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別添

不法就労等外国人対策について

平成16年3月11日
警察庁
法務省
厚生労働省

 警察・法務・厚生労働の三省庁は,これまでも相互の協力を深めながら有効かつ適切な不法滞在・不法就労外国人対策の推進に努めてきたところである。
 しかしながら,我が国の雇用情勢が低迷する中においても,近隣諸国との賃金格差等を背景に本邦での就労を企図する者は後を絶たず,外国人研修生等の失踪事案も急増しており,国内には依然として約25万人の不法滞在外国人がいると推測される一方,各種偽変造文書の行使,日本旅券の不正取得,日系人の偽装等による不法入国,船舶を利用した密入国等その手段の多様化傾向も認められる。
 これら不法滞在外国人の多くは,我が国において不法就労に従事しているとみられ,その定着化傾向も益々強まりつつあるところ,こうした状況は新たな不法就労外国人の流入を誘引し,我が国労働市場に与える種々の悪影響を増大させているのみならず,来日外国人犯罪検挙の過半数が不法滞在外国人で占められるなど,治安への影響も深刻である。
 かかる状況の中、平成15年9月,「世界一安全な国,日本」の復活を目指し,全閣僚を構成員として設置された「犯罪対策閣僚会議」においても,これら問題は,我が国治安に重大な悪影響を与えていると位置づけられ,同会議が同年末に決定した「犯罪に強い社会の実現のための行動計画」では,重点課題の一つとして,不法滞在外国人を今後5年間で半減させ,国民が安心して暮らせるようにするため、来日外国人犯罪対策を強化すること等が揚げられている。
 警察庁,法務省及び厚生労働省の三省庁は,より一層の連携強化を図ることとし,また,各分野における関係各省庁の協力も得ながら,下記事項に重点を置いて悪質・巧妙化する不法滞在・不法就労外国人対策への取組みを強力に推進していくものとする。



 不法就労外国人及び悪質なブローカー・雇用主等に関する緊密な情報交換
 事業主団体等に対する行政指導及び啓発活動の強化
 就労資格を有する外国人による資格外活動の防止対策の強化
 悪質な不法滞在・不法就労事犯等に対する取締り等の強化
 不法就労防止に向けた国内及び海外広報の積極的実施



(別紙)

不法就労等外国人対策の具体的内容


 不法就労外国人及び悪質なブローカー・雇用主等に関する緊密な情報交換
 具体的事案の捜査・調査に当たる都道府県警察,法務省及び厚生労働省の各第一線機関による緊密な情報交換
 警察庁,法務省及び厚生労働省による各第一線機関での情報交換実施状況のフォローアップ

 事業主団体等に対する行政指導及び啓発活動の強化
 都道府県等を単位とする警察,入国管理局及び労働局による事業主団体等に対する説明会の開催

 就労資格を有する外国人による資格外活動の防止対策の強化
 同上

 悪質な不法滞在・不法就労事犯等に対する取締り等の強化
 警察,入国管理局による合同摘発及び労働局による強制捜査等との連携の強化
 警察による不法入国あっせん組織,不法滞在を助長する事犯等の徹底取締り
 入国管理局による,悪質なブローカー,雇用主及び不法就労者の警察に対する告発・通報の強化

 不法就労防止に向けた国内及び海外広報の積極的実施
 警察,入国管理局,労働局等による広報啓発活動の推進



(参考1)

外国人労働者数等の推移

(推計:単位 万人)
  平成2年 平成4年 平成5年 平成6年 平成7年 平成8年 平成9年 平成10年 平成11年 平成12年 平成13年 平成14年
外国人労働者(A) 26 58 61 62 61 63 66 67 67 71 74 76
  不法残留者 11 29 30 29 29 28 28 27 25 23 22 22
労働力人口(B) 6,384 6,578 6,615 6,645 6,666 6,711 6,787 6,793 6,779 6,766 6,752 6,689
  雇用者(C) 4,835 5,119 5,202 5,236 5,263 5,322 5,391 5,368 5,331 5,356 5,369 5,331
外国人労働者比率
(A)/(B)
0.4% 0.9% 0.9% 0.9% 0.9% 0.9% 1.0% 1.0% 1.0% 1.1% 1.1% 1.1%
  (A)/(C) 0.5% 1.1% 1.2% 1.2% 1.2% 1.2% 1.2% 1.2% 1.3% 1.3% 1.4% 1.4%

(資料出所) 法務省入国管理局、総務省統計局
(注)1. 外国人労働者には、「外交」、「公用」、「研修」及び「永住者」(特別永住者を含む。)を含まない。
2. 外国人労働者数のうち、一部(日系人等)については、厚生労働省が推計。
3. 平成元年以前は、厚生労働省として推計を行っていない。また、平成3年については、法務省入国管理局発表の統計が存在しない。



(参考2)

平成14年 我が国で就労する外国人(推計)

  在留資格 外国人数
就労目的外国人(専門的・技術的分野) 教授 7,751
芸術 397
宗教 4,858
報道 351
投資・経営 5,956
法律・会計業務 111
医療 114
研究 3,369
教育 9,715
技術 20,717
人文知識・国際業務 44,496
企業内転勤 10,923
興行 58,359
技能 12,522
小計 179,639
特定活動(注1) 46,445
アルバイト(資格外活動)(注2) 83,340
日系人等(注3) 233,897
不法就労 不法残留者 220,552
資格外就労、不法入国等 相当数(=α)
合計 約76万人+α

(資料出所) 法務省入国管理局
(注)1  特定活動とは、ワーキングホリデー、技能実習等を指す。ワーキングホリデーのうち、就労していると考えられる者の数は、厚生労働省が推計。
2  アルバイトは、「留学」等の在留資格で在留する外国人がアルバイトをするために資格外活動の許可を受けた件数。
3  日系人等の労働者とは、「定住者」、「日本人の配偶者等」、及び「永住者の配偶者等」の在留資格で日本に在留する外国人のうち、日本で就労していると推定される外国人を指す。日系人等の労働者数は厚生労働省が推計。
4  アルバイトは1年間の資格外活動許可件数、不法残留者は15年1月現在の数、その他の数は14年末現在の数。



国籍(出身地)別 不法残留者数の推移

国籍(出身地)別 不法残留者数の推移のグラフ

資料出所:法務省入国管理局



(参考4)

入管法違反事件(不法入国)による被退去強制者数の推移

入管法違反事件(不法入国)による被退去強制者数の推移のグラフ

(単位:人)
  平成4年 平成5年 平成6年 平成7年 平成8年 平成9年 平成10年 平成11年 平成12年 平成13年 平成14年
総数 3,459 5,227 5,598 4,663 4,827 7,117 7,472 9,337 9,186 8,952 8,388
航空機利用 2,715 4,269 4,492 3,861 3,757 4,382 4,916 6,281 6,828 6,299 6,201
船舶利用 744 958 1,106 802 1,070 2,735 2,556 3,056 2,358 2,653 2,187
※ 各年の数は、各暦年中の数。
(資料出所:法務省入国管理局)


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