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3 コミュニティ・ビジネスの多様な展開のための課題と方策


(はじめに)

 CBは現在のところ、福祉分野等を中心として展開されてきているが、地域における様々な問題の解決が求められている今日、この他の多様な分野においてもCBが事業展開され、もって雇用の場も拡大していくことが望まれる。
 また、CBは若年者・高齢者など属性ごとに大きな意義があり、今後、多様な主体がCBを舞台に自己実現等を図るための環境を整備していく必要がある。
 ここでは、CBの多様な展開のため、何が課題となっているかを整理するとともに、課題を解決するために想定される方策について検討する。


(1)多様な分野における事業展開を促進するための課題と方策
(1) CBの事業展開の状況
 CBの数については、例えば認証NPOの数が2000年末時点で2,165件だったのが、2004年5月末時点には16,978件となるなど、着実に増加している状況にある。

 CBの活動目的をみると、「高齢者介護・生活支援(配食サービスを含む)」が約3割を占め、次いで「障害者自立生活支援」が約1割となっている(図10 CB調査)。現状においてCBの多くは福祉分野で活動しており、今後のさらなる高齢化の進展等を踏まえると、福祉分野におけるCBの活動が重要であることは論を待たない。

 しかしながら、今日においては地域における様々な課題を、地域の手によって解決する必要性が高まってきていることから、CBにおいては、福祉分野の他にも、地域住民・地域社会のニーズに応じた様々な分野で事業展開が図られることが期待される。

 例えば、若年者等が長期間無業のままでは、本人のキャリア形成に大きな支障を及ぼすのみならず、社会全体としても人的資源の枯渇につながりかねない。CBが身近な地域で、職業意識形成のための諸事業を行う意義は大きいといえる。

 労働移動が増加し、個人自らが能力開発に取り組む必要性は高くなっている。若年者や主婦などが、地域の中で気軽に教育訓練を受けられるような場をCBが設定することは、こうした要請に応えることになる。また、失業者等の支援を行うCBが、その自立や職業研修のために農場を開設するなど、農業分野におけるCBの活動も期待される。さらに、グリーンツーリズムなど観光分野のCBの活躍も期待できよう。

(2) CBが活動を行うに当たっての問題点
 個人が新たにCBを設立したり、既存のCBの業務展開を図ろうという場合、現状においては克服すべき多くの課題がある。

 CBの生成の経緯をみると、鍵となる中核的人材が事業体を設立し、その周りに活動に参加したいという人々が集まり、事業展開が図られていく場合が多い。
 しかしながら、そもそも中核的人材となり得る人材が少ないのに加えて、CBの独自の課題を解決しなければならないという問題がある。具体的には、CBには有給の常勤職員・無給のボランティアや、CBにおける収入で主に生計を立てている者、副収入に過ぎない者など、様々な人材がいる。CBで活動している個人はその属性によって、仕事に対する考え方が異なることもある(注5)。よって、多種多様な人材をコーディネートし、創業の精神を共有できるような環境を醸成していくことが、中核的人材には求められる。

 中核的人材がCBの事業を展開しようとする際には、例えば、人員不足や資金不足をいかに解消するか、顧客開拓をどのように行うか、経営管理ノウハウの不足にどう対処するか、補助制度として何があるかなど、様々な分野にわたる相談が必要になることがある。
 しかしながら、現状においては、上記の種々の相談事項について一箇所で相談できる機関に乏しい(注6)。

 中核的人材が事業展開を図ろうとする際に、同じような志を持った者や、既にCBを設立した「先達」等と交流し、成功・失敗体験を学ぶことは、埋もれている地域のニーズを発見したり、事業展開のヒントとなる情報を獲得するという点で大きな意義を有する。しかしながら、そうした機会は現状において必ずしも十分とはいえない。

 この他にも、家賃負担が重いこと等から、活動場所の確保が難しい場合がある。こうした場合、新たに人を雇って事業展開を図ろうと思っても、そのためのスペースがないため、活動を断念することにつながりかねない。

 特に創業直後の活動が軌道に乗るまでの間は経営が不安定である場合が多いが、こうした中で、行政からの委託事業が数限られた収入源となることもある。しかしながら、委託事業においては、委託費を人件費に充当できないといった制約が付されることがある。

(3) 想定される方策
 上記の課題を解決するためには、地方自治体や国が、以下のような施策を講ずることが有効ではないかと考えられる。

 多岐にわたる相談事項について一箇所で対応できる相談窓口については、今年度から厚生労働省がCBの支援組織に委託して、CBの事業者、専門家、行政関係者の協力を得た上で、資金調達・行政手続・雇用管理などに関する相談や、地方公共団体等による関連支援サービスの情報提供を一体的に行うことのできる相談窓口(ワンストップ窓口)を開設することとしている。

 ただし、CB事業者からみて相談したい事項は上記に限られるものではなく、例えば、創業時や新たな事業を展開していく際には、地域住民・社会のニーズがどういう所にあるかについても、情報提供できるようにしておくことが望ましい。こうした取組みによって、埋もれている多様なニーズが掘り起こされ、真に地域住民・社会に必要なサービスの提供が進むことが期待される。
 また、多種多様な活動希望者をコーディネートし、創業の精神の共有を図れる人材を育成することも求められるところであり、ワンストップ窓口を設置する支援組織において、併せて当該人材を育成するための講座を開設することが考えられる。
 さらに、ワンストップ窓口については併せて、募集人材と活動を希望する人材とのマッチングができるようにしたり、広報のあり方について助言するなど、多面的な支援を行う窓口に今後改組していくことが求められよう。

 上記ワンストップ窓口は厚生労働省が試行的に実施するものであり、事業を開始する平成16年度における実施箇所も全国2箇所に過ぎない。しかしながら、事業の取組状況を広く全国の自治体やCB関連の支援組織に提供することは、今後これらの組織が同趣旨の事業を展開しようとする際、大いに参考になるであろう。事業成果のホームページ等による発信が、地域におけるCB相談窓口設立の「呼び水」となることが期待される。

 また、近年、労働金庫や信用金庫といった金融機関がNPO向けの融資を開始するなど、CBの資金面に対する支援を進めているところであるが、こうした取組を一層進めていくことが期待される。

 中核的人材が円滑にCBの事業を展開するのに資するよう、同じ志を持つ者が情報交換を行う「たまり場」として、ワンストップ窓口に経験交流コーナーを設け、参加者間の触発を図るとともに、CBの成功・失敗事例等の情報提供を行うことも有益である。

 活動場所の確保が困難であるという問題については、例えば地方自治体等が学校の空き教室などの遊休施設を、商店街が活性化をも狙って空き店舗を、無償又は低額で一定期間貸与して対処することが考えられる。国としても、地方自治体が活動場所の貸与などにより個別のCBを支援した場合、当該CBに対し創業費用を支援することなどは検討に値しよう。

 委託費が人件費に使えないという問題に対処するためには、委託費の使い方について一定の範囲内で弾力性を持たせることも考えられる。

 国においては2001年度から、離職者に対して多様な内容・レベルの訓練を実施するため、専修学校等に加え、NPO等を委託先機関として活用している。NPO委託訓練では概ね3か月程度、NPOを起業したりNPOで働く意向を持つ者等に対し、コースによっては実務体験を加えつつ実践的な能力開発を行っているところであるが、コースの内容としては介護などの福祉系やNPO起業系が多くなっている。
 今後については福祉系やNPO起業系以外のカリキュラムも一層積極的に開発するとともに、CBが人材育成を行うのに資するよう、カリキュラム策定のノウハウを集約・整理した上で、広くCBに提供していくことが望まれる。

(2)多様な主体が参加するための課題と方策
(1) 若年者
 若年者において無業の期間が長期化するのを回避し、本格的な就労に結びつけるためには、まずもって職業意識の形成が必要であり、このための一つの方策として、CBにおける就労・社会参加は有益である。

 CBの事業所側において若年者の活用志向は全体としては高いといえるが、課題もある。CB調査によって、若年者に就労体験の場を提供するに当たって隘路になっていることは何か、CB事業所に尋ねた結果をみると、「その人たちを指導・サポートできる人材がいない」とする割合が約3割と最も多くなっている(図11)。また、CBは日常業務に忙しく、活動プロジェクトに適応できる能力のある若年者しか受け入れられないといった指摘もある。総じてCBは、個々の若年者の状況に応じて懇切に指導・訓練を行う余裕に乏しい。

 したがって、CBにおける若年者の受入れを進めるためには、CB関連の支援組織等において、活動開始前に職業マナーや基礎的な知識・能力に関連した講習を行うことが効果的であると考えられる。

 また、若年者がCBで活動したいと思っても、受け入れるCBの情報がないとマッチングにまで至ることは難しいので、支援組織等が受入れ情報を整理した上で若年者に提供していくことが望まれよう。同様に、受入れ側に対して活動を希望する若年者の情報を提供していくことも考えられる。さらに、大学におけるインターンシップにおいてCBを活用することも想定されることから、当該情報を大学に提供するなど、支援組織と大学とが連携を図ることも検討すべきであろう。
  なお、これらの支援を行うに当たり、地域の既存のネットワークを活用することは、事業展開を円滑化する上で有益と考えられる(注7)。

 政府としても、当面の間、支援組織において上記の講習や情報提供に係る取組みが行われるよう、その促進に努める必要がある。加えて、CBにおける就労・ボランティア体験を経た若年者に対し、企業実習と教育訓練を行う日本版デュアルシステムによる訓練を行うなど、若年者の無業化の防止や職場定着等に向けて、諸施策の連携を図る必要がある。

(2) 在職者
 在職者については、退職後に円滑に地域貢献活動に参加できるようにするためにも、また、在職中から自己実現を図るとともに多元的な物の見方を身につけるためにも、CBにおける就労・社会参加を容易にし、「多元ライフ」を実現していくことが望ましい。

 しかしながら、在職者がCBで活動しようと思っても、時間がない、情報に乏しい、あるいは兼業することができないために、現実にはなかなか難しい面がある(注8)。
 社員のボランティア活動を支援している企業の割合をみても、時系列でみて増加傾向にはあるが、例えばボランティア休暇についてみると、導入企業の割合はわずかに過ぎない(注9)。

 勤労者が企業とCBの「多元ライフ」を実現することができるよう、企業が支援していくことは重要であり、ボランティア休暇制度、活動情報・機会の提供など、企業における各般の取組み・好事例を国が収集・整理し、企業に対して情報提供を行うことは有益である。また、企業においては、兼業禁止規定について、「多元ライフ」実現の観点からそのあり方について考慮することが望ましい。

 また、現在国においては、勤労者のボランティア活動への参加を推進することを目的として「勤労者マルチライフ支援事業」を実施し、NPO等と連携しつつボランティア活動に参加するためのきっかけづくりや、ボランティア情報の提供等を行っている。今後、同事業において、マッチング機能の強化等を図ることで、在職者の社会貢献活動を推進する必要がある。

(3) 高齢者
 今後、団塊の世代が大量に企業を退職する時期を迎える我が国にとって、地域において高齢者が活躍できる場を創出することは、地域に貢献したいというニーズに応えるとともに、活力あるコミュニティの形成に資する。

 高齢者は職業キャリアの蓄積によって様々な能力(知識・技術、判断力、洞察力、人的ネットワーク等)が蓄積されており、これらを地域に還元していくことは、地域にとっても本人にとっても大変有意義である。ただし、特に企業社会しか体験しなかった退職者については、地域社会にとって自己のどのような能力が役に立つのか、自分がどのような分野に向いているのかを的確に特定することは容易ではない。
 そこで、CB関連の支援組織が、高齢者がどのような能力をもち、それが地域社会にいかに役立つかを明らかにすることを支援したり、適合している職務を発見するための情報交換会を開催することなどは、意義のあることといえよう。

 また、高齢者がCBにおいて就労・ボランティアを行うことが容易になるよう、在職中から地域活動に参加できる環境を整備するとともに、CB関連の支援組織が、受入れ情報等の提供・マッチングに努めることは有益である。その際には、高齢者の集まる場であるシルバー人材センターに窓口を設けることも考えられる。

(4) 障害者
 障害者が継続的に就労・社会参加できるようにするためには、住居の近くで、同じ仲間とともに、リハビリや職業訓練等を行えるようにすることが有益である。このための一つの方策として、身近な地域に存するCBの活用があげられる。

 しかしながら、CB事業所において、障害者に雇用・生きがいの場を提供することについては、若年者や高齢者と比較して、必ずしも積極的であるとは言い難い(図12 CB調査)。では何が隘路になっているかについてみると、職務に合う人が少ないとする回答が一番多いものの、次にあげられているのが指導・サポートできる人材がいないことであることがわかる(図13 CB調査)。こうした人材の不足等により、多くの障害者が就労・社会参加できていないのが現状である。

 国としても、障害者の職場での適応を容易にするため、職場にジョブコーチを派遣することによってきめ細かな人的支援を実施しているところであり、今後さらなる事業の推進を図るとともに、CBにおいても、ジョブコーチの活用等により障害者の雇用を促進していくことが重要である。
 加えて、身近な地域で、就業面の支援と生活面の支援を一体的に行う「障害者就業・生活支援センター」事業については、NPO等も実施主体とされているところであり、これを通じた支援の促進を図っていく必要がある。

(5) 専業主婦
 専業主婦については、地域の社会ニーズに日々接し、また、地域の多様な人的つながりを形成していることから、CBにおける活動が本格的な就労に向けてのステップとなることはもとより、CBの事業主体としても期待される。

 ただし、専業主婦については育児や介護等により、長期間就労から離れていた者もいることから、CB関連の支援組織が主婦向けの基礎的な社会参加講習を開講し、希望に応じて受講できるようにすることが望ましい。

 また、知人の紹介により入職したり社会参加する場合を除いて、一般に専業主婦は、どういう組織が参加者を募集しているかについて情報が不足しているものと考えられる。したがって、上記の支援組織が講習の開催に併せ、講習修了者等を対象にマッチングのための情報提供を行うことは有益である。

 国においても、地域において専業主婦の就労・社会参加をサポートする体制が整うまでの間、支援組織による上記の取組みに対して支援を行い、整備の促進を図ることが望まれる。

 なお、支援組織は、専業主婦の集まる場において支援活動を実施することが適当であり、具体的には、地域において育児等に関する相互援助活動を行うファミリー・サポート・センターや、就学前の教育・保育を一体として捉えた総合施設を活用することが想定される。


(注5)例えば、専従の常勤職員は、行政からの委託事業が活動目的と完全に合致しないものであっても、当該事業を的確に運営することに腐心する一方、無給のボランティアは、組織のためではなく、自己実現や社会貢献のために活動しているという意識が第一にあることから、組織にとって収入にならなくても、活動目的に符号する仕事を選好するといった事態が生じ得る。
(注6)CBの創業支援サービスの現状についてみると、例えば、商工会議所、雇用・能力開発機構(職業能力開発総合大学校)等が、創業セミナーの開催、個別相談の実施などを行っている。加えて、CBの支援組織においては、有料で事業計画の企画・作成や、商品販路拡大の広報・宣伝を手伝ったりしている。金融機関も創業のための相談に応じているが、基本的に融資に付随したものとなっている。これらのサービスはCBの創業を促す働きをしているが、多種多様な相談に一時に対応する機能を有していないか、有していても量的に不足している実情にあるものと考えられる。
(注7)若年者に限らず、在職者や高齢者等を支援するに当たっても、既にある町内会等の地域ネットワークを活用することは検討に値しよう。
(注8)CB調査によると、CBの活動をしている者のうちCB以外の仕事を兼務している者の割合は53%に及ぶが、そのうち年収600万円以上の仕事と兼務している者は2割に満たず、本格的な就労とCBを両立させることが難しいことがうかがえる。
(注9)(財)勤労者リフレッシュ事業振興財団勤労者ボランティアセンター「企業の社会貢献活動および従業員のボランティア活動支援に関する調査」(2001年)によると、ボランティア休暇を制度化している企業の割合は6.8%となっている。


コラム

若年者就職支援に取り組む文化学習協同ネットワーク

 厳しい雇用失業情勢の中で、若年無業者、フリーターの数が増加しており、地域社会の問題となっています。

 こうした状況の中、数は少ないですが、若年無業者やフリーターの方に対して、本格就労に向けた講習を行ったり、就労体験の機会を提供したりする若年者就職支援に取り組むコミュニティ・ビジネスが見かけられるようになりました。

 東京都にある特定非営利活動法人文化学習協同ネットワーク(http://www.npobunka.net/)では、若者が「学ぶ場から働く場」へとわたるための中間施設として、職業意識を育むための「はたらきかた発見セミナー School to Work」や、ホームヘルパー養成講座の開催、農業や福祉、保育の現場など様々な分野での就労体験の機会を設け、若者の社会的自立へのサポートを進めています。さらには、コミュニティ・ビジネスとしてのベーカリーの経営を通して、若者達が学びながら働き、働きながら学ぶ機会を作るため、パン工房を建設しています。


福祉現場での就労体験の風景

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コラム

高齢者の地域ビジネス参加を支援する
シニアSOHO普及サロン・三鷹

 企業からの退職後、経験や能力を活かして、地域で社会貢献することを希望する高齢者の方々が増えています。

 また、今後、団塊の世代の方々が大量に労働市場から退出する時期を迎えますが、地域において高齢者の方々が活躍できる場を生み出すことで、地域で社会貢献をしたいとするニーズに応えるとともに、地域コミュニティの活性化が期待できます。

 こうした状況の中、高齢者の方々の社会参加を支援するコミュニティ・ビジネスが増えつつあります。

 東京都にある特定非営利活動法人シニアSOHO普及サロン・三鷹(http://www.svsoho.gr.jp/)では、企業を退職した高齢者の会員が、幅広い市民を対象にして、パソコン講習を実施しています。その講習でパソコンを学んだシニアの方が、最終的にはパソコン研修講師となって、講座を担当したり訪問サポートをするなど、主にITを活用した高齢者の地域ビジネス参加を支援しています。


シニアが活躍するIT教室風景

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コラム

主婦が起業した介護NPOひなたぼっこ

 サラリーマンの専業主婦世帯数は約900万あり、依然として多くの専業主婦の方々が地域にいます。

 こうした専業主婦の方々の中には就業を希望する方も多く、実際、CBで活動している割合は女性の方が高いという調査結果も出ています。また、専業主婦の方がCBを起業するケースもみられます。

 神奈川県にある特定非営利活動法人ひなたぼっこ(http://www.n-shonan.com/hinatabokko/)は、代表理事の大見さんが、ご自身の親の介護経験を踏まえ、介護や子育てをしている女性が働ける宅老所として仲間と設立されました。

 専業主婦の方々の日々の生活実感は、地域に密着しているCBの活動に結びつく面も多いと考えられ、今後とも、専業主婦の方など女性によるCBの起業・事業展開が期待されます。


公園での風景

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コラム

NPOの行う事業を評価
コミュニティ・シンクタンク「評価みえ」などの取組

 地域コミュニティの脆弱化等を背景として、行政はもとより、一般の市民の人々や企業の間でも、NPOの行う活動に関心や期待感が高まっています。

 一方で、企業とは異なり、NPO等の非営利の世界では、行った事業が適切であったかどうかの評価や情報公開が不足している面があり、そのことが、NPOが行う活動の更なる改善や、行政や民間等の支援者からの信頼を獲得して寄付などの支援につなげていくための隘路となっている面があります。

 三重県にある特定非営利活動法人コミュニティ・シンクタンク「評価みえ」(http://www.hyouka.org/index2.shtml)では、NPOが自分たちの事業を振り返り次に活かしたいという意欲、成果や改善点を明らかにする「道具」を持つことにより、自分たちの実力を養うとともに、行政や企業といったパートナーと意見交換を活発にし、連携(協働)を進めたいとの強い思いを端緒として、NPOが行政と協働して行った事業又はNPOが行った事業を評価するシステムである「評価システム2000」を作成しました。この「評価システム2000」は、「この事業はあなたの団体のミッションとあっていましたか」、「この事業を行うにあたっての明確で測定可能な目標が設定されましたか」といった質問に対して回答していくことで評価がわかるチェックシートとなっています。「評価みえ」では、「評価システム2000」を活用しつつ、評価に関する講演会等における講師派遣や「評価みえ」による事業の外部評価を実施するなど、NPOにおける評価の導入に取り組んでいます。

 また、教育援助を中心にフィリピンで活動を展開する東京都の特定営利活動法人21世紀協会(http://www.21ca.ac/)では、これまで行ってきた事業の自己評価をインターネットのホームページに掲載しています。

 こうした動きが活発になることで、今後、NPOが、行政・市民・企業と強固なつながりをもって、ますます成長していくことが期待されます。


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