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1 相談、指導等状況
(1)雇用均等室への相談

(注)「その他」欄には、賃金・労働時間・深夜業の男女均等取扱等に関する相談が含まれている
(2)労働局雇用均等室における個別紛争解決の援助 (均等法第13条に基づく援助)
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(3) 雇用均等室における制度是正指導(均等法第25条に基づく助言等)
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(件) |
事項 |
15年度 |
法第5条関係
(募集・採用) |
253 |
法第6条関係
(配置・昇進・教育訓練) |
108 |
法第7条関係
(福利厚生) |
41 |
法第8条関係
(定年・退職・解雇) |
16 |
法第21条関係
(セクシュアルハラスメント防止対策) |
5,190 |
法第22条・23条関係
(母性健康管理) |
16 |
計 |
5,624 |
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2 労働局雇用均等室における個別紛争解決の援助事例 (均等法第13条に基づく援助) |
I |
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女性であることを理由に、長距離トラックの配送業務から外されているとする事例 |
(運輸業 労働者約200人) |
◆女性労働者からの申立内容
長距離トラックの乗務を以前から希望しているにもかかわらず、女性だからということで外されている。 会社は、長距離トラックの配送業務に人手が足りないとして、新たに男性ばかり研修を受けさせている。 女性は、宿泊勤務ができない、トラックのメンテナンス等の体力的な仕事ができないとして、声もかけてくれないのは不満である。 |
◆事業主の主張
長距離トラックの乗務はシフトに基づき乗務することになっているが、宿泊を伴った勤務があり、宿泊施設によっては女性用に別室を設けることができないため防犯上心配がある。 荷物の積み込みや、トラックのメンテナンスなど体力的に女性にはきつい仕事である。 申立者は日頃の勤務態度より、シフトをチームで回していく長距離トラック乗務には向かないので、どうしても乗務を希望する場合は、シフト変更の申し出をしないことの誓約を求めたい。 |
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◆ | 労働局雇用均等室は、事業主からのヒアリング内容を踏まえ、次の事項につき助言、指導を行った。 |
(事業主に対し)
宿泊施設の不備等を理由に女性を配置しないことは均等法に違反する。
職務遂行能力の適格性の判断は、男女ともに同じ基準で行われるものであり、女性一般に対する社会通念により判断することは均等法に違反する。
シフトに従い乗務することは、男女に関わらず求められることで、女性であるからと言って、ことさらシフトの変更を認めないことについて誓約を取ることは適当でない。
日頃の勤務態度に不満があればその都度指摘することが必要である。
(申立者に対し)
勤務態度について、コミュニケーション不足と感じる点は、その都度話し合い改善すべき点は改善していくこと。
◆結果
事業主は、雇用均等室からの助言、指導を受け、トラックのメンテナンス等についての研修を実施するとともに、宿泊施設については、男女別に施錠できるようにする等の対応をとり、申立者は長距離トラックに乗務できることとなった。
II |
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女性であることを理由に、同学歴の男性と比べ昇進が大幅に遅れているとする事例 |
(サービス業 労働者約20人) |
◆女性労働者からの申立内容
同学歴の男性に比べ、昇進に10年以上の差がついているのは納得できない。 人事ヒアリングの際に、たびたび人事考課の仕組みについて説明を求めているが、説明が得られない。 |
◆事業主の主張
比較されている男性は、昨年部内で人員が不足した際に、的確に業務を遂行した点を評価し昇進させたものである。 申立者の昇進についての過去の取扱いについては、明確な判断の基準はない。 人事考課については、明確な規程はなく裁量的な部分が多い。 申立者もゆくゆくは昇進するだろうと思うが、その能力については現時点では不満がある。 |
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◆ | 労働局雇用均等室は、事業主からのヒアリング内容を踏まえ、次の事項につき助言、指導を行った。 |
(事業主に対し)
昇進について明確な運用がなされていないなかで、比較されている男性と申立者に、10年以上の差がつく説明は十分とはいえない。
人事考課後のフィードバック等、申立者の能力について求められる点を説明し、発揮できるチャンスを与えることをせずに、昇進を見送ることは適切でない。
次期昇格時期に向けて昇進要件を明らかにするとともに、OJTで指導すること。
(申立者に対し)
今回の話し合いにおいて明らかにされた職務遂行能力上不足とされた点や、今後、人事考課の際に改善するよう指導される点について改善するよう努めること。
◆結果
事業主は、雇用均等室からの助言、指導を受け、申立者の改善すべき点を指摘し、OJTを通して職務遂行能力の向上について取り組んだ結果、申立者は次期昇格時に昇進することとなった。
III |
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妊娠を理由に有期契約の更新がされないとする事例 |
(金融・保険業 労働者約30人) |
◆女性労働者からの申立内容
有期契約を6回更新しており、毎回特段のヒアリングもなく更新してきたため、今後も働き続けるつもりでいた。 契約社員の就業規則に産前産後休業の規定があるので、産前休業を申し出たところ、今回契約は更新しないと言われた。 今回契約を更新しないのは、妊娠が理由だと思われるが、継続勤務したい。 |
◆事業主の主張
申立者の妊娠報告を受け、退職するものと思いこみ退職手続きを進めていた。 契約更新について、今まで特段の手続きを行ったことはないが、契約を更新しないことについては契約期間満了であれば法律上問題はないと考えている。 |
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◆ | 労働局雇用均等室は、事業主からのヒアリング内容を踏まえ、次の事項につき助言、指導を行った。 |
(事業主に対し)
申請者の意思を確認せず退職の手続きを進めることは問題である。
形式的には雇用期間を定めた契約であっても、契約更新についての話し合いもなく自動的に更新を重ねるなどの契約更新方法等から見れば、実質的には契約期間の定めのない雇用契約と考えられ、妊娠報告がなければ契約は自動的に更新されていたと強く推察される。このため、契約期間の満了を理由として雇い止めすることは解雇にあたり、均等法上問題となる。
(申立者に対し)
継続勤務の意思表示を明確に行うこと。
◆結果
事業主は、雇用均等室からの指導を受け、申立者と継続勤務について話し合った結果、申立者の契約は更新されることとなり、申請者は産前休業を取得した。
IV |
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産前産後休業を申し出たところ、解雇されたとする事例 |
(不動産業 労働者約400人) |
◆女性労働者からの申立内容
産前産後休業を申し出たところ、産休により長期間休まれると業務に支障を来すので、閉鎖する営業所の職員を後任として異動させるため、余剰人員になるとして解雇された。 |
◆事業主の主張
他の営業所閉鎖によるリストラである。 リストラは1名のみで十分なため、申立者への指名解雇となった。 |
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◆ | 事業主からのヒアリング内容を踏まえ、次の事項につき指導を行った。 |
(事業主に対し)
整理解雇であれば、合理的な選定基準により選定すべきである。
今回の整理解雇において、申立者を指名したことの合理的理由が無く、産前産後休業の取得を理由とする解雇と強く推察され、均等法上問題がある。
◆結果
事業主は、雇用均等室からの指導を受け、申立者の解雇を撤回。整理解雇の方法を見直し希望退職を募った結果応募者が現れ、申立者は、産前産後休業の取得後も継続勤務することとなった。
V |
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妊娠を理由として退職勧奨を受けているとする事例 |
(医療・福祉 労働者約150人) |
◆女性労働者からの申立内容
妊娠を伝えたところ、事業主から、現在就いている仕事は妊娠した女性には負担が大きいこと、また、妊娠による体調不良から休みが続いたことにより、退職勧奨を受けている。 |
◆事業主の主張
車の運転や身体介助を行う業務の内容上、妊娠した女性に働いてもらうのは難しい。 申立者は最近突発的な休みが多く、計画的業務遂行に支障を来している。 母子の健康を考えると、一旦退職し出産後に再雇用するのが望ましいと考えた。 |
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◆ | 労働局雇用均等室は、事業主からのヒアリング内容を踏まえ、次の事項につき助言、指導を行った。 |
(事業主に対し)
妊娠した女性には負担が大きいとして退職勧奨することは、均等法上問題である。
妊娠した女性が体調不良により医師から休業が必要な旨指導を受けた場合は、事業主はその指導事項を守ることができるようにするための適切な措置を講じなければならない。
妊娠した女性から申し出があれば、事業主は軽易業務へ転換させなければならず、軽易業務がない場合は、休業という方法も考えられる。
(申立者に対し)
妊娠による体調不良により休業が必要な旨医師の指導を受けた場合は、その旨を事業主に明確に申し出ること。
希望する場合は、軽易業務への転換を申し出ること。
◆結果
事業主は、労働局雇用均等室からの指導を受け、申立者と話し合った結果、申立者は医師の指導に従い休業するとともに、引き続き産前産後休業、育児休業を取得し継続勤務することとなった。
3 機会均等調停会議による調停事案の概要 (均等法第14条に基づく調停) |
I 配置関係
大卒は総合職として採用するとの説明であったにもかかわらず、女性であることを理由に、一般職に配置されたとする事案
◆ | 女性労働者からの申請内容
・ | 今後、雇用管理について男女差別的な取扱いをしないこと |
・ | 申請者について、総合職に配置すべきであったと認めること |
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◆ | 事業主の主張
・ | 能力、適性を判断した上で一般職に配置したものであり、女性であることを理由とした差別ではないこと |
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◆ 結果 機会均等調停会議において、調停委員が関係当事者双方から事情聴取及び意見聴取を行い、事業主に対し、男性は総合職、女性は一般職として配置していたことを改め、労働者の募集・採用から定年・退職等に至る全ての段階において男女均等な雇用管理を行うこと、申請者は、事業主の女性軽視の組織風土に対し働き続ける意思を喪失していることから、配置における差別的取扱いへの慰謝料として申請者に対する解決金の支払いについての調停案の受諾を勧告し、関係当事者双方が受諾し、調停は終了した。 |
II 昇進関係
営業職として男性と同様に勤務してきたが、男性は入社後数年で昇進するのに比べ、女性であることを理由として10年以上も昇進できなかったとする事案
◆ | 女性労働者からの申請内容
・ | 今後、人事考課を明確なものとし、昇進について男女異なる取扱いを改めること |
・ | 申請者について、相当職に昇進していたと認めること |
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◆ | 事業主の主張
・ | 申請者が昇進できなかったことは年2回行う人事考課が低いためであり、女性であることを理由とする差別ではないこと |
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◆ 結果 機会均等調停会議において、調停委員が関係当事者双方から事情聴取及び意見聴取を行い、事業主に対して、昇進について男女異なる取扱いを是正し適正な評価・運用を行うことを求めるとともに、紛争の早期解決のため、退職を決意している申請者に対する解決金の支払いについての調停案の受諾を勧告し、関係当事者双方が受諾し、調停は終了した。 |
III 解雇関係
妊娠の報告をし、産前産後休業を取得する予定である旨の申し出をしたところ、長期間夜勤ができないならば、採用するに当たっての条件を満たしていないとし、解雇された事案
◆ | 女性労働者からの申請事項
・ | 解雇を撤回し、産前産後休業を取得することを認めること |
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◆ | 事業主の主張
・ | 採用時の条件である夜勤ができなくなるとともに、勤務状況が不良なため解雇したものであること |
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◆ 結果 機会均等調停会議において、調停委員が関係当事者双方から事情聴取および意見聴取を行い、事業主に対して、解雇の撤回及び申請者が産前産後休業を取得することの確認、並びに退職を決意している申請者に対する解決金(解雇通告時に既に支払い済みの解雇予告手当を振替)の支払いについての調停案の受諾を勧告し、関係当事者双方が受諾し、調停は終了した。 |
(注)平成14年度に申請があり15年度に終了したものも掲載している。
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