材が必要であるが、現在そういった能力を持つ人は少ない。イギリスでは、チャイルドライン団体の中で、資金を調達するセクションが最重要視されている。(チャイルドライン)
 助成金や賛助会員を集める人材が不足しているが、こうした人材を雇用することは困難であるため、保育関連事業の退職者や行政とパイプがある人に助けをしてもらっている。(子育てアドバイザー)
 職務経歴として重宝なのは、IT知識があること、企業内教育に携わったことがあること、顧客満足の仕組みを知っていること、特に営業能力があること。営業能力としては、心理学を応用したカウンセラーセールス(問題を発見・解決し、相手の信頼を得ること)ができることが望ましい。(シニアSOHO普及サロン・三鷹)

(6)求められる支援
【融資、税制、補助金等】
 信用金庫は、金利は高いが融資はしてくれる。一方、国民生活金融公庫からは、不動産担保がないと融資されず、中小企業者向けの融資は営利目的事業の融資のため、NPOには融資されない。金融機関からの融資は困難な状況にあることから、NPO支援のファンドが各地にあればよい。(WeCAN!、ひなたぼっこ)
 NPO税制の改善が必要。(子育てアドバイザー)
 行政や財団からの補助金・助成金で、人件費への充当を認めないとの要件がある場合があるが、創業当初は人件費がかかるので、そういった要件を撤廃して欲しい。(チャイルドライン)
 緊急地域雇用創出特別交付金制度の改善
 NPOの最初の雇用受入れの基盤を作るのに、緊急地域雇用創出特別交付金は役立つことがあるが、最初の基盤ができれば、あとの事業が円滑になることが多い。継続的な事業を考えた場合、事業を円滑化するまでの助走期間として6ヶ月間は短いので、助成期間の延長を希望する。(チャイルドライン)
 コミュニティ・ビジネスやNPOへ永久就職という意識がない人が多いが、そこで、3か月間なり6か月間、社会的活動をすれば、今後、NPO等で引き続き働こうという基盤ができる。緊急地域雇用創出特別交付金が、現在よりも緩やかな要件で支給されれば、こうした基盤整備の誘発につながる。(CBS)

【活動拠点】
 新規に活動拠点である施設を建設するのではなく、既存の施設(学校や保健所等)を、例えばCBのインキュベーション施設などとして活用できるようにしてほしい。(WeCAN!、エルダーホステル)
 若年者は、地域コミュニティの中にたまり場を欲している。そういった施設は金をかけなくてもできる。(文化学習)

【ワンストップ窓口・ノウハウ提供・交流の場づくり】
 地域ごとにワンストップ窓口(地域のNPO団体や必要とされる人材の情報提供の場所)が必要。市町村単位がよいが、都道府県単位であっても、地域性を反映させた人材育成やNPO育成が可能。既存の雇用対策の予算を、ワンストップ窓口に流用し、公共職業訓練やハローワークによる職業紹介を絡めれば、新たなCBの起業や支援人材が生まれてくるのではないか。(CBS、WeCAN!)
 NPO中間支援組織などが、ある程度完成したNPO団体がもっている運営ノウハウ(失敗の経験談や人集めのノウハウなど)を集め、NPO運営を開始したばかりの団体に、情報提供していくことが重要。(シニアSOHO普及サロン・三鷹)
 NPOにとっては、異業種交流、意見交換ができる場所が必要。(エルダーホステル)

【行政からの事業委託】
 行政のサービスが行き届きすぎている面もあるので、一部をCBに事業委託すべき。また、委託に当たっては、行政とCBが理念を共有し、役割分担を明確にすることが重要。(CS神戸)
 行政からの事業委託において、入札で企業とNPOを競争させるのではなく、NPOを活かす工夫が必要。(文化学習)

【行政とNPO等との連携等】
 行政機関は、縦割りをなくし、横割りでCBの支援を行うべき。(CBN、エルダーホステル、文化学習)
 国がやるより、NPOでやる方が効率的な場合もある。国とNPO・市民が協働して質の高い・効率の良いサービスを提供できる仕組みが必要。(CS神戸、シニアSOHO普及サロン・三鷹、WeCAN!)
 行政側と対等に契約し、地域の情報を提供する非営利のシンクタンク(コミュニティ・シンクタンク)を育てていくべき。また、非営利のシンクタンクに専門家として従事する人のために、雇用基金が必要。(千葉まちづくり、シニアSOHO普及サロン・三鷹、CBS)

(7)その他
 企業によるフルタイムの雇用創出だけではなく、地域での仕事に2〜3時間従事するなど、地域の仕事をワークシェアリングしていくという発想を、普及啓発していくことが必要。(CBN)
 自らが主体となってCBを起業したいという人は少なく、むしろ既存の団体に協力したいという意識の人が多い。そういった場合、地域の中で必要とされるニーズが何かという意識を共有するなど、地域でまとまりを持ついう視点が重要。起業・創業の中で、事業の方向性を明確にし、人それぞれの持つ能力や意識など役割分担を持たせれば、地域でのまとまりが出てくる。特に、支援者を地域に組み込んでいけるコーディネーターを育てることが重要。(CBS)


別添

雇用創出企画会議ワーキング・グループ参加団体概要


1 第1回参加団体

 【NPO等中間支援組織】

  ○ コミュニティ・ビジネス・ネットワーク
・ 設立 1997年3月(東京都稲城市)
・ 事業概要
 (1) コミュニティ・ビジネスの普及・啓発
 (2)

  ○ コミュニティビジネスサポートセンター
・ 設立 2002年1月(東京都千代田区)
・ 事業概要
 (1) NPO設立支援
 (2) NPO従事者の人材育成・講座開催

 【個別NPO団体】

  ○ 特定非営利活動法人 シニアSOHO普及サロン・三鷹
・ 設立 1999年9月(東京都三鷹市)
・ 事業概要
 (1) 地域におけるITの普及に関するサービス
 (2) 高齢者の就労支援・マッチング事業

  ○ 特定非営利活動法人 千葉まちづくりサポートセンター 
・ 設立 1999年2月(千葉県稲毛市)
・ 事業概要
 (1) まちづくりに役立つ情報の提供・講座の開催
 (2) 地域通貨「ピーナッツ」の運用

  ○ 特定非営利活動法人 チャイルドライン支援センター
・ 設立 1999年1月(東京都港区)
・ 事業概要
 (1) 虐待・ひきこもり等に悩む子どもからの電話に対する相談
 (2) 子を持つ親のネットワークづくり支援

  ○ 特定非営利活動法人 日本子育てアドバイザー協会
・ 設立 2002年4月(東京都渋谷区)
・ 事業概要
 (1) 子育て・育児教育に関する専門情報の提供
 (2) 子育てに関する相談活動

2 第2回参加団体(第1回に引き続き参加したNPO等中間支援組織を除く)

 【NPO等中間支援組織】

  ○ コミュニティサポートセンター神戸
・ 設立 1996年10月(兵庫県神戸市)
・ 事業概要
 (1) 地域に根ざした活動(高齢者支援、障害者支援等)に取り組む団体を支援
 (2) 地域の活性化に貢献する先駆的・実験的な自主事業を実施

 【個別NPO団体】

  ○ 特定非営利活動法人 WeCAN!
・ 設立 1998年12月(本部事務局:東京都練馬区)
・ 事業概要
 (1) 障害者やシニア等の多様な就労ニーズを支援
 (2) 企業と障害者の在宅雇用のマッチング事業

  ○ 特定非営利活動法人 エルダーホステル協会 
・ 設立 1986年(大阪府大阪市)
・ 事業概要
 (1) 中高年齢者のための生涯学習支援
 (2) 生涯学習・高齢社会に関する情報の提供事業

  ○ たてやま・海辺の鑑定団(NPO法人申請中)
・ 設立 2003年9月(千葉県館山市)
・ 事業概要
 (1) 海辺の自然体験活動の提供事業
 (2) 海辺の自然体験活動に関するプログラムの研究開発

  ○ 特定非営利活動法人 ひなたぼっこ
・ 設立 2001年7月(神奈川県平塚市)
・ 事業概要
 (1) 宅老所の運営
 (2) 介護保険事業

  ○ 特定非営利活動法人 文化学習協同ネットワーク
・ 設立 1993年(東京都三鷹市)
・ 事業概要
 (1) 子どもと青年の学びと居場所づくり
 (2) 青年の社会的自立を支援


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