○ | 昨今若年者は、安定した就職機会をなかなか得ることができず、このことがキャリア形成に支障を及ぼすことが懸念される状況にある。
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○ | 若年者をとりまく雇用失業情勢についてみると、フリーターが約200万人、失業者・無業者が約100万人と増加しており、完全失業率が10%前後となる状態が続いている。また、就職後3年以内に離職する割合も高い値を示している(概ね、中卒7割・高卒5割・大卒3割)。需要不足に加え、企業の即戦力志向が高まっている中、若年者の雇用失業情勢は厳しい状況が続いている。
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○ | さらに、社会や労働市場が複雑化・高度化していることや、職住分離が進んでいること等を背景に、若年者にとって職業に関するイメージを的確に把握することは困難になっている。こうした状況を放置すると、若年期に必要な技能・知識の蓄積を図ることができず、キャリア形成が十分に行われなくなるおそれがあり、ひいては、中長期的な経済社会発展の基盤を揺るがす可能性があるといえよう。
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○ | 若年期において、無業期間が長期化するのを回避し、無業から脱して本格的な就労につなげていくためには、まずもって職業意識の形成が不可欠である。このため、キャリア教育や在学中からの職業体験など様々な施策が推進されているが、これらと並んで、若年者が実際にCBで働いたり社会参加するルートを開拓していくことは、勤労観・職業観を醸成する上で極めて有効なのではないかと考えられる。
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○ | 具体的には、CBが提供するサービスの多くは、身近な地域の高齢者等に向けられており、直接受益者から感謝される場合も多い。また、小さな組織で事業展開を図るため、一人でいろいろな職務を経験する機会に恵まれている(注3)。こうした特性から、CBでの就労・ボランティア体験は、成功体験を得たり、何か一つの事を為し遂げたという達成感を持つことにつながりやすく、これがひいては、若年者の職業意識の形成に好影響を及ぼしていくことが期待される。そうなれば、若年者の中にはCBを一つのステップとして、さらに本格雇用の道を目指す者も現れよう。若年者のキャリア形成のための一つの「踊り場」として、CBが活用されることが望まれる。
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○ | 受け入れるCBの側をみても、若年者を受け入れる意向は比較的強いものと考えられる。コミュニティ・ビジネスにおける働き方に関する調査((株)三菱総合研究所(2004年)。以下「CB調査」という。)により、今後半年以内に一人以上採用したいと回答した事業所について属性別にみると、「就業未経験者」や「学生」の数は小さくない値を示している(図1)。
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○ | なお、CBの意義は参加することに止まらず、例えば中学生・高校生が身近なところで職業を体感する上でCBにおける活動を見学することも大いに有益であると考えられる。 |