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厚生労働省発表
平成16年5月27日
労働基準局安全衛生部
 化学物質対策課
 課長 飛鳥 滋
 課長補佐 塚本勝利
 電話  03-3502-6756
03-5253-1111
(内線5510)

職場における労働者の健康確保のための化学物質管理のあり方検討会報告書について

 厚生労働省は、ダイオキシン類、石綿、いわゆるシックハウス問題など、職場における化学物質の問題に対する社会的な関心も高まっている中、近年の化学物質管理を巡る国際的な動向、事業場における化学物質の生産・使用形態の変化等に対応した化学物質管理のあり方について、平成15年5月より、「職場における労働者の健康確保のための化学物質管理のあり方検討会(座長:櫻井治彦 中央労働災害防止協会労働衛生調査分析センター所長)」を開催し検討を行ってきたところ、今般、検討会報告書(PDF 524KB)が作成されました。
 本検討会報告書では、職場における労働者の健康確保のための化学物質管理においては、近年の国際的な動向等の化学物質管理を取り巻く状況に対応するためには、下記の事項が必要であるなどとされました。

1)職場における化学物質は、その種類が多様で、かつ取り扱う作業も多岐にわたり、変化する傾向にあること、また、未規制物質による疾病が半数程度を占めていること等を踏まえると、事業者が、個々の事業場でのばく露の状況等に基づきリスクを評価し、その結果に基づき、ばく露防止対策を講じること等の自律的な化学物質管理が重要であり、基本であること。また、自律的な化学物質管理 の取組状況(参考1)等から見ると、その一層の促進が必要であること。

2)危険有害性を有する化学物質について、危険有害性に応じた事業場の容器への絵表示等によって、個々の化学物質の危険有害性、取扱上の注意を一層明確にすること等により、事業者の適切な管理を促進することが必要であること、平成15年のGHS国連勧告(参考2)との整合性の確保が求められていること等から、労働安全衛生法に基づく表示・MSDS(化学物質等安全データシート(Material Safety Data Sheet))は、GHS国連勧告に対応したものとすることが必要であること。また、これらの表示・MSDSに基づく化学物質を取り扱う事業者の自主的な健康障害防止措置の明確化等が必要であること。

3)事業場における自律的な化学物質管理を促進するため、事業場における化学物質管理に係る人材育成の充実、特別規則(参考3)に基づくばく露防止方法の柔軟化・性能要件化(規則に基づく局所排気装置の設置等のばく露防止のための措置を、事業者が事業場の状況に応じて、気中の化学物質の濃度が継続して一定以下となるなどの条件の下、自らの判断にて、より多様な措置が選択できるようにしたもの)等が必要であること。

4)多くの化学物質が海外で厳しく規制(参考4)されるなどの状況下、有害な未規制化学物質について、国は、わが国でのばく露状況等によりリスク評価を行い、リスクが特に高い作業等については、特別規則による規制を行うなどの国によるリスク管理を行うことが必要であること。
 このため、事業場における化学物質の取り扱い状況等のばく露関係情報を収集する仕組みの整備が必要であること。

 厚生労働省においては、今後、本検討会での検討結果について、企業における安全衛生管理体制、安全衛生活動のあり方等について検討を行う「今後の労働安全衛生対策の在り方に係る検討会」での検討結果なども踏まえ、法令面での対応も含めて検討を行って行く予定です。

参考1:事業場における自律的な化学物質管理の取組状況について
 平成13年の労働環境調査(厚生労働省)によると、化学物質の取扱業務のある事業所のうち、「化学物質管理計画」を策定している事業所は31%、策定の予定がある事業所は23%、策定予定はない事業所は47%、また、化学物質管理担当者を選任している事業所は46%、選任の予定がある事業所は16%、選任予定はない事業所は39%となっています。

参考2:GHS国連勧告について
 平成15年に、人の健康の確保等を強化すること、化学品の国際取引を促進すること等を目的に、化学物質の危険有害性を、引火性、発がん性等の約30項目に分類した上で、各々の危険有害性について、一定の基準に基づき、その程度等を区分けし、危険有害性の程度等に応じて、ドクロマーク等の絵表示(ピクトグラム)を付すこと等を内容とする化学品の分類及び表示に関する世界調和システム(The Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals)が、国際連合から勧告として公表(以下「GHS国連勧告」という。)され、平成20年までの完全実施、また、APEC域内においては、平成18年末までの実施が求められています。しかし、現行の労働安全衛生法令に基づく表示等の制度は、絵表示による表示がないなどGHS国連勧告で示された方法とは異なっています。
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(絵表示の例)

参考3:特別規則について
 職場の化学物質管理に係る特別規則には、有機溶剤中毒予防規則、特定化学物質等障害予防規則、四アルキル鉛中毒予防規則及び鉛中毒予防規則があり、これらの規則により、アセトン、キシレン、水銀等の109物質に対して、物質の種類等に応じて、全体換気装置、局所換気装置の設置等の必要なばく露防止方法等を定めています。

参考4:海外での規制例について
 欧州委員会は、化学品の登録、評価、認可等からなるREACH(Registration ,Evaluation and Authorization of Chemicals)システムの導入を提案しており、発がん性、変異原性等が一定以上の有害物質約1400物質を使用許可物質とする予定であるなどとしています。

PDFファイルを見るためには、アクロバットリーダーというソフトが必要です。
アクロバットリーダーは無料で配布されています。
(次のアイコンをクリックしてください。) getacro.gif


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